最近の日本の夏は、まさに酷暑と言うにふさわしいですね。

本当に困ったものですが、昔から日本人は夏を少しでも涼しく過ごそうと、工夫をしてきました。

その1つが風鈴です。

今回は日本の夏の風物詩、風鈴の魅力について伝えていきたいと思います。

風鈴とは

まずは風鈴にまつわる、基本的な知識についてご紹介していきます。

風鈴の音が鳴る仕組みをご存知でしょうか。

説明してくださいと言われたら、意外と困ってしまう質問かもしれません。

それではまず、風鈴の構造から見ていくことにしましょう。

一般的な風鈴は、大きく3つの部分に分けることができます。

・ 鐘
・ 舌(ぜつ)
・ 短冊

舌とは鐘の内側にある、小さな部品のことで、振り管(くだ)とも呼ばれます。

その舌の下に、紐などで垂れ下がっているのが短冊です。

それでは風鈴の音が鳴る仕組みですが、

1. 短冊が風をキャッチする
2. 短冊と紐で繋がっている舌が揺れる
3. 舌が鐘に当たって音が出る

というシンプルな仕組みです。

風鈴の歴史

それでは、風鈴はどのような歴史を持っているのでしょうか。

風鈴の起源は日本ではなく、一説によると中国※2であるとされています。

※2 インドという説もあります。

もとは竹林に吊り下げて置き、音の鳴り方によって物事の吉兆を占うための道具でした。

これを「占風鐸(せんぷうたく)」と言います。

これが仏教と同時に日本に入って来て、寺院の屋根に吊るされる「風鐸(ふうたく)」となりました。

風鐸にはいわゆる魔除けの意味があり、その音の聞こえる範囲に住む人々には災いが起こらないと信じられていました。

この重厚感のある風鐸が、現在のような小ぶりの風鈴へと変化したのか、詳しいことはわかっていない※3のが実情です。

※3 風鈴という言葉を初めて使ったのは、浄土宗の開祖・法然上人とされています。

また、平安・鎌倉時代の貴族は魔除けのため、自宅に風鈴を吊るしていたという記録もあります。

しかし江戸時代までには、夏に涼しさを感じるための道具になりました。

そして浮世絵に描かれたり、屋台に風鈴を吊るして蕎麦を売り歩く「風鈴蕎麦」が流行ったりと、庶民にとっても身近な存在となっていったのです。

風鈴の効果

さて、最近は洗練されたデザインの風鈴をよく見かけます。

ですが、風鈴は単なるインテリアではありません。

風鈴の魅力は、何といっても音。

そして風鈴の音には、意外な力があるのです。

癒し効果

どこかで「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」という言葉を聞いたことはありませんか?

音に関してだけ言えば、「1/fゆらぎ」とは規則正しい音と不規則な音が調和した音のこと。

人間が「1/fゆらぎ」の音を聞くと、脳内にα波が誘発され、リラックスできると言われています。

例えば川のせせらぎや、小鳥のさえずりなどがこれに当たります。

そして風鈴の音にも、この「1/fゆらぎ」があるのだそうです。

風鈴の音を聞くと、なんとなく心地よさを感じていた方も多いのではないでしょうか。

それはただの気のせいではなく、ちゃんとした理由があったのです。

実際に体温を下げる効果

風鈴は、涼しげな日本の夏を演出してくれます。

軒先に吊るされた風鈴が風に揺れ、音が鳴ると、心なしか涼しくなったという経験はありませんか?

情緒がそう感じさせるのだろうと思いきや、実はそれも気のせいではなかったのです。

なんと風鈴の音を聞くと、本当に体の表面の温度が2~3℃下がることが立証されています。

これは、

風鈴の音 → 風が吹いた → 涼しい

と脳が勝手に判断し、「ということは、体温が下がるぞ」と末梢神経に命令を出すからだそうです。

ただしこれは、日本人に限ったこと。

風鈴の音と涼しさが結びつかない外国人には、この現象は起こらないと言われています。

風鈴の種類

それでは、風鈴にはどのような種類があるのでしょうか。

実に様々な種類があるので、今回はいくつかピックアップしてご紹介していきます。

江戸風鈴

風鈴と聞くと、まずガラス製の風鈴を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

見た目から涼しげなガラス製の風鈴は、風鈴の代表格となっています。

一般的に知られるようになったのは江戸時代の末期のことで、後に「江戸風鈴」と名付けられました。

江戸風鈴は炉で熱せられた1,320℃前後にラスの塊に、管を使って息を吹き込んで成形する「宙吹き(ちゅうぶき)」という技法によって作られています。

ガラスが冷えたら開口部を刃物で切り落としますが、この時、切り口はあえて「ギザギザ」にします。

これは滑らかに仕上げると、音の出ない風鈴になってしまうからだそうです。

南部鉄風鈴(南部風鈴)

江戸風鈴と並んで有名なのが、南部鉄風鈴(南部風鈴)です。

南部鉄風鈴はその名の通り、岩手県の有名な工芸品「南部鉄器」で出来ています。

すなわち良質な砂鉄を含んだ、密度の高い鋳物(いもの)から作られているということです。

そのため「チリン、チリン」と軽やかに鳴る江戸風鈴とは違い、「チーン」と高く澄んだ音が響き渡るのが特徴です。

小田原風鈴

江戸風鈴や南部鉄風鈴と比べると知名度は低いものの、ファンの多い小田原風鈴。

室町時代から続く、神奈川県・小田原の伝統工芸である小田原鋳物でできた風鈴です。

銅と錫(すず)の合金である砂張(さはり)製の風鈴は、長く余韻が残るのが特徴。

かつてその音色に魅せられた黒澤明監督が、映画『赤ひげ』の重要なシーンに登場させたほどです。

明珍火箸風鈴(みょうちんひばし)

変わり種としてご紹介したいのが、明珍火箸風鈴です。

明珍火箸とは、兵庫県姫路市で制作されている火箸のことです。

火箸は、炭火などを挟むのに使う、金属製の箸です。

平安時代より続く甲冑師(かっちゅうし)として名高い明珍家が、鍛冶の技術力を活かして作るようになりました。

そんな火箸を4本、糸で吊りさげて音が鳴るようにしたのが明珍火箸風鈴です。

高く澄んだ音色と深い余韻が特徴で、アメリカの超有名歌手・スティービー・ワンダーも「東洋の神秘」と絶賛したほどです。

また、明珍火箸は厄を「つまみとる」となどといった意味から、近畿地方には火箸を贈る習慣があり、贈り物として人気です。

そのため、明珍火箸風鈴をプレゼントとして購入する方も多くいらっしゃいます。

おわりに

今回は日本の夏の風物詩・風鈴の基礎知識と魅力などについて、簡単にご紹介しました。

風鈴といっても様々な種類が存在し、日本人とは特別な関係にあることなどをご理解いただけたでしょうか。

風鈴のないお宅もあるとは思いますが、今度の夏にでも風鈴を吊るしてみてはいかがでしょう。

昨今の暑い夏をともに乗り切るパートナーとして、素敵な風鈴との出会いを探しに行きませんか?