神社には必ず、〇〇神社や〇〇神宮といった社号(名前)が付いています。

社号の前半部分には、その神社に祀られている神に関わるもの、建っている土地に関するものなどの名称がきますが、社号の後半部分にくる神宮、大社、宮、神社などは一体どのような意味があるのでしょうか。

神社に祀られている神様も、神話に出てくる神様や実在した人物、外国の神様などその種類は様々です。

謎だらけの神社を社号や祭神から解説します。

社号による神社の種類

神社は

・伊勢神宮
鶴岡つるがおか八幡宮
・東京大神宮
・出雲大社
・王子稲荷神社

など、神社の固有名の後につく社号(社名)によって、その格がわかります。

神社とお寺は同居する(神仏習合しんぶつしゅうごう)期間が江戸時代まで続きます。

その間に神社ではさまざまな格付けが登場し、神宮、大社などの名称が反映されました。

明治時代には神道を国家の宗教とするために「神仏分離」政策が実施され、今まで一つの宗教として扱われていた神道と仏教が、それぞれ独立した宗教となりました。

そして、天皇家の氏神である伊勢神宮を別格とし、それ以外の有力な神社は官社として国が管理し、資金が援助されました。

伊勢神宮以外の大きな神社は官幣社かんぺいしゃとして政府が管理し、地方の有力神社は国幣社こくへいしゃとして地方自治体に管理が委ねられました。

官幣社は上から「大社」「中社」「小社」に格付けされました。

その他、地方の小さな神社は「諸社(民社)」とされました。

仏教に対しては「廃仏毀釈はいぶつきしゃく」運動が激化し、多くの寺院や仏像が破壊されました。

特に伊勢神宮エリア(現伊勢市)では300近くあった寺院の多くが廃寺に追い込まれ、20寺以下になってしまいました。

明治22年(1889年)公布の大日本帝国憲法では、国民には宗教の自由が保障され国家神道政策は終焉を迎えます。

第2次大戦後は、神社に対する国からの援助は終了し、神社は伊勢神宮を含め、官社から民間の団体(宗教法人)になりました。

それとともに、社号(名前)の付け方も自由になりました。

神社の社号はそれまでの格付けを使う神社も多いのですが、希望の社号を付けている神社も多くなっています。

それでは、さまざまな社号を見ていきましょう。

神宮

本来は伊勢神宮に代表される最上級の社格です。

伊勢神宮は通称で正式には単に「神宮」です。

鹿島神宮、香取かとり神宮も古くから神宮となっています。

明治時代以降、平安神宮(桓武天皇かんむてんのう孝明天皇こうめいてんのう)、橿原神宮かしはらじんぐう神武天皇じんむてんのう)、明治神宮(明治天皇)など、天皇を祭神とする神社が建立され、神宮を名乗っています。

さらに、天皇や皇室の祖先を祭神として祀っている霧島神宮(旧社号:霧島神社、明治7年〔1874年〕改号)や鵜戸うど神宮(旧社号:鵜戸神社、明治8年〔1875年〕改号)などの神社の社号が神宮に改められました。

熱田神宮(旧社号:熱田神社、明治元年〔1868年〕)のように、祭神が天皇家直系でなくても、何らかの関係がある神社も神宮号を使っています。

和歌山県の日前神宮ひのくまじんぐう國懸神宮くにかかすじんぐうのように独自に神宮を名乗っている神社もあります。

本来は天皇の子(皇子など)や孫を祭神とする神社に付けられていましたが、今では祭神に関係なく多くの神社に付けられている社号です。

最も知られているのが八幡宮です。

鶴岡八幡宮や若宮わかみや八幡宮などです。

宇佐神宮も通称宇佐八幡宮と呼ばれています。

ほかに、鎌倉宮、天満宮、金刀比羅宮ことひらぐうなどが有名です。

大神宮

天照大御神あまてらすおおみかみ豊受大神とようけのおおかみを祀る神社に大神宮の社号が付いています。

伊勢神宮には社号に大神宮は付いていませんが、大神宮に位置しています。

千葉県にある意富比神社おおひじんじゃは、天照大御神を祭神とすることから通称の船橋大神宮として親しまれています。

大社

現在大社となっているのは、出雲大社と明治時代以降に大社と格付けされた神社です。

出雲大社は平安時代より大社でしたが、その読み方は「おおやしろ」です。

現在は「いずもたいしゃ」と通称で呼ばれます。

神社境内にあるほかの神社の小さなやしろのことです。

1ヶ所でさまざまな神社にお参りできるようにと建てられています。

境内社けいだいしゃ摂社せっしゃ末社まっしゃとも呼ばれます。

簡単に図にすると、以下のようになります。

社号歴代現在
神宮
伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮のみ
・歴代の天皇あるいは皇后が祀られている神社

・歴史的に神宮と格付けされている神社(鹿島神宮、香取神宮)

・皇室の祖先が祭神として祀られている神社

・皇室にゆかりのある神社(熱田神宮など)

・独自に神宮を名乗る神社

天皇の子(皇子など)や孫を祭神とする神社
・天皇の子(皇子など)や孫を祭神とする神社(鎌倉宮など)

・祭神に関係なく付けられることが多い
大神宮天照大御神や豊受大神を祀る神社・天照大御神や豊受大神を祀る神社(東京大神宮など)

・天照大御神や豊受大神を祀る神社
神社一般的な神社一般的な神社
神社やお寺の境内にあるほかの神社の小さなやしろ


さまざまな社格

同じ神社内でいくつかの神社がある場合に、社号に違いや格付けが生じています。

内宮

2ヶ所ある伊勢神宮のうち天照大御神あまてらすおおみかみを祀っている社です。

正式な社号は皇大神宮こうたいじんぐうです。

外宮

伊勢神宮で豊受大神とようけのおおかみを祀る神社です。

正式な社号は豊受大神宮とようけだいじんぐうです。

内宮、外宮をあわせて神宮と呼びます。

上社・下社

代表的な神社に上賀茂神社(賀茂別雷神社かもわけいかづちじんじゃ)、下鴨神社(賀茂御祖神社かもみおやじんじゃ)や諏訪大社があります。

諏訪大社は上社・下社がさらに2社に分かれ、上社本宮ほんみや、上社前宮まえみや、下社秋宮あきみや、下社春宮はるみやがあります。

奥宮・奥社・元宮

山頂や崖などに創建された神社が、人々が参拝しやすい平易な場所に本殿を移すことがよくあります。

元の本殿を奥社などと呼びます。

富士山本宮浅間大社の奥宮は富士山頂、日光二荒山神社の奥宮は、男体山山頂です。

奥宮参拝には本格的な登山になります。

信州戸隠山戸隠とがくし神社の奥社は、歩いて1時間ほどで参拝できます。

一の宮

摂津国、下総国など過去にあった地方行政区分(諸国)内で最も社格の高い神社です。

二の宮、三の宮と数が多くなれば格が下がります。

「常陸国一之宮 鹿島神宮」というように、肩書きのような形で書かれています。

総社(惣社)

すべての神様を集めた神社です。

岡山県総社市の備中国総社宮びっちゅうのくにそうじゃぐうが有名です。

神様による種類

神様も神社によってさまざまです。

本来神道は日本独自の宗教であり、神様も日本人なのですが、神仏習合の時代に、仏様と混ざり合って複雑になっています。

神話上の神様が祭神の神社

古事記や日本書紀に書かれている神話の神様が祭神の神社です。

日本には「八百万やおよろず」の神様がいるといわれ、数多くの神様が祀られています。

最も数が多い神社です。

インドや中国の神(仏)を祭神としている神社

「弁財天」は七福神のひとりですが、元はインドの神様です。

江島神社は弁財天を祀る神社として知られていますが、本来の祭神は日本古来の3姉妹の神様です。

神仏習合で3姉妹が弁財天に変化し、現在に至っています。

江島神社には弁財天像が安置されています。

「大黒天」はインドの神様ですが、大国主命おおくにぬしのみことも「だいこく」と読めることから、神仏習合時代に同じ神様とされ、今に至っています。

七福神はえびすを除き、ほかの6人はインド・中国の神様です。

実在の個人を祀った神社

菅原道真(天満宮)や平将門(神田明神・将門神社)など悲運の貴族や武将を祀っています。

悔しい気持ちを鎮めるために建てられた神社です。

明治時代以降は乃木希典のぎまれすけ(明治期の軍人/乃木神社)、東郷平八郎とうごうへいはちろう(明治期から昭和初期の軍人/東郷神社)などの神社が建立されています。

将軍や藩主を祀った神社

徳川家康(東照宮)や豊臣秀吉(豊国神社とよくにじんじゃ)、織田信長(建勲神社たけいさおじんじゃ)、上杉謙信(上杉神社うえすぎじんじゃ)、武田信玄(武田神社)などがあります。

天皇を祀った神社

明治神宮をはじめ、過去の天皇を祀った神社は多数あります。

人の魂を鎮めるために祀った(招魂社)

靖国神社は第2次大戦に戦死した大勢の人たちを合同で祀っています。

おわりに

第2次世界大戦後、神社は民間の団体となり、条件さえ整えば神社を自由に建てられるようになりました。

現在10万もの神社が存在するといわれています。

最も大きな統括組織は宗教法人神社本庁で、8万余の神社が参加しています。

しかし、神社本庁に参加していなくても神社を名乗ることはできます。

その代表的な神社に鎌倉宮があります。

また、祭神を誰にするかの規定もないため、「桃太郎神社」「飛行神社」「UFO神社」などなんとも自由な神社が登場しています。

格や祭神を知ることによって、その神社の御利益を知ることにもつながります。

神社を訪れる楽しみが増えるに違いありません。