皆さんは、琉球びんがたをご存知でしょうか?

沖縄県に古くから伝わる伝統的な染物で、色鮮やかな色彩が特徴です。

中国や、さまざまな東洋の文化を吸収して誕生した琉球びんがたは、エキゾチックな中に日本的な雰囲気も残っており、独特の不思議な魅力があります。

この記事では、そんな琉球びんがたの歴史や種類、現在の姿などをご紹介します。

琉球びんがたとは?

琉球びんがたは沖縄唯一の染物

琉球びんがたとは、植物染料や顔料を併用した染物のことです。

実は沖縄は織物大国で、国が指定する伝統的工芸品として12種が指定されているほど(令和元年現在)。

そんな沖縄で唯一の染物が、今回ご紹介する「琉球びんがた」なのです。

琉球びんがたの魅力は鮮やかな色彩

琉球びんがたの魅力は、なんといってもその華やかな色彩。

描かれる文様は、花鳥風月などめでたい事が起こる前ぶれのしるしである「吉兆文様」が多いとされています。

沖縄の強い日差しに映える色鮮やかな染物は、まさに南国といった雰囲気。

昔は琉球王朝の身分の高い人しか着ることができなかったそうです。

びんがたには「江戸びんがた」、「京びんがた」もありますが、この二つのびんがたは比較的優しい色合いのため、同じびんがたでも琉球びんがたとはかなり雰囲気が異なります。

琉球びんがたの歴史

13~15世紀頃に誕生する

琉球びんがたが誕生した正確な時期は、判明していません。

しかし、「朝鮮王朝実録」という朝鮮の実録に、琉球びんがたのことを指すのでは?と思われる記述があることから、13~15世紀には作られていたと推察されています。

※文明11年(1479年)に記述されている「彩絵」や康正2年(1456年)の「紀白」など

琉球の人々が、その頃に交易していた中国・朝鮮・ジャワ・スマトラやパレンバン(インドネシアスマトラ島の都市)・シャム(タイ大国の旧名)などの東南アジア諸国から、様々な技法を取り入れていったと考えられています。

琉球王朝時代に栄える

その後、琉球びんがたは王族の礼服や日常服、中国からの冊封さくほう施設を歓待するときの踊衣装、神衣装など、貴重なものとして作られるようになりました。

庶民には、特別な時のみ許可された晴れ着などとして着用されていたようです。

その他、中国の皇帝へ貢ぐ贈り物としても重宝していたとされています。(「使琉球記」より)

琉球処分以降、衰退する

琉球の発展と共に栄えた琉球びんがたですが、明治政府により強制的に併合された琉球処分以降は衰退の一途をたどります。

王族や特別な人向けの側面が大きかったため、琉球王国の廃止によりその生産は激減したのです。

第二次世界大戦後に復活する

そんな琉球びんがたに更なるダメージを与えたのが第二次世界大戦でした。

貴重な後継者や代々受け継がれていた下絵や型紙などは、激しい戦禍の中で消失してしまいました。

しかし、終戦後の昭和28年(1953年)、沢岻たくし家・知念ちねん家・城間しろま家の紅型三宗びんがたさんしゅう家の一つである城間家の14代目・城間栄喜しろまえいき氏は、城間を守り抜こうと立ち上がります。

そんな栄喜氏のもとに人が集まり、昭和48年(1973年)に「琉球紅型技術保存会」が結成されました。

それから30年ほどを「紅型復興期」と称し、現代の紅型の礎となっていくのです。

琉球びんがたの種類は?

色での分類【紅型/ビンガタ】

びんがた(紅型)は、紅(色彩のこと)と型(文様のこと)から成り立った言葉とされています。

おそらく、皆さんが琉球びんがたと聞いてパッと頭に浮かぶ、色とりどりの模様が描かれたものが紅型です。

紅型は手法によってさらに細分化され、「白地紅型」、「染地紅型」のほかに「手附てつけ型」、「おぼろ型」、「返し型」などに分けられます。

色での分類【藍型/イェーガタ】

藍や墨の濃淡で染める琉球びんがたを「藍型」と呼びます。

大きめの模様であることが多く、濃淡さまざまな藍色と地の白色で表現します。

涼しげな仕上がりから夏の衣料に用いられることも多くあります。

染での分類【型紙染】

渋紙に模様を彫って型紙を作り、その型紙を布地にのせて染める方法です。

「型絵染」と呼ばれることもあります。

かつては「カタチキ」と呼ばれていました。

染めでの分類【筒描き染】

型紙を使わない技法で、その手順から「糊引/ヌイビチ」とも呼ばれます。

防染糊ぼうせんのりの入った糊袋から糊を搾り出すようにして模様を描いていき、後から模様に色を入れていきます。

※他の色同士が混ざらないよう、着色防止のために用いる糊

一気に線を引いて仕上げるため、難しい技法とされています。

琉球びんがたの作り方

琉球びんがたの作り方はさまざまで、筒描きや染地型の型紙を使った方法などもありますが、代表して白地型の型紙を使った方法をご紹介します。

型彫り

豆腐を乾燥させて作る「ルクジュー」と呼ばれるものを敷いて、型を彫っていきます。

ルクジューは柔らいので型が彫りやすく重宝されてきましたが、滑りやすいためビニール製の下敷きを使う職人もいます。

※型附けの前に地張りの工程が入ることもあります。

型附け

布面に型紙を置き、その上から坊染糊を施していきます。

ここで生地に文様が付きます。

※色挿しの前に地入れ(豆引き)の工程が入ることもあります。

色挿し

色付けをしていきます。

色を付ける順序は決まっていて、赤や橙などの暖色系を付けた後に寒色系を付けていきます。

隈取り

地色の一部をぼかして染めるぼかし染を施します。

この工程は「琉球びんがた」特有だといわれており、色挿しによって隈取りされる色は決まります。

隈取りとは、配色が終わった部分に濃い色でアクセントをつけて、画に立体感を出す作業です。

遠近感や立体感、透明感を強調する効果があるとされています。

※糊伏せの前に蒸し水元の工程が入ることもあります。

糊伏せ

染色した部分に地の色が移ることのないように、上から糊で覆います。

生地や文様の白場を効果的に見せる役割を果たします。

地染め

地色を引き染めしていきます。

刷毛を使って端から塗っていきます。

藍染の場合は藍の液に浸します。

黄色地は王朝時代の最も位の高い色とされていました。

色止め

顔料や染料を定着させるため、また生地の奥まで浸透させるため生地を蒸します。

色止め剤と呼ばれる薬品を使用することもあります。

水元

生地に施した顔料や染料、薬剤など、余分な部分を洗い落とします。

※更に型附けや糊伏せの工程が続くこともあります。

こうして、多くの工程を経て琉球びんがたは完成するのです。

琉球びんがたの今

洋服が主流の昨今、日常的に琉球びんがたを着用する人は減っています。

しかし、平成31年(2019年)には琉球びんがたの魅力を全世界に広めるため、「琉球びんがた普及伝承コンソーシアム」も発足され、伝統の継承や発展への意識は高まりを見せています。

また、現在の生活に取り入れやすい形に進化した商品もたくさん開発されています。

以下、いろいろなタイプの琉球びんがたをご紹介します。

着やすく取り入れやすい「二部式」

上下が分かれたセパレートタイプの紅型で、着物の着付けができない人でも簡単に着ることができます。

帯は用いずに、上着と巻きスカートを着る感覚で着用できます。

気軽に着られることから沖縄料理のユニフォームとして、特別な部屋着として、またお土産として人気です。

赤ちゃんの頃から触れられる「ベビーウェア」

一般的な短肌着や長肌着に紅型の染めが入ったタイプで、他にロンパースタイプなどもあります。

白地に鮮やかな紅型の色彩は、他ではあまりない配色です。

名入れしてくれるお店もあるので、お出かけや特別な日にオススメです!

日常的に楽しめる「タペストリー」

着物は着ないけど紅型のデザインは好き、という方にオススメなのがタペストリー(室内装飾用の織物)。

本格的な掛け軸タイプからカジュアルなものなど、様々なタペストリーも販売されています。

落ち着いた和室に華やかな紅型の配色は、床の間がぐっと新鮮な顔を見せることでしょう。

洋室向けに額の入ったタイプもありますよ♪

この他にも…

上で紹介したものの他にも、Tシャツやストール、バッグやポーチに日傘、財布からスマホケースまで多岐に渡り様々な紅型のアイテムが販売されています。

自分の日常に取り入れやすい形があると思いますので、ぜひ探してみてくださいね。

沖縄感溢れる紅型は、お土産にもうってつけです。

おわりに

運命に翻弄されながらも力強く今に残る「琉球びんがた」。

沖縄の地に生まれ育った琉球びんがたはそのデザインのように、これからも色濃く鮮やかに発展していくことでしょう。