画像素材:秋田県観光振興課

「悪い子はいねがー、泣く子はいねがー」

恐ろしい鬼のような面を付けた“なまはげ”で有名な秋田県。

豊かな自然や温泉、なまはげをはじめとしたさまざまな郷土芸能・祭りが開催されるなど、観光地としても大変人気があります。

また、国の天然記念物に指定されている秋田県原産の秋田犬あきたいぬは、フィギュアスケートの金メダリスト・ザギトワ選手をはじめ、海外の著名人にも愛好家の多い人気の犬種です。

そんな秋田県では、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた、20品目以上の伝統工芸品が存在します。

この記事では、その中でも経済産業大臣によって「伝統工芸品」として指定されている4品目をご紹介します。

伝統的工芸品とは?
経済産業大臣が指定した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認められた伝統工芸品のことを指す。
要件は、
・技術や技法、原材料がおよそ100年以上継承されていること
・日常生活で使用されていること
・主要部分が手作業で作られていること
・一定の地域で産業が成り立っていること

本記事の内容は、令和4年(2022年)1月時点のものです。
掲載内容は変更していることもありますので、ご留意ください。

樺細工

樺細工かばざいく」は、江戸時代の天明年間(1781年~1789年)から秋田県仙北市せんぼくし角館かくのだてで伝承されている、山桜の樹皮を用いた木工品です。

茶筒を代表的な製品とする“型もの”、お盆や文箱などの箱物を作るための“木地もの”、近年はブローチなどアクセサリー作りにも活用される“たたみもの”という、3つの工法があります。

山桜の樹皮を用いた木工品は日本国内で唯一、秋田県でのみ伝承されています。

12種類ほどある桜皮が目的に応じて使われるため、同じ商品でも異なる表情を見せてくれます。

防湿性や堅牢性、樹皮の模様の素朴な美しさといった優れた特長により、古くから親しまれています。

品名樺細工
よみかばざいく
工芸品の分類木工品・竹工品
指定年月日昭和51年(1976年)2月26日


川連漆器

川連漆器かわつらしっき」は、秋田県湯沢市で作られてきた漆器です。

今からおよそ800年前の鎌倉時代、農民らの内職として武具の漆塗りが奨励されたことが発祥とされ、江戸時代後期から日用食器としてのお碗づくりがはじまりました。

漆の動きを予測しながら塗り仕上げる“花塗り”は大変高度な技術が必要で、職人の腕の見せ所でもあります。

シンプルかつ華やかな漆の光沢の美しさのみならず、“孫の代まで使える”とも称される堅牢な下地処理による丈夫さに加え、廉価れんかであることから、日常で使える漆器として多くの方に好まれています。


※廉価:値段が安いこと。

現在、生産の6割はお椀が占めていますが、ニーズの変化に即し、幅広い商品が開発されています。

品名川連漆器
よみかわつらしっき
工芸品の分類漆器
指定年月日昭和51年(1976年) 12月15日


大館曲げわっぱ

大館曲おおだてまげわっぱ」は、秋田県大館おおだて市で生産される曲物まげものです。

曲物とは薄く加工した木材を曲げて作られる容器のことで、日本各地で生産されていますが、「大館曲げわっぱ」は唯一、伝統的工芸品に指定されています。

材料となる秋田杉は吸湿性に優れ、弁当箱やおひつなどの食器に適しています。

江戸時代に大館城主の佐竹西家が、下級武士たちの副業として曲げわっぱの制作を奨励したことが発端とされており、今ではコーヒーカップやタンブラーなど現代の暮らしに寄り添った商品も多数生み出されています。

品名大館曲げわっぱ
よみおおだてまげわっぱ
工芸品の分類木工品・竹工品
指定年月日昭和55年(1980年)10月16日


ワゴコロでは、大曲げ曲げわっぱの特徴や歴史に触れた記事のほか、制作体験レポートも掲載していますよ♪

秋田杉桶樽

秋田杉桶樽あきたすぎおけたる」は、秋田県の大館市や能代市のしろし周辺で生産される、秋田杉を使った桶や樽です。

秋田城遺跡の出土品から、室町時代には既に秋田杉の桶が作られていたことが確認されており、長い歴史を誇っています。

江戸時代には当時の秋田藩主が生産を奨励し、産業として定着するようになりました。

秋田杉は吸湿性や断熱性に優れている上に、木目の美しさや香りの良さという特長も持ち、現在はぐい呑やグラスといった酒器なども製作されています。

品名秋田杉桶樽
よみあきたすぎおけたる
工芸品の分類木工品・竹工品
指定年月日昭和59年(1984年)5月31日