日本茶をよく飲む方のなかには、「おいしいから」というだけでなく、「健康に良いから」という理由で愛飲される方も少なくないと思います。
おいしさを生み出し、健康効果ももたらす日本茶の成分については、長年の研究から徐々に明らかになって来ています。
日本茶の味を決める成分は、アミノ酸類、カテキン類、カフェインが主要なものと言われます。
味を左右することはありませんが、ビタミンCも豊富です。
これらは、健康に役立つと言われている成分でもあります。
日本茶には様々な種類がありますが、そのほとんどは緑茶。
おおむね香味が爽やかで、種類によってうま味、渋味、苦みのバランスが異なります。
主要成分であるアミノ酸類、カテキン類、カフェインが、どのような味と効果を表すのか、これからご紹介します。
みなさんの一番身近なお茶はなんですか?
「緑茶」 「煎茶」と答える人も多いのではないでしょうか。
では、どのように作られているかはご存知でしょうか?
身近なお茶とはいえ、製造工程にふれる機会は意外と少ないはず。
現代では、煎茶をはじめとする緑茶は、機械を使って統一された工程で作られています。
うま味・甘味のもと「アミノ酸」
緑茶のうま味や甘みを作るのはアミノ酸だと言われます。
緑茶にはグルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、セリンをはじめ、約20種類のアミノ酸が含まれています。
そして緑茶に含まれるアミノ酸の半分以上を占めるのは「テアニン」です。
テアニンは、植物の中でもチャノキとそのごく近縁種、また、キノコの1種であるニセイロガワリにしか見つかっていないアミノ酸です。
お茶の葉にはたくさんのテアニンが蓄えられています。
「 テアニン」の特徴と含有量の多いお茶
テアニンは新芽に多く含まれ、茶葉が成熟するにつれ少なくなります。
日本茶には、まろやかな甘みやうま味の多いお茶が高級とされる傾向があるため、つまりテアニンの含有量が多いお茶が高級なお茶とされることが多いのです!
また、テアニンは日光を浴びて光合成すると、苦渋味のもととなるカテキンへと変化してしまいます。
そのため、若芽で作られたお茶や、覆いをすることで日光を遮って栽培したお茶が高級なお茶として世に出回ることとなります。
テアニンの含有量が多いお茶の種類は、高級茶の代名詞でもある玉露、被覆栽培で育てられたかぶせ茶や碾茶、新芽を摘んで作った煎茶や玉緑茶の一番茶(新茶)が挙げられます。
テアニンは50℃以上のお湯で抽出可能ですので、上級茶の甘みやうま味を最大限に引き出すために淹れる際には温めの湯温にするように気を付けましょう。
「 テアニン」の効能
テアニンは、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質に作用すると言われます。
興奮を抑え、ストレス抑制の働きがあり、リラックス効果が得られます。
また、血圧上昇を抑制するとも言われています。
煎茶や玉露、ほうじ茶や玄米茶など、様々な種類がある日本茶。
それぞれのおいしさを引き出すためには、入れ方がとても大切です。
標準となるお茶の入れ方には、茶の入れ方研究会や全国の茶業関係団体などが検証した基準があります。
入れ方のポイントを押さえて、おいしい日本茶を楽しんでください。
健康効果が注目される「カテキン」
緑茶、とくに煎茶では、苦味や渋味がさっぱりしたアクセントを与えてくれます。
これは、おもにカテキン類が含まれているからだと考えられています。
カテキンとはお茶に含まれるポリフェノールの1種のこと。カテキンは発酵の過程で他の成分へと変化してしまうという特徴があります。
しかし、緑茶は発酵を止めて作られるためカテキンの損失が少なく、緑茶を特徴づける成分がカテキンとも言えるでしょう。
「 カテキン」の特徴と含有量の多いお茶
テアニンとは反対に、カテキンは茶期が進むにつれて増えて行きます。
日光をたっぷり浴びれば浴びるほど含有量は増えていくので、カテキンを摂取したい場合は夏に摘採する二番茶や三番茶など、中級茶などがオススメですよ。
一方、カテキンは日光を浴びることにより増えるので、栽培の際に覆いをしてしまう玉露やかぶせ茶などにはあまり含まれていません。
また、煎茶や番茶から作られるほうじ茶は、高温で焙煎するためカテキンもテアニンもカフェインも含有量が少なくなります。
カテキン類は、80℃以上の湯温でないと溶けにくいと言われます。
カテキンの健康効果を期待するなら、中級煎茶などを温度の高めのお湯で淹れましょう。
「 カテキン」の効能
カテキンの効能で特徴的なのは、強力な抗酸化作用です。
老化現象や生活習慣病の一因となる活性酸素を取り除いてくれると言われています。
また、体内に侵入した細菌やウイルスの増殖を抑制する抗菌・抗ウイルス作用もあるほか、アレルギー反応を緩和する効果もあるそうです。
カテキンの抗がん作用の研究も進んでいて、細胞の突然変異によるがん化や、がん細胞の増殖や転移を抑制する働きがあることも分かってきています。
他にも、消臭効果、血圧や血糖上昇の抑制、体脂肪低下や虫歯予防にも効果が期待できます。
お茶のおもな苦味成分「カフェイン」
お茶の苦味成分のひとつがカフェインです。
新茶や二番茶、三番茶など茶期による違いはないようですが、若芽に多く含まれ、茶芽が成長するにつれて減少すると言われています。
被覆栽培ではカフェインの減少は緩やかになります。
「 カフェイン」の特徴と、含有量の多いお茶・少ないお茶
被覆栽培した新芽を摘んで作る玉露は、緑茶の中でも群を抜いてカフェイン含有量が多いお茶です。
若芽から生産される上級煎茶も、カフェイン含有量は他の緑茶より多めです。
ですが、上級茶にはテアニンも多く含まれ、相互作用によってカフェインの働きが抑制されます。
また、カフェインは高い湯温でスピーディーに溶け出し、湯温が低いと抽出されにくい特徴もあります。
成熟した茶葉から作られる番茶や、焙煎したほうじ茶には、カフェインが少なめの傾向があります。
「 カフェイン」の効能
カフェインが興奮を促すというのは有名です。
覚醒作用があるため、眠気覚ましや二日酔い防止に役立ちます。
また、代謝を促進するので、利尿作用や運動機能向上などの効果もあるそうです。
健康に欠かせないビタミンCも、緑茶には豊富に含まれています。
緑茶以外の中国茶や紅茶では、発酵過程でビタミンCが破壊されてしまい、全く含まれないか、ごく少量しか残りません。
緑茶にも豊富な「ビタミンC」
健康に欠かせないビタミンCも、緑茶には豊富に含まれています。
緑茶以外の中国茶や紅茶では、発酵過程でビタミンCが破壊されてしまい、全く含まれないか、ごく少量しか残りません。
「 ビタミンC」の特徴と、含有量の多いお茶・少ないお茶
緑茶に含まれるビタミンCは熱に強く、お湯で入れても十分に摂取できると言われています。
食品に含まれる程度の量では、ビタミンCの味は認識できないとされ、お茶の味にも影響することはありません。
玉露と煎茶に含有量が多く、浸出液100gあたり、玉露は19mg、煎茶は6mg程度とのこと。
なお、日本人の成人に推奨されるビタミンC 摂取量は1日あたり100mgです。
「 ビタミンC」の効能
ビタミンCにも抗酸化作用や抗ストレス作用があるというのは、ご存知の方も多いことでしょう。
また、コラーゲンの生成を助けるので、壊血病や骨粗しょう症の予防、美容効果も期待できるとされています。
日本茶で健康的なティータイムを
今回は日本茶の代表的な成分について触れましたが、他にも無数の栄養素が含まれていることが分かっています。
また、各種成分が相互作用することで、複雑な香味を生み出したり、健康効果を促進したりするとも言われています。
美容や健康に良い成分が豊富な日本茶で、美味しく健康的なティータイムをお楽しみください。
南北に長く、山や海に囲まれた日本では、各地の気候や地形の違いが顕著です。日本茶でもまた、その土地にあった栽培方法や品種が選ばれ、各地で特徴あるお茶が作られています。日本茶の産地として名高い地方は、チャ(茶葉が採れる茶樹)の栽培に特に適した条件を備えています。
「日本茶」というと、どんなお茶をイメージしますか?
緑色で爽やかな味と香りの煎茶、香ばしい玄米茶やほうじ茶など、様々なお茶を連想できるのではないでしょうか。
多様な種類がある日本茶ですが、日本で作られているお茶のほとんどが緑茶に分類されます。
一般的に、日本茶は緑茶のことといっても差し支えないでしょう。