“夏も近づく八十八夜(はちじゅうはちや)~♪”
という、歌い出しの曲でおなじみの「八十八夜」。
歌にある通り、茶摘みの印象が強いかもしれませんね。
ですが、それ以上は知らない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、八十八夜とは何なのか、八十八夜には何をするのか、お茶との関係など、八十八夜についてご説明します!
八十八夜の意味とは?
まずは八十八夜の読み方や意味、なぜ八十八「夜」なのか、わかりやすく説明していきます。
八 十八夜とは?
「八十八夜」の読み方は「はちじゅうはちや」で、立春(2月4日頃)から数えて88日目の日をいいます。
春のはじまりの日である立春は、季節の移り変わりを示す節目「二十四節気」の一つ。
一方、八十八夜は「雑節」の一つです。
雑節は、中国から輸入した二十四節気を補完するため、日本で作られた暦の上での目安です。
日本の季節を、より正確に感じられる日というわけですね。
雑節の例
・ 節分
・ 彼岸
・ 入梅
・ 土用
…などがあります。
八十八夜の3日後は、夏のはじまりを表す“立夏”です。
「♪夏も近づく……」どころか、夏の直前ですね。
八十八夜とは、春から夏への変わり目ともいえるでしょう。
八 十八日ではなく八十八「夜」の理由
八十八夜は立春から数えて88日目の「日」なのに、なぜ夜なのでしょう?
現在使用されている暦は、新暦または太陽暦(グレゴリオ暦)といいます。
太陽暦とは、太陽の運行を基準にした暦のことです。
一方、かつての日本で使用されていた暦を、旧暦または太陰暦といいます。
太陰暦とは、主に月の満ち欠けを基準に(ただし太陽の運行も考慮)した暦のこと。
つまり、夜を基準としていたのです。
そのため八十八夜と呼ぶようになったと考えられますが、今のところ定説はないようです。
「八十八夜の別れ霜」って?
春から夏にかけては、穏やかな気候が続きますね。
人間にとっては過ごしやすい時期ですが、農作物にとってはそうでもないようです。
この頃は昼夜の温度差が激しいため、霜が降りることもしばしば。
それにより、農作物はダメージを受けてしまうのです。
しかし、八十八夜を過ぎると気温が安定するため、霜が降りなくなるといわれています。
これを「八十八夜の別れ霜」、「八十八夜の忘れ霜」などと呼びます。
とはいっても、南北に長い日本。
平野部もあれば、山間部もあります。
現実には、たとえ八十八夜を過ぎても、霜が降りる地域も多いのだとか。
八 十八夜は農家にとって大切な目安の日
八十八夜は、農家にとって特別な節目です。
「ハチヤブリ」とも呼ばれ、稲や畑作物の種まきをはじめるなど、農作業の目安として大切な日でした。
また、八十八夜は漁師にとっても特別な節目の日です。
例えば、瀬戸内海では八十八夜を「魚島時」といい、産卵のために鯛などが集まる豊漁期の目安とされていました。
水口祭との繋がり
八十八は「米」という漢字に通じ、末広がりの八が重なる縁起の良さもあります。
そこで八十八夜になると、水口祭※という豊作祈願の神事も行われていました。
※水口:水田の水の取り組み口のこと。
八十八夜、いつ?
それでは、具体的に、八十八夜はいつなのでしょうか。
八 十八夜 2023年は5月2日
八十八夜の日付は、年によって異なります。
2023年は5月2日(火)です。
八十八夜の日付
・ 2024年:5月1日(水)
・ 2025年:5月1日(木)
・ 2026年:5月2日(土)
・ 2027年:5月2日(日)
八十八夜の行事食は「お茶」?
節分なら福豆、端午の節句ならかしわ餅など、年中行事には特定の食べ物の存在がつきものです。
これらを行事食といいますが、八十八夜の行事食はいったい何なのでしょうか。
八 十八夜の行事食は?
八十八夜には、これといった行事食はないようです。
しかし、八十八夜といえばお茶!
その年の春、はじめて摘み取ったお茶を「一番茶」や「新茶」といいます。
特に八十八夜に摘んだ新茶は、不老長寿や無病息災の縁起物です。
収穫時期によるお茶の呼び方
※収穫時期:地域差あり
八 十八夜に飲む!新茶の特徴
新茶は縁起物としてではなく、良質だからという理由でも飲まれています。
香りは新鮮でさわやか。
二番茶・三番茶よりも、渋み成分のカテキン・苦味成分のカフェインが少なく、旨み・甘み成分であるアミノ酸(特にテアニン)が多いため、甘みが強いのが新茶の特徴です。
お茶の中で一番おいしいといわれています。
また、栄養価の高さも見逃せません。
新茶は冬に栄養をたっぷり蓄えた茶葉を使うので、二番茶・三番茶よりも多くの栄養を含んでいます。
昔の人たちは経験的にそれを知っていたため、新茶が不老長寿や無病息災の縁起物になったのでしょう。
日本茶をよく飲む方のなかには、「おいしいから」というだけでなく、「健康に良いから」という理由で愛飲される方も少なくないと思います。
おいしさを生み出し、健康効果ももたらす日本茶の成分については、長年の研究から徐々に明らかになって来ています。
お いしい新茶の飲み方
お茶は、品種はもちろんのこと、入れ方によっても味わいが異なります。
特に、お湯の温度管理が重要です。
せっかく新茶を飲むなら、おいしく飲みたいですよね!?
最も身近なお茶である、煎茶のおいしい入れ方をご紹介します。
1. 急須に茶葉1.5~2杯(1人分)を入れる
2. お湯を湯のみに注ぎ、少し冷ましておく(70~80℃程度)
3. 急須にお湯を注ぎ、約40秒~1分間抽出する
4. 急須を軽く2・3回まわし、湯のみに注ぐ
5. 最後の一滴まで残さず入れる
特に5の“最後の一滴まで”という部分がポイント!
この一滴は「ゴールデンドロップ」とも呼ばれ、お茶の旨み成分が凝縮されているんです。
しっかりと最後まで注ぎ切って、ぜひ、おいしい新茶を味わいましょう♪
煎茶や玉露、ほうじ茶や玄米茶など、様々な種類がある日本茶。
それぞれのおいしさを引き出すためには、入れ方がとても大切です。
標準となるお茶の入れ方には、茶の入れ方研究会や全国の茶業関係団体などが検証した基準があります。
入れ方のポイントを押さえて、おいしい日本茶を楽しんでください。
常滑焼とは、愛知県の知多半島西海岸の中央部に位置する常滑市周辺で作られている陶器の名称です。
鉄分を多く含む良質な粘土を原料として、古くから様々な焼き物が作られてきました。
昭和51(1976)年には国の伝統的工芸品に指定されています。
八十八夜といえば、童謡「茶摘み」~夏も近づく八十八夜~
さて、ここであなたが「八十八夜」の言葉を知ったきっかけは何だったか、思い出してみてください。
もしかして(というよりも多くの方が)、童謡の「茶摘み」ではないでしょうか?
“夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅の笠
日和つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌う
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ“
「 茶摘み」の手遊び
「せっせっせーのよいよいよい」からはじまる、手遊びの曲としても有名ですね。
幼いころに歌ったあの曲を、改めて聴いてみてはいかがでしょう?
八十八夜の頃に行われる新茶まつりに参加してみよう!
八十八夜の新茶が出はじめる頃になると、お茶の産地では新茶まつりが開催されます。
茶摘み体験・おいしいお茶の入れ方教室・新茶の販売など、緑茶の魅力を存分に味わえる行事です。
中止・延期の可能性もありますので、公式サイトなどで事前にご確認ください。
八 女の新茶まつり(福岡県)
福岡県八女市周辺は全国的に有名なお茶処、いわゆる八女茶の生産地です。
玉露※は特に有名で、全国茶品評会では19年連続「玉露の産地賞」を受賞しています(2019年時点)。
※玉露:日本茶の最高級品。日光を制限して育てる。
そんな八女市では、毎年「八女新茶まつり」が開催されています。
開催時期:毎年5月5日頃
狭 山の新茶まつり(埼玉県)
狭山茶は、埼玉西部から東京の多摩地区に広がる狭山丘陵一体で生産されるお茶です。
生産量は多くありませんが、味には定評があります。
新茶の時期、埼玉県内で開かれる以下の新茶まつりが有名です。
【狭山市】狭山新茶と花いっぱいまつり
開催時期:毎年4月29日
【所沢市】ところざわ新茶まつり
開催時期:年によって異なる(2019年は4月28日)
【入間市】八十八夜新茶まつり
開催時期:毎年5月2日頃
静 岡の新茶まつり(静岡県)
お茶といえば、静岡県のイメージがあるかもしれません。
事実、静岡県のお茶の生産量は日本一(2020年4月現在)!
日本を代表するお茶処なのです。
静岡県の中にも静岡茶・掛川茶・天竜茶・清水のお茶……と、ブランドがいくつもあるから驚きです。
そんな静岡市では、毎年「静岡新茶まつり」が開催されています。
開催時期:毎年5月初旬 (2019年は5月3~6日)
宇 治の新茶まつり~宇治新茶・八十八夜茶摘みの集い~(京都府)
古くから、お茶の名産地として有名なのが京都の宇治市を中心とする地域です。
宇治茶は生産量が多いというより、玉露や抹茶といった高級茶で知られています。
宇治市では毎年5月2日頃、「宇治新茶 八十八夜茶摘みの集い」が開催されています。
ちょうどゴールデンウィークと重なりますから、京都観光の際には足を運んでみてはいかがでしょうか?
開催時期:毎年5月2日頃
おわりに
日本人の暮らしにとって、かつては大切な節目であった八十八夜。
多くの現代人には、なんとなく過ぎていく日になってしまったのは悲しいですね。
普段は緑茶を飲まない方も、新茶の時期になったらお茶を丁寧に入れてみてください。
暮らしに季節感が出るのはさることながら、緑茶にはリラックス効果が認められています。
緑茶を飲んでゆっくり過ごす時間こそ、今を生きる私たちに大切なのではないでしょうか。
南北に長く、山や海に囲まれた日本では、各地の気候や地形の違いが顕著です。日本茶でもまた、その土地にあった栽培方法や品種が選ばれ、各地で特徴あるお茶が作られています。日本茶の産地として名高い地方は、チャ(茶葉が採れる茶樹)の栽培に特に適した条件を備えています。
みなさんの一番身近なお茶はなんですか?
「緑茶」 「煎茶」と答える人も多いのではないでしょうか。
では、どのように作られているかはご存知でしょうか?
身近なお茶とはいえ、製造工程にふれる機会は意外と少ないはず。
現代では、煎茶をはじめとする緑茶は、機械を使って統一された工程で作られています。
小石原焼は、福岡県の中央部東端に位置する朝倉郡東峰村で作られている陶器です。土の素朴な風合いとシンプルな模様が印象的な焼き物で、古くから生活雑器として人々の毎日の食卓を彩ってきました。今回は、そんな小石原焼の特徴や歴史から、作り方、有名な窯元、陶器市の“民陶むら祭”まで、小石原焼を徹底的にご紹介します!