日本三名泉の1つに数えられている兵庫県の『有馬温泉』は、日本最古の温泉として有名で、年間を通して多くの観光客が訪れる人気の温泉街です♪

そんな有馬温泉には宿泊施設や日帰り温泉だけでなく、湯泉神社や炭酸泉源公園など、温泉にちなんだ観光スポットがたくさん!

当記事では有馬温泉の歴史から泉質の特徴、周辺のオススメ観光スポットをご紹介します。

有馬温泉の歴史

毎年100万人以上の観光客が訪れている有馬温泉ですが、過去には災害や戦乱の影響により、何度も壊滅状態に追い込まれています。

それを救ったとされるのが、有馬温泉の“三恩人”です。

三恩人とは一体誰なのか、また今日に至るまでどのような歴史を歩んできたのか、まずは有馬温泉の歴史について簡単にご紹介しましょう。

源の発見

有馬温泉は大昔、人々がまだ土を掘る術を知らない時から湧き出ていた「日本最古の温泉」です。

そんな有馬温泉の泉源を最初に発見したのは、日本神話にも登場する二人の神様、大己貴命おおなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことです。

有馬温泉に鎮座する湯泉神社の由緒によれば、この二神が人々を病気から守るための薬草を探しに有馬を訪れた際、傷付いた三羽のカラスが赤い湯に入って傷を治しているのを見て、泉源を発見したとされています。

皇行幸により有馬が有名に

飛鳥時代になると、有馬は第34代舒明天皇じょめいてんのう、第36代孝徳天皇こうとくてんのう行幸ぎょうこうによって一気に存在が知られるようになりました。

舒明天皇の行幸に関しては日本書紀、孝徳天皇の行幸に関しては釈日本紀に記されており、両天皇ともに有馬での入浴を2ヶ月以上にわたって楽しんでいたようです。

※行幸:天皇が外出すること

馬温泉の三恩人 ①行基

天皇の行幸によって一躍有名となった有馬温泉ですが、有馬温泉史話によれば、その後は少しずつ衰退していったそうです。

しかし奈良時代になると、有馬温泉は再び活気を取り戻しました。

その再興に貢献したのが、有馬温泉の三恩人の1人である行基ぎょうき(ぎょうぎ)です。

行基は薬師如来の導きにより有馬の地を訪れ、神亀元年(724年)に温泉寺を建立しました。

これが有馬温泉発展の基礎となり、後の370年間は大変な賑わいを見せたとされています。

馬温泉の三恩人 ②仁西

承徳元年(1097年)、有馬は大洪水に見舞われて壊滅状態となります。

この荒れ果てた有馬を復興させたのが、仁西にんさいという僧です。

仁西はもともと大和の国にある高原寺の住僧でしたが、熊野権現くまのごんげんのお告げによって有馬に訪れ、温泉寺を改修したり、12の宿坊をつくったりしました。

現在でも有馬温泉にある一部の旅館の名前に「坊」がついているのは、その宿坊の名残とされています。

馬温泉の三恩人 ③豊臣秀吉

仁西による中興からしばらくは平和な日々が続いていた有馬温泉でしたが、戦国時代になると、2度の大火や戦乱の余波により、有馬の地は再び大打撃を受けます。

それを復興させたのが、太閤・豊臣秀吉です。

秀吉は正妻・ねね(北の政所)や石田三成などとともに何度も有馬を訪れ、改修工事をするなど復興の援助を行ったとされています。

戸時代以降の有馬温泉

江戸時代後半頃からは庶民も湯治とうじへ出かけるようになり、有馬温泉はますます発展していきました。

嘉永4年(1851年)の温泉番付では、なんと西日本の1位に!

また、明治時代以降は福沢諭吉や伊藤博文など、数多くの著名人も有馬を訪れており、今日に至るまで変わらぬ賑わいを見せていたことが伺えます。

※湯治:温泉に入って療養すること。

有馬温泉の泉質について

歴史に名を残す多くの偉人たちを虜にしてきた有馬温泉。

そんな有馬温泉には以下7つの泉源があり、全て見てまわることができます。


・太閤泉(飲泉場)
・天神泉源
・極楽泉源
・御所泉源
・有明泉源
うわなり泉源
・炭酸泉源


上記の泉源は大きく「金泉」と「銀泉」に分けられます。

ここでは、2つの泉質の特徴や効能についてご紹介します。

馬温泉の「金泉」

金泉は鉄分を豊富に含んだ温泉で、地中では無色透明ですが、空気中の酸素に触れると褐色になるのが特徴です。

お湯に浸かることで金泉に含まれる塩分が肌に薄い皮膜を作ってくれるので、保湿効果の持続が期待できます。

また金泉には殺菌作用があり、アトピーや湿疹、蕁麻疹などの皮膚疾患の症状緩和にも効果が見込めます。

ただし、肌が弱い人の場合だと温泉の成分でお風呂上りに肌がヒリつくこともあるので注意が必要です!

肌がヒリヒリと痛む場合は、我慢せずに上がり湯を浴びましょう。

金泉の適応症

・炎症性および非炎症性のリウマチ疾患
・外傷
・手術後のリハビリテーション
・慢性附属器炎
・機能性不妊症
・自律神経系障害
乾癬かんせん

馬温泉の「銀泉」

銀泉は二酸化炭酸泉や放射能泉(ラドン泉)があり、どれも無色透明です。

二酸化炭素泉はお湯に含まれる炭酸ガスが血管を拡張し、血液の循環を良くする効果があります。

一方で放射能泉は、お湯に含まれるガスを体内に取り込むことで自然治癒力を高める効果があるとされています。

“放射能”と聞くと、少し怖いイメージを持たれるかもしれませんが、温泉に含まれるラドンという成分は、温泉に浸かったり、口に入ったりしても、すぐに呼気によって体外に排出されるので心配はありません!

二酸化炭酸泉の適応症

・高血圧症
・末梢動脈閉塞性疾患
・機能性動脈循環障害
・無治性の傷
・手足の局所的循環障害

放射能泉(ラドン泉)の適応症

・硬直性脊椎症
・関節の退行性症状
・慢性多発性関節症
・脊椎の退行性疾患
・慢性痛風
・関節
・筋肉リウマチ
・軽度の末梢性動脈血行障害
・更年期障害
・気管支性ぜんそく

有馬温泉周辺のオススメ観光スポット

有馬温泉には金泉・銀泉を気軽に楽しめる立ち寄り湯から、三恩人にちなんだ神社やお寺、おいしいグルメが堪能できるお店まで、見逃せないスポットがたくさん!

せっかく有馬温泉に行くなら、これからご紹介するオススメスポットにもぜひ足を運んでみませんか?

の湯

「金の湯」はその名の通り、有馬温泉の名物である金泉を堪能できる立ち寄り湯です。

浴室は有馬籠・有馬人形筆などに使われる竹をイメージした“一の湯”、紅葉の名所である瑞宝寺ずいほうじ公園のもみじをイメージした“二の湯”の2つがあり、それぞれでぬる湯とあつ湯が楽しめます。

建物に隣接されている“太閤の足湯”は無料で利用でき、地元民からも大人気♪

の湯

金の湯から徒歩5分ほどの距離にある「銀の湯」は、炭酸泉とラジウム泉の混合泉を楽しめる立ち寄り湯です。

秀吉の入った岩風呂をイメージした浴室には、疲れた身体をリフレッシュさせてくれるバイブラバスやスチーム式サウナなどが備えられています。

建物の裏には大型のコインロッカーが設置されており、六甲登山の帰りでも立ち寄りやすいと評判です。

お風呂上りにはキンキンに冷えた“ありまサイダー”がオススメです!

※バイブラバス:浴槽下部から気泡が湧き出すお風呂。治療浴としても知られる。

閤の湯

“有馬唯一の温泉テーマパーク”とうたっているだけあり、「太閤の湯」の館内にはユニークな温泉や岩盤浴、蒸し風呂がたくさん!

どのお風呂も太閤・秀吉に関するものをモチーフにしたデザインとなっているので、温泉を満喫しながら歴史を学ぶこともできます。

金泉・銀泉・混合泉・炭酸泉(人工)、とさまざまなお湯に浸かりたいという方は、ぜひこちらにも足を運んでみてください♪

泉禅寺

神亀元年(724年)に三恩人の一人、行基によって建立された黄檗宗おうばくしゅうのお寺です。

温泉寺と縁の深い行基と仁西の木像を祀っており、毎年1月2日になると入初式いりぞめしきという行事で初湯がかけられます。

境内奥には有馬温泉に関する資料を展示している御祖師庵があり、温泉の縁起について知ることができますよ。

ね橋・太閤橋

有馬川に並んで架かる「ねね橋」と「太閤橋」は、有馬温泉に訪れるなら絶対に見ておきたい定番の観光スポットです!

橋の近くには、秀吉と正妻・ねねの像がそれぞれ設置されており、2人で過ごした当時の様子がうかがえます。

また、太閤橋のすぐ近くには温泉の湯けむりに見立てた滝が流れる“ゆけむり広場”があり、夜になるとライトアップが楽しめます。

泉神社

湯泉とうせん神社」は、泉源を最初に発見した大己貴命と少彦名命、そして三恩人の一人である仁西による熊野信仰の影響を受けて有馬の鎮護神となった熊野久須美命くまのくすみのみことの三神を祀っています。

有馬温泉の守護神だけでなく、子授け神社としても親しまれている神社で、とくに“玉鉾さま”や“阿福さま”と呼ばれる子宝祈願のお守りは、全国から買い求められるほどの人気ぶり!

馬切手文化博物館

「有馬切手文化博物館」は、明治4年(1871年)の新式郵便の創業とともに発行された手彫り切手から、これまでに発行された普通切手・記念切手を発行した年代順に展示している切手の博物館です♪

建物の前にはレトロで可愛い丸形ポストが並んでおり、珍しい青色のポストもご覧いただけます。

ちなみに赤色のポストは通常郵便用、青色のポストは速達郵便用らしいですよ!

馬玩具博物館

世界中から集めた約4,000点のおもちゃを展示している「有馬玩具博物館」。

中には実際に触れて遊ぶことができるおもちゃもあるので、お子様連れでの観光にもぴったりです!

3~6階にはコレクション別におもちゃが展示されており、3階では鉄道模型とブリキのおもちゃ、4階では現代のからくり”オートマタ”、5階では現代のおもちゃ、6階ではドイツの伝統的なおもちゃをご覧いただけます。

甲有馬ロープウェー

有馬温泉と六甲山を結ぶ「六甲有馬ロープウェー」では、約12分間に及ぶ空中散歩を楽しむことができます♪

大きなガラス面から見える360度の景色は雄大でスリル満点!

春は新緑、夏は夜景、秋は紅葉、冬は樹氷と、どの時期に行っても四季折々の景色が堪能できますよ。

また、条件がいい時には瀬戸内海に浮かぶ“家島諸島”や“小豆島”が見られることも♪

宝寺公園

「瑞宝寺公園」は、かつてあった瑞宝寺の跡地で、昭和26年(1951年)に整備されて公園となりました。

日本屈指の紅葉の名所としても有名で、その美しい光景はかの秀吉が『いくら見ても飽きない』と称賛したほど。

終日紅葉を眺めて過ごしたことから、“日暮しの庭”とも呼ばれています。

公園内には秀吉が愛用していた石の碁盤や、伏見桃山城から移設された山門があり、歴史を感じながら散策できます!

ヶ滝公園

上下2段で落ちる滝の音がこだまして、ポンッポンッと鼓を打つような音に似ていたことから「鼓ヶ滝公園つづみがたきこうえん」と名付けられました。

過去の洪水によって岩の形が変わってしまったため、現在はその音を聞くことはできませんが、高さ約8mから流れ落ちる滝を眺めながらの森林浴は格別な気持ちよさを味わうことができますよ♪

下流にはニジマス釣りが楽しめる「有馬ます池」も。

釣ったニジマスは園内で唐揚げに調理してもらえます!

酸泉源公園

「炭酸泉源公園」はその名の通り、有馬にある7つの泉源の1つ、炭酸泉源が湧き出る公園です!

温泉が湧いている井戸は公園内にある屋根付きの建物の下でご覧いただけます。

井戸の手前には飲泉があり、自然の炭酸水を味わうことができます♪

有馬に訪れた際は、ぜひ記念として飲んでみてはいかがでしょう?

妓カフェ一糸

平成27年(2015年)にオープンした「芸妓カフェ一いと」は、兵庫県唯一の芸妓カフェ・バーです。

お店には現役の有馬芸妓さんが常駐しており、お抹茶や和菓子を味わいながら芸妓さんの三味線や長唄を楽しむことができます♡

また、月に2回、お座敷での踊りを実際にみることができる日があります!

一見さんお断りや完全予約制といった制限はなく、写真撮影も可能なので、ぜひ気軽に立ち寄ってみてくださいね♪

ノ花堂本舗 太閤通店

「湯ノ花堂本舗 太閤通店」は、炭酸泉を使って焼き上げられる有馬の伝統的銘菓・炭酸せんべいを販売しているお土産屋さんです。

通常の炭酸せんべいも取り扱っていますが、ここでチェックしたいのは店頭でしか食べられない“なま炭酸せんべい”。

賞味期限はたったの5秒!

熱々のうちに食感を楽しみながら召し上がってみてください♪

中肉店

温泉街の中心にある、大正初期創業の神戸牛販売店「竹中肉店」。

店頭にはイートインスペースが設けられており、お肉屋さんならではの特製メニューを味わうことができますよ♪

中でも神戸牛を使ったコロッケは、1日1000個以上売れている大人気商品!

130円とリーズナブルな上に持ちやすい大きさなので、食べ歩きグルメとしてもオススメです。

リマジェラテリアスタジオーネ

ジェラートの日本大会で優勝、さらには世界的なジェラートランキングでアジア最高位と評価されたジェラートの名店「アリマジェラテリアスタジオーネ」。

六甲山麓の酪農家さんが作る濃厚な牛乳のみを使用し、旬の果実・野菜をふんだんに使ったジェラートは、どのフレーバーも絶品♡

店内では毎日工房で手作りされているジェラートのほか、有機オーガニック豆を使用したコーヒーなどもいただけます♪

おわりに

日本最古の温泉であり、7つの泉源を見てまわれる有馬温泉。

まさに温泉好きにはたまらないスポットですよね!

せっかく有馬温泉に行くなら、温泉の歴史や泉質についてもしっかり学んでおきたいところ。

当記事で紹介した内容を少し頭に入れておくだけでも、有馬温泉での散策がより楽しくなること間違いなしですよ♪

有馬温泉の長い歴史に触れながら、ぜひお風呂や見どころスポット、食べ歩きグルメを堪能してくださいね。