第126代天皇徳仁なるひと陛下の第1皇女子である愛子さまは、令和3年(2021年)12月1日に満20歳のお誕生日を迎えられ、成年式後に晴れて成年皇族の仲間入りとなられます。

人生の晴れ舞台の一つともいえる“成人式”。

一般国民にとっても社会的な変化が伴う大変意味深い通過儀礼ですが、皇族方にとっての成人式である「成年式」とは一体どのような行事なのでしょうか。

この記事では、愛子さまの成年式について、日程変更の理由やティアラなどの衣装の解説をいたします。

成年式(成年行事)とは?

日本国民は満20歳の年齢を節目に「成人」として法律で定められ、その年の1月第2月曜日(成人の日)には地方自治体ごとに祝福を行う“成人式”が催されますよね。

皇族方が成人になっても一般の成人式にはご参加することはありませんが、皇室の伝統儀式「成年式せいねんしき」を執り行い晴れて成年皇族となられます。

族方にとっての成人は18~20歳

令和3年(2021年)現在においては、日本国民は20歳を節目に成人となる年齢が民法に定められています。

その一方で、皇族方の成人年齢は皇室典範こうしつてんぱんと呼ばれる法律で定められており、天皇・皇太子・皇太孫こうたいそんについては満18歳で成人とみなされます。(参照:皇室典範第22条)

天皇・皇太子・皇太孫以外の皇族方についての成人年齢の条項は皇室典範では定められていないため、一般国民の成人年齢と同じく満20歳で成年を迎えられるのです。

天皇からみた続柄成人年齢
天皇18歳
皇太子皇位を継承することとなる天皇の子供18歳
皇太孫皇位を継承することとなる天皇の孫18歳
そのほかの皇族(歴代を含めた)天皇と血族関係にある方、またはその配偶者20歳


ちなみに、民法の改正に伴い令和4年(2022年)4月からは一般国民も18歳を節目として成人年齢となりました。

今後は皇族方を含めて、全ての日本国民の成人式・成年式も一律で成人年齢は満18歳と定められることとなります。

子さまにとっては20歳のお誕生日が節目に

先ほどの説明だけを見れば「愛子さまは今上天皇の子供だから18歳が成人年齢なのでは?」と疑問に思われた方も多いかもしれません。

確かに愛子さまは天皇陛下のご子息ではありますが、現在定められている皇室典範では皇位継承者ではないため18歳で成人となる“皇太子・皇太孫”に当てはまりません。

現在の皇位継承順位
皇位継承の順位皇位継承資格者今上天皇からみた続柄
第1位秋篠宮文仁親王(皇嗣)弟 / 上皇明仁陛下の第2皇男子
第2位悠仁親王甥 / 秋篠宮文仁親王の第1男子
第3位常陸宮正仁親王叔父 / 昭和天皇の第2皇男子


そのため、愛子さまは他の皇族方や一般国民と同じく20歳のお誕生日を節目として成年式を迎えることとなります。

愛子さまの成年行事はどのような流れになる?


愛子さまの成年式は一般的な成人式とは違い、成年になられる前の記者会見や成年式後の行事などが一連の流れとしてあります。

年式前には「成年にあたっての記者会見」が恒例行事

皇族方の成年式にまつわる一環行事として有名なのが、カメラを前にお一人で質疑応答尾に挑まれる「成年にあたっての記者会見」。

多くの場合はお誕生日を迎える前に行われるのが恒例となっていますが、今回は延期になることが発表されました。

直近では、秋篠宮家の次女・佳子さま(平成26年(2014年)12月)、今年10月に皇族をお離れになった小室眞子さん(平成23年(2011年)10月)の会見が記憶に新しく、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。

ご本人にとって、成年を迎える際の記者会見は初の“お一人で臨まれる公の場”。

成年皇族としての初々しさもさることながら、ユーモア溢れる応答で場を和まされたり、時に記者たちからも笑い声があがるほど和やかな場面も垣間見ることができる場です。

また、女性皇族にとって記者会見を行うのは成年式と結婚の際の2度に限られているため大変貴重な場面でもあります。

愛子さまのにとってはじめての記者会見は来年の令和4年(2022年)1月初旬に決定されたようなので、成年となられたお姿や感想をご本人からお伺いできる日が楽しみですね!

年式当日に天皇陛下から宝冠大綬章を授与

成年行事のメインイベントとなるのが成年式の当日に行われる綬章じゅしょうの授与で、天皇陛下から「宝冠大綬章 ほうかんだいじゅしょう」と呼ばれる特別な綬章を授与されます。

現在の天皇陛下にとって、愛子さまは皇族でもあり愛娘でもあります。

親子揃って初の皇室伝統の儀式に臨まれる様子は、お二人にとっても思い入れの深い儀式になるのではないでしょうか。

宝冠大綬章は女性のみが授与される勲章


成年式では、成年になられる女性皇族には宝冠大綬章が与えられますが、この綬章は女性のみに与えられることでも知られている珍しいものです。

そのため、過去には歴代宮家の女性皇族がその時代の天皇陛下からたすき掛け状の綬章を賜り、ドレス姿とともにお披露目をされています。

宝冠大綬章も成年式が終わった際にカメラの前でお披露目されるものなのですが、コロナ禍ということもありお姿が見られる予定はまだ未定だそう。

ただ、儀式で最上位の正装をされる新年祝賀の儀などではドレスに合わせてお付けになられる代物です。

今後、愛子さまが正装姿で儀式に挑まれる際には私たち国民も目にすることができます。

中三殿にご参拝

令和3年(2021年)12月5日、成人となられた愛子さまにとっての初仕事といえるのが宮中三殿きゅうちゅうさんでんを参拝すること。

宮中三殿は皇室の祖ともいえる天照大神あまてらすおおみかみ(あまてらすおおかみ)や三種の神器をお祀りしている神聖な場所なので、残念ながら一般人は見ることができません。

皇室にゆかりのある神々に成人となったことをご報告すると同時に、愛子さまの成年皇族としての生活がスタートします。

※宮中三殿:皇居内にある賢所かしこどころ、皇霊殿、神殿の3つの建物のこと。

日、伊勢神宮など皇室ゆかりの地ご訪問

皇族方が成年式を迎えられると、歴代天皇ゆかりの地へご訪問をされるのが一般的です。

天照大神が祀られている伊勢神宮、昭和天皇御陵として有名な武蔵野陵むさしののみささぎ多摩陵たまごりょう武蔵陵墓地むさしりょうぼち)などは過去に皇族方が成人を迎えられたことをご報告しに参拝されたことでも有名な場所。

コロナ禍でさまざまな皇室行事や儀式が簡略化されてしまいましたが、野外へのご訪問は感染拡大のリスクも低いため、頃合いを見計らって行われる可能性もあります。

愛子さまの成年式の日程は?「12月5日」になった理由

愛子さまのお誕生日は平成13年(2001年)12月1日。

本来であれば、成年式もお誕生日に合わせて行われる予定でしたが、今回の成年式はその4日後の12月5日となりました。

子さまのご学業を優先し休日に変更

愛子さまは現在19歳、昨年の令和2年(2020年)3月には学習院女子高等科を卒業し、4月には学習院大学文学部日本語日本文学科に入学した大学生。

お誕生日でもある今年の12月1日は平日ということもあり、ご学業に専念されるため成年式の日程をずらして執り行われることになったそうです。

また、愛子さまのお誕生日の前日11月30日は叔父さまにあたる秋篠宮あきしののみや殿下のお誕生日でもあり、立て続けの行事を避けるべく日程調整を行ったということも理由の一つとして挙げられるでしょう。

成年式後の愛子さまの生活にはどんな変化がある?

成年式を終えたあとの愛子さまは成年皇族になられ、他の皇族方と同じくメディアの前に出る機会も増えます。

事行為などでお目見えする機会が増える

国事行為こくじこういは日本国が承認し天皇陛下のもとに執り行う行事です。

成年になられた愛子さまも成年皇族として行事や式典に正式に参加することになります。

年皇族としてご公務に励まれるように

成年皇族になるとご公務を任せられることとなり、国事行為を含めた皇室ゆかりの儀式、各団体が主催するイベント行事への参加の機会も増えてきます。

特に今年は従姉にあたる小室眞子さんが皇室から離れたこともあり、眞子さんが皇族であった頃のご公務を引き継ぐ担い手の一人としても期待されています。

年皇族としてお一人で国内外へのご訪問も

未成年皇族の場合には国賓として招かれなかった外交行事のご公務にも参加されることとなり、今後はお一人で国内外へのイベント行事への参加もされます。

特に海外へのご訪問は皇族を代表して招かれるだけでなく、訪問国との外交交流という大きな意味もある公務です。

愛子さまは英語やスペイン語を学ばれていますし、お母さまである皇后陛下は元外交官。

コロナ禍が明ければ、愛子さまも成年皇族としてさまざまな国へのご訪問をされるのではないでしょうか。

愛子さまの成年式は衣装も見どころ!

愛子さまの成年行事は一般公開される場面が少ないものの、成年式のために用意されたお召し物は注目の的でもあります。

性皇族の象徴「ティアラ」にご注目


女性皇族が成人すると、ティアラが贈られる習わしがあります。

三笠宮みかさのみや家の彬子あきこさまのご成人以降、ティアラは国の予算から作られましたが、愛子さまのティアラには予算が付かなかったことでも話題となりましたよね。

しかし、予算が出なかったからといって、なにも愛子さまがティアラを貰えないというわけではありません。

コロナ禍で国民の生活に影響が出ているという背景を愛子さま自らが考慮し、天皇陛下とともに相談をしたのち、綺羅びやかな装飾品を国のお金で作ることを控えることを決めたそう。

そのため、愛子さまのティアラは新調されず、現在の天皇陛下の妹である黒田清子くろださやこさんのティアラをお引継ぎになられるそうです。

ちなみに、黒田清子さんが成年式を迎えた際は昭和から平成への移り変わりでもある平成元年(1989年)。

昭和陛下の体調悪化や崩御、平成への代替わりとも重なる大変な年となり、成年式が翌年にずれ込んだ過去もあります。

黒田清子さんは平成17年(2005年)の11月にご結婚とともに皇籍離脱したのですが、ティアラは皇族の私有財産である“御手元金おてもときん”で作られた物のため、ご本人の所有物とされているものです。

このたびの成年式では“借用”という形で、愛子さまのティアラとして再びお目にかかれるようになりました。

アンティークの装飾品は格式が高く、古い代物ほど価値があるとされるのが皇室や王族の価値観。

特注される新しいティアラも見てみたかったものの、愛子さまや天皇陛下のお心遣いが伝わるティアラのエピソードとして時代に刻まれることでしょう。



揃いのネックレスやイヤリングもお披露目に

本来であれば、ティアラは揃いの装飾品も同時に特注されます。

ティアラを含めたネックレス、イヤリング、ブレスレット、勲章留めの5点が揃いの装飾品です。

愛子さまのティアラが黒田清子さんからお引継ぎされることが決まったので、揃いの装飾品も清子さんと同じものとなります。

用されるドレスは礼服「ローブ・デコルテ」

綬章を授与される際にお召しになる衣装は、礼服のなかでも最上位として位置づけされる「ローブ・デコルテ」というドレス。

このドレスは、今後も国事行為や皇室儀式の際にお召しになる予定です。

国民にとって一番目にするタイミングは新年祝賀の儀でしょう。

年に1回、毎年必ずお召しになるため今後も目にする機会はたくさんあります。

昨年の新年祝賀の儀ではコロナ事情に考慮し、女性皇族方はティアラをお召しにならずに参列していました。

コロナが明ければ、ティアラと綬章を身に付けたローブ・デコルテ姿の愛子さまを拝見できるのも今から楽しみですよね!

おわりに

愛子さまの成年式は新型コロナウイルスの蔓延という厳しい時代を反映した歴史的にも珍しいかたちで執り行われ、前例主義の宮内庁にとっては直前まで大混乱だったでしょう。

黒田清子さんの使われたティアラを譲り受けることをご自身で判断されたり、ご学業を優先するなど、臨機応変に受け入れる愛子さまのご様子は、国民としてはお心遣いに触れることができる珍しい機会となりました。

今後の愛子さまのご活躍にも期待し、成年皇族としてのご公務を見守っていきたいですね。