2020年の東京オリンピックまであと少し。その開催に向けて、自国の文化を見直す動きが加速し、テレビや雑誌、行政からも伝統工芸への注目度が増しています。

中でも日本各地で作られている様々な漆器。実は、海外ではこの漆器のことを「JAPAN」と呼ばれているのをご存知でしたか?

漆器は、日本が世界に誇れる伝統工芸品の中でも、特に日本らしさが表れている素晴らしい傑作品なのです。

他に、織物、染織品、陶磁器、仏具、和楽器や提灯などなど、全部で1192品目の伝統工芸品がありますが、その中でもさらに、経済産業大臣から「伝統的工芸品」と指定されているものが232品目あります。

この「伝統的工芸品」の指定要件とは、以下の5つの要件です。

① 主として、日常生活で使用する工芸品であること。

② 製造工程のうち、製品のもち味に大きな影響を与える部分は、手作業が中心であること。

③ 100年以上の歴史を有し、今日まで継続している伝統的な技術・技法により製造されるものであること。

④ 主たる原材料が、原則として100年以上継続的に使われていること。

⑤ 一定の地域で当該工芸品を製造する事業者が、ある程度の規模を保ち、地域産業として成立していること。

以上の要件は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律で規定されているものです。

今回はこの希少な伝統的工芸品の一つでもある漆器に焦点を当て、その中でも日常的に使われる箸をご紹介します。

漆器は天然素材だけで作られており、軽くて丈夫です。

更に、金属のものとは異なり熱くならないので、漆器の箸は非常に優れているのです。

それだけでなく、漆器の箸が食卓にあるだけで和のぬくもりや和やかな雰囲気を演出することもできます。

そんな漆器の箸の中から17種類のオススメ商品をピックアップしてみましたので、ぜひご覧ください!

日本最北端の漆器産地より、匠の技のご紹介!「津軽塗箸 桐箱入り」

重ねられた漆の鮮やかな色彩とモダンな黒が何とも魅力的な津軽塗り箸。

青森県弘前市周辺で作られているこの漆器は、300余年の歴史を有する伝統の逸品です。

創始は寛文かんぶん年間の頃、津軽藩において産業開発のためにおこされました。

丈夫で実用性が高い一方、外見の優美さも兼ね備えている為、リピーターが多いといわれる人気箸です。

またこの箸、作業工程実に50回を超えるという膨大な手間と時間を注ぎ込むほどの丁寧さから、「津軽の馬鹿塗」の異名があるそうです。

漆を塗り、研ぎ、磨き…を繰り返し、一点一点職人さんが心を込めて手作りしています!

箸に施された菱型の金のデザインがオシャレ♡「会津絵菊絵 (漆・手塗・手描) 天然木」

スマートなフォルムとつややかな菊模様が、品の良さを演出してくれています。

福島県会津地方で主に生産されているこの会津塗は、16世紀戦国時代に豊臣秀吉の命を受けて領主となった蒲生がもう 氏郷うじさとが、前の領地(現・滋賀県)から木地師や塗師を呼び寄せて、先端技術を伝承させました。

これによって会津塗の技術が飛躍を遂げ、漆栽培から加飾までを手がける一大産地となったのです。

外観の品の良さに加えて、縁起の良い意匠が日本人に好まれています。

世界のセレブも愛用!宝石のように光る螺鈿が気分を上げてくれます!「竜宮蛍 若狭塗箸」

箸で有名な小浜で、わずか4人だけ認められた「経済産業大臣指定伝統工芸師」によって作られました。

あの米国代44代大統領バラク・オバマ氏や多くの著名人にも贈呈されている逸品です!

若狭塗わかさぬりは17世紀、小浜おばま藩の塗師が大陸の「存星ぞんせい」という技法から着想を得て作り始めたのが起源と言われています。

卵殻や松葉、菜種やもみ殻などを用いる研ぎだしの変わり漆が特徴ですが、この個性的な模様は、特に塗箸で人気です。

またご希望の方には、英語の説明書を同梱することが可能です!

渋さ満載!奥州藤原氏の黄金文化が生み出した傑作「秀衡塗箸黒5膳(化粧箱入)」

奥州市のふるさと納税の返礼品としてご紹介させてください。

朱色に金の菱文ひしもんのみ施されたおしゃれなシンプルデザインが目を引きます。

12世紀の平安時代末期に、岩手県平泉町において奥州おうしゅう藤原氏の日曜道具として作られました。

最も丈夫と言われる本堅地ほんかたじを使用した下地で、金箔を用いた重厚感のある漆器です。

三代目の秀衡ひでひらにちなんでつけられた源氏雲の上の有職菱文が目印です。

手に持った時のしっとり感もお楽しみください。化粧箱入りで、ご進呈用としてもお使いになれます!

シンプルだから飽きがこない。普段使いだからこそ本物を…!「浄法寺塗 箸 下部石目」

岩手県二戸にのへ市周辺で生産されており、8世紀に建立された天台寺の僧が、日常使いの漆器を作り始めたのが始まりと言われています。

この地域は漆の産地としても有名で、日本で生産される漆の約7割がここで作られています。

上質な国産漆がとれるため、漆本来の美しさを表現しようと、無地シンプル、素朴で実用的な「暮らしの器」が生み出されてきました。

また浄法寺塗は「究極の漆器」とも呼ばれ、現在はニューヨークなど海外へも広く発信されている漆器の一つでもあります。

『黒子のバスケ』×秋田県の河連塗 奇跡のコラボレーションの実現!「『黒子のバスケ』河連塗箸」

アニメキャラクターがポップなデザインとともに表現されました。

つややかな色漆で美しく塗り上げたカラフルな7色箸、アニメ「黒子のバスケ」公式グッズです。

模様には、各キャラクターの好物や身につけているものなどが図案化され、それらの性質をよく表していますね。

河連かわつら塗は秋田県湯沢市で主に生産されていますが、その起源はおよそ800年前、この地の城主小野寺重道の弟が家臣に命じて武具に塗らせたのが始まりと言われています。

柿渋を用いた渋下地を使用する為、丈夫で手ごろな漆器として、江戸時代より人気を集めてきました。

合成樹脂塗料は一切使わず、本漆塗りで仕上げてあります!ファンでなくても、思わず欲しくなる逸品です。

力強さと美しさで個性をアピール!「鎌倉彫 漆塗り」

鎌倉彫は13世紀頃、宋の美術工芸品の影響を受けて生まれました。

紅花べにばなや緑葉という堆朱ついしゅ朱漆しゅうるしを幾重にも重ねた面に精巧な文様を彫刻したもの)をルーツとしており、木地に文様を彫り、その上に漆を塗って磨き上げていく技法をとっています。

一旦手に取ると、この箸の風雅な香りと手仕事の温かさが感じられる品です。

作り手の自信からくるシンプルさの追求と結晶「村上木彫堆朱 夫婦箸 総菊地紋」

落ち着いた肌合い、漆独特の上品な塗りの光沢、シンプル イズ ベストという表現がぴったりではないでしょうか。

村上木彫堆朱ついしゅは、古くから良質な天然漆を多く産出していた新潟県村上市で主に生産されています。

13世紀頃大陸から伝わった堆朱をルーツとしており、それをベースに木彫りに朱漆しゅうるしを塗るといった独自の発展を遂げてきました。

天然の漆だけを使って漆塗りを行い、全工程が手作業、木地師、彫師、塗師らの各自独立した技によって生み出されます。

また芸術的に特色ある工芸品としても注目され、昭和30年「新潟県無形文化財」に指定されている逸品です。

螺鈿の華やかさと木の温もりの競演!「うるし塗箸 高岡漆器 あわび貝」

あわび貝で装飾された持ち手は角度によって七色に輝きます。

高岡漆器は、江戸時代初期加賀藩前田利長としながが高岡城を築城し、武具や箪笥たんすなどの生活用品を作らせたのがはじまりと言われています。

中国から朱や黒の漆を何層も重ね塗りし彫刻を施す堆朱や堆刻ついこくの技法が伝えられ、現在の技術の礎を築きました。

またあわび貝を細工した装飾技法「螺鈿らでん」を取り入れており、古くから魔除けのお守りとして重宝されています。

最近では新たな技術が発展し、それらがインテリア関係者から注目されています。

縁起物として、お祝い事のプレゼントにもぴったりかもしれませんね。

風雅なデザインでお姫さま気分♡「花籠蒔絵箸桐箱入り 輪島塗」

金・朱・黒で描かれた花や草模様が、雅な品の良さを演出しています。

日本に数ある漆器製品の中でも最も美しく丈夫であるといわれる輪島塗。

石川県輪島市で主に生産される漆工芸ですが、その歴史は諸説あり、鎌倉時代後期から室町時代初期だろうと言われています。

筆に漆をつけて描き、金銀粉を撒きつけて定着させて文様を表します。

生地作りにかける時間は2年、漆を塗る回数は75~100回、全工程手作業で行われます。

奥行きのある色と艶。全てに妥協を許さない作り手たちの想いの結晶を是非お試しください。

優しい自然の木目が感じられる逸品…「山中漆器 箸 白檀塗箸 ひさご」

可愛らしい瓢箪ひょうたんのデザインがとても斬新でオシャレです。

安土桃山時代より360年続く山中漆器は、世界からも評価されている加賀を代表する漆工芸です。

16世紀越前の木地職人の集団がここ石川県山中温泉上流の真砂に移ってきた際、ロクロで木地作りを始めたのが起源とされています。

それが次第にふもとの温泉客を中心に販売されるようになり、他地域からも技術を取り入れながら普段使いの器を生み出してきました。

古典的な味わいに新しい感覚が調和した生活用品としての漆器、一度お試しになってみてはいかがでしょうか?

堅牢さと優美さの共存「越前漆器 貝煌溜 お箸」

漆の落ち着いた光沢、無駄を廃したシンプルなデザインがより良く際立っていますね。

これらは福井県鯖江さばえ市の周辺で作られていますが、その歴史は1500年前の古墳時代にまで遡ります。

6世紀、後の継体けいたい天皇がまだ皇子の頃、越前に命じた冠の修理の出来栄えに感動した皇子が漆器生産を奨励したことが起源とされています。

渋下地しぶしたじを用いる為、何より丈夫。

また多彩な技術を生かし数々の賞を受けてきた伝統工芸師山本勝の作品です。

自然に近い木の風合いをお楽しみください。

木目と漆の艶やかな競演…!「木曽漆器 ハート箸 ペア」

美しい木目を生かしたシンプルかつ可愛らしさも兼ね備えたお箸です。

長野県で主に生産されていますが、17世紀頃もともと生産していた木製品を丈夫にする為に漆塗りを施したのが起源とされ、その後土産品としても人気になりました。

この土地はもともと豊富な木曽ひのきを使った生地作りが盛んで、江戸時代には尾張徳川藩の手厚い庇護ひごを受けていたと言われています。

持ち手がハートの形をしたお箸はご夫婦やカップル、大切な人へ贈るお揃いのプレゼントにも♪

木の素材の良さによって得られる木、本来の温もりを実感してみてください。

透き通るような漆の光沢と、うっすら見える美しい木目…「飛騨春慶 六角箸 箸先乾漆」

この漆器の特徴でもある琥珀こはく色がとても美しいですね。

岐阜県で作られるこの工芸品は、16世紀初め頃宮大工の高橋喜左衛門がさわらの木目の美しさに惚れ、その木でお盆を作り、城主の嫡男ちゃくなんである金森可重よししげに献上したことに始まります。

その出来に感動した可重は、漆工の成田三右衛門さんえもんに漆を塗らせ、これが瀬戸焼の名品「飛騨春慶ひだしゅんけい」に似ていたことから春慶しゅんけい塗と名づけられました。

もともと豊富な木材が取れる土地だけに、良質な木を用いてその木目を生かした透漆すきうるし塗りの技法が、透明な美しさを表現します。

一つは黄春慶きしゅんけい、もう一方は紅春慶べにしゅんけい仕上げになっています。

風雅な渋みを帯びた朱色がとてもシック!「日展作家 林克彦作 夫婦箸 根来塗(手塗りうるし)」

1991年日展初入選、2007年伝統工芸士に認定された林克彦氏の手作業による作品です。

根来塗ねごろぬりは紀州漆器の名産地、和歌山県海南市で主に生産されています。

13世紀中頃、根来寺に本拠を移した新義しんぎ真言宗の僧侶が、寺内で使用する為に製作した漆器が有名になり、これが根来塗と呼ばれるようになりました。

19工程を踏み3ヶ月以上の時を費やして丈夫な下地を作るため、堅牢で角が非常に強く、普段使いでも殆ど欠けません。

さらに、擦れ摩耗が美しいのも特徴です。

和歌山県のふるさと納税返礼品に指定されています。

シンプルで丈夫な夫婦箸「川連漆器 夫婦乾漆箸セット」

川連かわつら漆器は、秋田県南部で生産される漆器です。

その特徴は、固く丈夫でありながら、価格がお手ごろなことろ。

柿渋や炭を用いて何度も下地を塗ることにより、その堅さが実現しています。

川連漆器の中で代表的なものは器ですが、このお箸も丈夫でとっても使いやすいですよ。

ふるさと納税の返礼品に指定されている品です。

可愛らしい品の良さが、かすりの着物みたい「香川漆器 あけぼの塗」

漆黒の漆からほんのりと見える朱色。自然に近いデザインが優しさを感じさせてくれる香川の産物です。

19世紀初めに玉梶象谷たまかじぞうこくが様々な漆器製品を作り始めたのが起源とされ、当時はお盆や茶托ちゃたくなど生活用品を作っていたため、非常に耐久性に優れているのが特徴です。

また、あけぼの塗りは赤漆せきしつの上に黒漆を塗り、部分的に下の赤を研ぎだす技法で、闇から光が差すように見えるためにこの名前がついたそうです。

箸の先は乾漆かんしつ仕上げになっていて、滑り止めと強度を増す効果を発揮してくれます。

堅牢さと美を兼ね備えたこの逸品、是非普段使いとしていかがでしょうか?

おわりに

伝統的な文様から貝が放つ美しい螺鈿らでん模様、またアニメキャラクターを図案化したポップなデザインまで、実に様々な種類のお箸をご覧いただきました。

これらはどれも、日々心を込めて丁寧に仕事をされている多くの職人さんによる伝統的工芸品の数々です。

皆さんもこの機会に、ぜひご自分へのご褒美、またご家族や大切な方へのプレゼントとして贈ってみませんか?