私たちの食生活になくてはならない“お米”。
ピッカピカの炊き立てご飯をほおばる瞬間は、まさに至福の時です。
いつもなんとなく同じお米を選んでいるけれど、本当はもっと美味しいお米に出会ってみたい、料理ごとに相性の良いお米を食べてみたい、そう思うことってありませんか?
いざ、違うものを選んでみようとしても、お米の品種はたくさんありすぎて、どれにしたら良いか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、有名なお米の品種や特徴・違いについて、神保町で郷土料理屋を営む女将さんの解説付きでご紹介します。
和食屋の料理人である女将さんは、毎日お店でご飯とお味噌汁付きのランチ定食を提供しています。
お仕事柄、いろいろなお米を試食し取り扱っているので、お米それぞれの美味しさや魅力を把握されているんですよ♪
ぜひ、お米選びの参考にしてくださいね!
日本のお米とは?
世界で作られているお米は、「インディカ米」、「ジャポニカ米」、「ジャバニカ米」と大きく3種類に分けられています。
そのうち、日本で多く栽培され、食べられているお米は、「ジャポニカ米」という種類のものです。
米 の品種の数
現在、日本で作られているお米の品種がいくつあるかご存じですか?
なんとその数、1,000を超えるんです!
※2019年(平成31年)時点の情報
これだけの数のお米の品種が作られるようになったのは、なぜなのでしょうか?
日本のお米や品種の歴史についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
「ジャポニカ米」とは、日本で多く栽培され食べられているお米の一種です。世界で作られているお米は、インディカ米・ジャポニカ米・ジャバニカ米と大きく3種類に分けられています。そんなジャポニカ米は、日本でどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。特徴や品種改良についてご紹介します。
有名な米の品種について紹介
ご飯として食べられる日本のお米の品種は、800種類以上の銘柄があることがわかりましたね。
ここではスーパーマーケット等のお店でよく見かける有名なお米の品種について、その特徴や由来、それぞれのご飯にピッタリなおかずについてご紹介していきます♪
コ シヒカリ
日本で一番作付け※1され食べられている、お米の王様「コシヒカリ」。
同じコシヒカリでも産地がたくさんあり、その産地ごとに食味※2の評価も違うので、食べ比べてみると面白いですよ♪
※1 作付け:田畑に農作物を植え付けること。
※2 食味:食べ物の味、食べた時の味わいのこと。
コシヒカリの特徴
味コシヒカリは粘りや弾力性に優れ、モチモチとした食感、噛み締めたときの甘みや味の濃さが特徴です。
小粒で炊き上がりのツヤや香りが良く、冷めても硬くならないことから、お弁当やおにぎりに重宝します。
お米に含まれる“でんぷん”には、お米の粘りと硬さに関わってくる「アミロース」と「アミロペクチン」という2種類の成分があります。
アミロースが多くアミロペクチンが少ないと粘り気が少ないため硬くパサパサしたものに、逆に、アミロースが少なくアミロペクチンが多いと粘り気が強く歯ごたえもよくなります。
コシヒカリはこのアミロペクチンの含有量が比較的多い(アミロース含有量が低めな)ので粘りが強く、甘さを感じやすい、味の濃いお米となっています。
コシヒカリは昭和31年(1956年)に福井県で開発された後、どの土地が栽培に一番適しているのか日本全国で調査が行われました。
その結果、気候や風土との相性や、いもち病※1に弱いなどの欠点を栽培方法で解決できる点から、新潟県の奨励品種となりました。
もとは「越南17号」という系統名でしたが、新潟県が奨励品種として採用したことで、品種名を「コシヒカリ」と命名。
名前の由来は、“鮮やかなアメ色に熟す北陸(越の国※2)の品種”であること、また、“越の国に光り輝く”という願いからだといわれています。
※1 いもち病:稲の病気の一種。葉や穂を枯らし、稲が枯れ死ぬこともあるなど、稲の病気の中でも非常に厄介なものとされている。
※2 越国:古代日本における地域の呼称で、元は“高志国”と表記されていた。皇極天皇4年(645年)の大化の改新後に“越国”と改められ、越前(福井県)・加賀(石川県)・能登(石川県)・越中(富山県)・越後(新潟県・山形県の一部)・出羽(山形・秋田)あたりの地域の総称となった。
コシヒカリは北海道と沖縄を除く全国で生産されています。
主な産地は新潟県、茨城県、福島県、栃木県などです。
コシヒカリに合うおかず
お米自体の味が濃いコシヒカリ。
まずは、そのまま食べるおにぎりなどに向いています。
コシヒカリに合うおかずは、ご飯の味の濃さに負けないこっくりとした和食が合い、すき焼きや照り焼きなどの甘塩っぱい濃い味を合わせても存在感があります。
また、明太子や佃煮、漬け物のようなご飯のお供とも箸が進みます。
逆に、粘りが強いため、チャーハンや酢飯にはあまり適していません。
お米の品位等級は、農林水産大臣の登録を受けた登録検査機関の農産物検査員によって決められますが、コシヒカリは各産地に違いはあるものの、最も優秀な「一等米」に認定されているものが多く産出されています。
また、コシヒカリは炊飯した白飯の食味官能試験に基づいて評価されるお米の食味ランキング※で最高ランクの【特A】評価とされている産地も多く、コシヒカリが高品質で安定した美味しさを誇っていることが実証されています。
数ある産地の中、近年特Aランク評価が多数ある地域は、新潟県の魚沼・上越、福島県の会津・中通、岐阜県の飛騨、滋賀県、兵庫県の県北などです。
たくさんのコシヒカリの産地の中から厳選したいときの参考になりますね。
※お米の食味ランキング:一般財団法人 日本穀物検定協会によって食味評価の専門家により、基準米と試験対象のお米とを比較・評価して作られたランキング。
ひ とめぼれ
「ひとめぼれ」は、コシヒカリに次いで作付け面積や生産量が多い品種です。
耐冷性に優れていることから、冷害が多い東北地方を中心に作られています。
ひとめぼれの特徴
ひとめぼれの特徴は、粘りが強く、ツヤ・旨み・香りなどの味のバランスが良く、オールマイティーな美味しさなので、どんなおかずに合わせてもご飯が進みます。
粒がしっかりと立ち、冷めてももっちり柔らかいので、お弁当にも向いています。
ひとめぼれは、“冷害に強い品種を”ということで、平成3年(1991年)に宮城県古川試験場にて、“コシヒカリ”とコシヒカリの子である“初星”を掛け合わせて誕生しました。
見た目の白さやツヤが美しく、その美味しさに“一目惚れしてしまう”ことから「ひとめぼれ」という名前が一般公募から選ばれました。
ひとめぼれの主な産地は、宮城県、岩手県、福島県などの東北地方です。
ひとめぼれに合うおかず
ひとめぼれは適度に食べ応えがあり、バランスの良い味はなんでも合わせられ、和洋中と料理を問いません。
シンプルな味付けにも合うので、和食のお惣菜にも合わせられます。
天ぷらやフライ、唐揚げなど揚げ物に合わせても食べ飽きません。
平成5年(1993年)の『平成の米騒動』と呼ばれた大冷害の年、ひとめぼれは冷害に強い品種であったことから被害が比較的少なく、しかも育てやすいということで、東北地方を中心に人気が出ました。
また、それまでお米の品種の名付けにはルールがありましたが、このひとめぼれは古い習慣に囚われず広く普及させたいと、以後、新しく親しみやすい名前を付ける先駆けになりました。
ヒ ノヒカリ
「ヒノヒカリ」は、九州で多く生産されている西日本の代表的なお米です。
コシヒカリ、ひとめぼれに次いで生産量が多い品種で、平成元年(1989年)から長く愛されています。
ヒノヒカリの特徴
味粘り、香り、旨みなどのバランスが良く、ふんわりとした甘みがあります。
炊いたときにツヤツヤと輝く、やや小粒で厚みのある丸い形が特徴的なヒノヒカリ。
コシヒカリに似ていますが、コシヒカリより安価でややあっさりした味をしています。
ヒノヒカリは、平成元年(1989年)に宮崎県総合農業試験場で誕生し、命名登録されました。
“コシヒカリ”と“黄金晴”を交配し、九州の気候でも作りやすく、食味の良いものにこだわって選抜され生まれました。
公募で寄せられた名前の中から、味が良く、九州米が広く愛されるようにという願いを込めて、西日本や九州を表す“日(太陽)”と、お米が輝く様子から「ヒノヒカリ」と名付けられました。
ヒノヒカリの主な産地は、熊本県、大分県、鹿児島県などの九州地方です。
その他、中国・四国・近畿地方といった西日本での栽培が盛んです。
ヒノヒカリに合うおかず
ヒノヒカリはどんなおかずでも合う懐の深さがあり、小粒ながら弾力のある米粒で、水分を少し加えても負けません。
ケチャップでご飯を炒めて作るオムライスや、ご飯にルーをかけるカレーやハヤシライスにしてもベチャッとせずに米の食感を楽しめます。
また、炊き込みご飯などでもしっかりとした食感が残ります。
ヒノヒカリが誕生するまで、収穫量があってもあまり食味が良くないとされた九州産のお米が評価されることは多くありませんでした。
当初、ヒノヒカリは生産者にあまりウケが良くなかったのですが、味の良さから評価が一変。
熊本、宮崎をはじめ、九州では各県の奨励品種として各地で生産がすすめられました。
中でも、食味ランキング特Aランク評価産地は、京都府の山城、熊本県の県北、宮崎県の西北山間・霧島などになっています。
あ きたこまち
秋田県の風土に適した品種を、という事で開発された「あきたこまち」。
今では、秋田県以外でも作付けされている人気銘柄です。
あきたこまちの特徴
味あきたこまちは、香り・粘り・甘み・旨み・ツヤ・食感のトータルバランスが素晴らしいお米です。
食べ飽きない優しいふんわりとした味、丸みがあり小粒ながらしっかりしたモチモチ食感は、冷めても損なわれることはありません。
硬めのお米がお好みの方にオススメです♪
秋田県農業試験場で、秋田県の気候に合った食味の良い品種を目指し、“コシヒカリ”に“奥羽292号”を掛け合わせて誕生しました。
米どころの秋田県らしい名前ということで、秋田出身とされる平安時代の女流歌人で絶世の美女との伝承も残る小野小町にちなんで「あきたこまち」の名前が選ばれました。
なお、JA全農秋田県では “ミスあきたこまち”と称して毎年7名の女性を選出し、秋田県産あきたこまちの魅力の発信に努めています。
あきたこまちの主な産地は、秋田県、茨城県、岩手県です。
あきたこまちに合うおかず
あきたこまちは比較的あっさりした甘みを持つお米なので、味の濃い洋食を合わせてもしつこくなりません。
ハンバーグやトマト味のロールキャベツ、和食だとさばの味噌煮なども合いますよ。
あきたこまちは誕生当初から食味試験でも好評価で、長い間味の良さに定評があります。
また、煎餅やおかき用の加工米としても人気の品種です。
つ や姫
山形県の伝統的な品種である“亀丿尾”をもとに、10年かけた研究の末に誕生した「つや姫」。
山形県を代表する、見目麗しいお米です。
つや姫の特徴
味つや姫の特徴は、まずその見た目の美しさ。
粒がそろっていて、色白でツヤツヤと光る、まさにお姫様のようなお米です。
食味は、噛み締めると広がる強い甘みと旨み、粘り気もあるのでしっかりと味わうことができます。
炊き上がりのツヤと輝きが美しく、開発に10年かけて大事に育ったことから、「つや姫」という名前が公募と県民投票で付けられました。
“コシヒカリ”や“ひとめぼれ”の親である「亀ノ尾」をルーツに交配を重ね、山形県立農業試験場庄内支場(現在の山形県農業総合研究センター水田農業研究所)で誕生しました。
つや姫の主な産地は、山形県、宮城県、島根県です。
他、大分県などでも作られています。
つや姫に合うおかず
つや姫自体の味がしっかりしているので、おにぎりなどでお米そのものを味わうことをオススメします。
おかずも濃い味のものより、あっさりした和食、例えば魚の塩焼きや野菜の煮物などが合います。
炊き込みご飯やチャーハン、ピラフなど濃い味をつけたご飯にするよりは、お米そのものの美味しさを楽しんでいただきたい品種です。
つや姫は、それまで山形県での主力品種だった“ひとめぼれ”や“はえぬき”に比べて食味の良さが違い、誕生直後から食味ランキングで特A評価を連続で獲得していました。
山形県の他、宮城県、島根県でも作付けされていますが、特に、山形県庄内地区、最上地区のものの評価が高いです。
ゆ めぴりか
北海道を代表するお米、「ゆめぴりか」。
CMも盛んに流れていますし、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
名前もとっても可愛いですよね♡
ゆめぴりかの特徴
味ゆめぴりかは、粘りの強さが特徴です。
その粘り気や炊き上がりのツヤ・白さの美しさ、噛み締めたときの甘み、しっかりした粒の食感が際立っています。
ゆめぴりかは、北海道の上川農業試験場で約10年かけて開発されました。
食味、耐冷性、収量の優れた品種の中から、“北海287号”と“ほしたろう”という品種を交配し、“コシヒカリ”、“あきたこまち”などの遺伝子も取り入れて作られました。
冷害の多い北海道で、寒さに強く収量もある、圧倒的に味の良いお米はまさに北海道民の夢であり、その“夢”とアイヌ語で“美しい”を意味する“ピリカ”を組み合わせて、「ゆめぴりか」という名前が公募で選ばれました。
ゆめぴりかの主な産地は、北海道です。
北海道全体で生産されています。
ゆめぴりかに合うおかず
粘りが強いので、味の濃い焼き肉や肉じゃが、角煮などのおかずにも負けずに合いますし、そのまま食べるおにぎりなども適しています。
チャーハンのようなパラパラ食感を求める料理には向いていません。
ゆめぴりかは「北海道米の新たなブランド形成協議会」によって独自の基準が定められ、そのルールを満たしたものには認定マークが与えられています。
青 天の霹靂
名前とパッケージが目を引く「青天の霹靂」は、青森県を代表するお米です。
青天の霹靂の特徴
味もっちり甘みのあるお米が多い中、青天の霹靂はしっかりとした食感、さっぱりとした味が特徴です。
粒は細長く、粘りけもあまり強くないので、キレが良いです。
食べ疲れしないので、「軽く食べたいな~」という時に最適です。
その口当たりから “さっパリジャン”という、愛らしい公式マスコットも存在します♪
青天の霹靂は“ひとめぼれ”や“まっしぐら”の系統を持つお米を掛け合わせて、青森県農林総合研究センター(現在の青森県産業技術センター農林総合研究所水稲品種開発部)で誕生しました。
名前の意味は、晴れ渡った空に突如現れる稲妻のこと。
その衝撃のように、鮮烈な存在になれるようにと公募の名称案から名づけられました。
青天の霹靂の主な産地は、青森県です。
作付けは津軽中央と津軽西北の2地域にと、青森県が定めています。
青天の霹靂に合うおかず
青天の霹靂のさっぱりした味には、どんなおかずでも合います。
例えばお刺身や焼き魚から豚肉の生姜焼きなど、魚でも肉でもおかずを選びません。
また、青森特産の長芋で作るとろろ飯も、さらさらっと食べられますよ。
さらに、青天の霹靂専用のカレーやラーメンなどが開発されているので、ぜひお米と合わせて召し上がってみてくださいね♪
青天の霹靂は、デビュー前の平成26年(2014年)に参考品種として出された食味ランキングで青森初の特Aを獲得し、その翌年にデビューしました。
森 のくまさん
かわいいネーミングの「森のくまさん」。
一度目にすると忘れられない名前であるこのお米は、西日本有数の米どころ熊本県 の高級米 です。
森のくまさんの特徴
味見た目はほろっと、粒が細長いのですが、ほどよく粘り気もある森のくまさん。
噛んだときの甘み、旨みのバランスが良いです。
食味が良く、熊本の平坦地を代表する適地適作に向いたお米をということで、熊本県の単独育成品種として8年かけて開発されました。
食味の良さは立証済みの“コシヒカリ”と“ヒノヒカリ”を掛け合わせて誕生。
夏目漱石が熊本に住んでいた頃、緑の多い熊本を“森の都”と表現したことから、森の都の熊本県産ということを略して、「森のくまさん」という名前が付けられました。
森のくまさんの主な産地は、熊本県です。
由来でも触れた通り熊本県のみで栽培されており、県を挙げて力を入れている特産品となっています。
森のくまさんに合うおかず
もっちりとして甘みがあり、粒のほどける食感は、丼ものによく合い、濃い味の料理を引き立てます。
甘辛い味付けの和食に合うので、例えば熊本特産のあか牛のような赤身の牛肉のローストビーフや鰻の蒲焼き、また根菜の旨みたっぷりの熊本の郷土料理だご汁などとも相性バッチリです。
平成24年(2012年)、森のくまさんは食味ランキングで最高得点をたたきだし、全国一の評価を獲得しました。
しかし、暑さに耐性のなかった森のくまさんは、近年の地球温暖化などによる高温障害の影響を受け、品質が大幅に下がってしまうことが続きました。
このことを看過できなかった熊本県は、暑さに強い品種を求め「くまさんの力」を開発。
さらに開発が進み、食味の良さも追求した「くまさんの輝き」を世に送り出しています。
ミ ルキークイーン
もっちりと柔らかく、ほの白い粒が特徴である、オシャレな名前の「ミルキークイーン」。
他の品種とは異なり、農林水産省の立案した“スーパーライス計画※”のもと、国の農業研究センターから誕生しました。
※スーパーライス計画:平成元年~平成6年(1989年~1994年)の間に国主導で産官学(民間企業・公立の研究所・大学など)が一体となって行われたお米の研究のこと。結果、今までにない色や形、さまざまな新しい品種のお米が開発された。ミルキークイーンもその中の一つ。
ミルキークイーンの特徴
味ミルキークイーンは、炊き上がりの白さやツヤ、強い粘り、甘み、粒の柔らかさが特徴です。
コシヒカリ系統のお米で粘りが強く、もち米のようなモチモチ感が味わえます。
冷めても硬くなりにくいので、モチモチ食感がお好きな方ならお弁当にもオススメです。
粒は玄米でも他のうるち米より白くてきれい(乳白色=ミルキー)なこと、炊飯後のツヤ・味の良さから“お米の女王(クイーン)”として「ミルキークイーン」という名前が付けられました。
ミルキークイーンの主な産地は、茨城県、新潟県です。
しかし、産地限定品種ではないので全国的に作付けされており、その産地は山形県、福島県、長野県、岐阜県、熊本県など、北から南まで日本全域にわたります。
ミルキークイーンに合うおかず
ミルキークイーンは、高級料亭などでも提供されている高級ブランド米です。
お米自体に甘みがあって美味しいので、お刺身や焼き魚のようなあっさりした和食と合いますし、煮物などの濃い味の料理とも好相性です。
ただし、粒が柔らかい点から、お米自体に味を付ける料理に用いてしまうとベチャッと潰れがちなので、チャーハンやカレーライスなどにはあまり向いていません。
炊飯時は、他のお米よりも水を少なめにすると丁度良い塩梅になるので、お好みに合わせて調整してみてくださいね♪
ミルキークイーンは“スーパーライス計画”のもと、国主導で茨城県のつくば農業研究センターで誕生しました。
コシヒカリに突然変異処理を施して生まれた品種です。
恋 の予感
これがお米の名前?と思いそうなネーミングの「恋の予感」。
広島県で誕生した、広島県を代表する奨励品種です。
恋の予感の特徴
味恋の予感はしっかりとした香り、噛みしめると広がる甘みと旨みが特徴で、粘りは弱めです。
炊き上がりの粒の大きさが際立っています。
稲の種子が発育する登熟期の高温に耐えうる品種を求めて、広島でオリジナル品種として開発された恋の予感。
食味と収量に優れた“きぬむすめ”に、病気に強くて味の良い“中国178号”を交配して生まれました。
食べた時に「恋するときめきや情熱が溢れてくるようなお米になって欲しい」という願いを込めて、一般公募1,800件の中からその名が選ばれました。
恋の予感の主な産地は、広島県です。
他、山口県や香川県、大分県などでも栽培・商品化されています。
なお、広島県南部地区で生産されたものは、令和3年(2021年)産米の食味ランキングで「恋の予感」では初の特Aの評価を得ています。
恋の予感に合うおかず
恋の予感は、しっかり噛み締められるくらいの粒の食感がポイントです。
カレーやチャーハン、また酢豚や麻婆豆腐などの中華のあんかけのような料理にも粒が負けず、ご飯の存在感があります
恋の予感は、日本の農業を盛り上げる施策を行っている農林水産省の“農業女子プロジェクト”でも『恋する女子米』として生産されています。
また、各県各所で変わるパッケージにも注目です。
記事内ではJA広島中央管内産のオリジナルパッケージを取り上げましたが、JA全農ひろしまでは平成30年(2018年)に瀬戸内を拠点とするアイドルグループ“STU48”とコラボし、広島県産米『恋の予感STU48コラボパッケージ』を期間限定販売。
女子サッカーの田中陽子選手をゲストに呼んで平成31年(2019年)に出発式を行った山口県産の恋の予感は、良縁を結ぶ赤い糸をコンセプトにデザインされています。
どれもその名にふさわしく、愛らしくて、胸のあたりが暖かくなるようなものばかりです。
サ サニシキ
宮城県を代表する「ササニシキ」は、かつて西の横綱“コシヒカリ”に対し東の横綱と呼ばれ、東北で大人気の品種でした。
今でも、「酢飯やおにぎりにはササニシキでないと!」というファンがいるくらい根強い人気の品種です。
ササニシキの特徴
味ササニシキは、コシヒカリのような他のお米とは違った、独特の個性を持つのが魅力。
香り良く、細長くしっかりした粒、コシヒカリの親戚系統ながらも粘り気が少なく、さっぱりとした食感が特徴的です。
ササニシキは、昭和43年(1968年)に宮城県立農業試験場古川分場で“ハツニシキ”と“ササシグレ”を交配して生まれ、両方の名前をとって命名されました。
ササニシキの主な産地は宮城県です。
耐倒伏性・いもち病抵抗性・冷害に弱いという短所が平成5年(1993年)の冷害で露見して以来、耐冷性のある“ひとめぼれ”に取って代わられ、宮城県内での栽培も減少、現在では希少種となっています。
ササニシキに合うおかず
酢飯として大人気のササニシキは、寿司屋御用達のお米です。
酢を加えてもつぶれずしゃっきりと粒が立ち、お寿司にするとホロホロとほどける口どけが感じられます。
パラパラになりやすいのでチャーハン、また天丼など丼ものにも合います。
仙台名物牛タン焼きにとろろ飯でさっぱりと食べるのもオススメです。
平成25年(2013年)以降、ササニシキを盛り上げる祭典『ササニシキEXPO2013』が石巻市で開催されたり、宮城県によるみやぎ米のブランド化や生産拡大戦略がとられるなど、ササニシキが見直されてきました。
そのような中、ササニシキは令和4年(2022年)に誕生から60周年を迎えました。
JA全農みやぎでは、『ササニシキ誕生60周年記念事業』と銘打って、新ロゴマークのデザイン募集を実施。
ササニシキの歴史は、いまもなお紡がれ続けています。
お米の名前にはルールがあった
【米の品種の数】でもお話したとおり、お米の品種は現在800種類以上もあり、その名前もさまざまです。
どれもそのお米の個性や特徴や願いなどを込めて名付けられているように見受けられますが、実は、お米の名前の付け方には次の2つのルールがあったのです。
1.品種を作った試験場で名付ける
2.一般の人から名前を公募する
1 .品種を作った試験場で名付ける
品種を作った試験場で名付ける場合、開発した農業試験場で、その品種や産地の特徴を表現したり、食べる人への想いを込めたりした名前が付けられます。
最初は数字で管理していましたが、識別がしづらいことから、6字以内で名前が付けられるようになりました。
国指定の試験場ではカタカナ名、都道府県独自の機関ではひらがな・漢字名というルールがありました。
国指定の試験場の品種だと「コシヒカリ」や「ササニシキ」が該当します。
「あきたこまち」は県で作られたお米ということがわかりますね。
2 .一般の人から名前を公募する
平成3年(1991年)、国の主導で作られた「ひとめぼれ」がカタカナ名でなく、公募の中から決められたことをきっかけに、それ以降名付けのルールがなくなったため、一般の人から名前を公募するという方法が取られるようになります。
このことで、「ゆめぴりか」や「つや姫」、「森のくまさん」など、より親しみやすく魅力的な名前が付けられるようになりました
米作りの大変さを体感できる稲作ゲーム『天穂のサクナヒメ』
【直撃インタビュー❗️大ヒット稲作ゲーム誕生の秘話⭐】
— 農林水産省「やっぱりごはんでしょ!」 (@MAFF_GOHAN) December 25, 2020
今回は大ヒットしている「#天穂のサクナヒメ」について取材しました。#稲作 をとおしてゲームをする中で #お米 について関心をもっていただければ、幸いです😊
お子さんへの #クリスマスプレゼント にもいいのでは❓❓#クリスマス pic.twitter.com/04RSz810pQ
本格的な米作りが体験できる『天穂のサクナヒメ』は、良いお米を作ることでキャラクターを強くしていく稲作アクションRPGです。
種籾の選別から田んぼを耕し、肥料や水量の調整、田植えに石取り・雑草抜き、脱穀など、その稲作過程のリアルさに“農林水産省の公式サイトが攻略サイトになる”ともいわれ、令和2年(2020年)11月の発売直後から大変話題になりました。
その勢いは、農林水産省も目を留め、制作会社に取材を行うほど!
稲作を体験してみたい方は、手始めに『天穂のサクナヒメ』をプレイしてみてはいかがでしょうか?
米作りの奥深さ、そしてお米のありがたみを感じることができますよ♪
また、TVアニメ『デリシャスパーティ♡プリキュア』と岩手県のお米「銀河のしずく」とのコラボが行われたり、お米擬人化したアニメ『ラブ米(コメ) -WE LOVE RICE(ウィーラブライス)-』が放映されるなど、アニメ・ゲーム業界でもお米に着眼した作品や取り組みが展開されています!
おわりに
お米の品種や味、特徴の違いについて、おわかりいただけましたか?
沢山の米の品種がありますが、それぞれ違った個性や美味しさがあり、誕生秘話を知ると、「その土地にあった食味の良い品種を」と、開発した方々の苦労が伺えますよね。
これだけ全国にバラエティに富んだお米があるのですから、料理に合わせてお米を選んでみてはいかがですか?
ぜひこちらの記事を参考にして、あなた好みの美味しいお米に出会えますように。
神 保町の女将さん
今回、お米の品種について解説くださったのは、神保町で和食店「郷酒」を営む女将さんです!
東北を中心とした日本各地の郷土料理や季節食材を活かした素朴な和食とともに、こだわって集めた全国の地酒や焼酎などを味わえるお店です。
神保町の近くに来た際は、ぜひ足を運んでみてください♪
神 保町の女将さん監修の料理レシピ記事
神保町の女将さん監修のお料理レシピを紹介した記事はこちらからご覧いただけます。
ワゴコロ編集部でも女将さん直伝レシピで作ってみましたが、とても美味しくできましたよ♪
ぜひ、トライしてみてください!
長い冬が明け、3月頃から旬を迎えるたけのこ。スーパーや八百屋さんに並ぶたけのこを見かけると、春の訪れを感じますよね。そんな時期にぴったりの「たけのこご飯」の作り方・レシピを、神保町で郷土料理屋を営む女将さんに監修いただきご紹介します!
炊き込みご飯は、季節の食材の風味や旨味の染み込んだご飯を楽しめる、おもてなしにも最適なごちそうです。この記事では、神保町で郷土料理屋を営む女将さんに監修いただき、基本の炊き込みご飯からアレンジしたものまで、気軽に炊飯器で炊ける炊き込みご飯のレシピをご紹介します!
寒くなってくると、鍋料理が恋しくなりますよね。でも、いつもワンパターンになりがちで、飽きてしまうということもありませんか?そんな時は、ご当地鍋料理にチャレンジしてみましょう!今回は、神保町で郷土料理屋を営む女将さんに監修いただき、旅行気分で楽しむ全国のご当地鍋料理レシピ11選をご紹介します!
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秋の食材は夏に消費した体力を回復させ、冬に備えるための栄養素が豊富です。この記事では、神保町で郷土料理屋を営む女将さんに監修いただき、秋が旬の味覚をしみじみと味わえる和食レシピをご紹介します!
秋が旬の栗をたっぷり入れて炊き込んだ、食べてほっこりできる「栗ご飯」。
晩秋の季語、そして9月9日の重陽の節句の行事食でもあり、秋になったら一度は味わいたいおめでたいご飯です。この記事では、神保町で料理屋を営む女将さんに監修いただき、炊飯器で簡単に炊ける栗ご飯の作り方とアレンジレシピをご紹介していきます♡
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日本料理は、日本の風土と社会で発達した料理を意味し、和食は、洋食に対するものとして使われています。
イメージによって使い分けられることも多く、料理店で提供される高度な技術が必要な料理は日本料理で、家庭料理を中心とした日本の料理を和食とイメージしている人も多いです。
豊かな自然に恵まれている日本には、昔からその季節の旬の食材や味わいを大事にしながら、祭事や行事に伝わる伝統的な行事食があります。1年を通して日本人の暮らしと共にある主な和食の行事食は下記の通りです。
日常の暮らしの中で食べられている食事とは異なる「行事食」は、日本人が昔から四季折々に開催される祭りや神事、そして冠婚葬祭などで食べる特別な食事です。
四季折々の行事や冠婚葬祭でいただく行事食とは、一体どのようなものでしょうか。
2013年に日本の「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから、日本の伝統的食文化である「和食」は、世界各地で注目されるようになりました。
同時に和食の「うま味」も注目され世界各地に広がり、今日では世界共通の公用語になりました。
世界各地で和食の食材やメニューは注目されていますが、和食文化に伴う慣習までは知られていません。
そのため、日本人にとっては当たり前の慣習でも、海外の方にとっては文化の相違を感じたり、驚いたりすることがあります。
今回は、和食文化の中で海外の方が驚く事や慣習をご紹介します。
日本人の暮らしは、お正月に始まり、節分や雛祭り、七夕など、様々な年中行事で彩られています。どれも文化や季節を大切にする心が、繋いできたものです。