酉の市とは、商売繁盛を願い毎年11月の酉の日に行われるお祭りです。
2021年の酉の市は
● 一の酉:11月9日(火曜日)
● 二の酉:11月21日(日曜日)
● 三の酉:なし
大鳥大社を総本社とする大鳥信仰の神社である、各地の鷲神社・大鳥神社などで開かれています。
関東を中心とするお祭りなので、お住いの地域によっては初めて聞いた!という方も多いかもしれません。
一方、関東の方は「お酉さま」と親しみを込めて呼ぶこともあるのではないでしょうか。
酉の市というからには当然「市」が立ち、熊手(後で詳しく)などの縁起物を売る露店がたくさん並びます。
売れるたびに威勢のいい手締め(三本締め)がなされるなど、大変に賑やかなお祭りです。
今回は酉の市とは何か、その概要や歴史、楽しみ方と有名な酉の市(新宿・浅草・横浜など)について、わかりやすく説明していきます!
酉の市とは?

酉の祭、大酉祭、お酉様、埼玉の方ではおかめ市とも呼ばれる「酉の市」とは、何をする行事なのでしょうか。
まずは酉の市の発祥や歴史、有名な迷信との関わりなどについてお話しましょう。
酉の市の発祥・由来・歴史
酉の市のはじまりは江戸時代、江戸近郊の花又村(現在の東京都足立区)にある大鷲神社(鷲大明神)からでした。(神社と寺で行われる酉の市の由来はそれぞれ異なり、諸説あります。)
近隣の農民たちが秋の収穫を祝い、鶏を奉納したのが始まりといわれています。
酉の祭と呼ばれていたこのお祭りですが、市が立つようになったことで「酉の市」となりました。
市では農具や農作物が売られていましたが、いつしか福を「掻き込む」として縁起物の熊手などが売られるように。
花又村の大鷲神社は「上の酉・本の酉」、千住の勝専寺は「中の酉」、浅草の鷲神社は「下酉・新酉」などと呼ばれ、賑わいをみせました。
明治時代には勝専寺の酉の市は閉鎖されますが、残りの二つは現在まで続いています。
関東大震災の年や戦時中にも開かれたというのですから、驚きですね!
酉の日とは?三の酉がある年は火事が多い!?
酉の市が開かれる「酉の日」とは、十二支を暦に当てはめたとき、酉に当たる日のことです。
つまり12日に一度巡ってきます。
11月最初の酉の日を「一の酉」、次を「二の酉」、その次があれば「三の酉」と呼びます。
「三の酉の年は火事が多い」という迷信をご存じでしょうか。
実はこれ、酉の市と関係があります。(諸説あり)
浅草の鷲神社の近くには、かつて遊廓としてにぎわった新吉原(日本橋にあった吉原の移転後の名称)があり、酉の市の帰りに立ち寄る男性も多かったそうです。
そこで誕生したのが例の迷信です。
旦那に月に三度も遊郭に行かれては困る、寄り道せずに帰ってきなさい、という妻たちの牽制から発した迷信だとする説があります。
酉の市の楽しみ方~熊手を買ってみよう!~
古くから関東の人々に親しまれてきた酉の市。
酉の市ではぜひ、縁起物の「熊手」を購入してみましょう。
熊手購入のコツや扱い方を知れば、より一層楽しめるはずです!
酉の市といえば熊手
酉の市といえば熊手です。
熊手は「かっこめ」、「はっこめ」とも呼ばれます。
熊手はもともと、穀物や落ち葉をかき集めるのに使う農具。
当初は本来の目的で販売されていましたが、水商売の人たちの間で、“金銀をかき込む”商売繁盛の縁起物として人気が出たのです。
以来、酉の市では必ず熊手が売りに出されるようになりました。
熊手は安く買うほど縁起が良いとされるので、ぜひ価格の交渉をしてみましょう。
値切った分はご祝儀として、お店の人に渡すのが粋な買い方!
1mを超える縁起熊手もありますが、さらなる招福を願い熊手は年々大きなものに買い替えると良いとされますので、まずは小さなものからスタートしましょう。
買った熊手はどうする?
購入した熊手の置き場所や飾り方でお悩みの方も多いでしょう。
熊手は、神棚や玄関などに飾りましょう。
大切なのは、目線より上に飾る(もちろん清潔な場所)ことです。
そして飾る方角によっても良くなる運が変わってきます。
・東:仕事運、社運、勝ち運
・南:地位、名誉
・西:金運、財運
はっきりとした理由は定かではないのですが、北枕や鬼門といった死や災いを連想する方角である「北」は良くないといわれていますので、できれば避けてくださいね!
古くなった熊手は神社に奉納します。
大きな神社には通常、熊手を納める場所が用意されています。
酉の市で新しい熊手を調達する際に納めるのが理想ですが、初詣の際などに最寄りの寺社に納めても問題ありません。
熊手以外の縁起物
酉の市の縁起物は、熊手以外にもあります。
例えば、頭の芋です。
サトイモの一種の八頭のことで、食べると出世・子宝のご利益があるとされます。
切山椒という、山椒を使った餅菓子も名物です。
山椒は古くから魔除けや、沢山の実をつける様から子孫繁栄の縁起物とされています。
有名な酉の市
歴史や楽しみ方を知ったら、実際に酉の市へと出かけてみたくなりませんでしたか?
そんなあなたへ、特に有名な酉の市をご紹介します!
花園神社の酉の市(東京都新宿区)
東京・新宿界隈で最も人出の多い酉の市といえば、花園神社です。
関東三大酉の市※の一つにも数えられる酉の市には、毎年およそ60万人もの人が訪れます。
※関東三大酉の市
1. 新宿:花園神社
2. 浅草:鷲神社
3. 東京府中:大國魂神社
酉の市(大酉祭)当日の境内には、熊手など縁起物を扱う露店が立ち並びます。
同時に注目したいのが見世物小屋です!
「21世紀に大丈夫なのかしら…」と心配になるほど、(いい意味で)怪しく刺激的な興行を見られます。
浅草の酉の市(東京都台東区)

江戸時代から続く浅草の酉の市は、最も大規模だといわれており、毎年およそ70~80万人もの人出があります。
「浅草の酉の市」といえば、鷲神社(千束)と長國寺で行われるものを指すのが一般的。
二つの寺社はもともと一つでしたが、明治時代の神仏分離令によって切り離されました。
鷲神社では毎年午前0時の一番太鼓が鳴ると同時に、神社から熊手御守を一番最初に受け取った方へ、なんと一番福として純金の小判が授けられます!
長國寺では酉の市が開かれている間、鷲妙見大菩薩の御開帳が行われ、ご祈願が行われます。
特に午前0時のご祈願には、多くの参拝者が訪れます。

神社と仏閣は、・神社=神道
・仏閣=仏教
という宗教上の儀式を司る施設です。仏教の建物がお寺になるため、仏閣とはお寺のことです。神社で祀(まつ)られているのは神様、仏閣では仏様で、本来は全く違う宗教施設なのです。
金刀比羅大鷲神社の酉の市(神奈川県横浜市)
横浜の酉の市といえば、金刀比羅大鷲神社です。
明治時代から始まった金刀比羅大鷲神社の酉の市ですが、浅草の酉の市にならって始まりました。
金刀比羅大鷲神社は、とある遊廓のオーナー(岩亀楼主・佐藤佐吉)が金毘羅大権現を勧請したことに始まる神社です。
火災による遊廓移転の際、鷲神社を勧請して神社も移転させ、酉の市が開かれるようになったのです。
横浜市の無形民俗文化財にも指定されている酉の市。
近くにお住まいの方はもとより、横浜中華街などにも近いので、観光もかねて訪れるのも良いのではないでしょうか。
その他有名な酉の市
上記以外にも有名な酉の市はたくさんあります。
関東
※毎年12月
関東以外(関西など)
の他
● 名古屋市の長福寺
● 名古屋市の大須神社
などの酉の市が有名です。

神社には必ず、〇〇神社や○○神宮といった社号(名前)が付いています。社号の前半部分には、その神社に祀られている神に関わるもの、建っている土地に関するものなどの名称がきますが、社号の後半部分にくる神宮、大社、宮、神社などは一体どのような意味があるのでしょう。
おわりに
初冬の風物詩・酉の市についてご紹介しました。
何気なく足を運んでいた方にとっても、意外と知らなかった情報もあったのではないでしょうか?
今まで行ったことのなかった方は、ぜひ今年はお近くの酉の市まで足を運んでみてください。
熊手は小さい物だと、五百円程度で手に入れられます。
商売繫盛のご利益と元気をもらえるお祭りで、来年に向けて福を掻き集めてきましょう!

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