
陶芸の道を、一度でも志したことがある方ならお解りかと思いますが、ロクロをはじめとする成形や釉がけの方法をいかに確実に習得し、上達するかは何よりの重大テーマです。
しかし、「土練り3年、ロクロ6年」という諺がある通り、その技能を習得することは容易くはありません。
陶芸の技術を身に付けるには、それだけの時間と修練が必要だということを意味しています。
この記事では、陶芸を始めたばかりでこれから上達したいとお考えのみなさんに、陶芸を1日でも早く上達できるよう、そのポイントについてご紹介します。
どうか最後までお付き合い下さい。

陶芸には、ものを作り出す楽しさと喜びがあります。元はただの土の塊から、食器や花器、果ては芸術作品など多彩な工芸品を生み出すことができます。しかし、実際に土を練ったり、成形したりした経験がないと、不安なのも事実。

各地で陶器市の催しが行われていたり、ふとした時に陶芸教室を見かけたときに「陶芸をやってみたい!」と思ったことはありませんか?
陶芸には作品の完成までにいくつかの工程がありますが、こちらの記事では、陶芸で使われる道具、初心者向きの粘土、「やはり最初は、陶芸教室に通った方がいい?」といった疑問にお答えしていきます。
陶芸が早く上達する方法

結論から申しますと、陶芸が早く上達する方法は、少しでも「良い先生」に、基本を徹底して教えてもらうことに尽きます。
この答えは、実の所「陶芸で一番大切なこと」につながる大切なポイントです。
ロクロが早く上達したいなら、良い先生に巡り会う必要があります。
優れた指導者にみっちりロクロの基礎基本を伝授してもらわなければ、ただ闇雲に練習しても中々上達することはできません。
それどころか、誤った基礎がいったん体に染み込んでしまうと、それを矯正するのにはその何倍もの時間と労力がかかってしまいます。
ロクロ作りで、思い通りの作品を作り上げたいと望むなら、優れた指導者の下で基礎を徹底的に身に付けなければなりません。
それは何もロクロの扱いに限った話ではないのです。
菊練りなど土作りや釉がけ等、陶芸にはマスターしなければならない技能が多々あります。
土の練り方や釉薬のかけ方一つにおいても、良い先生のいる「質の高い陶芸教室」でその基礎基本をマスターしなければ、陶芸に関する技術全般は中々向上しないのが現実です。
また上達のスピードも、通っている教室や師匠によって大きく変わります。
ちなみに、陶芸が上手い、下手を決める際には、以下の3点が大きく関わってきます。
●作品作りに強いこだわりを持つ
●細部にわたるまで作品の出来栄えに気を配り、より丁寧な作品作りを心がける。
●高い作品の完成度を求める。従って土作りや成形、釉がけすべてに高い目標を掲げている。
すなわちきめ細やかで熱心な指導を受けながら、高い技術を身に付け、優れた作品を作り上げることへのこだわりを生徒も持ち続けることができれば、自ずと陶芸が上手くなる道は拓けます。
ロクロや釉がけ、焼成などの正しい技術を身に付けることはもちろん、作り上げた陶芸作品へのこだわりとより高い完成度を目指す向上心こそ「陶芸がうまい」と言うに値する絶対条件です。
上達するための教室の見分け方

陶芸が上達する「教室の見分け方」、そのポイントは次の通りです。
●技能全般にわたって上達するポイントを、出し惜しみ無く丁寧に教えてくれる。
●生徒が取り組む作品作りの各工程を丁寧に見守り、的確なアドバイスをくれる。単に生徒の好きなようにやらせるだけで、自己満足させるような教室経営はしていない。
●ロクロの「絞り」など、特に難しい技能は何度も丁寧に説明してくれる。また、実演しながら、分かりやすくその「コツ」を解説し、しかも惜しみなく披露してくれる。
●プロの陶芸家だからだといって、不遜な態度や生徒を見下すような言動は厳に慎んでいる。専門家としてのプライドは持ちながらも、生徒との関係はフレンドリーで、気さくに質問できる関係がある。
このように、陶芸が上達する教室には、技術向上を目指す教室の運営方針と指導者そのものの高度な技量や熱意、先達としての謙虚さが求められます。
そもそも窯元が運営する教室と陶芸家と呼ばれている一般の人が経営する教室では、やや存在意義が違っています。その違いをまとめると次の通りです。
【窯元】
陶芸作品そのものを販売し、企業体として独立しているので、陶芸教室はあくまで付属施設。
授業料獲得よりも純粋に技能伝授を目的としており、生徒の技能上の課題を指導者も遠慮無く指摘できる。
従って技能の習得と向上が短期間で可能である。
【陶芸教室】
運営目標は窯元のように純粋に技能向上だけが目的ではない。
厳しく生徒を指導するより、陶芸の楽しさをまず感じながら、粘土を使った造形の基本的方法をマスターさせることを第一目的としている教室が多い。
陶芸教室には、懇切丁寧に陶芸の基本技能を教えてくれる良心的な教室が多いのも事実です。
そうした中で、ポイントとなるのは次の通り。
●優れた技能を持っている指導者がいて、そのノウハウを惜しみなく伝授してくれる教室を見つけ出すこと。
●何よりも、良心的な陶芸教室を見極めるあなた自身の力を養うこと。
以上がポイントです。
上達するための良い師匠の見分け方

良い師匠の見分け方のポイントとは次の通りです。
●窯元や優れた先生の元で数年間みっちりと修行を積んで、確かな技能を習得している。目安として展覧会や応募展に作品を出品し続け、不断の修練を惜しまず、常に向上心を持っている。プロの技能と心構えを持った人物である。
●後進の育成に愛情と熱意を持って取り組んでいる。生徒と気さくに語り合い、その疑問や悩みに真摯に耳を傾けている。
●技能のコツを惜しげ無く伝授してくれる。技能や知識の出し惜しみをしない。また、ひけらかさない。常に陶芸家としての威厳にあふれつつも、師匠としての愛情と謙虚さを忘れない。
こうした師匠に巡り会えたなら、それは大変幸運であると言えます。
中々そうした陶芸家を見つけ出すのは至難の業。
それというのも、一般の陶芸家はある裏事情を抱えているからです。
その裏事情とは次の通り。
●残念ながら、陶芸教室のレッスンの中心を技能向上だけに置くと、生徒が厳しすぎると感じてしまう為なのか、やや敬遠されてしまう傾向がある。教室には、サロン的な要素も重要である。
●陶芸教室に通っている生徒にとっては、あくまでも趣味の延長という方も多いので、技能向上に必要な絶対時間が一般的に足りていない。そのため、通っている生徒の技能が中々上達しにくい。
●一部の大手を除くと、陶芸教室だけの収入だけでは生計が成り立たない。そのため、副業として週末のみを営業している教室も多い。したがって、生徒も連日教室に通うことができない。
また、一時の陶芸ブームが下火になりつつある現状では、陶芸教室の運営に四苦八苦している陶芸家が多いのも事実です。
陶芸全般の技能を上達させるために最適な教室を見つけ出すのは、今後も中々困難な状況が続くことが予想されます。
おわりに

陶芸が早く上達するには、陶芸教室や師匠が大きく関わっているということが、お解りいただけたでしょうか?
陶芸には最低限の技能と知識が必要です。
土や釉薬に関する知識、土練りやロクロの技術など陶芸に関わる総合的な能力を身に付けた上で、初めて満足のいく作品を生み出すことができます。
「習うより慣れろ」という言葉通り、日々の精進の積み重ねが、陶芸には不可欠です。
みなさんもぜひ1日も早く上達するコツをつかみ、会心の一品を作り上げて下さい。

粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
陶芸によって作られる陶磁器にはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。岩石が主な原料で叩いたときに金属的な高い音がするのが「磁器」です。
日本における陶芸文化が独自の進化をしているのをご存知でしょうか?

粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。

日本は、およそ1万年以上もの「焼き物」の歴史を持つ国です。
現在も北海道から沖縄まで全国各地に陶磁器の産地が存在し、国内外から多くの焼き物ファンが訪れています。

自分の手で作る、好みのものを収集する、日常の暮らしの中で使う…陶磁器には様々な楽しみ方があります。
なぜ日本の陶磁器は多くの人を引き付けるのか。
その魅力のワケを探っていきたいと思います。