日本の暖房器具として、古くから親しまれている「こたつ(炬燵)」。
童謡・ゆきでは、“猫はこたつで丸くなる”といった表現もされるほど、日本の冬とは切っても切り離せない存在です。
そんなこたつの起源は、なんと室町時代。
こたつの変遷や由来、オススメのこたつなど、詳しくご紹介していきます!
こたつ(炬燵)とは?
こたつとは、古くから日本の冬に重宝されてきた、床に設けた炉の上に机を置き、布団をかけて暖をとる暖房器具です。
現在では、ヒーターが内蔵されたテーブルにこたつ布団を被せて使うタイプが主流となっています。
寒い日には家族がこたつに集まり、一家団欒の場としても活躍しています♪
「 こたつ(炬燵)」の由来は?
「こたつ」は漢字で「炬燵」と書きます。
この名前がついた由来は諸説ありますが、その中でも特に有力とされている一説をご紹介します。
こたつは当初、やぐら部分が牛車の乗り台である“榻”に似ているという点から、「火榻子」と記載されていました。
それを唐宋音※で「クヮタフシ」と読み、それが訛って後に「こたつ」と読まれるようになったとのこと。
その後、炬燵という漢字が当てられたのだそうです。
また「おこた」と呼ばれることも多いこたつですが、これはこたつに「お」が付いた「おこたつ」の呼び方が変化したものと考えられています。
※唐宋音:音読みの読み方の一つ。鎌倉時代に中国から日本に伝えられた。
こ たつの種類と仕組み
現在、広く普及しているこたつは「置きごたつ」と「掘りごたつ」の2種類です。
置きごたつは、床の上に櫓※を置き、櫓上部に熱源を固定、その上に熱が逃げないようこたつ布団を被せたものです。
以前は囲炉裏や火鉢が用いられていましたが、今では電気ヒーターを使った電気こたつが主流です。
置きごたつは移動が楽なので、好きな場所に設置でき、こたつを使わない時期は片付けてしまえば部屋を広々と使うことができますね!
置きごたつは床と座面、足を伸ばすスペースがフラットなのに対し、掘りごたつは床に穴を開け、その上に櫓を組んで使うものです。
穴の開いた床に腰掛けることで、足元の窮屈さを感じることなく使えるメリットがある一方、置きごたつのように移動させることができないといった不便さも発生します。
※櫓:現在でいうこたつテーブルにあたる、上に布団を掛けられるようにした四角柱の木組みの枠。
こたつ(炬燵)の歴史
こたつの起源は、室町時代にまで遡ります。
囲炉裏の火力を弱くした状態で上から灰をかぶせ、簀子で作った台を置いた後、衣服を被せ温まったのが始まりと言われています。
江戸時代になると、囲炉裏の上にやぐらを組み、その上に布団を被せて暖を取るようになり、床を深く掘り囲炉裏を床より下部に置いた、腰掛けごたつ(現代の掘りごたつのような形)が誕生しました。
その後、囲炉裏の代わりに火鉢が用いられるようになり、熱源が火鉢になったことでこたつの移動ができるようになります。
現在の掘りごたつの様式が確立されたのは、明治時代のことです。
正座に馴染みのなかったイギリス人で陶芸家のバーナード・リーチは、床に腰かけて穴に足を下ろせるタイプの腰掛けごたつを作りました。
足を下ろす部分よりも囲炉裏部をさらに深く掘り設置することで、椅子のように床に腰かけて使用することができる腰掛けごたつは、一般家庭へと広まっていきました。
現在、「掘りごたつ」というとこの形状を指すことが多いですね。
大正時代に入ると、火災や火傷の安全性の問題から熱源が炭から電気に変わります。
可動式の置きこたつは足を伸ばせないというデメリットがありましたが、大正時代後期から昭和初期にかけて、熱源をやぐら上部の天板部に組み込む現在の様式が確立されました。
こたつはいつ出す?こたつ開きとは?
実は、「こたつを出す日」が決まっていることをご存知ですか?
なんとなく寒くなってきたから出してみる、という方も多いかもしれませんが、折角なら古くからの日本の慣習に習ってみるのもいいかもしれません。
ここからは、こたつを出すタイミングとそこに隠された意味について、ご紹介していきます!
こ たつはいつ出す?亥の月亥の日の「こたつ開き」
「こたつ開き」とは、こたつを出す日のことで、亥の月亥の日に行う習わしがあります。
これは、日本に古くから根付いている、古代中国の陰陽五行説の考え方が深く関係しています。
古代中国には、万物は「陰」と「陽」に分けられるという「陰陽説」と、「木」「火」「土」「金」「水」の5つに分けられるという「五行説」がありました。
この「五行説」において十二支をあてはめると、亥は水に属したことから、亥=水という思想が根付いたと言われています。
以前は囲炉裏や火鉢を使ったこたつが主流だったため、水を表す亥の月亥の日にこたつ開きをすると、火事にならないと信じられていたのです。
亥の月とは、旧暦の10月のこと。
亥の日は十二支の数え方で12日ごとに巡ってくるもので、令和5年(2023年)は11月1日(水)が最初の亥の月亥の日です。
12日後の11月13日(月)が2番目の亥の月亥の日となります。
江戸時代には、最初の亥の日に武家が、2番目の亥の日に庶民がこたつ開きをするのがしきたりだったといわれています。
特定の地域に住んでいる人にとっては当たり前の風習も、それ以外の地域の人はまったく知らないことも珍しくありません。おそらく、「亥の子」もその一つでしょう。この記事では、亥の子の意味や行事食など、まったくご存じない方にもわかりやすくご紹介していきます!
こ たつはいつしまう?
こたつ開きと違い、こたつをしまう時期には明確な決まりはありません。
その年の気候によって異なりますが、多くは4月下旬から5月上旬にかけてのゴールデンウィークまでにしまう家庭が多いようです。
こたつはどうやって選ぶ?選び方を解説
「こたつは欲しいけど、どのようにして選べばいいのかわからない!」という方も多いのではないでしょうか?
こたつには、
●こたつヒーターの種類
●こたつテーブル
●こたつ布団
など、選ぶポイントが複数あります。
それぞれのポイントをしっかり押さえて、ご自身のお家に最適なこたつを選んでみましょう♪
こ たつヒーターの種類
こたつヒーターには、石英管ヒーター・ハロゲンヒーター・フラットヒーターの3種類があります。
それぞれのメリットデメリットは下記の通りです。
こ たつテーブル
こたつテーブルには、長方形や正方形などの四角いテーブル、円形や楕円形のもの、ダイニングこたつなど様々な種類があります。
家族の人数が多ければ広々と使えるように長方形、1~2人程度の少人数なら円形、などの選び方をするのも良さそうですね!
近年、人気が上がっているのがダイニングこたつです。
日本の一般住宅で畳よりフローリングが使われた部屋が増えたことで普及してきました。
床に座るのではなく、椅子に座って使うタイプのこたつです。
ダイニングテーブルで食事をする際、こたつなら足元の寒さ問題に悩むことがなくなるかもしれません!
好みやお部屋の雰囲気に合わせて、好きなこたつテーブルを選んでみましょう♪
こ たつ布団
こたつ布団は、サイズや形、使用されている素材から選ぶことをオススメします。
王道の正方形や円形、四角い四隅に切れ込みがありプリーツ式になった省スペース型などがあります。
保温性や吸湿性に優れた綿は、熱がこもって湿度が高くなりがちなこたつにぴったりな反面、少しお高くなります。
ポリエステルは綿に比べリーズナブルで、洗濯機で丸洗い可能なものが多いので衛生的に使えますが、保温性・吸湿性がやや劣ります。
こたつの下に敷く敷布団も揃えれば、こたつの保温性は格段に上がりますよ♪
この冬オススメのこたつをご紹介!
こたつを選ぶポイントをおさえた上で、この冬オススメのこたつをいくつかご紹介します。
お 好きなヒーターを選べる!3年連続売上1位の大人気『モダンデコ こたつテーブル』
こちらは楽天市場のこたつ部門で3年連続売上1位を誇っている人気のこたつ。
石英管ヒーターとハロゲンヒーターのどちらか好きな方を選ぶことができ、ファンヒーターが内蔵されていることでこたつ内部をムラなく温めることが可能です。
こたつ布団は18種類ものカラーバリエーションから選べるのも嬉しいポイントですね!
ダ イニングテーブルの使用でも足元を暖かく!高齢者にもオススメな『タンスのゲン ダイニングこたつ 4点セット』
こちらは機能的な回転椅子がセットになっているダイニングこたつ。
椅子の座面が回転することで、立ち座りが楽に行えます。
ハロゲンヒーター式で、省スペースのフリース布団が付いています。
こたつの温かさが馴染み深いけれど、床に直接座るのが辛く感じる高齢者に特にオススメです!
世界中にある!?日本のこたつに似た暖房器具
こたつは日本特有のものだと思いがちですが、実は世界中にこたつによく似た暖房器具が多数存在します。
イランの「コルシ」、アフガニスタンの「サンダリ」、スペインの「ブルセロ」など、どれも熱源の上にテーブルと布団などの布を被せます。
寒い冬に、みんなで座ってくつろぎながら暖を取りたい気持ちは、万国共通なのかもしれませんね♪
おわりに
今回は、冬の暖房器具「こたつ」についてご紹介しました。
実は古い歴史があったことや、こたつ開きといった行事にも意味があることをおわかり頂けたのではないでしょうか。
そんなこたつも、現代のライフスタイルに合わせて日々変化しています。
自分に合った最適なこたつを選んで、温かく快適な冬を過ごしましょう♪
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