おわら風の盆とは

おわら風の盆とは、富山県富山市八尾(やつお)町の各11地区でおこなわれる盆踊りです。

「おわら」という言葉は、秋の収穫が豊作になるように「おおわら(大藁)」から取ったという説などがあります。

また、お盆の後は台風の季節です。

この地域は風が強く吹くため昔から稲の風災被害に悩まされてきました。

そのため収穫期前のお盆に風の悪霊を祓い鎮めるために始められ、「風の盆」といわれるようになったと考えられます。

おわら風の盆は9月1日から3日の3日間おこなわれます。

もともと陰暦3月16日の祭礼に踊っていたのをやめて、元禄15年(1702)に陰暦7月の盂蘭盆会(うらぼんえ)に踊るようになり、明治以降の9月1日、2日、3日の3日間踊るようになったといいます。

おわら風の盆の特徴は、踊りながら町内を練り歩く姿にあります。

これは「町流し」といい、伝統的な石畳の町を踊り手が列をなして踊る姿はまさに圧巻。

哀調をおびた情緒のある盆踊りです。

唄と地方(じかた)

盆踊りで使われる「おわら節」は、別の地からやってきた船乗りたちが教え伝えたもので、それを地元の娘たちが糸繰り歌として歌ったことから長く八尾の土地に受け継がれたといわれています。

また、豊年祝いの「大藁節(おおわらぶし)」からという説や、八尾の遊芸名人たちがつくった「お笑い節」からという説もあります。

昭和の初め頃、初代おわら保存会長が当時の歌詞を立て直すために、小杉放庵(こすぎほうあん)や野口雨情(のぐちうじょう)などといった有名な歌人や詩人に八尾の歌を詠んでもらい、それをもとにおわら歌詞をつくりあげたといわれています。

地方(じかた)

おわら風の盆で演奏する人たちのことを「地方」と呼びます。

おもな楽器は、胡弓(こきゅう)、三味線、太鼓が使われます。

昔は尺八(しゃくはち)も使われていたようですが、現在は使われていません。

胡弓とは中国から伝わった三味線より一回り小さな楽器です。

盆踊りの囃子(はやし)として胡弓が使われるのは珍しく、この胡弓があるからこそおわら風の盆の独特な雰囲気が出せるといわれています。

明治後期、浄瑠璃(じょうるり)で名をはせた松本勘玄(まつもとかんげん)が八尾で胡弓に出会い、ここ八尾のおわら唄と三味線にどうにかして合わせようと研究し続けた結果、現在の哀愁をもった旋律の囃子が生み出されたといいます。

踊りの種類

踊りは「豊年踊り」「男踊り」「女踊り」の3つに分けられます。

「豊年踊り」は、種まきや稲刈りといった農作業の姿を表現した踊りで、まさにその年の豊年を祈る踊りと考えられ、古くから伝わる踊りなので「旧踊り」とも呼ばれています。

この「豊年踊り」はお年寄りから子どもまで男女問わず誰でも踊ることのできる踊りです。

「男踊り」や「女踊り」は、20代後半までの若者が踊ります。

早い人は幼稚園生の頃から踊りを覚えて参加します。

「男踊り」はしなやかな動きの中に力強さを感じる男性の踊りで、こちらも農作業の姿を現したものだといわれています。

一方「女踊り」は、小林放庵という俳人が八尾の四季を詠った『八尾四季』のために振り付けられたのが始まりで、女性が蛍取りをしている姿をイメージしたあでやかな踊りです。

衣装は男女とも編笠(あみがさ)を被ります。

これは、手拭いで顔を隠していた風の盆がはじまった頃のなごりといわれています。

男性は黒色の法被(はっぴ)に股引(ももひき)という格好をし、女性は皆揃いの浴衣を着ています。

これらの踊り手は、「町流し」といって踊りながら町を練り歩いたり、「輪踊り」といって道々で地方を中心にして輪をつくったりして踊ります。

「町流し」は、踊り手や地方が隊列を組んで町の中を進みながら踊るものです。

おわら風の盆といえばこの姿を思い浮かべる人も多いでしょう。

めずらしいことに、横から男踊りの列・女踊りの列・豊年踊りの列というように、同じ唄でそれぞれ別の踊りを踊る地区もあります。

「輪踊り」は踊り手や地区の人達が大きな輪をつくって踊る典型的な盆踊りの姿ですが、広い場所ではなく道に沿って細長い輪をつくるのがおわら風の盆です。

基本的には「豊年踊り」を踊り、輪の真ん中では、踊り手がお手本として踊っているので観光客も参加することができます。

また、舞台と観覧席を設けている地区もあり、そこで踊りを鑑賞することもできます。

おわら風の盆は11の地区でおこなわれ、それぞれの地区で細かい演出が異なります。

地区ごとの雰囲気の違いを楽しむのもこの盆踊りのポイントです。

おわら風の盆を見 たくなったら

「おわら風の盆」は毎年9月1日、2日、3日の3日間開催されます。

おわら演舞場

富山市立八尾小学校グラウンドでは、午後7時から午後9時の間「おわら演舞場」というおわら踊りの演舞会が開催されます。

ここでは、各地区の踊り手たちが踊りを披露するので、移動しなくてもいろいろな地区の踊りを見ることができます。

指定席は3,600円で、自由席は2,100円になります。

チケットの販売情報はおわら風の盆の公式サイトをご確認ください。

各町内

グラウンドでそれぞれの踊りを見るのも楽しいですが、せっかくならおわら踊りらしく町内で踊っている姿も見たいですよね。

演舞会でその時間出演していない地区の踊り手は自分の町内で踊っているということになりますので、お目当ての地区がある方は出演時間をチェックして見に行きましょう。

9月1日・2日は午後3時~午後5時、午後7時~午後11時(午後5:00~午後7:00休憩時間)、9月3日は午後7時~午後11時に各町内で踊っています。

写真撮影をする場合、フラッシュ撮影を禁止している地区もありますので、くれぐれもご注意ください。

※日程や料金は年度により変更する可能性があります。

おわら風の盆の公式サイトより詳細を確認してください。

おわら踊り方教室

「八尾曳山展示館」では盆踊り期間中、踊り方を教わることができます。

1日~3日の午後2:00~午後4:00までおこなっているので、せっかくなら踊れるようになりたいという方は参加をオススメします!

おわりに

八尾の「おわら風の盆」いかがでしたでしょうか?

地方による囃子、ぜひ実際に聴いてみたいですよね。

各地域の盆踊りが終わったあとの9月開催なので、全国の盆踊りを回りたいという方にとって足を運びやすい期間かもしれませんね。