1年の運勢を占ってくれる初夢。

ひとくちに初夢といっても、いつに見る夢のことなのかわかりにくいですよね。

そこで今回は「初夢とはいつに見る夢のことをいうのか」をはじめ、縁起のいい夢とされている一富士二鷹三茄子に続く4番目以降のものや、いい夢を見るための言い伝えなどを解説します。

吉夢を見て気持ちよく1年を始めましょう!

初夢とは

夢とはいつ見る夢のこと?

初夢とは、正月1月1日か2日に見る夢のことを指します。

初夢が初めて文献に登場した鎌倉時代では、2月2日の節分から2月3日の立春にかけて見る夢のことを指していました。

ですが新暦になると、大晦日から1月1日朝までに見る夢のことをいうように変化します。

さらに大晦日に夜更かしする習慣が浸透すると、初夢は1月1日の夜に見る夢を指すようになりました。

また1月2日に書き初めや初商はつあきないなどを始めることから1月2日の夜に見る夢も初夢とされています。

要は、1月1日や1月2日に見る夢、もしくは新年になって初めて見た夢を初夢と考えます。

夢で1年の運勢を占う

古くから日本では、初夢に登場したもので1年の運勢を占うという風習があります。

縁起の良いものが出てきたら「今年1年はいい年になる」とし、悪いものが出てきたら「今年は不吉なことが起こるかもしれないから気をつけよう」と身を引き締めました。

オーストラリアの精神科医ジークムント・フロイトが1900年に「夢判断」を発表するずっと昔から、日本では夢で吉凶を占う考えが浸透していたのです。

なんと、江戸時代には夢占いについて書かれた「夢合長寿鑑絵抄序ゆめあわせちやうじゅかがみえしょうじょ」という本も出版されていたんですよ!

縁起がいいのはどんな夢?

富士・二鷹・三茄子

初夢で見ると縁起が良いとされているものには占い、個人的解釈、心理学的観点などさまざまなものがありますが、一番有名なものは「一富士二鷹三茄子」ということわざに出てくるものたちでしょう。

一番目の富士山は、日本で一番高い山であることから高い目標を表し、立身出世を意味します。

二番面の鷹は大空を力強く舞う鳥で、行動力を表し自由と願望の実現を象徴します。

三番目の茄子は「事を成す(=茄子)」とかけていて、貯金が貯まったり子孫繁栄に繋がるとされています。

扇・五煙草・六座頭

では、「一富士二鷹三茄子」に続く4番目以降の「四扇五煙草六座頭」をご存知でしょうか。

四扇五煙草六座頭しせんごたばころくざとう」は江戸時代の国語辞典「俚言集覧りげんしゅうらん」上巻に記述があります。

四番目の扇は別名で「末広」ともよばれ、末が広がった作りをしているため繁栄を象徴していて縁起が良いものとされています。

五番目の煙草は煙が上昇するさまが運気上昇を暗示しています。

六番目の座頭は髪の毛を剃った琵琶法師のことで、「毛がない(=怪我ない)」にかけて縁起が良いと考えられています。

吉なものを逆夢とすることも

4番目以降の言い伝えで「四扇五煙草六座頭」とは他に「四葬礼五火事」というものもあります。

四番目は葬式、五番目が火事のことで、不吉なものも逆夢として縁起がいいものとする説です。

逆夢とは現実とは逆のことが起こる夢のことです。

地域や文献によってさまざまな説がありますが、初夢とは古い年が終了して新しい年へと生まれ変わる節目に見るもののため、葬式など物事の終わりを意味するものは新しいことが起こる前触れということで吉夢とも考えられています。

いい初夢を見るための言い伝え

夢枕紙

古来、日本では「夢は神仏によって与えられるもの」とされていたため、限られた人にしか見ることができないと信じられていました。

室町時代に入り、夢が庶民でも見ることができるものと認識されると夢占いや良い夢を見る方法が広まります。

その中でも、いい夢を見るための方法として現代に伝えられているのは「初夢枕紙はつゆめまくらがみ」です。

これは寝る時に、七福神を乗せた宝船の絵回文「長き夜の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り船の 音よきかな」と書いた紙を枕の下に入れると吉夢が見られるというものです。

回文は上から読んでも下から読んでも同じ文章になることから復元の力を持つと考えられていました。

江戸時代には初夢用の宝船絵図を売る「宝船売り」という商売もありました。

の絵か字を枕の下に入れて寝る

ばくの絵か、「獏」という字を書いた紙を枕の下に入れて眠ると良い夢を見ることができるという言い伝えがあります。

「獏」とは、古代中国から伝わる伝説上の生き物です。

この獏の皮を枕の下に入れて眠ると、邪気や疫病を払うことができると言われていたのです。

また、獏は悪夢を食べてくれるという風にも伝えられており、宝船絵図のなかに「獏」の文字が描かれるようになりました。

現代でもこの風習の影響から、獏の絵か字を枕の下に入れると良い初夢が見られるとされています。

悪い夢を見ちゃった!そんな時の伝統的対処法3選

船の絵を川か水に流す

初夢で悪い夢を見た時は、枕の下に入れていた宝船の絵を水に流すと良いとされています。

宝船の絵を流すと同時に悪運も流し、縁起直しができると考えられているからです。

昔は宝船の絵を川に流していまいしたが、現在は自然環境を考えると川に流すのは難しいものです。

ですので、現在では絵を川に流す代わりに、台所や洗面台などを使って水で流し清めるという人も増えています。

昨夜の夢は獏にあげます」と3回唱える

「昨夜の夢は獏にあげます」と3回唱えると、悪い出来事を消し去ってくれると信じられています。

言い回しは地域や時代によってさまざまで「獏食え」や「獏に食べてもらいます」などと3回唱えるところもあります。

いずれにしても登場する動物は霊獣の獏です。

これは、獏が悪夢を食べて生きる動物という伝説に由来しています。

姿が似ているため混同されがちですが、実在している動物の獏は草食動物ですので夢は食べてくれませんよ!

社やお寺へ夢納めに行く

「夢納め」といって、悪い夢を見た時に神社かお寺へ行って悪夢を納める風習があります。

悪い夢は神社やお寺で浄化してもらう、という考えなのでしょう。

愛知県知多郡南知多町にある影向寺ようごうじというお寺では、獏の御朱印をいただくことができます。

まさに、悪夢を食べてくれる御朱印です。

この御朱印は、いただいた後飾っておくのではなく、枕元に置いておくもの。

初夢に限らず、悪夢を見てしまった際にこの御朱印を返納すると、お寺の獏が悪い夢をすべて食べてくれるんです。

万が一悪い夢を見てしまったら…、という方はぜひ一度訪れてみるのもいいかもしれませんね。

【普門残 影向寺】
住所:〒470-3412
   愛知県知多郡南知多町豊浜中之浦84

おわりに

普段の夢よりも特別感のある初夢。

良い初夢を見るために、枕の下へ初夢枕紙や獏の絵か字を敷いてみましょう。

もし悪い夢を見てしまっても、宝船の絵を水に流したり夢納めに行けば心配ありません。

一年の始まりを縁起の良い夢を見て気持ち良く迎えましょう!

ぐっすり眠って良い初夢が見られますように。