日本の伝統文化の代表、着物。現代では礼装着としてその品格を保っていますが、実はおしゃれ着としても巷で人気沸騰中です。

着物を颯爽と着こなし、街を闊歩する男性はとても素敵。

お出かけに、パーティに、粋な着物姿は一目置かれること間違いなし。

着物について知り、ワンランク上のおしゃれを楽しんでみませんか。

知っておきたい男性の着物の基本

日本独自の衣服である着物の魅力は、その見た目だけではありません。

着物は、日本の気候風土にあわせて作られおり、夏は涼しく、冬はとても暖かい、そして上手に着こなすことができればとても着心地がよいという特徴があります。

私たちが着なれている洋服との大きな違いは、その仕立て方。着物自体の形や縫い線を見るとわかりますが、着物の仕立てにはほとんど曲線がありません。

着物をたたむと、しわが寄ることなくきっちりと平面的な長方形になります。この平らな一枚の布を人の体に合わせて調節することで、衣服として完成するのです。

特に男性の場合は、腰帯一本を締めるだけで着こなすことができ、体に密着することなくゆったりとした着心地となるため、開放的でリラックスできる衣服といえるでしょう。

男性が着る和服の種類

第一礼装

着用場所・特徴
【着用場所】
・結婚式の花婿、新郎新婦の父親や親族
・格式を重んじるフォーマルな席

【特徴】
「紋付き袴」という言葉は男性の正礼装を表す言葉で、正式には「黒紋付羽織袴」と言います。
言葉通り、「紋付」の着物に、「羽織」、「袴」の組み合わせです。
第一礼装は、黒地に五つ紋の入った「黒紋付」に縞織りの袴という決まりがあります。
着物や帯の種類
【着物】
黒羽二重、染め抜きの五つ紋。

【羽織】
黒無地、染め抜きの五つ紋、白の丸組み紐。

【帯】
博多、西陣の角帯、無地か紋織

【袴】
仙台平の縞織り。色無地の場合は色の縞織り。

【襦袢】
白羽二重、または色羽二重に、白の半襟。


準礼装・略礼装

着用場所・特徴
【着用場所】
準礼装
・成人式
・結婚式に招待された方

略礼装
・お茶会や気軽なパーティ

【特徴】
染め抜き五つ紋の色紋付は、第一礼装に準ずる準礼装としてフォーマルな装いです。
新郎のお色直し、2次会などで着用できます。
また、パーティやお茶会などにも適しており、お茶会の際には、羽織なしで着物と袴が正装とされます。
五つ紋が最も格が高く、続いて三つ紋、一つ紋があります。
それほど格式を重んじない場所では、紋入りの羽織を羽織れば、着物に紋が入っていなくても可とされます。
なお、紬はその値段とは関係なく、もともと格が低いため、高価なものでも正式な礼服にはなりません。
友人との集まりなどに着用するとよいでしょう。
着物や帯の種類
【着物】
羽二重、お召など色無地に、紋入り。
略礼装として、紬。

【羽織】
色無地に、紋入り。

【帯】
絹の角帯

【袴】
仙台平、無地のお召し、紬

【襦袢】
白羽二重や色羽二重。半襟は着物にあわせてコーディネイト可


普段着(着流し)

着用場所・特徴
【着用場所】
・一般的な外出
・気軽な普段着

【特徴】
「着流し」とは一般的に、袴を着けず、着物に帯を締めるだけのスタイルを指します。
カジュアルで気軽な普段着としての装いです。
ただし、以前は、着物に羽織を重ねた「袴ナシ羽織姿」を「着流し」と表現したころもあり、現在でもその意味で使われる場合があります。
「着流し」に羽織を一枚重ねるだけで、着物姿がきっちりとした印象となり、外出着、よそ行きとして上品な着こなしとなります。
洋装で言うジャケットやスーツ姿をイメージすればよいでしょう。初詣、新年会、懇親会、同窓会などにもぴったりです。
また、羽織には防寒の役割もあり、よそ行き云々にこだわらず、寒ければ羽織を着用、暑ければ着用しないという着方もあります。
着物や帯の種類
【着物】
お召、縮緬、紬、ウール、ポリエステルなど

【羽織】
お召、縮緬、紬、ウール、ポリエステルなど

【帯】
角帯、兵児帯

【袴】
なし

【襦袢】
長襦袢、半襟とも色柄に決まりなし。

※男性着物の特有の用語

浴衣

着用場所・特徴
【着用場所】
・夏祭り
・カジュアルな外出

【特徴】
着物よりも一段と気軽で、夏のおしゃれ着の定番となりつつあります。
シャリ感のある麻素材はより涼しく、見た目もおしゃれ。
綿素材はシャリ感がなく体に沿う感覚の風合い。
どちらも腰帯一本で着付けるため、リラックスした着心地で、暑い夏を快適に過ごすことができます。
着物や帯の種類
【浴衣】
麻、綿、絽など

【襦袢】
浴衣は長襦袢ナシで着用。汗取りのために肌着をつけることをオススメ。


男性が着物を着るときは何を揃えればいい?

着物はふだん着ている洋服とは全く別物のため、履物から始まる和装品一式を揃えなければなりません。

また、着用サイズや着用感も洋服とは異なるため、初めての方はサイズ選びにも気をつけましょう。

最低限必要な和装品

1.着物格、素材、色など、好みはもちろん、使用目的に応じた着物を選びます。
2.帯男性用帯は「角帯」が一般的です。家でのリラックス時には柔らかい「兵児帯」を使用することもあります。
3.長襦袢着物の下に着る下着の一種です。
下着の一種ではありますが、その色は白ではなく青系など比較的派手目な色や柄ものが多いです。
袖口からちらりと見えることを計算に入れて選びます。
また、衿元を見せて着こなすのですが、この衿には半衿はんえりという布をかぶせてあり、着物の色とコーディネイトして色遊びを楽しむことができます。
4.履物着物の足元は、雪駄、草履、下駄になります。雪駄や草履が一般的で、鼻緒の色は自由に選ぶことができます。
ただし、白足袋を履く礼装の場合は、白鼻緒の雪駄という決まりがあります。下駄はカジュアルな着こなしに適しています。
5.足袋足袋は、洋装でいう靴下にあたります。
男性物では黒が基本ですが、最近では着物の色や好みに合わせて、カラフルな色足袋を選ぶ人も増えています。
また、お茶会や弓道など、そして礼装では白足袋という決まりがありますので注意しましょう。
6.着付け用腰ひも2本
着物を着付ける際の道具です。長襦袢の仮留め用、着物の仮留め用、合計2本です。


その他、あると便利な和装品

1.羽織お出かけ用として着物を着こなしたい人は、羽織も揃えましょう。
2.羽織紐羽織の前を留めるための道具です。素材や飾り、デザインが様々で、おしゃれ小物としての役割も持っています。
羽織や着物の色とあわせてコーディネイトできます。
3.肌襦袢・ステテコ長襦袢の下に、本来の下着として着るものです。綿のさらしで作られ、汗を吸い、着物を汚れから守ります。
最近ではシャツタイプのものも出回っています。日常使っている下着でも代用できます。


初めての着物はレンタルで

初めての着物はレンタルしたいという人も多いのでは?

着物から帯、履物まで、ほとんどの和装品は一式セットでレンタルできます。

しかし、直接肌につけるものはセットされていないことが多いので、購入をオススメ。

足袋、肌襦袢、ステテコは、自分専用のものを購入しましょう。

サイズ選びのポイント

反物を購入し自分サイズに仕立ててもらう場合は、仕立て屋さんなどプロがきっちり採寸をしてくれますので、自分の体形にぴったりの着物ができあがります。

一方、最近では仕立て上がりの着物も多く、値段も手ごろで気軽に購入できると人気が高まっています。

仕立て上がりの着物を購入するのであれば、まず試着をし、着丈、袖丈、身幅の合わせなどをチェックしましょう。

【着丈】
帯を締めた時、裾が足の甲ぎりぎり、または、くるぶしが隠れるくらいがよい。

【袖丈】
帯を締め着付けた状態で斜めに手を下ろした時、袖が手のくるぶしより少し短めがよい。


ネット販売やネットのレンタルなどで試着ができない場合は、サイズ表示を確認してください。

適応身長に合わせる、または身長から30cmほど引いた着丈を目安として選びましょう。

着た後も大事!着物の手入れ方法

着物はお手入れが大切です。

着物は着る機会が少なく、しまっておく期間が長い上、湿気に弱いため、お手入れをしないとカビたり虫がついたりします。

特に正絹の着物は要注意です。

お手入れ方法は、1年に1~2度の虫干し。

お天気の良く乾燥した日、直射日光の当たらない風通しのよい場所に干します。

お昼をまたいだ3~4時間が理想とされています。

忙しければ、箪笥たんすから出し、たとう紙を開けておくだけでも違いますので、ぜひ実践しましょう。

また、着用後はすぐにたたまず、1~2時間着物用ハンガーにかけておくことをお勧めします。

湿気をとり、しわを伸ばす効果があります。帯も同様、床につかないように折り畳み、かけておきましょう。

着物のたたみ方

①着物の衿を左側に向けて広げ、手前の見ごろを脇線でたたむ。

②おくみ線で折り返し、衿下線を脇線に合わせる

③奥側の見ごろの衿を引き、手前側の衿に合わせる。衿下線もぴったり合わせる。

④この時、首の後ろ側に当たる衿部分は、内側に向けてたたむ。

⑤奥側の脇線をつまみ、手前側の脇線(衿下線)に合わせてたたむ。
 ちょうど、背中の中心線でたたんだような形になる。

⑥この時、両袖もきっちりと重ねる。

⑦上になった袖を、見ごろ側に折り返す。

⑧見ごろを縦半分で折りたたむような気持ちで、裾を肩山に合わせてたたむ。

⑨もう一方の袖は、見ごろの下側に折り返す。

知れば楽しい着物の予備知識

着物の種類「染め」と「織り」

【染めの着物】
白い糸で白布を織り、その白い布を染め、色や柄をつけるものです。

男性の着物でいうと、黒紋付、色紋付、江戸小紋などが染めの着物で、格の高い着物として位置づけられます。



【織りの着物】
糸の状態で染め、柄や模様をつけながら織りあげたものです。

代表的な織りの着物は紬です。

様々な種類がある紬の中、大島紬や結城紬はとくに有名で、大変高価なものもあります。

ウールの着物も織りの着物に分類されます。織りの着物は、カジュアルな着物として格付けされています。

着物の仕立て「袷(あわせ)」と「単(ひとえ)」

あわせ」と「ひとえ」は着物の仕立て方の違いです。

あわせの着物】
裏地が付いた2枚仕立ての着物のことです。

一般的な着物はほとんどがこのあわせの着物です。

あわせの着物は、10月から5月くらいまで、長い期間着ることができます。



ひとえの着物】
裏地がついていない一枚仕立ての着物を指します。

軽くて涼しく、6月や9月など季節の変わり目や、春や秋の汗ばむ日に最適な着物です。

あわせ」と「ひとえ」は仕立て方の違いであり、フォーマルな席以外は、いつ着てよい、着て悪いという決まりはありません。

気候に合わせて自分が着心地がよいと感じるものを選べばよいでしょう。

おわりに

古来より伝わる日本文化の代表、着物。

知れば知るほど興味深く、楽しみ方も幅が広いものです。

ワンランク上のおしゃれ着として、様々なお祭りやイベントにもぴったり。

格好よく着こなして、颯爽と出かけてみませんか。