テレビやラジオで落語に興味を持ち、一度生で聴いてみたいと思っている人は多いようです。
しかし、どこで落語を聴けるのか、チケットはどこで買えるのかなど、分からないことが多い人もいるでしょう。
そこで今回は、落語を生で聴いてみたい人にわかりやすくご説明します。
落語とは?

落語を語る人を落語家、または噺家といいます。
「笑点」で座布団を取り合うのを落語だと思っている人はさすがに少ないと思います。
それでもひと昔前は、噺家(はなしか)が地方に仕事で行くと、「座布団は何枚必要か」と訊かれたといいます。
落語は、座布団に座り、1人の噺家が語る芸能(話芸)です。
似ていると言われる講談との違いとしては、基本的に落語は複数の登場人物になりきって話すことです。
落語ブームと言われて久しいのですが、本格的に盛り上がったブームになったことはまだありません。
2005年に放送されたテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」、2007年の連続テレビ小説「ちりとてちん」あたりから、一般に落語が話題となることが増えたようです。
最近では、マンガからアニメ化された「昭和元禄落語心中」が人気を集めており、これで現実の落語界に興味を持った人、特に女性の姿も多く見受けられるようになりました。
幸い、世間から飽きられることもなく、寄席(よせ)もいつも賑わっています。
噺家の人数も増える一方です。
落語を聴きたいと思う人が多いのは、知的な趣味だというイメージがあるからという意見もあります。
300年の歴史を持つ落語には、確かにそういった特徴があり、洗練された、奥が深い芸能です。
その一方で、新たに聴き始めようとするにあたり、大変敷居の低い芸でもあります。
ちょっと体験しておきたいという程度の人でも、十分に楽しめます。
そんな300年の歴史がある、落語の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

落語は成立から250年の歴史を持つ古典芸能です。そんな落語にはどのようなルーツがあり、どのようにして現代まで継承されてきたのでしょうか。今回は落語の歴史についてお伝えしていきます。
落語を聴くのに事前に準備は必要?
日本の伝統芸能には、講談、歌舞伎、文楽、能、狂言、浪曲、義太夫などさまざまありますが、その中には予備知識がなければ全く楽しめないものもあります。
狂言などは笑いを扱っていますが、予備知識の必要な点は否定できません。
しかし、落語は違います。落語は、ごく日常の日本語を用いる芸です。
古い言い回しがないわけではないですが、日本語がネイティブな人でしたら、聴いていて全体が分からないということはありません。
関西弁で語る上方落語についても、現代の日本では言葉を聴いていて分からない人はまずいないでしょう。
噺家は、テーマソングである三味線の出囃子(でばやし)に乗って寄席の舞台である高座(こうざ)に上がり、座布団に座り一礼します。
それから、まず身の回りの話題を喋ることが多いです。
これをマクラと言います。
多くの場合、マクラはその後語る落語の内容と関連しています。
例えば、ケチな人の噺、知ったかぶりの人の噺、こまっしゃくれた(ませた)子供の噺など、現代にも通用する噺を掛ける※場合には、噺家自身の見聞きした、それにふさわしいテーマを持ってきます。
※掛ける:上演する

マクラでお客さんを温めてから落語本編に入ります。
この際に、羽織を脱ぐことが多いです。
本編に入る前に、落語と一体化した小噺を、マクラとして先に振ることもあります。
小噺や本編に入りますと、噺家は複数の登場人物を1人で演じ分けます。
これは落語を決定的に特徴づける要素ですが、聴いていて難しいことは1つもありません。
上手い演者の高座を目の当たりにしますと、登場人物たちが舞台の上でいきいきと演技をするさまが目に浮かんでくることすらあります。
そんな落語家たちはそれぞれの流派があり、「協会」に所属しています。
落語界には「落語協会」と「落語芸術協会」の二大派閥があり、それぞれ指針や活動内容が異なります。
協会や流派について気になる方は、こちらの記事をご覧ください。

プロとして活動している落語家のほとんどは、何らかの団体に所属しています。
落語界には「落語協会」と「落語芸術協会」の二大派閥があり、それぞれ指針や活動内容が異なります。その他にも、小規模ながら、重要な役割を担っている落語家団体があります。

亭号(流派・屋号)とは、落語家の芸名のうち苗字にあたる部分のことです。「三遊亭」や「桂」、「柳家」「春風亭」などがよく知られています。落語に興味を持ち始めると、どんな落語家がいて、落語界の中でどれくらいの地位を占めるのか、より深く知りたくなるもの。今回は落語の流派を示す「亭号(ていごう)」について解説していきます。
落語の舞台
落語で描かれる世界は、江戸・明治の日常や非日常であるため、最初は少々とっつきにくいこともあるかもしれません。
今では想像しにくい遊郭の噺が掛けられたりもします。
分かりにくい世界の噺なら、演者が事前にさらっと解説をしてくれます。
時代背景が現代と異なっていても、描かれるのは現代人に通じる人情やおかしみです。
難しいことを良しとする芸ではないということです。
また、江戸明治を舞台とする古典落語に対し、現代世界の人間を面白おかしく描く新作落語も盛んです。
いずれにしても初心者は、難しいことは考えず、演者さんの語りにただ身をゆだねればいいのです。
落語の多くは「滑稽噺」といって笑いを目的としたものですが、「人情噺」といって感動させるものもあります。
この区別は明確なものではなく、両方の要素を持った噺が多くあります。
「お笑い」の好きな人が入ってきてもまったく問題ありません。
おかしかったら大いに笑いましょう。
笑っているうちに、笑いの奥にある人情の機微(表面からはとらえにくい微妙な事情や趣)も分かるようになります。
笑いの量だけが大切なわけでないことも分かってくるでしょう。
下記の記事では、初心者にオススメの人情噺と滑稽話をご紹介しております。
どんな噺を聞きに行こうか迷っている方は、ご参考にしてみてはいかがでしょうか。

古典落語の噺は大きく分けて「人情噺」と「滑稽噺」の2種類があり、さらに「芝居噺」「怪談噺」を含めて4つに分けられることもあります。今回は人情噺から5つオススメの落語をご紹介します。

落語はだれが聞いてもわかりやすくおもしろい、万人向けの芸能です。今回は落語初心者の方にぜひ聞いていただきたいオススメの落語を5つご紹介します。
落語鑑賞のマナー
落語を聴くマナーが分からなくて躊躇する人もいるかもしれませんが、それほど心配することはありません。
次のようなことをしない、ごく常識的な人なら落語を楽しむのに支障はありません。
・隣の席とおしゃべりを止めない
・噺家に変な掛け声をする
・おかしな笑い方やリアクションをする
・寝てもいいが、いびきをかく
・噺家が喋っている最中に客席をうろうろする
・携帯電話を鳴らす
落語が催されている東京の演芸場
落語は毎日、日本中で開催されています。
地方にお住まいの方でも、笑点などで名前だけは知っているような噺家さんの落語会にも行くことができます。
そちらで落語デビューするのも良いでしょう。
しかし、落語を聴くには、寄席と呼ばれる専用の演芸場がありますので、せっかくなのでこちらで聴いてみてはいかがでしょうか。
漫才がメインの寄席もありますが、一般的には寄席と言えば落語を主として聴く常設の演芸場のことを指します。
落語が日常的に催されている演芸場は、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、仙台にあります。
特に落語が盛んなのは東京で、常設の演芸場(寄席)が4軒あります。
この4軒に含まれない小さな小屋も多数ありますが、まずは4軒のうちに数えられる次の寄席に行くのがいいでしょう。
・鈴本演芸場(上野)
・浅草演芸ホール
・新宿末広亭
・池袋演芸場
料金は通常、当日売りの現金払いのみです。

寄席にはそれぞれ個性があります。
クラシックな外観と桟敷席(掘りごたつ式の席)が人気の新宿末広亭は、一席の持ち時間が短く、多くの演者が登場します。
寄席では年末の2日~3日を除いて毎日昼夜、落語が聴けます。
月の31日だけは、余一会といって特別番組のことが多く、普段と違う料金体系と番組構成になりますのでご注意ください。
鈴本演芸場と、池袋演芸場の21日~30日は昼夜入れ替え制で昼と夜両方の落語を聴くことはできません。
それ以外の寄席では、昼から夜9時くらいまで居ることができますが、最初から無理しないほうが良いでしょう。
慣れないうちは案外疲れます。
寄席の番組は、昼夜それぞれの最後を飾る主任(トリ)の師匠を盛り上げるために作られているのですが、その感覚がつかめないうちは、好きな時に入って好きな時に出るというのも悪い鑑賞の仕方ではありません。
落語以外にも寄席では、色物と呼ばれる漫才、漫談、奇術、紙切り、太神楽など様々な芸が味わえます。
落語だけで、客を疲れさせないためです。
上記4軒の寄席以外に、国立演芸場も初心者には人気があります。
地下鉄の駅ですと永田町または半蔵門で、国立劇場の一角にあります。
こちらは、毎月1日~20日の、主に昼に開催しています。
他の寄席とは違い指定席のみで、Webや電話で事前に購入できるのはメリットです。
東京にある4つの演芸場をご紹介しましたが、他の演芸場も気になるという方はこちらの記事をご覧ください。

東京では落語の公演がさかんに行われています。特に「寄席」と呼ばれる小屋では、ほぼ毎日落語を聞くことができ、1回の公演につき3,000円ほどで大人も子供も楽しむことができます。最近では若手の落語家が開催する「らくごカフェ」なども登場しています。今回は、東京で落語を聞くことができるオススメの場所をご紹介します。

江戸落語と並ぶ上方落語の発祥の地である大阪。今回は、落語初心者の方でも気軽に楽しめる小さな寄席から、行列ができるほどの定席寄席まで、とにかく笑えて賑やかな上方落語を聞ける場所をご紹介します。
落語の道は深く楽しい
まず一度、寄席に行ってみることをオススメします。
人気者の登場する席に行ってみたい人も多いと思いますが、最初は、いろいろ目移りするでしょうから、それほど混まない普通の席が良いのではないでしょうか。
また、お正月やお盆は、特別興行で混み合っているので、寄席デビューには向きません。
面白いと思えない寄席もあるかもしれませんが、面白いかそうでないかも、初めての寄席では区別が付けづらいと思います。
まずは寄席という、落語独特のシステムを一度経験しに行ってみましょう。
夜席のほうが空いています。
落ち着いた客席で楽しんでみてはいかがでしょうか。
4軒の寄席の個性は、登場する噺家によってまた異なります。
落語にハマりますと、毎月寄席に通うようになる人もいるはずです。
噺家はだいたい7-8人登場し、最後のトリの落語は40分、それ以外は10−15分程度になります。
寄席では落語がメインですが、落語の合間に漫才や手品、講談なども見れます。
そして、好みの噺家が見つかったら、寄席だけでなく落語会を廻るのも楽しいものです。
落語会は少し定義が難しいですが、常設の演芸場で毎日開催されている寄席以外で落語が聴ける落語イベントです。
基本形としては、各地にあるホールで1人または複数の噺家が登場して各噺家が1-2席の落語をやります。
古典落語の演目について、書物等で振り返ってみると、さらに知識が深まり落語がより楽しくなりますよ。
また、人情噺や滑稽噺も面白いですが、怪談噺も人気のある演目となっています。
こちらの記事では、有名な怪談噺をご紹介しております。

怪談噺(かいだんばなし)とは落語のジャンルの一つで、演目内で幽霊・化け物・死神など不思議な現象を取り扱う噺のこと。話芸が中心であるため言葉による繊細な情景描写が特徴で、7月~9月には怪談噺の公演が盛んに行われます。今回は、落語の怪談噺の中でも有名かつオススメな怖い話と、怪談噺を得意とする落語家たちについてご紹介します。

落語で本編の前に語られる部分のことを、枕と呼びます。落語におけるの時間は、ただの面白トークコーナーというわけではありません。実は、落語という話芸が演じられる上で無くてはならない重要な部分なのです。

落語は、日本の伝統芸能の中でも比較的親しみやすく、初心者の方でもわかりやすいという魅力があります。落語を習得することで、興味を惹きつけ、笑いを生み出す噺のスキルが身に付くはず♪本記事では、東京都周辺で落語のお稽古が受けられる教室・会についてご紹介します!