海外市場が期待できる「泳ぐ宝石」- 日本の錦鯉
海外で人気があり、愛好家も増加している日本の錦鯉は、100種類以上の品種に細分化され、「泳ぐ宝石」や「世界最大のガーデンフィッシュ」とも呼ばれています。
日本の錦鯉の情報はインターネットやSNSなどを通して配信されているので、世界各地から多くの愛好家や観光客が、錦鯉の発祥地である新潟県長岡市を訪れています。
錦鯉が見たくなったら、錦鯉発祥の地にある「錦鯉の里」や、日本全国にある“無料”で錦鯉が観賞できる観光スポット、そして町中にある池や公園などの“隠れた観賞スポット”に足を運んでみることをオススメします。
錦鯉とは?
錦鯉とは、観賞用に改良された鯉の品種の総称です。
美しく色鮮やかな模様を錦に例えて「錦鯉」と呼ばれています。
一方、一般的な品種の黒い鯉は日本各地にある自然の池に生息している「淡水魚」で、英語では、”Carp”と呼ばれています。
日本の錦鯉は、英語で“Asian Carp”,“a (vari) Colored Carp”と呼ばれていますが、認知度と人気の高さから、近年では日本語の外来語として、”Koi”, ”Nishiki Koi”, “Koi Fish” などとも呼ばれています。
錦鯉の全長は、小さい錦鯉で10㎝位、大きい錦鯉で1m以上あり、大きさに応じて飼育する場所や水量を選択することができます。
最近では、広い池が庭になくても水槽が置ける場所があれば、マンションや室内でも小さな錦鯉の飼育が可能です。
この記事では、錦鯉の飼い方、飼育方法についてご紹介します。家の中(水槽飼育)や池の中の飼い方、餌やり・量の注意点のほか、錦鯉の購入方法や輸送方法に関してにも触れているので、錦鯉を飼いたい方は参考にしてみてください。
錦鯉の誕生
錦鯉の誕生は、今から約200年前の江戸時代です。
現在の新潟県長岡市(旧・山古志村)の農家の人が、農作物を栽培する棚田の上にある池で飼っていた鯉の中に突然変異によって美しい模様と色彩がある「変わり鯉」を見つけたことが、観賞用錦鯉のはじまりです。
その後、「変わり鯉」は、1914年(大正3年)に開催された「東京大正博覧会」に出品され、全国的に知られるようになりました。
特に紅白の色彩のある鯉は、日本の国旗である日ノ丸をイメージするので注目され、やがて世界でも知られるようになりました。
当時、この「変わり鯉」は、「花鯉」や「色鯉」などと呼ばれ、第二次世界大戦中から「錦鯉」と呼ばれるようになりました。
また、1968年に開催された第一回全国総合錦鯉品評会で錦鯉は、「国魚」の呼び名が付けられました。
錦鯉が世界の愛好家に好まれる理由
錦鯉が外国人愛好家に好まれる理由は主に4つあります。
詫 び寂びを感じられる
1つ目の理由は、錦鯉の愛好家でもない一般の日本人が、あまり感じない日本の「侘び寂び」を海外の愛好家は、錦鯉の泳いでいる姿から感じられることです。
また、錦鯉が池でゆっくり泳いでいる様子から、日本の「奥ゆかしさ」や「優雅な佇まい」なども感じられるので、海外の愛好家は、「泳ぐ宝石」として称賛しています。
親 近感が感じられる
2つ目は、錦鯉が人懐きやすい性格なので、育てていると、親近感が感じられることが理由です。
さらに体型、色柄模様、肌質などが同じ錦鯉が生まれることがないので、同じ錦鯉が存在しないことも、世界の愛好家に人気のある理由です。
魅 力が感じられる
3つ目は、錦鯉の色彩や模様には、日本の「自然の美しさ」と「色鮮やかな美しさ」があるので、「泳ぐ宝石」として、魅力が感じられることが理由です。
優 雅な気持ちにしてくれる
4つ目は、錦鯉の泳ぐ姿が優雅な気持ちにしてくれることが理由です。
また、錦鯉が優雅に泳いる姿を観賞していると、リラックスできるので、自然と笑顔になることも好まれる理由です。
錦鯉の観賞を楽しむためのポイントは、最初に観賞の基礎と言われている錦鯉の種類、鱗、美しい体型、そして飼い方を知ることです。錦鯉の品種は130種類位ありますが、その中でも「紅白」の品種は、「紅白から始まり紅白に終わる」と言われるくらい、錦鯉観賞の基礎です。
国や人種によって品種の好みが異なる錦鯉
錦鯉は、国、地域、人種によって、品種の好みが異なります。
日本の愛好家に好まれる錦鯉の主な品種は、
・紅白
・白写り
・五色
・大正三色
・昭和三色
の5つです。
特に「紅白」の色彩に黒色が入っている伝統的な色柄や白色に良い型模様がある錦鯉は人気があります。
これらの品種を好む海外の愛好家も多いですが、逆に変わった品種を好む愛好家も多いです。
例えば、欧米の愛好家に好まれる錦鯉の品種は、無地で金色が含まれている「光り無地」、色や形に特徴がある「変わり鯉」、薄暗い色をしたタイプです。
欧米の愛好家の多くは、錦鯉を観賞用ではなく“ペット”として飼っています。
また、中国では、赤色が縁起の良い色なので、美しい赤色、そして金色が含まれている錦鯉が愛好家に好まれています。
錦鯉は本物の宝石と同じくらい、たくさんの種類が存在します。数多にある錦鯉の種類の違いを見分けられるようになると、きっと愛着も沸いてきて、もっともっと錦鯉を見るのが楽しくなりますよ♪今回は錦鯉の中でも代表的な種類や系統、人気品種について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます!
国内より大きい錦鯉の海外市場
約 8割は海外輸出
日本で生産される錦鯉の約8割は、海外に輸出されているので、国内需要より海外の方が圧倒的に多いです。
その背景には、日本の住宅事情とアジア圏の経済の急成長による富裕層増加などがあります。
日本での錦鯉の需要が減少した背景には、昨今の日本の住宅環境の変化があります。
錦鯉が飼える池のある広い庭が付いた一戸建住宅は減少し、逆に高層マンションや集合住宅が増加しているので、錦鯉の国内需要は減少傾向です。
一方、海外の錦鯉の需要が増加した背景には、欧米の愛好家の増加と香港、中国、東南アジアなどのアジア圏での需要増加です。
特に錦鯉は、商売繁盛や立身出世を願う中国人にとって、「縁起物」の良い魚として人気があるので、今後アジア圏での需要は富裕層の間で増加傾向です。
期 待できる海外市場
今日、錦鯉の生産地は日本だけでないので、海外バイヤーや愛好家は、世界各地の生産地で購入することができます。
しかし、海外のバイヤーや愛好家にとって、日本生産の錦鯉は人気が高いです。
そのため日本の生産地や品評会には、メディア関係の人々を伴って直接買い付けをする多くの海外バイヤーや愛好家たちが現地に足を運んでいます。
特に日本の錦鯉愛好家が多い国は、米国、欧州のベルギー、英国、オランダ、ドイツ、中国、香港、シンガポール、台湾、インドネシア、フィリピンなどです。
これらの国々の愛好家や旅行者も日本の生産地を訪れて、現地の素晴らしさを感じ、生産者と交流を通して日本の錦鯉の素晴らしさが世界に益々発信され、新たな海外市場開拓のきっかけになることでしょう。
そのため今後、海外で錦鯉が生産されても“日本生産の錦鯉”の海外市場は、これからも大いに期待できるのではないでしょうか。
日本の錦鯉愛好家は、日本国内だけでなく、欧米やアジア地域の国々を中心に世界の約50か国に及び、現地には錦鯉の愛好家団体や親善交流団体などもあり、日本と同じように錦鯉の品評会が開催されています。
おわりに
世界の愛好家だけでなく外国人旅行者にも愛されている日本生産の錦鯉は、日本文化の「泳ぐ宝石」です。
身近にある日本庭園で錦鯉を観賞してみませんか。
「最も優秀なエリート錦鯉」は、体型・模様・色彩などがはっきりと表れて、総合的なバランスが良い “容姿端麗”の錦鯉です。しかし、稚魚から成魚になる過程で「優秀なエリート錦鯉」は数匹しか残りません。
海外でも人気のある錦鯉ですが、一般の人にとって、錦鯉の品評会内容や価格相場については意外と知られていません。