陶芸には、ものを作り出す楽しさと喜びがあります。

元はただの土の塊から、食器や花器、果ては芸術作品など多彩な工芸品を生み出すことができます。

しかし、実際に土を練ったり、成形したりした経験がないと、不安なのも事実。

そこでこの記事では、初心者のあなたに、「陶芸の基本と入門」をテーマに、基礎的な制作の流れと必要道具についてご説明します。

その上で陶芸の魅力についてあらためてご紹介して参ります。

陶芸に関する基本用語

具体的な陶芸の技術について述べる前に、まず知っておいて欲しい陶芸に関わる基本用語についてご説明します。

前業

粘土の中に含まれている空気を抜く工程。

粘土の中に空気が含まれたままにしておくと、窯で焼いた時破裂します。

前業には荒練り、菊練りなど方法がありますが、いずれも粘土の組織を和らげ成形しやすくする重要な工程です。

成形

成形とは、作ろうとする物の形や大きさ、数量によって最も適した方法を選んで、粘土の形を作る工程や使い分ける方法。

ロクロや型を使わずに手で形を作っていく「手ひねり」や粘土をひも状に伸ばして積み重ねる「ひも作り」、少し乾かした生乾きの粘土を木の板のように貼り合わせる「はり合わせ」、回転する円盤に乗せて土を成形する「ロクロ作り」など様々な方法があります。

素焼き

素焼きとは、粘土を成形し、乾燥させた作品を水に浸しても壊れないように、また、さらに吸水性を増して次のくすりがけを容易にするために行う、一回目の焼成。

塗り

素焼きした器に釉薬ゆうやくを掛ける工程。

ひしゃくで掛ける方法や器を釉薬に沈める「ずぶ掛け」などの方法があります。

本焼き

釉薬掛けを施した器を窯詰めし、1300度近い熱で焼き上げる工程。釉薬はガラス化し、水漏れもなくなり食器や花器として使えるようになります。

陶芸に必要な基本的な道具や材料

粘土の種類

陶芸用に使用する専用の粘土。自然界に存在し、きめが細かく、水を含ませると滑りやすく成形しやすい特徴を持っています。

高熱で焼くと、器として成形できる専用粘土。

陶芸に使用する専用の粘土があり、

・自然界に存在する
・耐火性がある
・きめが細かい
・水を含ませると粘り気がでて滑らかになる
・成形しやすい

といった特徴を持っています。

陶芸に使用する粘土の種類は様々です。陶磁器は産地によって信楽、益子、唐津、萩などがあり、それぞれ使用している土の種類や焼き上がりの色、成形段階の扱いやすさ、焼成温度による耐久性によって異なります。

成形のしやすさや出来上がりの色具合、焼成温度によって使い分けができます。

釉薬

釉薬とは、焼き物の表面をコーティングしている薄いガラス上の皮膜のもとになる薬剤。

釉薬は、焼く温度と目的によって何種類も使い分けが可能です。

木灰や植物を原料とする「灰釉はいぐすり」や鉱物を原料とする「色釉いろぐすり」など多種類あります。

この内、灰釉とは草木の灰を主成分としたうわぐすりのことであり、けやきや松、竹やわら灰があります。

色釉とは、鉄や金、マンガンなど金属化合物を原料とする着色剤。

窯の種類

成形した粘土をいったん素焼きしたり、釉掛けした器を本焼きしたりする際に使う構造物の総称です。

古代より土の中に穴を掘って上に薪を乗せて燃やす「野焼き」も陶器を焼く一つの方法でしたが、高温になりにくく、焼き上がりも不安定な欠点が見られ、次第に「窯」が生み出されていきました。

陶器を焼き上げる窯には、使用目的や熱源、或いは窯の構造によって分類されます。

使用目的による分類:素焼き窯、本焼き窯、釉焼き窯など。
熱源による分類:薪窯、石炭窯、重油(灯油)窯、ガス窯、電気窯。
構造による分類:登り窯、徳利窯

などに分類されます。

陶磁器ができるまでの基本的な流れと、その役割

土を練る

土練りは粘土の堅さを均一にし、気泡や異物を取り除くだけでなく、さらに適度に粘り気を与えることで成形しやすくします。

代表的な手法は次の2方法です。

荒練り

主に粘土を均一にする事を目的とする土練り。

粘土を伸ばし、それを叩き、再び伸ばす、その繰り返し。

詳しい方法は下記の通り。 


①約3~5kgの程よい量の粘土を米俵形にまとめる。

②両手をそろえて、全体重をかけながら手のひらの付け根で粘土を押し付ける。

③手の力は真下だけでなくやや斜め前方に滑らすように押し付ける。

④手のひら側と反対側に伸びた粘土を手前に起こし、再び体重をかけて押し込む。この作業を最低でも十数回は繰り返す。

⑤横に広がった粘土を中に折ってまとめ込み、再び同じ作業で伸ばし込みます。最後に元の俵形に仕上げます。


この作業を繰り返すと、粘土は柔らかさと土そのものの密度が均一に仕上がります。

練っている途中で木片や小石があったら取り除きます。

菊練り

別名「ねじもみ」。菊練りは、粘土の中にある気泡を取り除くための土練りの手法です。

練っている途中で、菊の花びらのような模様ができるところから菊練りと呼ばれています。

菊練りは左右の手の動きが逆になります。

以下の方法は右利きの方のために説明します。左利きの人はその逆の方法を試して下さい。


①荒練りを終えた粘土を、右手で起こしながら反時計回りに90度回しながら、左手で強く粘土を押し込みます。

②再び右手で粘土を起こしながら回転させ、左手で次々に押していきます。右手で粘土を回しながら、左手は巻き込んだ粘土を下の方から少しずつ押し込みます。最終的に菊の花びらのような形に仕上げるのがポイント。

③この作業を少なくとも70回から100回程度繰り返すと、ほとんど気泡は抜けます。

④押し出す粘土の量を少しずつ少なくしながら、粘土を丸めれば作業は終了です。

成型

手ひねり

指先だけで粘土の形を作る最も簡単な方法。

一握りの粘土を両手で丸め、親指を粘土の真ん中を押し込んでくぼませます。

左手で少しずつ粘土を回転させながら、親指と人差し指で粘土を薄く伸していくと作品は完成です。

ひもづくり

「巻き積み」、或いは「巻きあげ」、「よりづくり」と呼ばれる方法。

まず粘土をひも状に伸ばします。

両手で粘土を挟み込み、手のひらで交互に前後に滑らせて少しずつ粘土をひねり出します。

人差し指程度の太さで、長くひも状の粘土にすれば完成。

適量の別の粘土をロクロに乗せ、厚さ1cm~1.5cm程度に伸ばして底の部分を作ります。

その上にひもに伸ばした粘土を積み上げていく方法がひもづくりです。

粘土と粘土の継ぎ目に気泡が入らないように重ねて行くのがポイント。

タタラづくり

タタラ板と呼んでいる「ヘゴ板」を利用して粘土を成型する方法。

丈夫な糸か針金を使い、左右両側のタタラ板に挟み込んだ粘土を均一の厚さで切り取ります。

スライスした粘土板で成型する方法がタタラ作りです。

ポイントは粘土板をスライスする時、向こう側から一気に切り取ることと、切り糸(針金)をたるませないようにする点。

ロクロ成形

「ロクロ」とは成形に用いる回転可能な円台。

電動のものが主流ですが、足で回す原始的なものまであります。

よく練った粘土をロクロの中心に据え、回転させながら粘土を成形します。

両手に水を付け、粘土の表面を濡らし、絞り上げるように土を徐々に上の方に伸ばします。

円形の器や食器を作る方法として最適。

ポイントはロクロの中心から粘土がズレないようにすることです。

装飾

成形した作品は、そのまま2回の焼成を行えば、十分器として活用できます。

けれど、慣れてきたら作品表面に模様を刻んだり、化粧泥をかけたりする「装飾」を施すと、さらに仕上がりが美しくなります。

はりつけ

作品の表面をよく湿らせ、そこに適当な大きさに丸めた粘土を押し当てるようにくっつけていく方法。

大きすぎる粘土をくっつけると、焼き上げる時外れてしまうので要注意。

たたき

あらかじめ模様を付けた「たたき木板」で、作品表面に模様を付ける方法。

平らな板と気に入った模様で表面に装飾することも可能です。

ひっかき

作品が固くならないうちに、櫛やノコギリの歯、「とびかんな」と呼ばれる専用道具などを使って作品表面にひっかいて模様を付ける方法。

その内「削り」と呼ぶ方法は、比較的薄く削って面取りする方法です。

化粧泥

焼き上げた陶器をより高級に見せるために編み出された技法が化粧泥を使う方法。

焼き上がりに白磁のような高級感が生まれます。

化粧泥は「浸し掛け」や「ひしゃく掛け」、器の口から流れる美しさを表した「流し掛け」など方法は様々です。

乾燥と素焼き

乾燥

成形及び装飾を終えた作品は十分乾燥させる必要があります。

水分を含んだまま焼くと生地に含まれた水分が膨張し、爆発します。

乾燥は通常直射日光を避け、1~2週間程度の間、日陰でゆっくり時間をかけて行います。

素焼き

作品を水に浸しても壊れにくくするため、また釉薬を染み込ませるために行う第一次の焼成作業です。

作品によっては素焼きせず、直接釉薬を掛ける「なまがけ」と呼んでいる手法もありますが、一般的には素焼き後、釉掛けする方法がベストです。

1300度にまで温度を上げる本焼きとは異なり、概ね焼成温度は上限が800度程度です。

小さい窯では4~5時間、大きな窯では8~9時間程度かけて行います。

急な温度上昇は作品にひびを入れる最大の原因。

ゆっくり温度を上げて丁寧に焼き上げるのがポイントです。

釉がけ

調整した釉薬を、素焼きの作品に掛ける作業。

釉薬は適量の水を加えて液体に近い泥状にします。

ひしゃく掛けやひたし掛け(どぶ掛けとも)、流し掛け、霧吹きがけなど様々な方法があります。

均一に釉がけしたいならひたし掛けが便利で簡単です。

釉がけしたあと高台(器の底の部分)に釉薬が付いたままだと、窯のなかで台に張り付いてしまうので、必ず拭き取って窯入れしましょう。

また、釉薬の厚さにムラがあると、釉が流れ落ちてしまうので、乾いてから削り取るなど後処理も忘れずに。

本焼き

焼き物作りの最終工程。

釉がけして十分乾燥させた作品を、窯詰めし、焼き上げます。

本焼きには次の三つの工程があります。

窯詰め

釉がけして十分乾燥させた作品を窯に詰めるには「さや積み」と「棚積み」の二通りの方法があります。

耐火粘土製の「さや」と呼ばれる容器に入れて、そのまま窯の中に積み重ねる方法が「さや積み」。

棚積みとは耐火粘土製の棚板とツク(柱)を使って、窯の中に棚を組み立てて作品を並べる方法です。

さや積みは直接炎が作品にあたるのを防ぎます。

棚積みは一度にたくさんの作品を焼き上げる時に便利な方法です。

窯焚き

窯詰めが終わるといよいよ窯焚きを開始。

窯焚きは通常初期の「あぶり」、中期の「攻め」、終期の「練らし」の3工程に分かれます。

焙りは弱火でじっくり焼き上げ水分を飛ばします。

窯の内部や作品をおおっていた煤が燃え尽きて、窯全体が赤みを帯び、明るく光り輝いてきたら「攻め」を開始。

温度も900度を超えます。

釉薬も少しずつガラス化するのがこの段階。窯の温度を1250度程度まで上昇させます。

攻め焚きによって窯の温度が1300度近くまで達したら、最後の練らし焚きに入ります。

このままの温度を30分から1時間ほど持続させ、作品の焼成を安定させれば本焼きは終了。

窯出し

窯の内部温度が100度程度(手袋をして熱くない温度)まで低下したら、窯の蓋を開き、作品を取り出します。

釉薬が溶け出して棚板やさやに付着していますが、そのまま窯から出して、後でゆっくり外しましょう。

この時割らないよう注意して下さい!

高台にこびりついた釉薬は電動サンダーや紙やすりで丁寧に削り取れば、待望の作品の完成です。

尚、窯出しの際は、窯の内部や棚板に付着した釉薬を丁寧に取り除いておくことも大切です。

次回に行う窯詰めの準備になります。

陶芸教室の選び方とそのポイント

陶芸教室の選び方とそのポイントは、以下の通りです。

●無理のない時間と予算の範囲で継続できること。

●なるべく遠い場所ではなく、アクセスが便利な場所にあること。

●道具や材料の準備が行き届いており、面倒見の良いスタッフがいること。

●将来的な活動をサポートしてくれる体制が整った教室であること。

以上が、主なポイントです。

このポイントを参考に、自分に合った教室を探してみてください。

おわりに

陶芸の楽しみは、作る喜びと、それを実際に使う喜びです。

作ったら、使うところまでが楽しみ、そう心の底から感じられる陶芸に、ぜひあなたも一度チャレンジしてみて下さい。