長い冬が明け、3月頃から旬を迎えるたけのこ。

スーパーや八百屋さんに並ぶたけのこを見かけると、春の訪れを感じますよね。

この時期のたけのこは、香りや甘み、食感が最高で、とりわけ旨味を丸ごと炊き込んだ“たけのこご飯”は、一度は味わいたい春のごちそうです。

この記事では、神保町で郷土料理屋を営む女将さんに監修いただき、上手なたけのこの下処理方法や、美味しいたけのこご飯の作り方・レシピをご紹介します!

また、たけのこが余った時のアレンジ料理もご紹介します♪

たけのこの茹で方

まずは、たけのこの下処理はなぜ必要なのか?や、たけのこの上手な茹で方についてご説明します。

けのこの下処理はなぜ必要?

たけのこは収穫されると、甘みがどんどんアクへと変化していきます。

そして、下処理をせず、そのまま調理すると“えぐみ”が出てしまいます。

えぐみとは、喉に引っかかるような、口の中にチクチクと後味が残る、不快な感じのことです。

このえぐみを抑え、たけのこを美味しく食べられるようにするために、たけのこの下処理は必要なんですね!

けのこの下茹での方法

【材料】
 ●皮がついたままのたけのこ
 ●米ぬか
 ●水

1)たけのこの先端から3㎝くらいのところを斜めに切り落とします。

2)たけのこを寝かせ、上から半分(頭部~腹部)のところに、芯部分(厚みの半分 くらい)まで切り込みを入れます。

3)根元の固いところを少し切り落とし、底に十字に切り込みを入れます。

4)大きな鍋にたっぷりの水、たけのこを入れ、表面を覆うくらいにたっぷり米ぬかを入れます。

女将さんからのメッセージ
鷹の爪を入れるレシピもありますが、ぬか臭さを抑えるためのものなので、無くてかまいません。
また、たけのこの旨味を逃さずアク抜きをしっかりとするために、たけのこの皮はつけたままにしましょう。

5)鍋を強火にかけ、沸いたら弱火にして、吹きこぼれないように注意しながら、たけのこに串や細い箸がスッと通るまで30分くらい茹でます。

6)火が通ったら、茹で汁につけたまま、冷まします。
アクが十分に抜けるまで、出来れば半日から一晩置いておきます。
(汁ごと容器に移して、冷蔵庫に入れても可。)

7)アクが抜けたら、表面を洗い、上の切り込みから指を入れて、固い皮をはぎます。
または、根元と外の皮をそれぞれ掴み、皮をひねるようにして回しながらずらしてはがすこともできます。

8)頭に残った皮を切り落とし、側面に残った皮を箸などでこすり、キレイにして完成です!

茶色い皮の端についている黄色の柔らかい皮は姫皮ひめかわといって食べられますので、柔らかい部分だけ刻んで、取っておきましょう。

茹でしたたけのこの保存方法

下茹でしたたけのこは、水に浸けて冷蔵庫で保存します。

水に浸けておくことでさらにアクが抜けていきますが、ビタミンも一緒に抜け出てしまい、たけのこそのものの味や香りも薄くなります。

水は毎日変え、3日くらいで使い切れない場合は、一度茹で直して火を入れるか調理してしまいましょう。

絶品!女将が教えるたけのこご飯の作り方

では、下処理したたけのこを炊き込んだ、たけのこご飯の作り方をご紹介します。

材料分量
2合
(下茹でした)たけのこ200g
油揚げ1枚
三つ葉少々
かつお出汁
※水+顆粒だしでも可
300cc
☆調味料
醤油(薄口)
※普通の醤油でも可
大さじ2
みりん大さじ2


けのこご飯レシピ

下準備

1米を洗って、15分から30分吸水させる。(分量外)

2
下茹でしたたけのこは、食べやすく一口大に切る。
油揚げは3cmくらいの千切りにする。
三つ葉はざく切りにする。


炊飯器で炊く場合

1吸水させた米を優しくザルにあげ、水を切ったら炊飯器に入れる。
【2】の具材、かつお出汁、☆調味料を入れて、普通に炊飯する。
2炊き上がったら、底からさっくり混ぜる。
茶碗に盛り、上に三つ葉を飾る。


土鍋で炊く場合

1吸水させた米を優しくザルにあげ、水を切ったら土鍋に入れる。
【2】の具材、かつお出汁、☆調味料を入れて、蓋をし、強火にかける。
2沸いたら弱火にして、15分炊く。
仕上げに10秒だけ強火にして、火を止める。
(おこげを作るためと、鍋の中の温度を上げ、蒸らしやすくするため)
3そのまま10分くらい蒸らしたら出来上がり。
底からさっくり混ぜ、茶碗に盛り、上に三つ葉を飾る。


和洋中にフル活用!たけのこ料理レシピ

下処理したたけのこがもし余ってしまったら、こんなアレンジ料理はいかがですか?

けのこの土佐煮

一口大に切ったたけのこを、かつお出汁6:みりん1:醤油1の合わせ出汁で10~15分ほど 煮付け、鰹節をまぶします。

きたけのこ

縦に食べやすくカットしたたけのこに、醤油を2~3回塗りながら魚焼きグリルでこんがり焼きましょう。

仕上げに細かく切った山椒の木の芽を振ってもOK♪


※山椒の木の芽:八百屋やスーパーの薬味コーナー(ハーブや大葉、小菊や穂じそなどの並ぶコーナー)に木の芽という名称で販売。たけのこの出回る時期には、たけのこ、ぬかとセットで陳列されていることが多い。

けのこと豚肉の旨煮

豚肉の角煮に食べやすく切ったたけのこを入れて、一緒に10分くらい煮込んでください。

女将さんからのメッセージ
角煮の調味料の割合はご家庭によりますが、私のお店では、水6:醤油1:酒1:砂糖0.6くらいの割合で合わせて作っていますよ♪

けのこと鯖缶のジェノベーゼパスタ

パスタを茹でている間に、汁を切った鯖缶をガーリックオイルで炒め、スライスしたたけのこを入れてください。

パスタが茹で上がったら、ジェノベーゼソースも入れ、全体的にからめながら炒めたら出来上がり!

他にも、きんぴらにしたり、お味噌汁に入れたりとさまざまなアレンジができるので、ぜひ試してみてくださいね♪

たけのこご飯の豆知識

炊いている香りからかんばしく、たけのこから出る旨味が染み込んだご飯と、たけのこのシャキッ!とした食感が絶品のたけのこご飯♪

たけのこご飯は全国的に愛されていますが、実は宮城県の郷土料理でもあります。

そもそも、たけのこはいつから食べられているのか、また、季節で移り変わる、たけのこの種類についてもご紹介しましょう。

城県の郷土料理【たけのこご飯】

たけのこは『古事記』にも登場し、古くから食べられていたことがわかります。

古来の食用品種は真竹まだけとされています。

今、主に流通しているたけのこの品種は、孟宗竹もうそうちくといって中国原産のものです。

孟宗竹は、1200年ほど前の平安時代、または800年前の鎌倉時代に当時の中国から日本の僧侶が持ち帰った、江戸時代中期頃に島津(現在の鹿児島県)藩主が琉球(現在の沖縄県)から持ち帰り植えた、など諸説ありますが、いずれにしろ日本で食べられるようになってから歴史があります。

宮城県では全域でたけのこが採れますが、主に名取市や丸森町がたけのこの名産地です。

4月頃になると、たけのこが土から頭を出しはじめます。

産地では実際にたけのこ掘り体験ができたり、飲食店などではたけのこ御膳を味わうこともできますよ♪

宮城県では、取りきれないほど生えてくるたけのこを利用して、農作業の合間のご飯や行事食としてたけのこご飯が親しまれていたことから、郷土料理とされています。

節で移り変わる!たけのこの種類

たけのこと一口にいっても、実はいろいろな種類があるのです。

例外はありますが、一般的に2月頃から出はじめ、5月頃までが収穫時期とされています。

ここでは季節で移り変わる、たけのこの種類をご紹介します!

孟宗竹

2月〜4月頃、真っ先に出てくるのが先ほども取り上げた「孟宗竹もうそうちく」です。

旬は3月~5月頃までで、土の中に深く埋まっているので、掘り起こして収穫します。

孟宗竹は、たけのこの中では大きく、肉厚で柔らかながらも歯ごたえがあり、えぐみも少なく食用にピッタリ!

温暖湿潤の地域で育つ品種のため、北海道の函館以南の日本全国、主に近畿地方以西にあたる四国、九州で多く生産されています。

メディアでもよく取り上げられている、京都の“京たけのこ”などが有名です。

真竹

孟宗竹のあと、5月~6月くらいに出てくるのが、外皮に黒い斑点がある「真竹まだけ」です。

土の中から掘り起こす孟宗竹とは異なり、地面から30cm~40cmほど出てきたものを収穫します。

アクや苦味が強めで別名“苦竹にがたけ”とも呼ばれていますが、採れたてすぐの新鮮な真竹はアクもえぐみも少なく、刺身として食べることができるんですよ!

食感がコリコリしているので、煮物や汁物にもオススメ♪

真竹の皮は産毛がなく、おにぎりやサバ寿司といった食品の包装、民芸品に使われたりと、さまざまな用途で利用されています。

淡竹

赤茶色で少し細身な外見が特徴の「淡竹はちく」は、4月半ば~5月頃からどんどん生えてきます。

アク抜き不要で食べられる程えぐみが少なく、甘みがありながらもあっさりとした味がします。

たけのことしての淡竹はあまり一般市場に出回ることがないので、口にするチャンスがあればぜひ堪能いただきたいたけのこです!

なお、竹材としては茶筅や花器といった茶道用具にも用いられるなど、意外と身近な物に使われていますよ。

根曲がり竹(姫竹)

5月中旬~6月に旬を迎える「根曲ねまがりたけ」は、太さが1~2cmと細く「姫竹ひめたけ」ともいわれています。

この根曲がり竹、実は“チシマザサ(千島笹)”という笹の若芽です。

竹ではありませんが独特の良い風味を持ちアクも少なく、穂先は柔らか根本はコリコリと歯ざわりに定評があり、たけのこのように食べることができます。

東北を中心に、北海道や北陸、山陰地方で多く生産され、産地では親しまれている食材の一つです。

四方竹

秋が旬という珍しい「四方竹しほうちく」は、高知県の特産品です。

細長く、黄緑色が特徴で、断面が四角いことが名前の由来となっています。

アクは強めで少々苦味がありますが、シャキシャキとユニークな食感が、産地の方々に愛されています。

収穫期間も1ヶ月ほどと短い上に傷みやすく、収穫したそばからえぐみが増すなどデリケートな食材のため、産地で食べられるに留められ“幻のたけのこ”とされてきましたが、近年の加工技術の高まりにより全国で取り扱えるようになりました。

店頭でお見かけの際は、購入してみてはいかがでしょうか?

おわりに

上手に炊けるたけのこご飯の作り方・レシピや、たけのこご飯の豆知識をご紹介しました。

たけのこ料理は、いかにちゃんとアク抜きをするかがポイントです!

ご紹介した下処理方法を参考に、たけのこを入手したら、億劫ですがきちんと下茹でしましょう。

たけのこごはんは具材、出汁、調味料を入れて炊くだけですが、お米に吸水させないで炊くとご飯が固くなるので、きちんと吸水させてから炊きましょう。

また、余ったたけのこのアレンジレシピもご紹介しました。

たけのこ独特の香りはお肉の旨味にも合いますし、ジェノベーゼのような凝ったソースにも相性抜群です♪

記事を参考にして、旬の味覚のたけのこを楽しんでくださいね!

保町の女将さん

今回、秋の味覚を使った和食の秋レシピの監修をしてくださったのは、神保町で和食店「郷酒ごうしゅ」を営む女将さんです!

東北を中心とした日本各地の郷土料理や季節食材を活かした素朴な和食とともに、こだわって集めた全国の地酒や焼酎などを味わえるお店です。

神保町の近くに来た際は、ぜひ足を運んでみてください♪

店名郷土料理と日本酒のお店 郷酒
住所〒101-0051
東京都千代田区神田神保町3丁目5
ニュー徳栄ビル B1F
電話番号03-6272-9867


保町の女将さん監修の料理レシピ記事

神保町の女将さん監修のお料理レシピを紹介した記事はこちらからご覧いただけます。

ワゴコロ編集部でも女将さん直伝レシピで作ってみましたが、とても美味しくできましたよ♪

ぜひ、トライしてみてください!