神社と仏閣は、
・神社=神道
・仏閣=仏教
という宗教上の儀式を司る施設です。
仏教の建物がお寺になるため、仏閣=お寺です。
神社で祀られているのは神様、仏閣では仏様で、本来は全く違う宗教施設なのです。
しかし仏教の伝来以来、江戸時代までの1000年間は、神と仏は同じものと考えられていました。
そのため、人々は両方を同等に受け入れていたのです。
明治時代に出された神仏分離令により、神社と仏閣は法律上別の宗教として分けられており、その風習は続いています。
多くの日本人の家には仏壇と神棚が設置され、日本人は神社・仏閣を日常生活の行事を行う場としてうまく使い分けています。
しかし、異なる宗教施設なのですから、その宗旨や作法などは異なりが、その違いはあまり理解されていません。
ここでは、神社と仏閣それぞれの特徴を交えながら、特に参拝方法や違いについてご紹介しましょう。
神社と仏閣とは
何かとお願い事があるときには神社や仏閣にお参りしてしまう私たちですが、意外と知られていない違いがあります。
ちょっと考えて見てみると、
・「お宮参り」
・「七五三」
・「成人式」
・「結婚式」
・「厄払い」
などは主に神社に行きますよね。
それに対して「葬儀」や「法事」はお寺に行きます。
大まかにいうと、自分に関わること(現世のできごと)は「神社」で、亡くなった人を弔う(来世への見送り)のが「お寺」なのです。
神 社は神を祀る
神社はもともと火山の噴火や水害など、人々を苦しめてきた自然現象に対して祈りを捧げるところです。
当初そこには祭壇だけで、建物はなかったと言われています。
祈りを捧げるのは祈祷師であり、後に神官(神主)へとつながっていきます。
時代が経つにつれて、古事記などに記された、日本を創り上げたとされる「神様」を祀るようになります。
そこで、神様が住む「神社」が建立されるようになったといわれています。
さらに時代が進むと、時代に活躍した個人を祭神とする神社も造られるようになりました。
実在の人物としては学問の神様といわれる菅原道真(天神社あるいは天満宮と呼ばれます)や明治天皇(明治神宮)、などが、幕府や当時の政府によって神格化され、祭神として祀られています。
そのため、神社が祀る神様(祭神・神体)は「八百万」といわれるほど多いのです。
また、神社の特徴として神様の像がないこと、入口に鳥居が建っていることがあげられます。
神社には必ず、〇〇神社や〇〇神宮といった社号(名前)が付いています。社号の前半部分には、その神社に祀られている神に関わるもの、建っている土地に関するものなどの名称がきますが、社号の後半部分にくる神宮、大社、宮、神社などは一体どのような意味があるのでしょうか。謎だらけの神社を社号や祭神から解説します。
お 寺は仏を祀る
お寺は仏教徒の修行の場で、神社とは反対に仏像が安置され、僧侶によってお経が読まれます。
お経は主にお釈迦様の教えをまとめたもので、宗派によって多少の違いがあります。
仏教は、もともと6世紀に中国大陸から伝来したとされています(西暦538年または552年との説がありますが、その頃には伝わっていたというのが定説です)。
そこから日本に定着し、平安時代に空海(弘法大師)が真言宗、最澄が天台宗を開山して日本全国に広がっていきました。
また、お寺の入口には山門が建てられているという特徴があります。
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日本にはかつて檀家制度というものがありました。
どこの家も、かならずお寺に所属し、お葬式や法事などを行ってもらう代わりに、お布施を払う、というものです。
神社とお寺の行事
神社は「現世」、お寺は「死後」を意味します。
それぞれで開催される行事にはどのような違いがあるのでしょうか?
神 社の行事
神社では主に人生の地点に関わる行事が催されます。
「お宮参り」「七五三」「成人式」「結婚式」「厄払い」「地鎮祭」などです。
また収穫などを祝う「祭り」なども開催されます。
しかし、境内で「葬儀」を行うことはほとんどありませんし、お墓も境内にはありません。
お 寺の行事
お寺で執り行われるのは「葬儀」や「法事」が主になっています。
お墓もお寺の境内にあります。
お寺のお祭りは縁日といわれるように、開祖の誕生日などに祭り(法要)が行われます。
釈迦の誕生日(花祭り・4月8日)や各宗派の開祖の誕生祭(名称はさまざま)があります。
日蓮宗のお会式のように、亡くなった日に盛大な法要を営む宗派もあります。
一般的には春・夏の「お彼岸」もお寺の大きな祭事といえます。
ただ、お寺では近年では神社ほど「現世」「死後」の区別がなくなっています。
お初参り(お宮参り)や七五三、結婚式を行うお寺も増えています。
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神社の参拝方法
神社の境内に入るには鳥居をくぐります。
まず一礼をし、鳥居の左側を左足から入ります。
鳥居や参道の真ん中は、神様の通り道なのであけるようにします。
神社では時計回り(左側通行)で歩くのが原則です。
伊勢神宮内宮は例外で、反時計回り(右側通行)です。
反時計回りの理由はいくつかあるようですが、三重県の伊勢市を流れる五十鈴川の流れが右側だからという説が有力な理由と言われています。
入口近くに「手水舎(ちょうずや、ちょうずしゃ、てみずや、てみずしゃ)」があります。
ここで身を清めます。
手 水舎の手順
・ひしゃくに水を汲みまず左手を清めます。
・持ち替えて、右手を清めます。
・ひしゃくの水を口に含み、飲まずに吐き出します。ひしゃくには口をつけないように、ひしゃくから左手に水を入れて行います。
・もう一度左手を清めます。
・ひしゃくを立てて、柄の部分をすすぐように水を流します。
・ひしゃくを置きます。
本 殿の参拝手順
・鈴があればまず鳴らします。
・お賽銭を静かに賽銭箱に入れます。
・二礼します。
・二回音を立てて柏手を打ちます(二拍手)。
・そのまま両手を合わせてお願い事をします。
・一礼します(二礼二拍手一礼)。
(出雲大社や宇佐神宮は二礼四拍手一礼とされています)
必要に応じて、
・授与所でおみくじを引いたり、お守りやお札を授かったりすることもできます。
・御朱印を授かります。
伊 勢神宮の参拝方法
伊勢神宮には内宮と外宮があります。
おはらい町やおかげ横丁があるのが内宮です。
五十鈴川に架かる宇治橋を渡り、鳥居をくぐると境内です。
一般に神社は左側通行ですが、この内宮は右側通行になっています。
理由は参拝前の禊ぎをする川(五十鈴川)が参道の右側を流れているため、といわれています。
「禊ぎ」とは身を清めることであり、その昔伊勢神宮の風習として川に入って身を清めていました。
今でも禊ぎ場「御手洗場」が残っており、河原に降りて手を洗うことはできます。
しかし身体的理由や、天候などにより河原に降りられないこともあり、「手水舎」が用意されています。
「手水舎」も右側にあります。
右側通行して反時計回りで参拝します。
伊勢神宮でも「外宮」は左側通行です。
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葬 儀の場合
参拝のときと拝礼方法が少し変わります。
・神主に一礼すると玉串=お榊が渡されます。
根元が右側になった形で渡されますので、そのまま玉串をのせる台の前に進みます。
・一礼して玉串を時計周りに回して根元を祭壇の方に向けて置きます。
・二拍手をします。そのとき音は立てません(忍び手)。
・二礼します。
拍 手の作法
拍手の音はどのくらい出すのがいいのでしょうか。
実は、いつものお参りと葬儀のときでは適切な大きさが異なります。
い つものお参り
拍手(柏手)は祀ってある神様を呼び出すために行うので、できるだけ大きな音を出すのが良いといわれています。
神社でも神棚でも同じです。
左右の手を上下に少しずらすと大きな音が出ます。
その際、指の節が合わないようにずらすといいでしょう。
節が合ってしまうと「節合わせ」→「不幸せ」になってしまいます。
葬 儀のとき
葬儀(お通夜や告別式)のときは、柏手の音を立ててはいけません。
葬儀のときは祭壇に祀ってある神様を呼び出さない、亡くなった人の魂を目覚めさせないためといわれています。
音を立てないのは五十日祭(仏式の49日の法要と同じ)までです。
音を出さない柏手の方法がわからないときは、神主の仕草を真似するといいでしょう。
お寺の参拝方法
お寺では境内(山内)に入るには山門をくぐります。
そのとき敷居を踏まないようにしましょう。
左右どちらを歩くかの指定はないと言われています。
手水舎の作法は神社と変わりません。
お香を焚いている常香炉があれば、その煙で身を清めます。
体の悪い部分は煙を浴びると良くなるといわれています。
本 堂参拝の手順
・お賽銭は基本的に投げたりはせず、静かに入れます。
・鰐口※1や鈴があれば鳴らします。
・静かに合掌します。音を立ててはいけません。
・最後に一礼します。
※1「鰐口」とは鉄や銅でできた音を鳴らす道具(仏具)で、鈴と同じように高いところに吊されています。鳴らす回数に決まりはありません。
おわりに
神社仏閣での参拝方法の違いの基本は以上です。
その神社、お寺、宗派などによって多少の違いがありますが、これだけ覚えておけばまず間違いありません。
神様や仏様は多少の得意不得意はあるようですが、広い心でほとんど何でも受け入れてくれます。
恋愛だって叶えてくれるかもしれません。
ちょっと心の迷いやお願い事があるときには、神社やお寺を訪ねるのもいいでしょう。
さまざまな表情を見せる仏像の前に佇むだけでも心が洗われます。
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