酉の市とは、商売繁盛を願って毎年11月の酉の日に行われるお祭りです。
令和6年(2024年)の酉の市は
● 一の酉:11月5日(火曜日)
● 二の酉:11月17日(日曜日)
● 三の酉:11月29日(金曜日)
大鳥大社を総本社とする大鳥信仰の神社である、各地の鷲神社・大鳥神社などで開かれています。
関東を中心とするお祭りなので、お住いの地域によっては初めて聞いた!という方も多いかもしれません。
関東の方は、「お酉さま」と親しみを込めて呼ぶこともあるのではないでしょうか。
酉の“市”という名の通り、熊手などの縁起物を売る露店がたくさん並びます。
売れるたびに威勢のいい掛け声とともに手締め(三本締め)がなされるなど、大変に賑やかなお祭りです。
今回は酉の市とは何か、その由来や歴史、楽しみ方に熊手の意味、有名な酉の市(新宿・浅草・横浜など)について、わかりやすく説明していきます!
酉の市とは?
酉の祭、大酉祭、お酉様、埼玉の方ではおかめ市とも呼ばれる「酉の市」とは、何をする行事なのでしょうか。
まずは酉の市の発祥や歴史、有名な迷信との関わりなどについてお話しましょう。
酉 の市の発祥・由来・歴史
酉の市の起源は、神社と寺で行われる酉の市でそれぞれ異なり、諸説あるとされています。
今回は、神社で行われる酉の市の由来についてご紹介します。
神社における酉の市のはじまりは江戸時代、江戸近郊の花又村(現在の東京都足立区)にある大鷲神社(鷲大明神)からでした。
近隣の農民たちが秋の収穫を祝い、鶏を奉納したのが始まりといわれています。
酉の祭と呼ばれていたこのお祭りですが、市(露店)が立つようになったことで「酉の市」となりました。
市では農具や農作物が売られていましたが、いつしか福を「掻き込む」として縁起物の熊手などが売られるように。
この頃には他の神社でも酉の市が行われるようになり、花又村の大鷲神社は「上の酉・本の酉」、千住の勝専寺は「中の酉」、浅草の鷲神社は「下酉・新酉」などと呼ばれ、賑わいをみせました。
明治時代に勝専寺の酉の市は閉鎖されてしまいましたが、残りの2つは現在まで続いています。
関東大震災の年や戦時中にも開かれたというのですから、驚きですね!
酉 の日とは?三の酉がある年は火事が多い!?
酉の市が開かれる「酉の日」とは、十二支を暦に当てはめたとき、酉に当たる日のことです。
つまり12日に一度巡ってきます。
11月最初の酉の日を「一の酉」、次を「二の酉」、その次があれば「三の酉」と呼びます。
・ 一の酉:11月4日(金曜日)
・ 二の酉:11月16日(水曜日)
・ 三の酉:11月28日(月曜日)
「三の酉の年は火事が多い」という迷信をご存じでしょうか。
実はこれ、酉の市と関係があります。(諸説あり)
浅草の鷲神社の近くには、かつて遊廓としてにぎわった新吉原(日本橋にあった吉原の移転後の名称)があり、酉の市の帰りに立ち寄る男性も多かったそうです。
そこで誕生したのが例の迷信です。
旦那に月に三度も遊郭に行かれては困る、寄り道せずに帰ってきなさい、という妻たちの牽制から発した迷信だとする説があります。
酉の市の楽しみ方~熊手を買ってみよう!~
古くから関東の人々に親しまれてきた酉の市。
酉の市ではぜひ、縁起物の「熊手」を購入してみましょう。
熊手購入のコツや扱い方を知れば、より一層楽しめるはずです!
酉 の市といえば熊手
酉の市といえば熊手です。
熊手は「かっこめ」、「はっこめ」とも呼ばれます。
熊手はもともと、穀物や落ち葉をかき集めるのに使う農具。
当初は本来の目的で販売されていましたが、水商売の人たちの間で、“金銀をかき込む”商売繁盛の縁起物として人気が出たのです。
以来、酉の市では必ず熊手が売りに出されるようになりました。
熊手は安く買うほど縁起が良いとされるので、ぜひ価格の交渉をしてみましょう。
値切った分はご祝儀として、お店の人に渡すのが粋な買い方!
1mを超える縁起熊手もありますが、さらなる招福を願い熊手は年々大きなものに買い替えると良いとされますので、まずは小さなものからスタートしましょう。
買 った熊手はどうする?
購入した熊手の置き場所や飾り方でお悩みの方も多いでしょう。
熊手は、神棚や玄関などに飾りましょう。
大切なのは、目線より上に飾ること。
そして飾る方角によっても、良くなる運が変わってきます。
・東:仕事運、社運、勝ち運
・南:地位、名誉
・西:金運、財運
はっきりとした理由は定かではないのですが、北枕や鬼門といった死や災いを連想する方角である「北」は良くないといわれていますので、できれば避けてくださいね!
古くなった熊手は、神社に奉納します。
大きな神社には通常、熊手を納める場所が用意されています。
酉の市で新しい熊手を調達する際に納めるのが理想ですが、初詣の際などに最寄りの寺社に納めても問題ありません。
熊 手以外の縁起物
酉の市の縁起物は、熊手以外にもあります。
例えば、頭の芋です。
サトイモの一種の八頭のことで、食べると出世・子宝のご利益があるとされます。
切山椒という、山椒を使った餅菓子も名物です。
山椒は古くから魔除けや、沢山の実をつける様から子孫繁栄の縁起物とされています。
有名な酉の市
さて、実際に酉の市へと出かけてみたくなりませんか?
そんなあなたへ、特に有名な酉の市をご紹介します!
花 園神社の酉の市(東京都新宿区)
東京・新宿界隈で最も人出の多い酉の市といえば、花園神社です。
関東三大酉の市※の一つにも数えられる酉の市には、毎年およそ60万人もの人が訪れます。
酉の市(大酉祭)当日の境内には、熊手など縁起物を扱う露店が立ち並びます。
同時に注目したいのが見世物小屋です!
「21世紀に大丈夫なのかしら…」と心配になるほど、(いい意味で)怪しく刺激的な興行を見ることができます。
※関東三大酉の市:新宿の花園神社、浅草の鷲神社、東京府中の大國魂神社の3つ。
浅 草の酉の市(東京都台東区)
江戸時代から続く浅草の酉の市は、最も大規模だといわれており、毎年およそ70~80万人もの人出があります。
「浅草の酉の市」といえば、鷲神社(千束)と長國寺で行われるものを指すのが一般的。
2つの寺社はもともと1つでしたが、明治時代の神仏分離令によって切り離されました。
鷲神社では毎年午前0時の一番太鼓が鳴ると同時に、神社から熊手御守を最初に受け取った方へ、なんと一番福として純金の小判が授けられるそう!
長國寺では酉の市が開かれている間、鷲妙見大菩薩の御開帳が行われます。
特に午前0時のご祈願には、多くの参拝者が訪れます。
※御開帳:仏像を入れてある厨子と呼ばれる仏具の扉を開き、一般客に秘仏を拝ませること。
鷲神社
長國寺
神社と仏閣は「神社=神道」「仏閣=仏教」という宗教上の儀式を司る施設です。仏教の建物がお寺になるため、仏閣とはお寺のことです。神社で祀(まつ)られているのは神様、仏閣では仏様で、本来は全く違う宗教施設なのです。ここでは、神社と仏閣それぞれの特徴を交えながら、特に参拝方法や違いについてご紹介しましょう。
東京「浅草」でオススメの観光名所・グルメスポット20選をご紹介します!浅草に詳しいワゴコロ編集部員が選ぶ、東京の下町らしい歴史ある風情と最新の流行スポットをご堪能ください♪
金 刀比羅大鷲神社の酉の市(神奈川県横浜市)
横浜の酉の市といえば、金刀比羅大鷲神社です。
明治時代から始まった金刀比羅大鷲神社の酉の市ですが、浅草の酉の市にならって始まりました。
金刀比羅大鷲神社は、岩亀楼主(遊郭のオーナー)・佐藤佐吉が金毘羅大権現という神を勧請※したことではじまった神社です。
火災による遊廓移転の際、鷲神社を勧請して神社も移転させ、酉の市が開かれるようになったのです。
横浜市の無形民俗文化財にも指定されている酉の市。
近くにお住まいの方はもとより、横浜中華街などにも近いので、観光もかねて訪れるのも良いのではないでしょうか。
※勧請:遠く離れた神や仏に対し、こちらに来るよう祈り願うこと。
そ の他有名な酉の市
上記以外にも有名な酉の市はたくさんあります。
関東
関東以外(関西など)
の他
● 名古屋市の長福寺
● 名古屋市の大須神社
などの酉の市が有名です。
神社には必ず、〇〇神社や〇〇神宮といった社号(名前)が付いています。社号の前半部分には、その神社に祀られている神に関わるもの、建っている土地に関するものなどの名称がきますが、社号の後半部分にくる神宮、大社、宮、神社などは一体どのような意味があるのでしょうか。謎だらけの神社を社号や祭神から解説します。
おわりに
初冬の風物詩・酉の市についてご紹介しました。
何気なく足を運んでいた方にとっても、意外と知らなかった情報もあったのではないでしょうか?
今まで行ったことのなかった方は、ぜひ今年はお近くの酉の市まで足を運んでみてください。
熊手は小さい物だと、五百円程度で手に入れられます。
商売繫盛のご利益と元気をもらえるお祭りで、来年に向けて福を掻き集めてきましょう!
日本では、一年を通して全国的に親しまれているものから、地域性の高いものまで、さまざまな意味をもった年中行事が行われています。この記事では、今日行われている年中行事の中から、比較的広い地域に広まっているものをご紹介します。
大晦日というと12月31日のことだということは、誰でも知っていることです。しかし、大晦日の「大」を取った「晦日」という日もあることを知っていますか?しかも、実は晦日は毎月あります。大晦日のことは知っているのに、晦日のことを知らない人は結構いるのではないでしょうか。
最近は、各地でおしゃれなお月見のイベントも増えているようです。見るなら、絶対に中秋の名月がいいですよね?
ですが、ちょっと待ってください。中秋の名月って何ですか? 今回は知っているようでよく知らない、中秋の名月にまつわる基礎知識について簡単にご紹介します。
日本の首都である東京都。都内各地には、東京タワーや東京スカイツリー、浅草寺といった名所が数多くあり、海外からも観光客が訪れます。経済産業大臣によって東京都の「伝統的工芸品」として指定されている村山大島紬、東京染小紋、江戸木目込人形、東京銀器、東京手描友禅、多摩織、江戸切子、江戸硝子など17品目をご紹介します。
令和4年(2022年)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台である神奈川県。そんな神奈川県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。この記事では、経済産業大臣によって神奈川県の「伝統的工芸品」として指定されている鎌倉彫、箱根寄木細工、小田原漆器、江戸押絵をご紹介します。
第43回横浜開港祭のフィナーレとして臨港パーク前海上で打ち上げられる約3,000発の花火「ビームスペクタクル in ハーバー」。横浜開港祭の歴史や見どころ、穴場・オススメの鑑賞スポットから花火が見られるホテル・レストランなど、イベント情報をたっぷりご紹介します♪ぜひ参考にしてくださいね♡