こんにちは!

ワゴコロ編集部の生田目です♪

ワゴコロ編集部が全国の伝統工芸体験を紹介していくワゴコロ体験レポート。

今回は、“江戸風鈴製作体験”

江戸川区にある「篠原風鈴本舗」さんに行って来ました!

都営新宿線「瑞江駅」から徒歩12分。

公園がある穏やかな住宅街を進んでいくと到着します。


お店には沢山の有名人の方のサインが飾ってあります。

TV番組「マツコの知らない世界」で日本一の風鈴にも選ばれていました。

大正4年に創業した、江戸風鈴発祥の工房です。

江戸風鈴を作っている工房は、都内に2つしかないそうです。

風鈴で思い浮かぶのは、透明なガラスに夏らしい柄が描かれているものが一般的かと思います。

しかし、篠原風鈴本舗の特徴は全面に色が塗られている作品など、今までの風鈴と大きく違う個性的なデザインのものが多くあることです。

コロンとした丸いフォルム、干支のイノシシや招き猫が描かれていてとても可愛らしいですね。

お部屋に飾ったら幸運を運んでくれそうです!

残念ながら現在は販売されていないのですが、球団マスコットの風鈴も飾られていました♪

左が東京ヤクルトスワローズのつば九郎。

右が横浜DeNAベイスターズのスターマン。

どちらもとても精巧に描かれていて、見ているだけでなんだか癒されます。


風鈴は古来、「厄除け」として使われていたので、風鈴の美しい音色ともにチームに勝利を運んできてくれそうですね!


今回お話を伺わせていただいたのは、取締役の篠原惠美さん。

代々家族で風鈴作りを行なっている、篠原風鈴本舗の三代目 裕さんの元へ嫁いできたことをきっかけに、風鈴作りの道に入られたそうです。

江戸風鈴って?

江戸風鈴の歴史は300年以上あり、現在も変わらない技法で作られています。

「江戸風鈴」という名称は昭和40年頃、先代の又平さんより受け継いだガラス風鈴が江戸時代から作られていたことから、現会長である二代目の篠原儀治さんにより命名された独自ブランドです。

それ以前は、ガラス風鈴やビードロ風鈴と呼ばれていたそうです。

「江戸」と名前に入るだけで粋な感じがしますね!


儀治さんは江戸川区無形文化財に認定されたほか、平成16年に東京都名誉都民の称号を授与されました。

戦争への徴兵を経て、物資がない時代にはガラス瓶を作っていました。

その後、風鈴作りに奔走し、百貨店や海外へも販路を広げ日本の伝統文化の普及に貢献しました。


江戸風鈴の特徴は3つあります。

1つ目は、型を使わずに「宙吹(ちゅうぶ)き」で作られること。

熱したガラスを丸く膨らます際に、多くの場合は型を使って吹いているので簡単に同じ形になります。

しかし、宙吹きは難易度が高く出来上がる風鈴は大きさや形、音が一つひとつ微妙に異なります。

一人前に吹けるようになるのに、なんと13年程かかるそうです。

13年間、挫折せずに修行する職人さんの精神力の強さは尊敬します!


2つ目は、風鈴の鳴り口がギザギザになっていること。

ガラスがぶつかる音だけでなく、少しの風が触れただけで擦れる音が鳴ります。

敢えてギザギザを残すことで音の響きがよくなります。


3つ目は、ガラスの内側から絵付けをすること。

大量生産で作られているものは、外側に柄のシールを貼っているものが多いのですが、江戸風鈴はガラスの内側から手描きで絵付けをしています。

擦れたり、雨風で柄が落ちてしまうこともないですし、ガラスの艶も残ります。


同じ形、柄に見えても全て職人さんの手作業で作られているので、ガラスの大きさや厚さが異なるので、一つひとつ鳴る音が変わってきます。

世界に一つの自分だけの風鈴を見つけられることが、江戸風鈴の一番の魅力ですね。

体験スタート!

では、体験をしていきたいと思います!

絵付け体験では絵の具を使うので、汚れてもいい服装で来てくださいね♪

ラス吹き体験

釜の中に壺が埋め込んであり、壺の中に溶かした状態のガラスがあります。

なんと、釜の温度は1320度もあります!

近くに行くと熱気を感じます。

最初に口玉くちだまというピンポン玉サイズの玉を作ります。

ここは風鈴の鳴る部分になり、あとで本体から切り取ってしまいます。

共竿ともざおと呼ばれるガラスの棒を入れて溶けたガラスを一円玉サイズに巻きとって膨らます。


まずは職人さんのお手本を見せていただきます。

あっという間に綺麗なひょうたん型に出来上がりました。


見ている分には軽々とやっているように見えますが、果たしてうまくできるのか…

それでは、わたしも挑戦してみたいと思います!

吹いてみたら、強く吹き過ぎてぷくーっと大きく膨らんでしまいました。

息の加減が難しい…


今度は、恐る恐る職人さんにアドバイスしてもらいながら少しずつ息を吹き入れていきました。

この口玉を一人で作れるようになるには、3年程かかるそうです。

切り取ってしまう部分なのですが、一筋縄ではいかないようです。


口玉の上にもう一度ガラスを巻いてもらいます。

2回目に巻いた部分が風鈴になります。

職人さんに共竿を支え回してもらいながら、息を少しずつ入れて膨らまします。

内心、また息を入れすぎて膨らませすぎてしまわないか、ハラハラしました!


少し膨らんだところで、針金を使って穴を開けてもらいます。

これはあとで糸を通す穴になります。

再度釜で熱し、最後に強く吹いて膨らませて完成になります。

職人さんのサポートのお陰で綺麗な丸い形になりました!

風鈴部分を作れるようになるには、10年程かかるそうです。

いい形に吹けても、音がイマイチだったりすることもあるそうです。

一人前になるのは大変な道のりなんですね。


形を作った直後の風鈴は800度程あり、触れることはできません。

冷めて触れるようになったら、口玉を石で何度かコンコンっとあてて切り落とします。

綺麗に口玉の部分がポコっと取れました。

このままだと手を切ってしまう恐れがあるので、ヤスリで削っていきます。

ガラスの削れる、シャリシャリという高音の良い音が響きます。


完全に滑らかにするのではなく、ギザギザを残すが江戸風鈴の特徴になります。


音を比べさせてもらいましたが、一つひとつ高さや響き方が全く異なり驚きました。

江戸風鈴を購入される際は、ぜひ音を聴き比べてみてください。

世界に一つだけの、お気に入りの音色が見つかるはずです。

絵付け体験

先程製作した風鈴に絵付けをしていきます。

絵の具を使い、内側に描いていきます。

内側に描く上で、注意点があります。

まず、数字や文字は反転して描くこと。

次に人物や動物を描くとき、普通だったら顔の輪郭を書いて目を書いて、、、となりますが、内側に描く際は順番が逆になります。

目や口を書いて完全に乾いてから、顔の色を乗せるという順番になります。


ふむふむ。イラストを描くのは頭を使いますね。

スイカを描く場合は何から描くと思いますか?


答えは「種」から描くそうです!


また、全体に厚く色を塗ってしまうと、ガラスが重くなり音が響かなくなってしまうので、初心者にはオススメしないとのことでした。

職人さんのように、全体に薄く均等に塗れるようになるには技術が必要です。

口玉が付いていた縁の部分 は、音が鳴る重要な部分です。そこに厚く塗ると響かなくなってしまいますので、注意しなくてはいけません。

てっぺんの部分は糸を通すので、絵の具をつけると汚れてしまうため避けます。


ガラスは水を吸わないので、絵具に水を含ませすぎると流れてしまいます。

固めの絵の具で描いてください。

描きやすいのは、水玉や花火、トンボなどの丸や線で描けるもの。

縦の線も意外と描きやすいそうです。

それでは、絵付け体験スタート!

「う〜ん、何を描こうかな?」

何を描くか迷ってしまいますね。

絵心がないので不安しかない…


そうだ!

風鈴の下から筆を入れて描くのですが真っ直ぐな線を描くのがなかなか難しい。

そもそも、絵の具と筆を使うのなんていつぶりだろうか…。


さて、このマークは何でしょう?

じゃじゃーん!ワゴコロのロゴを描きました♪

細かい部分の粗はご愛嬌ということで許してください。笑

(絵がお好きな方は、難なく描けるかと思います!)


ロゴだけだと寂しいので、水玉を周りに散らしました。

丸を描くのも筆使いが難しく、改めて先程沢山見せていただいた職人さんの作品の素晴らしさを実感しました。

穴に糸を通してもらい、札をつけて完成!

チリンチリ~ン♪

少し低めの、いい音がします。

オフィスに持ち帰り、飾ってみました!

この夏は、このワゴコロ風鈴が編集部のオフィスに涼を運んでくれるでしょう。


元々、中国から魔除けとして伝わった風鈴。

時代は流れ、音で涼しさを感じる夏の風物詩になりました。


篠原風鈴本舗さんの風鈴は、音が本当に綺麗です。


ちなみに、風鈴のサイズが大きいと「低い音」。

ガラスの厚みがあると「高い音」になる傾向にあるそうです。

しかし、実際は風鈴が大きくても、ガラスが厚いなどの要素が加わると高い音になることもあり、鳴らしてみないとどんな音になるかはわかりません。


ぜひ、どんな音が鳴るのか種類豊富な美しい風鈴の音色を聴きに来てください。


みなさんも世界で一つの音色で、今年の夏の暑さを乗り越えませんか?

7〜9月は繁忙期となるため体験が出来ないので、

今年の夏に間に合わせるなら6月までの体験をオススメします。

江戸風鈴製作体験をしてみたくなったら

住所:東京都江戸川区南篠崎町4-22-5

tel:03-3670-2512

営業時間:9時〜18時 (12時〜13時は昼休みのため営業しておりません。)

定休日:日・祝日

製作体験 予約制

1、 絵付け体験 1時間程 1500円

2、 ガラス吹き+絵付け体験 1時間45分程 2000円