萬古焼とは、三重県四日市市の代表的な焼き物で、昭和54年(1979年)に国から伝統的工芸品に指定されています。
発祥は江戸時代中期。
茶道に精進した茶人であり、商人でもあった「沼波弄山」の茶の趣味が高じ、自ら茶器を焼き始めたのが始まりです。
急須や土鍋で知られる萬古焼ですが、特に土鍋の生産高は、国内の約8割を占めていると言われています。
「割れにくい土鍋」として人気があり、高い耐久性と耐熱性が特徴です。
萬古焼の土鍋が丈夫な理由は、ペタライトと呼ばれる鉱物が含まれた陶土を原料としていること。
ペタライトは熱による膨張率が低く、高温で加熱してもひび割れしにくい特性があります。
また、萬古焼の土鍋は、ごはん鍋や蒸し鍋、IH用土鍋など、豊富なバリエーションがあるのも魅力。
焼く、炒める、蒸すなど、さまざまな調理が可能で、季節を問わず一年中活用できます。
ただし、土を原料とする土鍋は吸水性があるため、お手入れには注意が必要。
初めて使う際は、水漏れやカビを防ぐための「目止め」と呼ばれる準備をしましょう。
目止め
事前に米のとぎ汁や小麦粉を入れた水を土鍋でひと煮立ちさせ、冷めるまで放置した後、よく洗ってから使用します。
また、割れる原因になるため、濡れたまま土鍋を火にかけることは避けてください。
臭いやカビを防ぐために料理を長時間入れたままにせず、使用後は土鍋をよく洗い、十分に乾燥させてから収納しましょう。
適切なお手入れで、使うほどに味わい深く、愛着の沸く土鍋になります。
今回は、オススメの萬古焼の土鍋を厳選してご紹介します。
ぜひ長く愛用できる土鍋選びの参考にしてみてください。
和風でスタイリッシュ!「萬古焼 黒十草」
日本で古くから親しまれている十草模様の土鍋です。
深みのある艶やかな地色の黒に、縦縞の白がアクセントとなり、和風でモダンな雰囲気が魅力。
ベーシックな色合いは高級感があり、テーブルの主役にふさわしい存在感もあります。
サイズは直径が約25.5cm、高さが約16cmの8号サイズ。
3〜4人用の十分な大きさで、ホームパーティー用としてもオススメです。
IH機器では使用できませんが、ガス火、レンジ、オーブンの使用が可能。
おでん、湯豆腐、水炊きなど、さまざまな鍋料理が楽しめます。
まあるい土鍋でふっくらごはん「美鈴のごはん鍋」
コロンとした丸いフォルムが可愛らしいごはん鍋。
美味しいごはんが簡単に炊けると絶大な人気を誇る土鍋です。
美味しく炊ける理由は、この土鍋の特徴でもある「球形」であること。
丸い鍋底は、沸騰した際に竈でご飯を炊くような熱の対流を生み、その熱は土鍋全体から包み込むようにお米に伝わります。
さらに、鍋の厚みは火を止めても余熱が適温を維持できるよう計算され、甘みのある、ふっくらとしたごはんに仕上がります。
3合炊きのほか、1合、5合、7合炊きがラインナップされており、ライフスタイルに合ったサイズが選択できるのも魅力です。
IHもOK!実力派のシンプル土鍋「STYLE WHITE セラミック加工IH用土鍋」
温かみのある白と、深みのある黒とのスッキリとしたコントラストが魅力。
IH金属加工が施されており、直火やオーブンのほか、家庭用のほとんどのIH機器で使用可能です。
IH熱源に対応しているため、平らな鍋底ですが、通常の土鍋と同様に調理もできます。
鍋内側の表面にはセラミックコーティング加工が施されており、汚れがこびりつきにくく、匂い移りがしにくいのが特徴です。
3~4人用の大きめサイズなので、仲間や家族とともに鍋を囲む食卓が楽しめます。
優しげな土鍋で芯まで温かい「京粉引 IH・直火両方対応土鍋 プレートタイプ」
優しい風合いが魅力の粉引き土鍋。
粉引きとは、ベースとなる器に白い泥をかけ、さらに釉をかけたもの。
温かみのある印象に仕上がるのが特徴です。
明るいグレーが白に柔らかく馴染み、シンプルで飽きのこないデザインが人気。
直火、オーブン、電子レンジに加え、IH機器で使用できるのもポイントです。
IH機器を使用する場合のみ、付属のプレートを鍋底に敷いて加熱します。
様々な熱源に対応する高い機能性と、上品なデザインが魅力の土鍋。
初めて購入する方や、プレゼントとしてもオススメの逸品です。
シンプルモダンの万能土鍋「TIJIKI TONYA IH土鍋」
一色使いで高級感のある土鍋。
白と黒の2タイプがあります。
和洋問わずさまざまな料理にマッチし、料理を引き立てるシンプルなデザインが魅力。
調理後はテーブルにそのまま出すだけでおしゃれな食卓を演出します。
IH熱源に対応しており、プレートを敷く必要はありません。
鍋の内側表面はセラミックコート加工が施されており、使用前の「目止め」は不要。
汚れが付きにくいので、お手入れしやすいのもポイントです。
おしゃれな唐草柄がポイント!「萬古焼土鍋 呉須唐草」
呉須の唐草模様がおしゃれな土鍋。
呉須とは焼き物の染付に用いる鉱物の名前で、焼き上がりが藍色に仕上がります。
アイボリーの地色に深い藍色の唐草が映える、個性的で華やかな雰囲気が魅力。
5~6人用の大きな10号サイズで十分な深さがあり、さまざまな鍋料理が大人数で楽しめます。
こちらは鍋のみとなります。
透明感のある美しさ「銀峰 貫入」
一人で鍋を楽しむのにぴったりな6号サイズ。
鍋の表面に入った細かなヒビは、「貫入」と呼ばれる模様の一種です。
艶やかな鍋に刻まれた繊細なヒビは、受ける光によって異なる表情が楽しめます。
手軽に使えるコンパクトなサイズで、鍋としてだけでなく、サラダやスープなどの器としてもオススメです。
また、小さな鍋ですが、土鍋の遠赤外線効果と保温効果で、料理が冷めにくいのも魅力。
品質の高さを引き立たせるシンプルなデザインで、使えば使うほどに愛着が沸く逸品です。
大輪の菊花が鮮やかに彩る「銀峰 菊花」
菊花の模様が美しい土鍋です。
華やかな色合いの土鍋は、テーブルを鮮やかに彩ります。
使用前の「目止め」の処理が不要なので、すぐに使える手軽さもポイント。
鍋本体に臭いや汚れを防ぐオリジナルの釉が使われており、お手入れも簡単です。
製造するのは、昭和7年(1932年)創業の銀峰陶器。
長きにわたり愛され続けているロングセラー商品に加え、現代のライフスタイルにマッチした実用性のある商品も人気です。
おわりに
温度がゆっくり上昇し保温効果も高い土鍋は、さまざまな調理に活用できる優れもの。
お米や根菜類などは甘みを十分に引き出し、煮込み料理はよく味が染みて柔らかく仕上がります。
鍋料理だけでなく、料理を美味しく仕上げる調理器具として注目を浴びている土鍋。
なかでも特に優れた耐久性と耐熱性があることで知られる萬古焼の土鍋は、IH対応やコーティング加工など、機能性に優れたタイプも充実。
扱いやすい土鍋も次々と誕生しています。
伝統的な表現方法にとらわれることなく、自由な発想で発展を遂げてきた萬古焼。
「萬古の印があることが一番の特徴」と言われるほど多彩な形があり、土鍋もまた、日々進化し続けています。
ぜひ土鍋選びを楽しみながら、自分にピッタリのアイテムを探してみてください。

萬古焼は三重県四日市市で作られる、耐熱性に優れた陶器として有名な伝統工芸品です。萬古焼というと「土鍋」が有名ですが、実は「急須」にも秘められた力があるのをご存知でしたか?

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