書道の段位と級位とは?

書道の世界には、「級位」「段位」というものが存在します。

しかし、各教室や団体、流派によって、級位や段位を認定する際の基準が異なり、全国的に統一された共通の試験というものがあるわけではありません。

級位、段位とも、試験は各書道協会が独自で作成しており、教室の先生方は、それぞれが属している協会が作成した試験を自分たちが教える各教室で用いています。

試験の評価は先生の主観的視点によって決まることが多いため、その流派の筆使いなどを習得し、とにかく努力して上手くなるための練習をすることが重要と言えるでしょう。

位とは

書道における級位とは、書道の習熟度を示したものです。

基本的には、各教室が所属する協会が作成した昇級試験に合格すると1つ上の級位に認定されます。

また、教室に所属して試験を受け、同じ級位の人々の中で上位に位置づけることができれば、必ずしも試験に合格せずとも昇級できるという場合もあるようです。

さらに、先生の評価次第では一度に何級も上がる「飛び級」が行われることもあります。

位とは

書道における段位とは、級位と同様に書道の習熟度合いを表したものです。

基本的に段位は、級位を全て昇級し終わった人が挑戦するより高度なものです。

昇段試験を受けることで日々の鍛錬が評価され、一定の基準を満たした人には、より高い段位が与えられます。

段位を取得するには、書道を教える教室やに所属し、各教室が所属する協会や団体が独自で実施する試験を受けて合格することが必要です。

一般的に段位に関しては、級位とは異なり、試験に合格せずに昇段したり、飛び段したりすることはなく、必ず試験に合格する必要があります。

道の最高位は「師範」

書道の位には、級位と段位がありますが、その最高位は「師範」です。

師範の称号を取得すると、免許が発行されて書道を教えるための教室を開くことができるようになります。

師範に関しても、級位と段位と同様に共通に定義された試験はなく、その基準は各教室によって異なります。

ただし、試験内容を大きく分けると、書道に関する知識を問う「筆記問題」と、字の習熟度を試す「実技問題」に分けられる場合が多いようです。

「筆記問題」では、代表的な作品の名や作者名、書道用具や書道用語等、語彙を記入させる問題の出題が多くあります。

「実技問題」では、指定された書体、文体、紙での作品制作、提示された作品の添削等が出題される場合が多いようです。

書道教室を開くためには、師範の称号が必ず必要であるというわけではありません。

しかし、「師範」という肩書きを持つことで、「教室を開くだけの実力がある」ということの証明になるため、信用に繋がり、生徒を集める上でも有利に働きます。

教室によっては学生のうちに師範の位を取得できるところや、より短期間で取得することを目指せる特別なコースを設けている教室もあります。

一方、のんびりと書道を楽しむことに重きを置いた教室もあり、先生の裁量等で変わってくる場合が多々あります。

毎週定期的に書道教室に通った場合、仮に十級から始めてスムーズに昇級・昇段し、最短で師範の位に到達できたとすると、計算上7年と数カ月程の期間が必要となるようです。

昇級試験や昇段試験は所属する書道教室や流派により異なりますので、毎回試験を受けて上手く合格できれば良いですが、諸事情で毎回は試験が受けることができなかったり不合格だったりする場合も考慮すると、師範の位を取得できるまで10年以上かかることも珍しくはありません。

教室が変わった際の段位の扱い

また、各級位と段位、師範の位は、教室や団体、流派によって独自の認定基準をもとに定められているため、ある教室で一定の段位を取得したからといって、他の教室でも自動的に同じ段位を得られるわけではありません。

もし教室や書道協会が変わった場合、たいていはもう一度段位を取得し直す必要があります。

ただし、必ずしも一番下の級位や段位から受け直さなくてはならないということではなく、自分の実力に見合う級位や段位の試験から受けられる場合もあるようです。

こちらも書道教室の先生によって判断は異なります。

また、同じ書道協会の教室であれば引き継げる可能性が高いようです。

各段位を取るための条件、難しさ

書道の段位は各流派や団体によって認定基準が異なるため、「何段を取得するためには、これをクリアすれば良い」というような統一された条件がありません。

よって、段位ごとに「この段位を取得すれば、このようなことが可能になる」とか「どのくらい上手ければ何段が取得できる」ということをはっきりと言い切ることは困難です。

流派や団体によって、各級位、段位を取得するための基準が異なるため、昇級、昇段試験の条件や難易度も変わってきます。

位が上がるにつれて必要な技能レベルが上がることはもちろん、試験のための対策も多岐にわたるようになります。

出題される書体の種類は、楷書・行書・草書と順を追って増えていきます。

文字のジャンルは「漢字」だけではなく「仮名」への対策も必要となってきます。

紙の大きさも、はじめは半紙が主ですが、段位が上がると半紙以外の紙よる試験も出題されます。

また、そもそも書道における筆の種類は大きく分けて大筆と小筆の2種類があり、それぞれが試験に出され、その他にもボールペンや万年筆、鉛筆を用いる試験があります。

どこの教室や団体においても、基本的には受験料を支払って昇級・昇段試験を受けます。

昇級・昇段するにつれて、受験料は上がっていきます。また、受験料は教室や団体によって異なり、試験を受けるたびに数千円から1万円代ほどが必要となってきます。

書道で段位を取得する意義

段位の取得は、日々の鍛錬なしには成し遂げられないものです。

パソコンやスマートフォンで文字を入力することが中心となり、自ら文字を書くこと、ましてや筆を握る機会など日常生活では皆無かもしれません。

しかし、そのような時代に敢えて自ら書道という文化に触れ、より高い段位の取得を目指して精神を集中させる時間をつくることは、心を豊かにし、日常の暮らしに潤いを与えることにも繋がります。

書道は日本人として触れておきたい、守ってゆくべき日本の伝統諸芸です。

現在は直接通わなければならない教室だけではなく、オンライン上で指導を受けることが可能な通信教育による書道も盛んに行われています。

また書道はいつ始めても遅いということはなく、老若男女誰でも嗜むことができます。

書道についてより深く知り、段位の取得に向けて日々の暮らしのほんの一部に筆を握る時間を取り入れることは、人生に彩りを与えるきっかけにさえ成り得るでしょう。

書道で段位を取得するには

書道は個人でも自由に楽しむことができる点が魅力の1つと言えます。

しかし、級位・段位を取得するためには教室に通って、各協会ごとに設けられた試験に合格する必要があるので、どこの教室で学ぶかを選択しなければなりません。

教室を選ぶ際、いくつかポイントが挙げられます。

ひとつは「自分が習いたいことを明確にする」という点です。

書道は大きく分けると「漢字」と「仮名」の分野に分けることができます。

先生によって専門が異なりますので、自分が何を学びたいかをはっきりとさせた上で教室を選択することが、段位を取得する上でも重要なポイントとなってきます。

そしてもうひとつは、「字の上手さだけではなく、書道の魅力そのものを教えてくれる教室を選ぶ」という点です。

教室によって理念や教え方は様々であるため、体験入学や見学の機会を利用して自分に合った雰囲気の教室を吟味することも重要です。

書道について幅広く知り、その面白さを知った上で学び進めていくほうが、位を取得する際にもモチベーションを高く維持し続けることができます。

ひと昔前は、近隣住宅のポストにDMを入れたり、書道用品店の店頭に生徒募集のチラシを置く教室もありましたが、最近はSNSをはじめウェブサイト上で生徒募集の情報を出す教室も増えています。

心から書道と向き合い、楽しむことを忘れずに段位の取得を目指していくことができるような場所を見つけましょう。