「舞妓」と聞くと、きれいな着物を着て、京都の街を歩いている女性が思い浮かびます。

実は舞妓は京都にしか存在しておらず、京都以外では別の呼び方をするのです。

落ち着いた佇まいからは想像できないほどハードワークの彼女たちですが、舞妓にはそれだけのやりがいがあります。

今回はそんな舞妓について、皆さんにご紹介しましょう!

きっと次に見かけたら尊敬のまなざしを向けてしまうはずです。

舞妓とは

舞妓まいことは、京都において、唄や舞などの芸で客をもてなす女性のことをいいます。

芸妓げいこ・げいぎになる前の見習いの期間と位置付けられており、いわば見習いの芸妓です。

年齢はだいたい中学校卒業くらいの年齢から20歳前後までで、それ以降は芸妓になるのが一般的です。芸妓にはならず、引退する舞妓も少なからずいるようです。

すべての舞妓は置屋おきやへ入り、衣食住すべての面倒を見てもらいます。置屋とは、舞妓や芸妓が所属している事務所のようなところです。

高価な着物の準備や日々の宴席の調整など、すべて置屋で面倒を見てもらう代わりに、舞妓時代にはお給料は一切ありません。少しのお小遣いでやりくりをします。

一見するとつらい労働環境のように感じるかもしれません。しかし舞妓は日々忙しくしており、お小遣いですら使い切れないことが多いのだとか。

お客さまを最高のおもてなしでお迎えするため、日々お稽古などに励んでいるのです。

者との違い

「芸者」とは、京都以外を拠点に芸でもてなす女性のことをいいます。

京都でいう「芸妓」にあたる名称なので、舞妓とは少し違います。

▼ポイント
「芸者」=「芸妓」
舞妓は「芸妓」になるまでの見習い期間

玉との違い

「半玉」とは、関東での芸者見習いの人のことをいいます。

一部地域では「お雛妓おしゃく」と呼ぶところもあるようです。

呼び方は違いますが、やることや立場としては舞妓と同じです。

▼ポイント
「半玉」=「舞妓」
どちらも一人前の芸妓(芸者)になる前の見習い期間

舞妓になるまでの流れ

舞妓になるには、いくつかの手順を踏む必要があります。

まず京都で舞妓になることを決意したら、舞妓募集をしている置屋へ連絡をしましょう。

履歴書などを送付したり、面接をしたりして、採用が決まれば「仕込みさん」になります。

舞妓になるための判断基準は置屋によってまちまちですが、

・年齢が中学卒業前後~20歳程度なこと
・身長があまり高くないこと
・容姿がそこそこ端麗なこと
・親子関係が悪くないこと
・根性があること

を見て決めていることが多いようです。

舞妓になるために、出身地は関係ありません。

全国どこに住んでいても舞妓になることはできます。

ただし、ご両親との仲が悪いからという理由で置屋へ入るのは認められません。

家出のような状態で飛び込んできても、決して受け入れられることはないので、舞妓になりたい気持ちを親御さんにも理解してもらってから応募することが必要です。

採用が決まり、「仕込みさん」になったら置屋での生活がスタートします。

仕込み期間は人によりますが、約1年。

置屋で下働きをしながら、芸事や京ことばを身につけ、舞妓になる準備をしていきます。

仕込み期間が終了したら、1ヶ月程度「見習い」として、ねえさん芸妓とともにお茶屋で実践をおこないます。

見習い期間の帯は「半だらり」といって、だらり帯の半分の長さの特別な締め方です。

一般的な着物の帯は、背中の真ん中に柄が出るように結びます。

一方、舞妓の締めるだらり帯びとは、帯の柄を見せるように背中から垂らすような締め方です。

帯がだらりと垂れ下がっていることから「だらり帯」と呼ばれています。

その後、置屋のおかあさんや組合の許可が出たら、ついに舞妓としてデビューとなります。

舞妓としてデビューするための基準は、日取りなども関係してきますが、見習いさん自身が舞や唄などに熱心に取り組んでいるか、舞妓としての所作に問題がないかなどを総合的に判断しているようです。

下記の記事では、舞妓から芸妓になる過程、また芸妓の仕事内容を詳しくまとめています。
ぜひご覧ください。

舞妓の1日

舞妓の1日は、朝から夜遅くまで活動します。

まず朝は8時頃から起き出し、朝食後、すぐにお稽古です。

お稽古では舞をはじめ、唄、お茶、お囃子などの芸事を基礎から学びます。

時間割は習う芸事によって違いますが、だいたいお昼ごろまでお稽古です。

師匠に指導されたり、ねえさん方の稽古の様子を見て自分の直すところを見つけたり…。

できるだけ早く一人前になれるよう、お稽古は欠かせません。

お稽古が終わり、置屋に戻ったらお昼ご飯の時間。

基本的には置屋で食べますが、舞妓仲間と外で食べることもあるのだとか。

お昼からお座敷までの時間は少しの空き時間です。

自分の好きなことをして過ごせる短い時間。

読書や昼寝をする人もいれば、掃除やお稽古の復習をする人など、過ごし方は様々です。

夕方になってきたらお座敷へ上がる準備を始めます。

髪を整え、白粉を塗って、紅をさして、舞妓の顔を作っていきます。

最後に男衆おとこしさんに着物を着つけてもらったら完成です。

舞妓の顔を作るのには、だいたい1時間くらいかかります。

慣れるまでの期間はもう少し長くなることもあるようです。

着物の着付けにも1時間ほどかかるので、舞妓姿になるまでには2時間近くも準備のための時間が必要になります。

「おこぼ」と呼ばれる靴底の高い履物を履いて、宴席の場となるお茶屋へ向かいます。

宴席は1日1軒というわけではなく、2~3軒回ることもあるため、終わるのは深夜1時頃。

置屋へ戻って着物を脱ぎ、お化粧を落としたらようやく就寝です。

毎日がこの繰り返しなので、とてもハードな仕事だといえます。

下記の記事では一人の女性から、舞妓さんになるまでの流れを紹介しています。

化粧だけでも大変な作業ですが、舞妓さんの髪型には主に5種類あり、その一つひとつに意味があります。


現在も舞妓がいる地域

「舞妓」がいる地域は、京都のみです。

上七軒、祇園、祇園東、先斗町と宮川町の5つの花街それぞれに舞妓は所属していますが、年々人数は減ってきているのが現状です。

一方、「芸者」は東京をはじめ、全国各地に現在もいます。

東京であれば、新橋・赤坂・神楽坂が有名です。

おわりに

「舞妓」は、京都の花街で宴席を盛り上げる女性のことをいいます。

舞妓になるためにはいくつかの条件があり、採用されてから舞妓になるまでの間にも、覚えることや、やるべきことがたくさんあります。

途中でやめてしまう人も多いのだとか。

それでも舞妓になりたい人が多いのは、下記のようなやりがいを感じることができるからでしょう。

・お客さまの笑顔や「ありがとう」の言葉
・普通では会えないような人物に会える感動
・なかなか聞けない貴重な話を聞けるなど、舞妓としての仕事を通して体験できることは貴重なものばかりです。

毎日のハードなお稽古や、深夜まで続くお仕事にも負けず、笑顔でいられるのは、舞妓という仕事に誇りを持っている人が多いからでしょう。

「舞妓」の文化を大切に守っていきたいですね。

記事を読み終えて、舞妓体験をしてみたいという方へ、京都で舞妓体験ができる場所をまとめています。 

ぜひご参考ください。