各地で陶器市の催しが行われていたり、ふとした時に陶芸教室を見かけたときに「陶芸をやってみたい!」と思ったことはありませんか?
陶芸には作品の完成までにいくつかの工程がありますが、こちらの記事では、陶芸で使われる道具、初心者向きの粘土、「やはり最初は、陶芸教室に通った方がいい?」といった疑問にお答えしていきます。
初心者は教室に通う?陶芸教室のメリットとデメリット
陶芸を始めたいと思ったときに、まず考えることは「陶芸教室に通う」ということではないでしょうか。
こちらでは、陶芸教室に通う際のメリット・デメリットをご紹介します。
陶 芸教室に通うメリット
陶芸の専門家である先生に教えてもらえる
全く陶芸をやったことがない人には、最初からつきっきりで教えてもらえます。
粘土は、自然の力でできたものですので、扱う際には感覚的なところが頼りになります。
慣れない間は、先生に作り方のコツを何度でも聞くことができます。
一通り作業に慣れてきた後も、うまくできない場合には、相談にのってもらうことができます。
陶芸仲間が増える
陶芸教室では、他にも生徒が通っています。
さまざまな職業の人、色々な経験を持った人たちと「陶芸」を通じて繋がることは楽しいもの。
作品作りに関する情報や、陶芸の展覧会などの情報を得ることもできます。
体1つで陶芸が始められる
陶芸には、自分で用意することが難しいものがあります。
例えば、作品を成形するための「ロクロ」、焼成するための「窯」。
これらは陶芸教室にあるので、自分で用意しなくてもすぐに陶芸をスタートすることができます。
また、粘土や釉薬にはたくさんの種類があり、必要な道具もさまざま。
はじめのうちは、自分にとって何が必要か分かりませんが、陶芸教室にあるものを少しずつ試すことができます。
陶 芸教室に通うデメリット
費用がかかる
陶芸教室に通うためには費用がかかります。
ただ、どんな習い事や趣味を始めるにしてもお金はかかりますよね。
教室代は地域差や先生の考えによりますが、都心部にある教室は、比較的費用が高い傾向にあります。
使う材料や焼成に制限がある
陶芸教室によって、用意する釉薬や粘土に違いがあり、基本的には教室にあるものでしか作品をつくることができません。
作品を焼く窯の種類によって、焼成方法に制限があったり、先生によっても采配が異なります。
つまり、作り方を制限されることがあります。
自分のペースでできない
各教室は使える時間が限られており、自分の思いついたペースでつくることができません。
もし陶芸教室が自宅から遠かったら、毎回通うのも大変ですね。
また、窯で作品を焼く時には、大量の光熱費がかかってしまうので、たくさんの作品を一度に詰めて焼く教室がほとんど。
自分の都合で焼くことは難しいでしょう。
陶芸は、作品をつくるための材料・設備を用意することがなかなか難しい分野です。
その上、作りたい作品やつくる量によってもそれらに違いが出ます。
ですので、初心者の方は陶芸教室に通う方が安心かもしれません。
毎日の生活の中に「どれくらいの時間を割いて、自分がつくりたいもののためには何が必要なのか」ということがピンとくる頃には、作業の工程や知識がだいぶ身についているはずなので、そこで再び個人で作陶するのか、陶芸教室に通い続けるか考えても遅くはありません。
知っておきたい基本的な道具
陶芸では、さまざまな道具を使います。
自作の道具を作る人もいますが、ここでは基本的な道具をご紹介します。
へ ら
成形する際に、指先では難しい仕上げをしたり、粘土どうしをはり合わせたり、主に整えることに使います。
こ て
作品をつくる際に、形を整えたり、表面をなめらかにする時などに使用します。
特に、ロクロで陶器の内側部分を成形する時によく使われます。
平 線かきべら

作品を削る・切る、細工したりする時などに使用します。
タ オル、布
製作途中の粘土を乾かないように水で濡らして包んだり、手や道具を拭いたり幅広い用途で使えます。
ス クレーパー
作品の表面をなめらかにする際に使用します。
粘土を切る・こての代わりに使用するほか、作業が終わった後の掃除などにも使用できる道具です。
モ デリングナイフ、粘土カッター
作品に櫛目や直線の模様を付ける時に使えます。
また、板状の粘土を切る際など、粘土に鋭い切れ目をつけたいときに使用します。
針
成形する際に、粘土を切ったり、細工したりする時に使用します。
ス ポンジ
粘土の水分量を調節するときに使います。
作品の仕上げにも使われます。
切 弓

成形する際に、器の口の部分をまっすぐに揃えて切ることができます。
し っぴき
回転しているロクロの上の粘土から、作品を切り離す時に使用する切り糸。
片側に小さな棒がついていて、持ち手として使います。
陶芸初心者向けの粘土
陶芸は、粘土によって食器に向いている物、ロクロがひきやすい物などさまざまな特徴があります。
陶芸が初めての方には、失敗も少なく扱いやすい「信楽白土」という粘土がオススメです。
その理由をご紹介します。
思 い通りに成形しやすい
「信楽白土」の粘土は、「粘り」と「コシ」があるので扱いやすく、大物から小物までつくることが可能です。
「粘り」がある粘土は、成形しているときに粘土同士が切れにくく、思うとおりに形がつくりやすいです。
「コシ」がある粘土は、つくっている途中にへたらずに、形を維持してくれます。
作 品の乾燥や焼成の変化に強い
作品の成形後は、十分に乾燥させた後に焼成します。
この工程を踏むと、粘土から水分が抜けて性質も変化し、作品の大きさや形などのイメージが変わります。
さらに、その変化に作品自体が耐えられず、破損してしまうこともあります。
しかし、「信楽白土」は粘りがあるため粘土同士の結合に柔軟性があり、また水分が抜けて縮む際にも、土の粒子が荒いので、作品の収縮率が小さい粘土です。
ですので、その変化や破損が他の粘土に比べ、比較的少ないといわれています。
おわりに
陶芸は、とても楽しいものですが、自然素材を扱うのでやはり最初はスムーズにはいかないかもしれません。
でもそこも陶芸の魅力の1つです。
ぜひ興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
陶芸によって作られる陶磁器にはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。岩石が主な原料で叩いたときに金属的な高い音がするのが「磁器」です。
日本における陶芸文化が独自の進化をしているのをご存知でしょうか?

陶芸には、ものを作り出す楽しさと喜びがあります。元はただの土の塊から、食器や花器、果ては芸術作品など多彩な工芸品を生み出すことができます。しかし、実際に土を練ったり、成形したりした経験がないと、不安なのも事実。

陶芸の道を、一度でも志したことがある方ならお解りかと思いますが、ロクロをはじめとする成形や釉がけの方法をいかに確実に習得し、上達するかは何よりの重大テーマです。
しかし、「土練り3年、ロクロ6年」という諺(ことわざ)がある通り、その技能を習得することは容易くはありません。