お正月やお祭りで見かける「獅子舞」。

獅子舞には“厄払い”の想いが込められており、中国やベトナムなど東アジアや東南アジアで見られる伝統芸能の一つです。

演舞中、獅子舞に頭を噛んでもらうような光景がよく見られますね。

この記事では、獅子舞の歴史から頭を噛む意味や楽しみ方をご紹介し、獅子舞の魅力を存分にお伝えしていきます!

獅子舞とは?どんな意味があるの?

日本での獅子舞とは、“獅子”の頭を被り唐草模様の胴幕どうまく(かや)を付け、祭囃子に合わせて舞い踊る民俗芸能です。

一般的には数人が胴幕の中に入って、先頭の人が獅子頭を大きく動かすようなイメージがありますが、1人で1匹の獅子舞を演じる、または10人以上で1匹の獅子舞を演じるなど、その種類は数千以上にものぼり、日本の民俗芸能の中でも最も種類が多いといわれています。

もともと悪魔払いや疫病退治を願って舞われたという背景があり、現在でも厄払いの想いが込められています。

その歴史から、獅子舞はお正月やお祭りなど縁起の良い日に舞われることが多く、幸せを招くものだと考えられています。

また、獅子舞には「人の頭を噛むことで、その人についた邪気を食べる」という言い伝えがあります。

特に子供は厄除けの効果が高まるとされ、獅子舞に頭を噛まれると学力の向上や無病息災、健やかな成長に繋がると信じられています。

「お正月に頭を噛まれるとその1年が元気に過ごせる」と考えられているので、初詣の際などに獅子舞が舞われていると、演舞の合間に頭を噛んでもらっているような光景を見ることができますよ。

「噛みつく」という言葉が「神が付く」を連想させる、という語呂合わせからも縁起が良いとされ、獅子舞は古くから日本で愛されてきました。

獅子舞の由来や歴史

子舞発祥の地・インドでは、ライオンは“聖獣”だった

古来、インドの遊牧民の間では、力の強いライオンは神秘的な力を持つ“聖獣”として崇められていました。

やがて、偶像化されたライオンは宗教行事としての舞のモデルとなり、獅子舞の原型が生まれることとなったのです。

その後、獅子舞はインドと交易が盛んだったチベットや中国、韓国へと伝わり、それぞれの地域に合わせて独自の進化を遂げていきました。

子舞が日本に伝来したのは1400年以上前

獅子舞が日本に伝わったのは、朝鮮半島から仏教とともに“伎楽ぎがく”が伝来した飛鳥時代であったといわれています。

伎楽とは、楽器演奏に合わせて独特の面をつけて演じられる無言劇で、その演目のはじめに舞台の邪気を払うことを目的に「獅子舞」が舞われていました。

これが日本の獅子舞の起源になったと考えられています。

その後、室町時代になると、現在の三重県にあたる“伊勢の国”でお正月に獅子舞が舞われるようになります。

当時は飢饉や疫病などを追い払う目的があり、現在の厄払いとしての獅子舞文化に繋がっています。

子舞は“お伊勢参り”で全国区に

江戸時代、伊勢神宮をお参りする「お伊勢参り」が大流行します。

かつての日本人にとって、伊勢への旅は「一生に一度で良いから必ず果たしたい」と願うほど憧れのものでした。

しかし、現在ほど交通網が発達しておらず、お伊勢参りを果たすことができない人も多い中で活躍したのが「伊勢大神楽 いせだいかぐら」と呼ばれる芸能集団です。

伊勢大神楽は全国各地を巡って、伊勢神宮のお札を配っていたと伝えられています。

その際に、お伊勢参りと同等のご利益を得られるとして獅子舞を踊ったのがきっかけで、地方でも獅子舞が知られることとなり、現在の全国規模の民俗芸能へと成長していったのです。

獅子舞の種類

長い歴史がある獅子舞。

日本国内だけを見ても、その歴史の中でさまざまな種類の獅子舞が生まれていきました。

現在の獅子舞の種類は、大きく分けて「伎楽・舞楽系」、「風流系」の二つに分けられます。

楽・舞楽系(西日本)

伎楽・舞楽系の獅子舞は、西日本を中心に広く分布しています。

お正月に見る獅子舞など一般的に想像される獅子舞は、この系統のことを指します。

1匹の獅子舞の中に2人以上の人が入る「二人立ち獅子舞」が主流で、1人が獅子頭を、もう1人がしっぽの役をして、囃子に合わせて踊ります。

この舞い方は大陸から伝来した伎楽・舞楽の獅子舞を倣っているため、伎楽・舞楽系と呼ばれるようになりました。

無言の仮面劇を踏襲しているのも特徴の一つです。

流系(関東・東北地方)

風流系の獅子舞は、関東・東北地方に見られる舞い方で、1人が1匹の獅子を担当する「一人立ち獅子舞」が主流です。

それぞれがお腹にくくりつけた太鼓を打ちながら踊ります。

最も多い演目は3匹で1組となる三匹獅子舞で、2匹の雄が1匹の雌を奪い合う「雌獅子めじし隠し」が代表的な物語です。

また、風流系は土着の芸能をもとに発展してきたという背景から、頭に被るものが獅子に限らないことも特徴の一つで、鹿や牛、虎など各地域で信仰するものに合わせた舞が存在します。

以上の二つが主な獅子舞の系統です。

さらに細かく分けていくと、伊勢大神楽に代表される大神楽系統や日本芸能の基礎となった“散楽さんがく”を起源とする散楽系統、佐賀県や長崎県の民俗芸能“浮立ふりゅう”で舞われる浮立系統など、国内の獅子舞にはさまざまな系統が存在します。

獅子舞の楽しみ方

類の違いを楽しむ

先ほどの「一人立ち獅子舞」や「二人立ち獅子舞」に加えて、10人以上が胴幕の中に入って舞う「百足むかで獅子舞」という形式の舞もあり、一目見るだけでも種類の違いを楽しむことができます。

また、獅子頭の顔や色のほか、笛や太鼓で奏でられる囃子の音色など、冒頭でも説明したように、全国で数千以上もの種類がある獅子舞の特徴は千差万別。

種類の違いに目を向けることで、毎回新鮮な気持ちで獅子舞を楽しむことができますよ。

い方の違いを楽しむ

獅子舞は種類だけでなく、その舞い方にもたくさんの違いがあります。

ただ、舞っているだけではなく、舞ごとに物語があるのが特徴です。

風流系で紹介した「雌獅子隠し」や、弓と弦の間をくぐる方法を模索する獅子の様子を表した「弓くぐり」など、物語は多岐にわたります。

「目の前の獅子舞は、どんな物語を舞っているのか」を意識して見てみるとおもしろいでしょう!

子舞の雑学を楽しむ

“鼻が赤ければ雄の獅子舞、黒ければ雌の獅子舞”、“中国系の獅子舞は爆竹を鳴らした後に登場する”など、獅子舞には知るだけで楽しくなる地域でのルールや雑学がたくさんあります。

知識そのものが増えるだけでも楽しめますし、実際に見る時の楽しみを増やすことにも繋がります。

日本各地には獅子舞専門の博物館が点在していますので、獅子舞に関する知識や雑学などを学べる場所にもぜひ足を運んでみてください♪

獅子舞の博物館

み獅子舞ミュージアム(富山県氷見市)

ひみ獅子舞ミュージアムでは、獅子舞で使う獅子頭や天狗面などを展示しており、地元・氷見の獅子舞を紹介する「獅子舞シアター」の上映も行っています。

また、年間数回の地元住民の方などによる「獅子舞実演会」を開催しており、生の獅子舞を間近で見ることができますよ♪

住所:〒935-0065
    富山県氷見市泉760
営業時間:9:00~17:00
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は、その日以後の最初の平日)
年末年始(12月29日から1月3日)
料金:無料
※年間数回開催される各地区青年団や獅子舞保存会出演による「獅子舞実演会」の観覧には、別途協力金が必要。
アクセス:JR氷見線「氷見駅」から車で約10分

情報は変更となる場合がございます。詳細は、公式サイトをご確認ください。

子博物館(埼玉県白岡市)

館長の高橋裕一氏の獅子舞愛が高じて自宅敷地内に建てられた、日本初の私立の獅子博物館です。

獅子頭や衣装、模型、また全国各地の写真や郷土玩具など、獅子舞に関連する資料が豊富に集められています。

訪れる際は事前に問い合わせて、開館しているかどうかを確認しましょう!

住所:〒349-0217
   埼玉県白岡市小久喜1262-8
営業時間:不定期(要事前確認)
定休日:不定休(要事前確認)
料金:一般550円、大学生・高校生330円
アクセス:JR東北線(宇都宮線)「白岡駅」東口から徒歩で約5分

情報は変更となる場合がございます。詳細は、公式サイトをご確認ください。

京獅子博物館(東京都西多摩郡)

東京獅子博物館も私設の博物館で、世界の獅子頭が約700点展示されており、多岐にわたる獅子頭を楽しむことができます♪

この他、獅子舞に関する道具や資料も約2,000点収蔵されており、館長である峰岸さんの解説を聞くことができるので、さらに獅子舞の知識を深めることができますよ。

住所:〒190-0205
   東京都西多摩郡檜原村樋里8707-1
営業時間:10:00~16:00
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月26日〜1月3日)
※臨時休館することもあるため、要事前確認
料金:入館料:大人300円、子供100円
アクセス:JR「武蔵五日市駅」からバスで約40分

情報は変更となる場合がございます。詳細は、公式サイトをご確認ください。

おわりに

獅子舞の歴史はとても古く、長い年月をかけ全国各地でたくさんの種類が誕生してきました。

頭を噛んでもらえば厄払いのご利益があるので、獅子舞を見かけたら積極的に噛んでもらいましょう♪

また、地域の文化に合わせて発展してきた背景もあるため、それぞれの獅子舞ごとの違いを知ることで、さらに獅子舞の魅力を楽しむことができますよ。

次に獅子舞を見る時は、今回の記事でご紹介した内容を参考にしながら、今までとは違った視点で楽しんでみてはいかがでしょうか?