自分のお家にもイイ感じにお花を生けてみたいと思うものの、どことなく敷居の高い印象のある華道(いけばな)。
実は、ちょっとしたポイントを押さえれば、初心者の方でも楽しく生けることができるようになります♪
今回は華道(いけばな)初心者の方向けに、取り扱いのしやすい花材や、お花を長持ちさせるテクニック、上手に生けられない時の解決方法をご紹介します!
この記事が、あなたのお役立ちガイドとなれば幸いです。
【初心者向け】簡単に美しく生けられる花材
生け花の準備は花材選びから。
もちろん、自分が生けたいと思う花材、好きな花材を選んでもいいのですが、花材の性質によって初心者向きであるものと少し難しいものがあります。
そこで、ここでは全くの初心者でも比較的生けやすい花材をご紹介していきます。
まず、生けやすい花材の特徴として言えることは
・お花屋さんで簡単、安価で手に入る
・花や葉が大振りでどこを向いているのかがわかりやすい
・枝分かれがない、または少ないためはさみで形の細かい調整をする必要が少ない
・個性が強く、大きく手を加えなくても作品の印象を引き立ててくれる
といったところです。
以下にこれらの条件を満たす代表的な花材について詳しくご紹介していきます。
ガ ーベラ
華やかな色合い、人目を惹く花びらの広がりはまさに主役級。
単体でも作品のメインとなる一方で、背の高い花材と取り合わせて低く生ければ、作品全体の印象をグッと引き締めてくれます。
茎が太くて軽いことから瓶に生けるにしても水盤に生けるにしても扱いやすいお花です。
向いてほしい方向をしっかり向いてくれますし、自重で勝手に動いてしまうということも少ない優等生。
ひ まわり
誰にとっても親しみ深いこの花材は、そこにあるだけで季節感を十分に演出してくれます。
季節を楽しむことが華道における大切な要素の一つですので、生け花初心者で花について詳しくなくてもその季節を味わうことのできる花材というのは重宝します。
さらに、葉がたくさんついていることもありますが、柔らかいため手でプチプチと簡単に摘めるので調整が楽なのも大きなポイントです。
チ ューリップ
可愛らしい花にスラリとした立ち姿は、ただ一輪挿すだけでも華道ならではの美しさを演出してくれます。
華道においては花材の芸術的な曲線美をとても重視するのですが、チューリップはありのままの姿で味わい深いゆるやかなラインを描いてくれます。
同様な花材としてフリージアやカラーも挙げられます。
ア ンスリウム
花のような葉のような変わった外見と、その鮮やかな色合いが大きなインパクトを与えてくれます。
高く生けても低く生けても面白い花材です。
主役としてだけでなく脇役としても、作品をユニークに盛り上げてくれる貴重な存在。
ポ インセチア
一般的なイメージとしてはクリスマスに飾られる鉢植えですが、その燃えるような赤色がまさに卓上でも年の瀬の華やかさを演出してくれ、寒い時期でも心を温めてくれます。
たくさんの葉がついていても、手を加えず低い位置に添えるだけで様になります。
ド ラセナゴッドセフィアナ
亜熱帯植物であるドラセナの仲間ですが、和洋を問わずどんなお花に添えても主役を上手にフォローしてくれる名脇役。
グリーンをベースに白や黄色のまだら模様を浮かべた葉は作品に豊かな彩りを与えてくれます。
モ ンステラ
とても大振りの葉に切れ込みを入れたかのような穴がところどころ空いており、存在感が抜群の花材です。
広げた大きな手のひらにも見えるそのフォルムは、面白さを加えつつも作品の足元を隠すという重要な役割を果たしてくれます。
生け花というのは花を生けている足元、特に水盤の剣山を見せてはカッコ悪くなってしまいます。
それを初心者のスキルでも簡単にフォローすることにおいてもモンステラは大活躍してくれるのです。
生けた花材を長持ちさせるテクニック
儚くも花はいずれ散り、植物は枯れてしまうとはいえ、せっかく美しく生けた作品はできるだけ長持ちさせたくなるもの。
ここでは初心者でも簡単に実践できる、作品を長持ちさせるテクニックを伝授します。
水 を定期的に入れ替える
当然のことではありますが大事な作業です。
水は思っている以上にすぐ劣化し腐ります。
遅くても3~4日、夏場ならできれば毎日入れ替えなければ花材に悪い影響を与えますし匂いも悪くなります。
せっかくの作品の形を崩したくないと思うかもしれませんが、入れ替えた後の手直しもすぐに慣れますので、生け花の反復練習のつもりでやってみてください。
高 温を避ける
植物は太陽に当てたくなるものですが、生けた状態で高温に晒すのは花材の寿命を縮めてしまうことに他なりません。
直射日光と風の当たる位置は避け、できるだけお部屋の涼しい場所に飾ってあげてください。
また、花器の中のお水が減ったら足す必要がありますが、温かいお水はご法度です。
わざわざ冷やした水をあげなくても常温で十分ですが、寒い時期などに冷たい水に触れたくないからといってぬるま湯を与えないようにしてください。
水 切りをする
聞きなれない言葉ですが、とても簡単なテクニックです。
花材を生ける前に、水の中に花材の根元を浸し、その水中にはさみを入れて斜めに根元を切り落とすだけです。
これによって花材が水を吸い上げやすい環境を作ることができます。
水切りした花材は生けるまでの間バケツなどに入れたままにし、なるべく切った断面を空気には触れさせずにおきましょう。
特にバラなどの繊細な花材には必須のひと手間です。
延 命剤を使う
化学的に花材を長持ちさせる方法です。
市販されている切り花用の延命剤というものを入手して作品に使ってあげてください。
基本的に延命剤は液体で、水に薄めた後花を生ける前の花器に入れるだけで効果を発揮します。
どう扱うべきかは物にもよりますので説明書に従ってください。
うまく生けられない時の解決方法
花材が向いてほしい方向に向いてくれない、手を離すと勝手に動いてしまう、というお悩みは生け花につきもの。
特に瓶に生ける時、花材が勝手に動いて全体のバランスを崩してしまうというのは多くの初心者がぶつかってしまう壁です。
ここではその解決方法をご紹介していきます。
花 材の根元を斜めに切り直す
これは剣山を使って生ける場合によく起こるのですが、作品の方向性に迷いながら何度も挿し直しをしているうちに針のダメージで根元が柔らかくなってしまい、うまく挿せなくなったり挿しても倒れてしまったりするようになります。
あまり挿し直しをしないのが一番なのですが、初心者のうちはなかなかそうもいきません。
根元を弱らせてしまったと思ったらはさみで根元を切り直しましょう。
再び挿しやすくなりますし、斜めの断面は剣山の上で安定しやすいです。
花を挿すたびに全体を引き上げる
瓶に生ける際、花を挿せば挿す程全体が瓶の中に引き込まれていきます。
気がつけば想定より重心の低い作品になってしまった、なんてこともざらです。
これを防ぐには、挿すたびに全体を軽く持ち上げ、元の位置に調整することが必要となります。
一つの花材だけに集中せず、他の花材の位置や高さが変わってしまっていないか全体をこまめにチェックしてください。
留 めのテクニックを使う
瓶に生ける時、花材の根元を瓶の内側に引っ掛けようとしても滑ってしまい、花材が動いて思うように生けられないということはよくあります。
留まりやすい内壁の花器を選ぶことが一番なのですが、それができない場合は「留め」のテクニックで対処しましょう。
枝や茎を折り曲げて内壁に沿わす「折り留め」や、竹串を根元に突き刺した状態で瓶に挿して内壁に引っ掛ける「縦割り留め」なら初心者でも簡単です。
おわりに
初心者でも楽しめる華道(生け花)の入門についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
実際に華道をしてみたくなったら、まずは体験レッスンから受けてみるのも一つの方法かもしれません。
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