竹細工と漆器を合わせた総合芸術の籃胎らんたい漆器は、お盆や花入れ、お手拭き置きなど日常の道具として使われています。

とは言っても、籃胎漆器と知らずに使っている方も多いかも知れませんね。

実は身近にあるけどあまり知られていない、そんな籃胎漆器についてお伝えします。

籃胎漆器とは

らんとは竹で編んだかごのことを言います。

その籃を母胎として、幾重にも漆を重ね塗りし、磨いていったものを籃胎漆器と呼びます。

高級感のある漆細工ですが、籃胎漆器は意外とリーズナブル。さらに軽くて丈夫ということから、長い間人々に愛されています。

特に茶道の世界では、花入れはもちろん菓子器などにも使われる人気の素材なのです。


籃胎漆器の歴史

籃胎漆器の始まりは、明和2年(1765年・江戸中期)。

当時の久留米藩が、京都の有名な塗物師・勝月半兵衛しょうげつはんべえを招いて技術指導を得て、久留米漆器が特産品となりました。

もともと久留米市の隣、八女地方は良質な竹の産地であり、様々な竹の工芸品が作られていました。

明治18年には久留米藩の御納戸役おなんどやく※1塗師・川崎峰二郎(川崎峰次郎)と竹細工師・近藤幸七こうしち、茶人・豊福勝次とよふくかつじが共作して、竹籠の漆工芸品を作ります。

これは久留米籠地塗くるめかごちぬりと言われていました。

※1献上品を扱う職の一種

久留米籠地塗が籃胎漆器と呼ばれるようになったのは、明治28年に京都で国内勧業博覧会が開催された時のことです。

当時の商務次官・前田正名と台湾総督・樺島資紀かばやますけのりからその名称を受けたと言われています。

やがて昭和天皇御即位(御大典・昭和元年)には、籃胎漆器の屏風びょうぶが献上品となり、昭和18年には、籃胎漆器が「国の技術保存工芸品」に認定されました。

現在では、久留米市だけでなく福岡県知事指定の伝統工芸品として人気を集めています。

籃胎漆器の作り方

籃胎漆器の作業工程は非常に細かく、何十種類にも及びますが、それらは大きく下記4種類に分類することができます。

1.竹編み

2.下地作り

3.漆塗り

4.研ぎ出し


竹の節を切り落として同じ幅と厚さに揃えた「竹ひご」を編むのが「竹編み」。

用途に応じて編み方を変えて、様々な竹細工を作りあげなくてはいけません。

そして、その次が「下地作業」と言われるもので、目地※2さび※3を埋め込むように塗っていき、全体を平にします。

実は下準備とも言えるこの二つが重要で、熟練の技を必要とするのです。

※2つなぎ目
※3染色液・墨黒の深い色合いがあり、竹のつなぎ目を浮き上がらせる効果がある

その後、漆塗りとなります。

黒や朱色だけではなく、何種類もの漆を塗っては砥ぎ、塗っては砥ぐ作業を繰り返します。この作業を続けることで、強度も増していきます。

竹細工に漆を塗っただけの籃胎漆器は壊れやすそうという印象を受けるかもしれませんが、一度使ったらその丈夫さに誰もが驚くと言われています。

最後に一目一目丁寧に砥いで、仕上げ漆を塗ったら完成です。

籃胎漆器の工房

上らんたい漆器 

初代の井上熊吉は、明治41年には旧久留米藩主・有馬家直営の赤松商店にて籃胎漆器部門職長になったと言われるほど、古い歴史を誇ります。

籃胎漆器と一緒に歴史を刻んできたと言っても過言ではないでしょう。

店舗での販売はもちろん、全国の有名百貨店との出店も多く、オンラインショップも充実しています。

西日本鉄道の新しい観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の天井内装に使われた手編み竹細工は、こちらで作成されたとの事。

精巧な技術を駆使した竹編み、その技術の高さには定評があります。

住所:福岡県久留米市小頭町6-23

吉籃胎漆器製作所

「春夏秋冬、季節の移り変わりが激しい日本で使う籃胎漆器は、日本の素材でなくてはいけない」というポリシーで、九州産の真竹にこだわる老舗・籃胎漆器店。

予約をすれば、籃胎漆器作りの体験も可能です。

興味のある方は下記電話番号に連絡してみてください。

ネットでの購入は難しいですが、お店の直接販売の他にも有名百貨店や各種イベントに定期的に出店されています。公式ブログもチェックしてみると良いかも知れません。

住所:福岡県久留米市原古賀町29-13 
Tel: (0942)32-2669

州籃胎漆器株式会社

籠やお盆、籠バッグといった小さいものから、衝立ついたてや丸テーブルといった大きな家具まで扱う籃胎漆器店です。

ネット注文も可能ですが、お店で実物を見てみると印象が異なることもあります。

実際に見て購入するのもおすすめです。

住所:福岡県久留米市野中町908-1

おわりに

昔から、漆製品は熱に弱いと言われていました。

それは籃胎漆器も同じでしたが、最近は熱に強いウレタン系の塗料も使われるようになりました。

また、工房によっては使いやすさにこだわり、洗う事ができる籃胎漆器も作られています。

年々進化しているので、購入する際はしっかりと取り扱いを確認しましょう。

壊れにくいのに美しいのが、籃胎漆器の魅力なのです。