
日本では女の子が生まれた家庭では、3月3日の雛祭りに備えて雛人形を買い揃えるのが当たり前のようになっています。
ところで、雛人形と言ってもいくつもの種類があることをご存知でしょうか。
はじめて雛人形を購入しようとした時、その種類の多さに戸惑うかもしれません。
そこで、雛人形の種類や選び方、値段や相場などについてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
雛人形の種類
雛人形も、従来の座った姿の座り雛から立ち雛やモダンタイプなど、個性的でおしゃれな人形が出てくるようになりました。
それぞれについて、以下に解説します。
雛 人形・座り雛 正統派タイプ
正統派タイプの雛人形は、大きく2種類に分類されます。「衣裳着人形」と「木目込人形」の2つです。
衣裳着人形
仕立てがしっかりしている着物を着せ付けて作られた雛人形です。
● 雛飾りは多段の豪華なものが多い
● 小物類、調度類も手が込んでいて華やか
● シャープでアダルトな顔立ち
といった特徴があります。
木目込人形
決まった型の溝に沿って衣装となる布を張り込んで作られた雛人形です。
● コンパクトにまとまっている
● 可愛らしい雰囲気を持っている
● ふっくらした顔立ち
といった特徴があります。
雛 人形・立ち雛
雛人形はもともと平安時代の頃、庶民の間で行われていた風習に使われたのが最初とされています。
その風習とは、幼児に降りかかる災いを避けるため、人の形に似せた人形を作り幼児の穢れをその人形に移して川に流すというものでした。
当時作られていたのは紙を素材とした素朴なもので、立ち姿の人形でした。
雛人形と言えば現在では座った姿のものが一般的ですが、ルーツを辿れば立ち雛が最初だったことが分かります。
和洋折衷の日本の住居では、近年、フローリングの洋室に立ち雛が似合うと考える人も多く、雛祭りに立ち雛を飾る家も出てきています。
立ち雛を支持する人は、「コンパクト(雄雛&雌雛だけの組み合わせ)」「おしゃれで大人向き」「歴史的を踏まえていて格調高い」などの魅力を感じているようです。
雛 人形・モダンタイプ
雛人形も、インテリアの一つととらえ、従来の正統的なものからおしゃれで個性的なものが提供されるようになりました。
以下にいくつか事例をご紹介します。
まどか飾り
円形の飾り台の中に、
● 雄雛
● 雌雛
● 三人官女
● 五人囃子
● 雛飾りの調度類
などがコンパクトに納められており、個性的で可愛らしい雛飾りです。
個性的な構図のモダン雛
雄雛、雌雛2体だけの組み合わせで、従来の2体が並んで正面を向いている一般的な正統派の構図ではなく、例えば座っている雄雛に雌雛がしなだれ掛かっているような個性的な構図のものなどがあります。
木製のモダン雛
雄雛、雌雛2体だけの組み合わせで、それぞれの雛人形の顔かたち、衣装などが極端に簡素化されデフォルメされており、上質な現代アートを思わせるおしゃれで洋室に似合う雛飾りです。
モダン立ち雛
雄雛、雌雛2体だけの組み合わせで、例えば桜と橘の木が飾ってあるだけなど、簡素で洗練された飾り台が特徴的な雛飾りです。

雛人形の選び方
雛人形選びにはいくつかのポイントがあり、それらを押さえて購入すれば失敗は少ないでしょう。
以下では、そのポイントについて解説します。
雛 人形選びのポイント
人形の顔や衣裳のデザインに注目する
雛人形、特に雄雛、雌雛の顔立ちや衣裳のデザインは、雛飾り全体の印象、雰囲気を決めてしまうので重要です。
とりわけ雌雛は女児の分身ともいえるため、子どもの意見も取り入れてその子の好みの顔立ちや衣裳のデザインを選んであげるとよいでしょう。
雛飾り全体の大きさを確認する
通常、雛飾りは自宅に飾りますので、雛人形を購入する前にはあらかじめ飾る場所のスペースを考慮して、雛飾り全体の大きさを決める必要があります。
小物類、調度類にも注目する
雛飾りは人形のほかに、雪洞(ぼんぼり)などの小物類も構成要素としておろそかにできません。
これらも人形と同じく、雛飾り全体の雰囲気を左右するので慎重に吟味する必要があるでしょう。
雛 人形はブランドで選ぶ?
雛人形を選ぶに当たっては、あらかじめ選ぶポイントを押さえておけば失敗は少ないと言えますが、高い買い物なので絶対に失敗したくないと考える人もいるでしょう。
そういう場合には、雛人形専門店としてブランドがあり、名の知れたメーカーやお店で購入するのも一つの手段です。
そこで、雛人形のブランドとして有名なメーカーやお店を、以下にご紹介します。
吉徳大光(よしとくたいこう)
雛人形の最高位のブランドとして非常に有名です。このメーカーは、「雛人形は顔がいのち」というポリシーのもと、特に雛人形の顔を上品で美しく仕上げてくれることで定評があります。
真多呂人形(またろにんぎょう)
木目込み人形の老舗メーカーとして有名です。木目込み人形は上賀茂神社が発祥の地とされていますが、真多呂人形はその正当伝承者としてただ一つだけ上賀茂神社から認定されているメーカーです。
高島屋
日本の代表的な百貨店の一つで、「高島屋の雛人形」として人気があり、ネットからの引き合いも多いようです。
三越
三越も日本の代表的な百貨店の一つで、「三越オンラインストア」からは上質な雛人形を入手できると定評があります。
久月
吉徳大光と並んで雛人形の最高位のブランドの一つ。「♪人形の久月♪」というテレビCMでもお馴染みですね。
雛人形の値段、相場について
この項では、雛人形の値段について、雛人形の種類ごとの相場はどのようなものか、ご紹介します(値段は売れ筋の値)。
値段は、衣裳に使われる生地の種類や織り方などの違いによって変わってくるので幅があります。
正統派、衣裳着人形
● 親王飾り(雄雛と雌雛のみ):5万円~12万円程度
● 段飾り(3~5段):8万円~20万円程度
● 7段飾り:20万円~50万円程度
正統派、木目込人形
3万円~15万円程度
立ち雛
3万円~15万円程度
モダンタイプ
5万円~20万円程度

雛人形をレンタルしたいなら
雛人形は高価なので、購入するのではなくレンタルでまかなおうというケースも最近はあるようです。
そこで、雛人形はどういうところで、どの程度の金額でレンタルできるのかについてご紹介します。
人 形の都邏弥【とらや】
・衣裳着人形 2週間-親王飾り(雄雛と雌雛のみ):3万円程度
・衣裳着人形 2週間-3段飾り:8万円程度
・木目込人形 2週間-親王飾り(雄雛と雌雛のみ):3万円程度
・木目込人形 2週間-5段飾り:4万円程度
おわりに
女の子なら、物ごころついて最初に意識する着物の華やかさは雛人形からという人は多いのではないでしょうか。
日本でも、日常的に着物を見る機会が減ってきてしまっている現在、雛祭りは着物の美しさ、艶やかさを感じることができる数少ないチャンスのひとつなのかもしれません。
これから雛人形を買うつもりの人にとって、今回の記事が参考になれば幸いです。

3月3日の桃の節句、つまり雛祭りは、一般的には雛人形を飾り女児の健やかな成長と幸せな行く末を祈るお祭りです。
一昔前なら、大家族の一戸建てでは雛人形も5~7段の雛段を用意し、最上段にはお内裏様(おだいりさま)とお雛様が鎮座(ちんざ)、下段には三人官女や五人囃子などが設(しつら)えられ、豪華さを演出していました。

埼玉県さいたま市岩槻区で作られる、国の伝統的工芸品「岩槻人形」は、雛人形や五月人形などの節句人形でも名高く、数々の賞を受賞した工房もあります。この記事では、現代にも続く岩槻人形の歴史や魅力、特徴、制作工程など基本的な情報をはじめ、岩槻で行われる人形に関するイベントや販売店についてもご紹介していきます。

埼玉県越谷市に工房を構える柿沼人形。
1950年に東京で創業し、二代目である父の柿沼東光氏が広さを求めて埼玉に工房を移した。東京都の伝統工芸品「江戸木目込み」の技法を使い、主に節句人形を製造している。伝統を守りつつ、10年20年先を見据えた他にない唯一のものを作ろうと、本物志向で挑戦を続けている。

冬の肌寒さが和らいで来る頃、店先ではひな人形やひな祭りのお菓子をよく見かけるようになりますよね。
ひな祭りは、ひな人形を飾ってお祝いする女の子の節句・・・ということは何となく知っている人も多いと思いますが、ひな祭りの由来や風習はどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。