白石踊りとは

白石踊りは、岡山県笠岡諸島の白石島でおこなわれる盆踊りです。

8月14日から16日の3日間、白石島海水浴場の浜辺のやぐらを中心にして、子どもから老人まで幅広い世代の島民が演目にわかれて踊ります。

はっきりとした起源はいまだわかっていませんが、源平水島灘の合戦の戦死者の供養のためにはじまったという伝説があります。

ひとつの演目でそれぞれの組が同じ踊りではなく、各々の踊りをおこなうという演出は全国的にもめずらしく貴重な例であるとされ、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。

石踊りの唄と踊り

大太鼓と音頭に合わせた、しなやかで流れるような扇子や手の動きが特徴的な白石踊り。

太鼓に合わせて浪々と歌い上げられる口説くどきは、江戸時代島に伝えられた浄瑠璃や歌舞伎を元にアレンジして作成されたものであると考えられます。

踊りの演目は13種類もあります。

かつて、それぞれの家で旧盆の墓参りを終えた後にその家の老人が子どもたちに踊りを教えていたといいます。

踊り手個人の動きをよく観察してみると、それぞれ動きの特徴の違いを楽しむことができます。

それぞれの家の特徴をもった踊りが伝わることで、13もの種類が増えていったといわれています。

石踊りの組と衣装

もともと昔は決まった衣装というものはなく、各々あり合わせの着物などを着て踊っていたようで、昭和初期までは刀を差した浪人姿や、百姓姿などの仮装が盛んだった時代もあったそうです。

その後昭和30年頃、踊りの盛んであった元禄の頃を想定した衣裳の考証し直し、現代の衣装になりました。

壮年から老年層の男性が主体で踊ります。

女性よりも大きく、豪快な振りのため見応えのある踊りです。

黒の紋付着流しの上に白の紋付羽織を着て、頭にはてぬぐいと竹皮の大きな笠を被ります。

中年以上の女性が踊ります。

膝を使ってはずむように踊る華やかな踊りです。

黒紋付の着物、てぬぐいで頭と両頬を覆った上に端折笠つまおりがさを被ります。

新嫁や嫁入り前の若い女性が踊ります。

手の指を揃え、流れるように艶やかに踊ります。

藤紫色の紋付振袖に、頭にあざやかな青紫の布で顔のまわりを隠した姿です。

若い青年の男性が踊ります。

ほかの組の流れるような動きとは違い、抑揚をつけた若々しい男らしさがある踊りです。

黒地紋入りはんてんの奴姿やっこすがたに白の半股引はんだこ、頭にはちまきを締めた姿です。

頭取(唄い手)

白石踊りの唄い手は紋服・袴の姿で、ひとりで浪々と歌い上げます。

中央に立ち、大きな傘をさしていますが、これは傘に先祖や亡者の魂を降ろすためと考えられています。

おわりに

島の中で受け継がれていく優美な白石踊り。

国の重要無形民俗文化財にも指定されている珍しい踊りですので、ぜひ一度ご覧になってください。

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