俳句とは、わたしたちが日々目にする情景や、四季折々の自然に触れたり、いろいろな人間模様を目にしたりして心の中に湧き上がってきた喜怒哀楽の感情などを、五・七・五の十七文字で表す定型詩です。

日本を代表する伝統文化のひとつで、誰もがどこでもすぐに作ることができるため、子どもからお年寄りまで多くの人々に愛され親しまれています。

最初は、五・七・五を守って目の前にある情景を自由に詠むことではじめることができますが、それだけではいつまで経っても上達はできません。

俳句を楽しみながら上達していくには、やはり、俳句に関する基本的な知識と作句(俳句を作るため)のルールをきちんと把握しておく必要があります。

今回は、その知識と、作句のルールについて説明します。

俳句の基本に入る前に

俳句を作るのに必要なものって?

まず、ペンと紙を用意しましょう。

いつでもどこでもひらめいたことを俳句に詠めるように、携帯することをオススメします。

俳句手帳というものも販売されていますので活用されるといいでしょう。

俳句の作り方のルールを覚えましょう

次に、俳句を詠むときに守るべきルールを上げます。

五・七・五拍

俳句は、五・七・五の文字数からなる語句が生み出すリズム(拍子)を楽しむものです。

つまり、何を詠もうと、五文字・七文字・五文字で描写しなければなりません。

この五・七・五が、印象に残る、軽快で心地よい音律を生み出すのです。

例)
''しばらくは 花の上なる 月夜かな''(松尾芭蕉)

''遠山に 日の当たりたる 枯野かな''(高浜虚子)

''名月を とってくれろと 泣く子かな''(小林一茶)

''目には青葉 山ほととぎす 初がつお''(山口素堂)

''島々に 灯をともしけり 春の海''(正岡子規)

季語

俳句においては、一句に季語を一つ詠むというルールがあります。
(ただ無季俳句や自由律俳句の場合は、季語を使わなくてもよいとされています。)

季語とは、春夏秋冬などその季節を表す語句のことです。

季語には、副季語や子季語と呼ばれる傍題というものもあって、そういったものも使って表現の幅を広げていくことができます。

例)
''袖丈の初花桜咲きにけり(小林一茶)''→ 桜(春)

''夏の蝶日かげ日なたと飛びにけり''(高浜虚子)→ 夏の蝶(夏)

''柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺''(正岡子規)→ 柿(秋)

''寒月や門なき寺の天高し''(与謝野蕪村)→ 寒月(冬)

''門松やおもへば一夜三十年''(松尾芭蕉)→ 門松(新年)

余韻を残す

俳句では、省略することが大事なポイントとなります。冗長な表現を控え、余分な語句を省略することで、すべてをその句であからさまにするのではなく、読み手に、その情景やその後にどんな結果がもたらされるのかを想像させるための余韻を持たせるものでなければなりません。

切れ字

切れ字は、俳句の中に「切れ」を生むために使う文字です。

切れ字は、昔は十八の切れ字が使われていましたが、現在の俳句では、「や」、「けり」、「かな」の三つの切れ字だけが使われています。例外もありますが、通常は、一句に切れ字は一つだけしか使われない、と覚えておきましょう。

「や」は句中に、「かな」と「けり」は句末に置いて、強い詠嘆を表して余韻を残します。以下にこの三つの切れ字の例を上げます。

例)
''古池や蛙飛びこむ水の音''(松尾芭蕉)
→ 切れ字の「や」によって「ああ、古池があるなあ」といって、読み手に古池の存在を大きくクローズアップさせています。

''さまざまの事おもひ出す桜かな''(松尾芭蕉)
→ 切れ字の「かな」で「桜だよなあ」と詠み手が桜を見上げている姿が浮かび上がるように余韻をもたせています。

''大蛍ゆらりゆらりと通りけり''(小林一茶)
→ 切れ字の「けり」で「通っているなあ」と蛍に見とれている詠み手の姿を読み手にイメージさせています。

係り結び

係り結びは、俳句の中の意味を強調するために用いられます。

句中に係助詞の「ぞ・なむ・や・か・こそ」が使われると、文末の結びの語の活用形が「連体形」や「已然形」に変わるというルールです。

係りと結びの関係なので係り結びと呼ばれます。以下に例をいくつか上げます。

例)
''…花ぞ散りける''
→ 係助詞「ぞ」によって結びの「けり」が連体形の「ける」に変化。

''女正月眉間に鳥の影落つる''(飯島晴子)
→ 「女正月」の直後の係助詞「や」が省略されていますが、この係助詞によって、結びの終止形「落つ」が連体形の「落つる」に変化。

''…とこそ聞こえけれ''
→ 係助詞「こそ」によって結びの「けり」が已然形の」「けれ」に変化。
※「こそ」の時だけ、已然形になるということを覚えておきましょう。

俳句を詠むときのその他の注意点

俳句を詠むときには、ほかにも、次に述べるようないくつかの注意点に気をつけましょう。

例外 字余り

俳句は五・七・五で詠むものではありますが、中には、五文字が六文字になったり七文字が八文字になったりする「字余り」の句もあります。

これは、くずれたリズム感に違和感を抱かせることで、読者の心を引きつける効果があります。

五・七・五のどこを増やすかといった決まりはありません。

例)
''赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり''
(正岡子規)

''夏草に汽罐車の車輪来て止る''(山口誓子)

例外 字足らず

字余りとは反対に、五文字が四文字になったり七文字が六文字になったりする「字足らず」の句もあります。

この字足らずの句も、くずれたリズム感によってその句を読者に印象付ける効果があります。

五・七・五のどこを減らすかといった決まりはありません。

例)
''こんなよいつきを一人で見て寝る''(尾崎放哉)

伝統俳句と自由律俳句との違い

伝統俳句とは、五・七・五の十七文字による定型を用いる、季語を入れる、切れ字を使う、といった作句のルールに則って詠まれた句のことを言います。

これに対して、自由律俳句とは、定型にとらわれず、季語も切れ字も使わずに自由に詠む俳句のことを言います。

それは単なる一行詩ではないのか、と言われることも多々あるようですが、そうではなく、俳句が定型詩だとしたら、この自由律俳句は無定型詩で、限りなく文字数を減らして韻律を持たせた短詩だと言えます。

例)
''分け入っても分け入っても青い山''
(種田山頭火)

''棹さして月のただ中''(萩原井泉水)

俳句を作るコツ

俳句を作るコツは、まず、五・七・五、季語、切れ字などの作句のルールに従うことですが、そのほかのコツとして、推敲を行う、類想・類句について理解する、鑑賞力を養う、吟行を活かす、人に読んでもらう、出来事ではなくモノを詠むことからスタートする、ふと目に入ったシーンを詠む、句会などに参加するといったことが上げられます。

おわりに

最低限の作句のルールに従って数多くの俳句を詠む段階を経たら、そろそろ俳句を上達させるためのコツや表現の工夫などを取り込んでレベルアップに挑戦してみてはいかがでしょうか。

その場合も、肩の力を抜いて、人よりもよい句を詠むのだ、とか、みんなをあっと言わせたい、といったような思いは捨てて、自然体で、目の前の情景をありのままで表現するようにしましょう。

身近なものから外へ目を向けていくのも大切です。

自然界には俳句の題材が無数にあります。俳句友だちを誘って吟行に出かけてみましょう。

句会をするいい機会にもなりますよ。