日本人は古来、風土や習わし、他大陸の文化から、和の心を持って独自の文化を発展させ、築いてきました。
日本の「芸道」には、そんな数々の独自文化のうち、現在も愛され続けているものが多く存在しています。
この記事では、日本人の精神が詰まった芸道とはなにか、その種類(茶道・華道・香道・書道・剣道・芸能)や魅力、歴史などをご紹介します。
体験できる教室一覧も紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
日本の芸道とは?
日本の「芸道」とは、日本独自の礼儀作法や道徳などの精神性と様式を形成した茶道・華道・香道・書道などの伝統的な技芸や武道、芸能のことを指します。
稽古、修行の過程で技術面だけを学ぶのではなく、同時に自分自身と向き合い、精神を磨くことが重要だ、と考えられています。
「芸道」という言葉は、室町時代にはすでに使用されていた記録があり、江戸時代には、茶の湯を“茶道”、剣術を“剣道”というなど、技芸や武芸の言葉に“道”を付けるようになりました。
日本の芸道の種類と魅力
では、日本の芸道にはどのようなものがあるのでしょうか?
芸道の領域は多岐にわたり、明確に「これらが芸道である」と断言することは難しいのですが、ここでは代表的な芸道として、茶道・華道・香道・書道・剣道・芸能について、その特徴や歴史をみていきましょう♪
茶 道
「茶道」とは、心を落ち着かせながら抹茶をたて、客人にふるまう行為を指します。
粉状の抹茶とお湯を茶碗に入れ、茶筅と呼ばれる道具で攪拌してお茶をたてるのです。
お茶を通して、お客様をもてなす“おもてなし”の心や、質素なものの中に豊かさや奥深さの趣を感じる“詫び”、そして時間の流れにより生まれる美しさを“寂び”と考える“侘び寂び”の心など、精神面を成長させることを目的として行います。
また、細かい作法や庭・茶室のしつらえ、茶道具などから、茶道独自の芸術を楽しめることも魅力の一つです。
茶道の歴史
日本におけるお茶のはじまりは、平安時代です。
当時のお茶は、嗜むものではなく、漢方薬として飲まれるのが一般的でした。
抹茶を飲むという喫茶の習慣は、鎌倉時代に、禅僧の栄西によって中国から持ち込まれ、禅僧らの間で普及していきました。
その後、室町時代に僧侶・村田珠光が、お茶に奥深い精神性を取り入れた“侘び茶”を成立させ、さらに茶人の千利休が現代の茶道を大成させました。
江戸時代になると、茶の湯は武士の嗜みとして一般的になり、「茶道」と呼ばれるようになります。
この頃には流派も増えていき、現在は千利休の子孫が作った“表千家”、“裏千家”、“武者小路千家”が代表的な流派となっています。
茶道とは、亭主が美味しいお抹茶を点て、客人に振る舞う日本の伝統的な芸道の一つです。日本の時代背景に強く影響を受けており、世代を超えて現在まで継承されています。人との交流を大切にしながら自分自身と向き合うことで、心を豊かにし、人間性を磨くことができる茶道。今回は、茶道とは何か、歴史や作法、流派、道具などをご紹介します。
華 道(生け花)
「華道」とは、四季折々の草花を花器に生けて作品を作り、鑑賞する芸術です。
主役となる花材を中心に、枝や葉を活用して一つの作品を作り上げます。
華道には、作品から四季の移ろいや侘び寂びを感じたり、植物の曲線やアシンメトリーな形に美しさを見出すなど、日本の自然文化に対する感性が込められています。
生ける人の精神性を高める役割もあり、花材と向き合うことで、花の命を尊び、自己成長を促す側面も持っています。
華道(生け花)の歴史
華道は、仏様にお供えする供花が原点だといわれています。
室町時代の中頃、床の間に飾られた器や絵画を彩るために草花を生ける習慣が広まる中で、六角堂というお寺の僧侶が生けた供花が評判になったことから、「華道」として様式が形成されていきました。
この僧侶は、池のほとりに建ったお寺の僧侶であったことから、“池坊”と呼ばれ、日本で最も古い流派“池坊”の源流となりました。
その後、時代を重ねるにつれ、仏様に供えるためのものという認識から、見る人を楽しませるものとして変化していきます。
明治時代には、水盤を用いる方法が考案され、西洋の花も使用されるなど、その形を柔軟に変えながら現代まで愛され続けています。
華道(生け花)とは、主に植物を用いて形作られる日本の伝統芸術です。
四季折々の草花を生けることを通じてその美しさを慈しむ「生ける楽しみ」と、作品を鑑賞する「見る楽しみ」があります。
華道(生け花)を通して四季を味わったりわびさびを感じ取ったりすることで、日本の自然や文化を愛でることのできる特質を持ちます。
香 道
「香道」とは、香木を焚き、その香りに映し出される情景を楽しむことを目的にした芸道です。
香りをかぐことを“聞く”といい、香りを聞いて楽しむ“聞香”と、複数の香木を聞き分ける“組香”の2種類があります。
組香は競技的ではあるものの、聞香と同様に、香りで表現された情景や世界観を想像して楽しむことが大切とされています。
非常に繊細で高度な嗅覚と感性が求められる芸術なのです。
現在、御家流と志野流の2流派が主となっています。
香道の歴史
香道は、仏教とともに日本に伝来したことがはじまりといわれています。
当初は、仏教の儀式の一つとして香木が焚かれていました。
平安時代になると、香りを聞いて楽しむという貴族の遊びが生まれ、鎌倉時代には武家の間でも嗜まれるようになっていきました。
その後、室町時代に茶道や華道とともに“芸道”の一つとして「香道」が生まれ、江戸時代半ばには民衆の間にも広まったことで、階級問わず広く親しまれるようになりました。
「香道」とは、天然香木をたき、その香りから四季が存在する日本ならではの感性、和歌や故事、情景を鑑賞する芸道です。今回は香道とは何か、歴史ややり方など、香道初心者の方に向けて興味が湧いてくる情報をお伝えします。
書 道
「書道」とは、毛筆に墨をつけ、文字を美しく書く芸道のことです。
お手本通りに書く習字とは異なり、書道は筆の運び方や墨の濃淡などを通して、文字そのものに情緒や感情を込め、自分を表現しながら美を追求する、芸術の一種です。
“余白の美”と呼ばれる空間を意識した美学や、文字を書くときの静かな心、作品から感じられる“静寂の美”など、日本特有の美意識が凝縮されています。
書道の歴史
書道は、飛鳥時代や奈良時代に、仏教を広める目的で伝わった写経が起源とされています。
平安時代ごろ、貴族や僧侶の間で書道が広まりはじめ、柔らかい書体が主流となったことで、かな文字も生まれました。
鎌倉時代には、武士の教養の一つとして、書道が広く行われるようになった後、室町時代にさまざまな流派も生まれはじめ、徐々に日本の書道文化は確立していきました。
江戸時代には、貴族や武士のみならず庶民にも普及しはじめ、伝統文化として現代にまで続いています。
日本は、最初独自の文字をもっておらず、中国の漢字から書が生まれたと考えられています。
書として文字を書き出したのがいつ頃なのか詳しい年月は不明のままですが、残された遺品からある程度の年月が解明されています。
漢字が日本に入ってきていたことがわかる遺品は、「漢委奴國王(かんのわのなのこくおう)」の金印です
剣 道
「剣道」とは、剣道着を着用し、一対一で決められた場所を竹刀で打ったり突いたりする競技です。
日本の剣術にルーツを持つ剣道は、自らの心身を鍛え、自分に打ち勝つ精神性と、相手への敬意、礼節を重んじることが重要視されています。
そのため、勝敗を決める1本も、相手より早いだけでなく、正しい姿勢か、相手への思いやりがあるかなどを考慮した上でやっと認められます。
体力差や体格差による影響が少ないことから、年配の方でも続けることができる競技として、世界的に幅広い年代の愛好者がいる生涯スポーツの一つでもあります。
剣道の歴史
剣道の歴史において、源流となる“日本刀”が誕生したのは平安時代中頃でした。
室町時代になり戦国の世の幕が開けると、日常的に戦が起こっていたことから剣術が発展し、技術や精神性の違いによって数百にものぼる流派が生まれます。
その後、平和が訪れた江戸時代、戦いの場が減ったことで、剣術は人間形成を目指す武士道の技術へと変化していきました。
安全に稽古するため、防具や竹を袋で包んだ袋竹刀が考案され、“竹刀打ち込み稽古法”という方法が生み出されました。
これが、現代の剣道の原型とされています。
明治時代に武術の振興を目的とした団体が奨励したことで、「剣道」という名で教育科目に登録され、現在までその技芸が受け継がれています。
剣道とは、剣道具を着用して一対一で向かい合い、相手の定められた部位を竹刀で打ったり、突いたりして勝敗を決める競技です。この記事では、その歴史や特徴、ルール、道具など、知っておくべき剣道の基本についてご紹介します!
伝 統芸能
「伝統芸能」は、日本で古くから大切に伝承されてきた演劇や音楽のことを指します。
四季折々の自然に感謝をささげたお祭りや儀式と深い関係を持って発展してきたものが多く、人との“和”を大切にしてきた日本人が育んだ独自文化です。
伝統芸能といってもさまざまな種類がありますが、中でも“歌舞伎”や“能・狂言”、“日本舞踊”、“落語”、“人形浄瑠璃”などがよく知られています。
それぞれの特徴やたどってきた歴史、楽しみ方を知ることで、古くから繋がる日本人の想いに寄り添い、その魅力を感じることができるでしょう。
より詳しく「伝統芸能」について知りたい方は、下記の記事もご覧ください♪
人々を魅了し、感動を与える伝統芸能。
伝統芸能という言葉を紐解いていくと、長い歴史を紡いできた日本の大切な芸能文化が詰まっていることが分かります。
古くから守り続けてきた日本の伝統芸能にはどのようなものがあるのか、その種類や特徴を見ていきたいと思います。
芸道のお教室を探そう!教室一覧
ここまで、芸道にはどのようなものがあるのか、その種類をご紹介しました。
ここからは、芸道を実際に体験してみたい!という方のために、全国のお教室を紹介します。
ジャンルごとに分けて紹介していきますので、気になるお教室がある方は、各教室ページから気軽に体験のお申し込みをしてみてくださいね♪
茶 道
一対一の個人レッスンからオンラインレッスン、チケット制など、さまざまな形態の茶道教室があります。
いずれもお茶の作法を学べるだけでなく、茶室で日本の和を体感でき、日本人の心を思い出させてくれます♪
ワゴコロがオススメする茶道教室をご紹介します。
華 道(生け花)
生け花を気軽にはじめたい方から免状を取得したい方まで、それぞれの目的に合わせてお教室を選んでみてください。
まずは体験教室で、流派による生け方の違いを体感してみるのもオススメ♪
草花との触れ合いは、生活に足りない自然を補い、心安らぐひとときを与えてくれますよ。
ワゴコロがオススメする華道教室をご紹介します。
書 道
初心者向けや経験者向け、手ぶらで行けるお教室など、自分に合った書道教室を見つけることが長続きのポイントです。
字の上達や段位の取得はもちろん、穏やかな空間で心落ち着くひと時を満喫できますよ♪
ワゴコロがオススメする書道教室をご紹介します。
伝 統芸能
日本舞踊を中心とした舞踊や落語のお教室、舞妓体験など、さまざまな伝統芸能のお教室や体験をご紹介しています。
とくに舞踊は、藤間流や花柳流といった日本舞踊、琉球舞踊、巫女舞踊など、多様なお教室が全国にありますよ♪
お稽古の中で浴衣の着付けや美しい姿勢、歩き方なども身に着けることができるほか、音楽に合わせて体を動かせば、リフレッシュにもなります。
また、旅行中に舞妓体験に訪れて、日本文化に触れながら街を散策するのもオススメです♡
日本舞踊
ワゴコロがオススメする日本舞踊教室をご紹介します。
琉球舞踊
仲里綾香 琉球舞踊教室のご紹介ページです。 本文ページ緑のボタンから体験レッスン、本レッスンへのお申込みができます。
巫女舞
伊勢の社巫女舞教室のご紹介ページです。 本文ページ緑のボタンから体験レッスン、本レッスンへのお申し込みができます。
落語
なまらく落語教室のご紹介ページです。 本文ページ緑のボタンから体験レッスン、本レッスンへのお申込みができます。
舞妓
舞妓体験・舞妓変身スタジオ四季のご紹介ページです。 本文ページ緑のボタンから体験のお申し込みができます。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、日本人が古くから大切に守り伝えてきた日本独自の「芸道」についてご紹介しました。
芸道は、長い歴史の中で培ってきた素晴らしい技術だけでなく、日本人特有の精神が表現された伝統文化です。
現代ではなかなか触れる機会のないものも多いですが、日本人として、これからもこういった文化や考え方を長く受け継いでいきたいものです。
私たち一人ひとりが少しでも学んだり体験してみたりすることで、歴史を繋げていけたらいいですね♪
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しかし、少しミスをしたからといって、咎められるようなことはありません。
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