百日紅はどんな樹木?

百日紅とは?

百日紅さるすべりは、夏になると春から伸び出した枝の先端に絢爛けんらんな花を咲かせます。

そして、秋頃になると葉が枯れだし、冬には落葉します。

また、花を咲かせる木が少ない盛夏せいかから秋にかけて長く花が咲き続ける樹種なので、昔から盆栽にも仕立てられている品種です。

百日紅の花色には、紅、紫、桃、白などがあります。


百日紅は、中国南部原産のミゾハギ科サルスベリ属の落葉小高木で1709年に貝原益軒かいばらえきけんが編纂した「大和本草やまとほんぞう」に掲載されています。

そのため、それ以前にはすでに日本に伝来されたと言われているので、古くから日本人に親しまれている樹種です。

2つの名前の由来

百日紅の名前には、2つの由来があります。


一つは、花の開花時期が7月下旬頃から9月中旬頃にかけてと開花期間が長いので「ヒャクジツコウ」、あるいは「百日紅」と呼ばれていることです。


もう一つは、剥がれた樹皮からきています。

百日紅の樹皮は、褐色ですが樹皮が剥がれているところは白くて縞模様になっています。

樹皮が剥がれた部分はサルが滑って落ちる位ツルツルしているところから「サルも滑って落ちる」となって「サル滑り」となりました。

百日紅盆栽の魅力

百日紅の盆栽の魅力は、花と寒樹かんじゅが美しく、盆栽に仕立てやすいことです。

夏に咲く百日紅の花は、絢爛で美しいです。

また、茶褐色の樹肌にところどころ樹皮が剥けて表れている縞模様の美しさは、落葉後に樹と枝だけになった寒樹でも楽しむことができます。

百日紅は、寒樹が美しいと言われている他の雑木類盆栽にも引けを取らないくらい素晴らしいです。

※冬の葉が落ちた樹姿

百日紅盆栽の整姿作業~2つのタイプで楽しもう!~

百日紅盆栽の整姿には、花を楽しむためと樹形を楽しむための2つがあります。

➀5月中旬頃までに行う新梢の切り詰め

百日紅の花は新梢しんしょうの先端に花芽が付いて開花します。

樹勢が良いと40~50㎝位まで伸びて、その先端に花が咲く樹形になってしまい盆栽としては見苦しいため、元から2節程残して新梢を切り詰めます。


しかし、盆栽鉢の中で長く育てられた樹形で小枝の多いものは新梢があまり伸びないので、切り詰める必要はありません。

※今年に伸びた枝。

②6月頃に行う針金かけ

百日紅の樹皮は傷がつきやすいので、針金をかける際は注意が必要です。


そのため、枝を矯正したい場合は出来るだけ針金ではなく、紐などで引っ張りながら矯正した方が無難です。

また、小枝の矯正も出来るだけハサミで仕立てた方が樹皮を傷めないで理想の樹形に仕立てやすいです。

夏に行う開花後の枝の切り詰め

開花後、その年に伸びた枝は、樹形を整えながら適切な位置で切り詰めましょう。

伸びた枝を秋までそのままにしておくと、枝が太くなってしまい見た目がよくありません。

晩冬に行う枝の切り詰め

前年に伸びた枝は、3月下旬に全て切り詰めましょう。

枝分かれしている枝は、分かれているところから2~3節程残して二又になるように切り詰めます。

美しい樹形を楽しむための整姿

春から新芽が伸び出して、固くなったら2~3芽程残して切りましょう。

また芽が伸び出して固くなったら、再度切り詰めます。

この作業の繰り返しによって小枝が増えるので、美しい樹形を楽しむことのできる百日紅の盆栽に仕上がります。

百日紅盆栽の管理~長く楽しむために~

春がオススメの植え替え

百日紅の植え替えは、新芽が動き出す4月から5月中旬頃に行いましょう。


植え替えをする際は、古根を切り落として

赤玉土6:桐生砂きりゅうずな3:腐葉土1

の割合で混ぜた用土で植え替えをします。


百日紅は、秋にも植え替えができますが、冬の防寒対策が難しいので避けましょう。

また、植え替えは2年に1回位行いましょう。


毎年植え替えをすると、樹が若返って枝を徒長とちょうさせてしまい、枝先に花を咲かせてしまうので、樹姿が見苦しくなります。

※枝が無駄に伸びてしまうこと

春から秋まで行う施肥作業

植え替えをしてから施肥せひをする場合は、植替えをしてから20日後位に1回、5月中旬から下旬にかけて1回、開花前の7月上旬から下旬頃に1回、開花後の9月下旬と10月に各1回、施肥をしてください。


肥料は、油粕に骨粉や魚粉が混ざっているものを使いましょう。

新芽頃に注意が必要な病虫害対策

新芽頃はアブラムシが発生しやすいので、見つけたら薬剤散布をしましょう。


害虫をそのまま放置しておくと、すす病の原因になります。

また、カイガラムシが付きやすいので、冬の時期に石灰硫黄合剤を散布してください。


※葉や枝に黒いすすがついたように黒くなり、枝枯れを起こす病害です。

陽当たりや通気性が悪い場所に置いておくと発生しやすくなります。

樹に寄生したカイガラムシやアブラムシなどの分泌物を栄養源として病原菌が繁殖して発生します。

春から秋までの管理場所

百日紅の盆栽は、朝から夕方まで陽当たりや風通しが良い場所で管理をしましょう。

特に葉や枝を日光に沢山当てると生育が良くなるので、夏の盛夏時期でも直射日光に当てても大丈夫です。

冬の管理場所

百日紅は寒さに弱い樹種なので冬の間は軒下などに移動して、寒さ対策をしてください。

鉢土が凍ってしまうと、枝が枯れてしまうことがあります。

水やり

鉢土の表面が乾いたら鉢底穴から水が流れ出て来るまで十分に水やりをしてください。

百日紅は水を好む樹種ですが、やり過ぎると徒長してしまうので、乾燥状態を見ながら適量の水やりをしましょう。

百日紅を小品盆栽で楽しむ!

百日紅の花は、手軽に楽しむことができる小品盆栽に仕立てるのがオススメです。

小品盆栽は、字のごとく片手で持てる位の大きさなので、樹形より花を主として楽しめます。

一般的に百日紅を含む花物盆栽は、小品盆栽に仕立てて楽しむ愛好家が多いです。

おわりに

百日紅の盆栽は、自分の好みに合わせて花を咲かせて楽しんだり、樹形だけを楽しんだりできる盆栽です。

そして、初心者でも育てやすい樹種なので百日紅の盆栽を育てて、日本の「盆栽文化」に触れてみませんか。