織物ってなんだろう?日本の織物には、どんな種類があるの?

最近では、着物を着る機会が減ってしまったこともあり、「織物」が何かよくわからない、という方も少なくありません。

今では認知度が低いように感じる織物ですが、実は日本の織物の歴史は古く、さまざまな土地でその土地に合った織物へと発展し、日本全国にはたくさんの伝統的な織物が存在しているんですよ。

そこで、この記事ではみなさんに、織物についてわかりやすく紹介していきたいと思います。

織物とは?

織物おりものとは、経糸たていと緯糸よこいとを交差させて作る布地のことをいいます。

糸を染めてから織るので、「先染さきぞめ」ともいいます。

日本の織物を糸の種類別に分けると

綿めん織物
きぬ織物
織物
あさ織物

などがあります。

また、日本の絹織物には、糸のり方や織り方によって縮緬ちりめん羽二重はぶたえつむぎ、お召し、しゃなどの名称があります。

日本の織物の歴史

縄文時代~奈良時代

日本の織物の歴史がいつはじまったのか、実は未だにはっきりとはわかっていないのです。

ただ、縄文時代後期から弥生時代にかけての遺跡から機織はたおり道具が見つかっていることや、弥生時代の遺跡から当時の織物が発掘されていることから、それ以前にはすでに織物が存在していたと考えられています。

奈良時代に入ると、西洋や古代中国のさまざまな技術が日本に伝わり、品質の高い絹織物が作れるようになりました。

しかし、この高級な絹織物は上流階級の人達しか着ることができませんでした。

平安時代~江戸時代

平安時代に入ると、さらに技術が向上し、織り紋様が発達します。

宮廷の貴族が身につける有職ゆうそく織物※1など、日本独自の紋様が誕生しました。

江戸時代には、絹の原料であるまゆを作るかいこの飼育が推し進められ、全国各地で絹織物が発展します。

こうして、お金持ちの商人たちが絹織物を着るようになりますが、絹の価値が低くなるからと、貴族や武士以外は絹を着ることを禁止されてしまいます。

そのため、庶民は麻や綿の織物を着用していました。

※1 有職織物:朝廷や朝廷に仕える者の間で使用される織物。中国から伝わってきた織物が日本風に洗練されたもの。

明治時代~現代

明治時代になると、大型の織機が輸入され織物は工業化されます。

さらに、近年ではコンピューター化も進み織物にも各国の技法が取り入れられ、日本独自の織物だけでなく新たな技術を使った織物も誕生しています。

機械化が進んだ日本の織物業界ですが、各地には今でも手織り機を使って昔ながらの織物を織り続けている職人が残っています。

こうした職人たちによって、日本の織物の伝統は受け継がれているのですね。

織りの種類

先ほどもお話しましたが、織物おりもの経糸たていと緯糸よこいとを組み合わせて作られます。

その組み合わせ方は4種類あり、「織りの四原組織よんげんそしき」とよばれます。

織りの四原組織とは

平織ひらおり
綾織あやおりまたは斜紋織しゃもんおり
繻子織しゅすおりまたは朱子織しゅすおり
捩織もじりおりまたは搦織からみおり

です。

以前は、平織、綾織、繻子織の3種を「三原組織さんげんそしき」とよんでいましたが、近年では捩織を足し、四原組織とよんでいます。

この4種類を組み合わせてさまざまな紋様が生みだされるのですが、単色だけでも模様を織り出すことができるんですよ。

それでは、四原組織を一つずつ詳しく見ていきましょう。

1.平織

平織ひらおりとは、経糸たていと緯糸よこいとが1本ずつ交互に交差する、織りの基本といわれる技法です。

糸の交差する点が多く、丈夫で摩擦に強いのが特徴です。

2.綾織(斜紋織)

綾織あやおりは、斜文織しゃもんおりとも呼ばれ、経糸たていと緯糸よこいとの交差する点がななめに連続して織られる技法です。

そのため、織り地にななめのラインが浮き出てきます。

適度な強度もありシワになりにくく、伸縮性があるのが特徴です。

3.繻子織(朱子織)

繻子織は、朱子織とも書かれ、どちらも「しゅすおり」と読みます。

経糸たていと緯糸よこいとの交差する点に、一定の間隔※2があるため、経緯のどちらかの糸が浮き、交差する点が少ないのが特徴の技法です。

そのため、経緯のどちらかの糸のみが表にあらわれているように見えます。

経糸を多く浮かせたものを経繻子たてしゅす、緯糸を多く浮かせたものを緯繻子よこしゅすとよびます。

引っかかりや摩擦に弱い一方、なめらかで、綾織よりもさらに光沢があるのが特徴です。

また、よく耳にする「サテン」生地とは、繻子織の生地のことなんですよ。

※2「飛ばし」とよばれることもあります。

4.捩織(搦織)

捩織もじりおりは、搦織からみおりともいい、経糸たていと緯糸よこいとの間で絡み合いながら織り込まれる技法です。

織り目にすき間ができる網状の織物なので、軽くて通気性が良く、ななめの方向によく伸びるのが特徴です。

捩織は、しゃの3種類を基本形とし、これらは「うすもの」とよばれる夏の着物地になります。

伝統的工芸品に指定されている織物の種類

日本全国でその産地の特徴を活かして作られている織物。

中でも、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、経済産業大臣により伝統的工芸品であると指定された織物は38種類あります。

北海道・東北地方
【北海道】二風谷アットゥシ
【福島県】奥会津昭和からむし織
【山形県】置賜紬
【山形県・新潟県】羽越しな布

関東地方
【茨城県・栃木県】結城紬
【群馬県】伊勢崎絣
【群馬県】桐生織
【埼玉県】秩父銘仙
【東京都】村山大島紬
【東京都】本場黄八丈
【東京都】多摩織

中部地方
【新潟県】塩沢紬
【新潟県】本塩沢
【新潟県】小千谷縮
【新潟県】小千谷紬
【新潟県】十日町絣
【新潟県】十日町明石ちぢみ
【石川県】牛首紬
【長野県】信州紬

近畿地方
【滋賀県】近江上布
【京都府】西陣織

中国・四国地方
【鳥取県】弓浜絣
【徳島県】阿波正藍しじら織

九州・沖縄地方
【福岡県】博多織
【福岡県】久留米絣
【鹿児島県】本場大島紬
【沖縄県】久米島紬
【沖縄県】宮古上布
【沖縄県】読谷山花織
【沖縄県】読谷山ミンサー
【沖縄県】琉球絣
【沖縄県】首里織
【沖縄県】与那国織
【沖縄県】喜如嘉の芭蕉布
【沖縄県】八重山ミンサー
【沖縄県】八重山上布
【沖縄県】知花花織
【沖縄県】南風原花織

その他の日本の織物

上の、伝統的工芸品に指定されている織物の種類で紹介した織物以外にも、日本の各地にはまだまだたくさんの織物が存在しています。

それらの名前と産地を紹介します。

北海道・東北地方
【北海道】優佳良織ゆうからおり
【青森県】南部裂織なんぶさきおり
【宮城県】仙台平せんだいひら白石紙布しろいししふ
【秋田県】秋田八丈あきたはちじょう秋田黄八丈あきたきはちじょう
【山形県】紅花紬べにばなつむぎ
【福島県】会津木綿あいづもめん

関東地方
【千葉県】唐桟織とうざんおり

中部地方
【新潟県】越後上布えちごじょうふ五泉平ごせんひら
【石川県】能登上布のとじょうふ
【長野県】上田紬うえだつむぎ飯田紬いいだつむぎ山繭紬やままゆつむぎ
【岐阜県】郡上紬ぐじょうつむぎ
【静岡県】ざざんざ織、掛川手織葛布かけがわておりくずふ

近畿地方
【滋賀県】浜縮緬はまちりめん
【京都府】丹後縮緬たんごちりめん
【兵庫県】丹波布たんばぬの
【奈良県】大和絣やまとがすり

中国地方
【鳥取県】倉吉絣くらよしかすり
【島根県】広瀬絣ひろせがすり
【広島県】備後絣びんごかすり
【愛媛県】伊予絣いよがすり

九州地方
【佐賀県】佐賀錦さがにしき

おわりに

日本の織物について、ご紹介しました。

織物の産地は日本各地にあり、自分たちの織物を知ってもらうための活動として、実際に織物にふれたり、自分で織ったりできるなど、工夫を凝らした取り組みが行われています。

この記事を通して、日本の伝統的な織物に少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ産地に訪れて、実際に手に取ってみてください。

文字だけでは伝わらない織物の素晴らしさに出会えるはずです!

また、最近ではインターネットで伝統工芸の織物を取り扱う事業者も増えました。

商品の紹介だけでなく、産地や職人の魅力を伝える取り組みも行われています。

現代は洋装化が進み、日本の伝統的な織物は縮小傾向にあります。

しかし、生活様式の変化に合わせ、伝統的な織物の技術を使用したTシャツやコート、ネクタイなどの商品も新たに生みだされています。

まずは、お住まいの近くにある織物の商品や、関わる人びとに目を向けてみてはいかがでしょうか?