皆さんは、夏の伝統行事と言えば何を思い浮かべますか?

日本には七夕や盆踊りなど、夏ならではの行事がたくさんありますが、「ほおずき市」もその一つ。

真っ赤に熟れたほおずきが並び、多くの人で賑わう催しです。

今回の記事では、ほおずき市の由来や意味、ほおずきの育て方や開催情報など、ほおずき市にまつわるお話をまとめてご紹介いたします!

ほおずき市とは

ほおずき市の起源は古く、約250年前の江戸時代中期頃(1764年~1772年)に始まったといわれています。

まずは、ほおずき市が開催される『四万六千日(7月10日)』や、なぜ『ほおずき』なのかについてお話していきましょう。

浅草寺の『四万六千日』

ほおずき市についてお伝えする上で欠かせない言葉に『四万六千日しまんろくせんにち』があります。

四万六千日とは、お寺の功徳日くどくにちの一つのことです。

功徳日とは、その日に参拝すると通常より多くのご利益が得られるとされている日で、例えば1月の功徳日では「1日の参拝で100日分のご利益が得られる」と言われています。

9月の功徳日では300日分、11月は6,000日分……このように、それぞれの功徳日で得られるご利益が異なっているのです。

功徳日はお寺や神社、祀られている神様によって変わってくるのですが、浅草・浅草寺では年12回ある功徳日の中で、ほおずき市が開催されている7月10日に一番ご利益があるとされています。

そして、7月10日の功徳日で得られるご利益の数から、この日を『四万六千日』と呼ぶようになりました。

毎年7月10日に参拝すると46,000日(126年)分参拝したのと同じだけのご利益が得られるということで、境内は大賑わいとなります!

四万六千日と『ほおずき市』の関係

同じく東京にある愛宕神社では、四万六千日の縁日にほおずきを売る『ほおずき市』が行われていました。

ほおずきは薬草として効果があるといわれており、四万六千日のご利益と合わせて愛宕神社のほおずき市は大繁盛していました。

そこで、浅草寺でも四万六千日(7月10日)にほおずき市を開催するようになります。

もともと賑わっていた浅草寺の四万六千日ですから、ほおずき市も合わさると、それはそれは大変な賑わいとなりました。

江戸時代には、前日の7月9日の夜からすでに参拝者が浅草寺へと押し寄せ行列ができるようになったこともあり、浅草寺では7月9日と10日を特別な功徳日とするようになります。

こうして、全国的に『四万六千日のほおずき市』が広まっていったのです。

『ほおずき』に込められた意味

先ほども少し触れましたが、古くからほおずきは薬草として親しまれてきました。

また、ほおずきにはご利益に値する力があるとされていました。

薬として使われていた『ほおずき』

ほおずきには、解熱や鎮咳、むくみ、利尿作用があり、古くから薬草として親しまれてきました。

また、当時の人々はほおずきの種を丸飲みすることでしゃくと呼ばれる原因不明の疾患が治り、子供のお腹の中で暴れる虫を退治してくれると信じていました。

その不思議な力を求めて、多くの人がほおずき市に訪れるようになりました。

※ほおずきの根には毒があります。口に含む行為はおやめください。

魔除けとして使われる『ほおずき』

ほおずきは、魔除けとして使われることがあります。

漢字で“鬼灯ほおずき”と書くように、その真っ赤に膨らんだ姿から、鬼が提灯に火を灯し悪霊や邪気を払ってくれると信じられ、お盆の時期には迎え火の代用としてほおずきを飾るようになりました。

浅草寺のほおずき市の楽しみ方

ほおずき市は夏の魅力がたくさん!

ほおずき市は発祥から250年がたった今なお、多くの参拝客で賑わっています。

日本最大のほおずき市は浅草寺のもので、真夏の一大イベントになりました!

浅草寺の境内に並ぶ、約450の出店の迫力は圧巻で「ほおずきいかがですか~!」という売り子の威勢のいい声で気分が高まること間違いなし♪

浴衣を着た参拝客も多く見られ、日本の夏を思いっきり楽しむ姿に心が躍りますよ。

とても賑やかなほおずき市ですが、涼し気な風鈴の音色で爽やかな風情を楽しむこともできます。

厄除けの力があると言われる風鈴によって夏の流行り病を防げるよう、ほおずきとともに赤い風鈴が売られるようになりました。

現在は赤だけでなく、さまざまな色柄の風鈴が作られ、色とりどりの風鈴が風に揺れる姿を見ることができますよ。

風鈴の軽やかな音を聞きながら境内を歩くのは、格別な体験になるでしょう!

限定御朱印・限定お守り

ほおずき市では、この日にしか手に入らない限定御朱印や、特別なお守りを授かることができます。

浅草寺の四万六千日限定御朱印

御朱印とは、お寺や神社に参拝したことを証明する印です。

御朱印は参拝した日付や参拝先の名前などを書いていただけるため、近年では御朱印集めをはじめる方が増えています。

浅草寺でも、ほおずき市の期間中はいつもと違った御朱印が発行されるので、その日限定の御朱印を求めて多くの人が列をつくります!

「四万六千日」という文字が入った特別な御朱印、ほおずき市の記念にいかがでしょうか?

浅草寺の限定お守り
250年という長い歴史を持つほおずき市は、時代背景によって柔軟に形を変えています。

かつて、浅草寺のほおずき市では赤いトウモロコシが「雷除け」として売られていました。

雷から建物を守るための仕組みである避雷針が発明されていなかった時代、雷は火災を起こすとても恐ろしいものでした。

“赤いトウモロコシを軒先に下げていた家だけが難を逃れた”という言い伝えから、江戸時代に赤トウモロコシが雷除けのお守りとして売られるようになったのです。

ところが、不作で赤トウモロコシがとれない年がありました。

そこで、浅草寺では赤トウモロコシの代わりとなる雷除けのお札をほおずき市が開催される2日間限定で授与するようになりました。

現在のほおずき市でも、限定の雷除けのお札は健在です。

ほおずき市の開催期間中は、「四万六千日」の文字が入った限定の災難御守も授かることができるので、ぜひ探してみてください♪

ほおずきを買って、育てて、遊んでみよう!

全国各地で開催されているほおずき市。

ぜひ、ほおずきを買って、育てて、遊んでみませんか?

ほおずきを買ってみよう!

ほおずき市に行ったなら、せっかくなのでほおずきを買ってみましょう!

たくさん並んだほおずきの出店を見て回り、店員さんと会話を楽しんだり、一つひとつ見比べたりしながら、お気に入りの一つを選んでみてください。

ほおずき市では、鉢植えの他にツルやばら売りなどさまざまなタイプのほおずきが売られています。

風鈴とセットで売っているお店もありますので、楽しく迷いながら自分にあったほおずきを探してみましょう。

ポイントは“元気なほおずき”を選ぶこと。

茎や葉の状態を見て、生命力に溢れたほおずきを選ぶことをオススメします!

ほおずきの育て方

購入したほおずきは、どのように育てたら良いのでしょうか?

鉢植えで購入した場合は水やりが必須です。

ほおずきは乾燥を嫌うため、土が乾ききらないうちに水やりをするのがポイント!

夏場は暑さで植物への負担が大きいので、早朝や夕方以降の日の光が弱いタイミングでたっぷりお水をあげてください。

ほおずきを鳴らして遊ぼう!

ほおずきの種は、鳴らして遊ぶことができるんです!

ほおずき遊びの歴史は古く、平安時代からあると言われています。

しかし、遊び方には少々工夫が必要。

ここでは、ほおずき遊びの手順をお伝えします。

ほおずき遊びの手順
①ほおずきの実がガクから離れないよう気をつけながら、外側の皮をむきます。
②ガクと実が繋がったままの状態で、実をよく揉みほぐします。
③実の中身と皮が分離するまでやわらかくなったら、外側の皮をゆっくりねじりながら、中身をとりだします。
④ほおずきの実が皮のみの紙風船のような状態になったら準備は万端です!

ほおずきの鳴らし方
ほおずきの実にできた穴を下唇の内側に当てて、舌の裏側で押しつぶして音を鳴らして遊びましょう♪

つぶした後は、空気を入れてほおずきを膨らませることで繰り返し遊ぶことができます。

うまく音が鳴るようになるまでは練習が必要ですが、“ブブー”という不思議な音は病みつきになりますよ。

【東京】ほおずき市の開催情報

例年のほおずき市の開催情報をお伝えします。

※状況により変更されることがありますので、最新情報については事前に公式サイトにてご確認ください。

浅草寺のほおずき市(台東区)

ほおずき市といえば浅草寺!と思われる方も多いくらい、浅草寺のほおずき市は全国的に有名ですよね♪

令和元年(2019年)には、約58万人が来場したそうです。

ほおずきは売り切れ次第販売終了となることがあるため、ほおずきの購入をご希望の際は、9日の早い時間に訪れることをオススメします!

住所:東京都台東区浅草2-3-1
開催日:7月9日、7月10日
※曜日に関係なく毎年同じ日に開催されています。

愛宕神社のほおずき市(港区)

「出世の石段」を登ると仕事運が上がる、と有名な愛宕神社。

ほおずき市の発祥の地でもある愛宕神社のほおずき市も、ぜひ行ってみたいですね!

住所:東京都港区愛宕1-5-3
開催日:6月23日、6月24日
※曜日に関係なく毎年同じ日に開催されています。

信松院のほおずき市(八王子市)

信松院は武田信玄の四番目の娘・松姫によって建てられた由緒あるお寺。

そこで毎年7月に行われるほおずき市は、地元の人に愛され、20年以上続く人気のイベントになりました。

落ち着いた境内には美しいほおずきが並び、毎年ほおずきを選ぶ参拝客で賑わいます。

住所:東京都八王子市台町3-18-28
開催日:7月10日前後

深大寺のほおずき市(調布市)

深大寺ではほおずき市にあわせて「深大寺鬼燈まつり」が開催されます。

深大寺鬼燈まつりでは、鉢や枝で販売されるほおずき市の他に、大道芸のパフォーマンスや手作り品を販売する「手作り市」が催され、とても賑やかなイベントになっています。

住所:東京都調布市深大寺元町5-15-1
開催日:7月下旬

朝日神社のほおずき市(港区)

朝日神社は、六本木駅から徒歩5分ほどの都会のど真ん中にある神社です。

朝日神社では宮崎県日之影町主催のもと、ほおずき市を開催してきました。

宮崎県産のほおずきは驚くほど大きいと評判です!

ぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。

住所:東京都港区六本木6-7-14
開催日:7月上旬の金・土曜日

源覚寺のほおずき市(文京区)

東京・文京区にある源覚寺では近隣の5つの寺社と共同で「文京朝顔・ほおずき市」を開催しています。

このイベントでは源覚寺の鉢植えのほおずき販売の他に、地元中学校の吹奏楽部による演奏や伝統芸能のパフォーマンスが行われ、地域が一体となってイベントを盛り上げています。

住所:東京都文京区小石川2-23-14
開催日:7月第3土・日曜日

毘沙門天善國寺のほおずき市(新宿区)

神楽坂まつりのイベントの一部として、毘沙門天善國寺びしゃもんてんぜんこくじの門前にてほおずき市が開催されています。

ほおずき市の開催期間中、善國寺では「ほうろく灸」という江戸時代から続くご祈祷が行われます。

夏バテや頭痛封じの御利益があるとされているので、ほおずき市と合わせて参加してみては?♪

住所:東京都新宿区神楽坂5-36
開催日:7月下旬

おわりに

250年という長い歴史を持ち、今でも夏の風物詩として人々に愛されるほおずき市の魅力をお伝えしました。

一年で一番ご利益がある功徳日・四万六千日に並ぶほおずきは、人々の心に寄り添い守ってくれる存在。

真っ赤に熟れたほおずき、風にそよぐ風鈴、威勢の良い掛け声に、大賑わいの参拝客。

ほおずき市で、江戸の文化に触れてみませんか?