こんにちは!
ワゴコロ編集チームの伊藤です。
ワゴコロ編集チームが伝統工芸体験を紹介していく、“伝統工芸体験レポート“
今回は「曲げわっぱ」です♪
導入と自分の体験
お弁当箱として人気の高い大館曲げわっぱですが、皆さんは曲げわっぱ作りを体験できる施設があることをご存知ですか?
何十年も修行した職人さんでなければ作ることが難しそうな曲げわっぱですが、実は一般の方でも気軽に体験することができるんです!
今回は秋田出身のライターを代表して、秋田県大館市にある大館工芸社さんにお邪魔してきました。
スタッフさん曰く、曲げわっぱが好きすぎて、手作り体験をするためだけに大館へやって来る観光客の方も結構いらっしゃるんだそうです。
この記事では、大館曲げわっぱの一般的な作り方や、大舘工芸社さんでの体験の様子をご紹介します!
大館曲げわっぱの一般的な作り方
大館曲げわっぱは天然の秋田杉を使った伝統工芸品です。
工房に入った瞬間に木の匂いが香ってくる癒しの空間でした~♪
曲げわっぱができるまでの流れは下記の通りです。
・木を選ぶ
・伐採する
・加工する
・熱湯であたため、曲げる
・乾燥させる
・組み立てる
・ヤスリをかける
・完成!
木材から何かを作るとなると「のこぎりで切って組み立てる」ことをイメージしますが、曲げわっぱ作りは木の選定や伐採から始まります。
当たり前のことですが、普段の生活には馴染みのない工程なので、イメージが湧きにくいですよね。
曲げわっぱの美しいお弁当箱は、木を選ぶ段階から職人の目で見極められているのです・・・!
Let’s体験!
木を選び、乾燥させるまでには長い時間がかかるので、曲げわっぱ作り体験は「組み立て」から始まります。
職人さんが曲げわっぱに適した木を選定し、乾かし、切ってくれているので「キット」に近い状態から始めることになります。
私も「組み立て」を中心に作業させていただきました♪
今回使った道具は
・木づち
・木の板
・木のへら
・接着剤
・熱湯
・ガーゼ
です。
木づちは、組み立てた部品をしっかりとはめ込むために使います。木づち自体も美しい木が使われているため、すでに芸術品のようでした!
木の板も部品をはめ込むために使います。
曲げわっぱを直接木づちで叩くと変形しそうで怖いですよね。
そのため、木の板を間に置きながら「コンコン」と叩くのです。
木のへらは、接着剤を塗るために使います。
スタッフさんはスルスルと接着剤を塗っていくのですが、木のへらはただの木。
私が使ってもスルスルとはいかず、なかなか難しかったです。
接着剤は普通のボンドとは違い、口に含んでも害のない成分でできているそうです!
確かに曲げわっぱは食品に触れますので、有害な成分が入っていると使う気持ちになりませんよね。
天然の木と安全な接着剤で出来ているので、子どものお弁当にも安心して使えますね~♪
では、作業を行っていきます!
部 品を組み立て、ヤスリで削る
部品を組み立てた後は、表面や角をヤスリで削ります。
目の粗いヤスリと細かいヤスリを使い分け、なめらかにしていきます。
こちらもスタッフさんがやっていると簡単そうに見えましたが、自分でやるとなかなか難しいものです・・・。
表面に角度をつけるのですが、私がやるとデコボコになってしまいました。
結局、スタッフさんにお願いして整えてもらうことに。
留 める部分も秋田の素材「桜の皮」を使用
曲げわっぱは木を丸めているので、重なる部分を留める必要があります。
接着剤や金属を使っているのかと思いきや、秋田の工芸品「樺細工」で使う桜の皮を使っていました。
「留める」よりも「縫う」という表現の方が合っているかもしれません。
「縫う」部分の模様は、作り手によって異なります。
大館工芸社さんは縦に縫うシンプルな模様をしていますが、横に広い縫い方をしている方もいるようです。
秋田には曲げわっぱを作っている会社がいくつかありますので、縫い方に注目して見てみるのも面白いですよ♪
曲げわっぱ作りで難しかったこと
今回は曲げわっぱ作りのほんの一部を体験しただけですが、それでも難しいと感じる部分がありました。
難 しかったこと①:きれいに曲げること
取材ということで、特別に「熱した木を曲げる工程」も体験させていただきました。
熱湯に木を入れ、出してすぐに丸める作業です。
時間との闘いですし、かなり力のいる作業でしたので、力の弱い私にはなかなか難しい工程でした。
型をつけましたが、冷めても思い通りの形にはならず……。
職人さんの凄さを感じた瞬間でした!
難 しかったこと②:ヤスリで均一に削ること
先ほども言いましたが、ヤスリで表面をなめらかにすることも難しかったです。
最後はスタッフさんに手伝ってもらい、なんとかきれいに仕上げることができました。
曲げわっぱ体験を終えて
組み立てるだけでも2時間ほどかかり、思ったよりもスムーズに進みませんでした。
他の難しい工程を省いてもこれだけ時間がかかるので、一つひとつ手作業で進める職人さんはいかに大変なのかを思い知りました。
また、体験後に聞いたお話によると、伐採した木の中でも実際に使える木はかなり少ないようです。
そもそも貴重な天然の秋田杉の中でも、曲げわっぱに適した割れにくい木が少ない上に、使える部分はごくわずか。
曲げわっぱとして使える木材は大変貴重なものなのです。
曲げわっぱのお弁当箱はひとつ8,000円ほどします。
体験に行くまでは「曲げわっぱって高いよなぁ、なかなか買えない」と感じていました。
しかし、曲げわっぱに使える木が少ないことや作業の難しさを知ったあとは
・「8,000円でいいのかな?」
・「この値段でこれからも曲げわっぱの文化が続くのかな?」
と思うようになりました。
おわりに
曲げわっぱ作り体験を通して、今まで知らなかった曲げわっぱの裏側を知ることができました!
私にとって伝統工芸品は
・「高級なもの」
・「なかなか使う機会のないもの」
というイメージがありましたが、背景を知ることで
・「手間がかかっているのでこの値段は当たり前だな」
・「少しずつ日常生活に取り入れたいな」
と感じるようになりました。
特に曲げわっぱはお弁当箱が有名で、普段から使いやすい伝統工芸品です。
日常に豊かさを取り入れたい時、良いものを使いたいとき伝統工芸品を使ってみるのもいいかもしれません♪
お世話になった曲げわっぱ体験施設「大館工芸社」
今回お世話になったのは、大館駅前から車で10分ほどの場所にある大館工芸社さんです。
初めて曲げわっぱに触れる私にも親切に教えてくださいました。
お弁当箱作りは5,000円で体験できます!
撮影してくださったのは、大館にあるいしころ合同会社の石山さんです。
あたたかみのある写真を撮っていただきました。
ありがとうございました!
曲げわっぱとは、スギやヒノキなどを使い、薄い板を曲げて作る円形型の伝統工芸品です。
日本では奈良時代から作られており、現在では日本各地の伝統工芸品となっております。
有名なところだと、秋田県大館市の大館曲げわっぱや福岡県の杉を使用した博多曲物などがあります。
「曲げわっぱ」とは「曲物(まげもの)」とも呼ばれる、薄く加工した木材を曲げて作られる伝統工芸品のことです。
なめらかな曲線を生かしたお弁当箱やおひつなど、蓋付きの入れ物が製品として多く見られます。
特に秋田県大館市の「大館曲げわっぱ」は有名で、1980年に日本の曲物の中で唯一、国の伝統的工芸品に指定されています。
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