懐紙かいしは茶会や茶道の稽古でお菓子をいただく際などに必ず使う道具です。

そのため、茶道を習い始めた人が、初めて購入する道具の一つでもあります。

そんな茶道に欠かせない懐紙かいしですが、実はたくさんの種類があり、お菓子をのせる以外の使い道もあることをご存知ですか?

この記事では、茶道で必須となる懐紙かいしの様々な種類や、意外な使い方についてご紹介します。

懐紙とはなにか

茶道の稽古や茶会で欠かせない道具が懐紙かいしです。

しかし、懐紙かいしが活躍するタイミングはお茶席だけではありません。

特に懐紙かいしが役に立つのが食事の席です。
たとえ茶道にかかわりが無くても、懐石料理など改まった席で和食を食べることはあると思います。

そんな時は懐紙かいしを活用しましょう。

懐紙かいしは料理の汁がたれそうな時の受け皿や、コップのコースター代わりに使ったりすることができます。

また、魚の骨や果物の種を隠すといった使い方も可能です。

懐紙かいしは紙を二つ折りにしているので、紙の端がバラバラになっている部分と、丸く折られてつるつるしている部分ができます。

丸く折られている側を「わさ」といい、ふところに入れたり、畳に置いたりするときには、「わさ」を向ける方向が決まっているので注意しましょう。

一つの束を1じょうと数え、通常、1じょうずつ購入することが可能ですが頻繁に使用する消耗品なので、5じょうなどでまとめて購入しておいた方が安心でしょう。

購入の際にはネット通販が便利ですが、街中の茶道具屋で買うこともできますし、お茶屋でも売っていることがあります。

普段、茶道具屋というのはなかなか入りづらい場所かもしれませんが、たとえ懐紙かいしでも購入する予定があれば格段に入りやすくなるので、懐紙かいしを買うついでに普段見られない茶道具を見せてもらうこともできるでしょう。

お茶席では必ず懐に入れておく

ふところの紙と書くことから分かるように、普段は着物のふところ、つまり左右の合わせの間に挟んでおきます。

これは、お客様になるときも、点前てまえをするときにも必要です。

男性は懐紙かいしが外から見えないようにしっかりふところに入れ、女性は懐紙かいしのはじが少し見えるように携帯することが裏千家の作法になっています。

男性用と女性用がある

懐紙かいしには男性用と女性用があります。

男性用と女性用ではサイズが異なり、男性用の方が女性用より一回り大きくなっています。

慣れれば一目で大きさの違いに気づけますが、慣れないうちはよく確認してから購入した方が良いでしょう。

懐紙の使い方は様々

懐紙かいしは茶会でお客として参加したときに必ず使います。

お菓子を食べるときの受け皿としての使うのが、一般的な使い方です。

しかし、実際の茶会や稽古の場では、それ以外にも様々な懐紙かいしの使い方があります。

お菓子をのせる

茶会でのお菓子は、数人分を一つの器に盛って出します。

そのため、自分のお菓子を取り分ける必要があります。

ふところから懐紙かいしを取り出し、「わさ」を自分の方に向けて置き、お菓子を取ったら、懐紙かいしごと持ちあげて頂きましょう。

茶席のお菓子は「練りきり」や「きんとん」など、楊枝ようじで切って食べるものが多いのですが、このときに使う楊枝ようじも通常、自分で用意しておきます。

楊枝ようじ懐紙かいしのすき間に挟んでおくのが一般的なので、懐紙かいしを始めて購入するときに一緒に用意しておくと安心でしょう。

濃茶を飲むときに

お茶には薄茶と濃茶があります。

薄茶とは泡立てたお茶で、一人につき一わん用意され、各自で飲み干します。

初心者の多い茶会で出されるのは、ほとんどがこの薄茶です。

一方、濃茶はドロドロと濃く、数人分を一わんにまとめて点てて回し飲みをします。

そのため、次の人にお茶を回すときには口をつけた部分をかなくてはいけません。

こういった場面で、通常は紙小茶巾かみこぢゃきん※1などを使用しますが、初めのうちはそういったことを知らずに困ることもあるでしょう。

※1 紙小茶巾かみこぢゃきん小茶巾こぢゃきんは、茶道裏千家において濃茶を飲んだ後の茶碗を清めるために用いられる小さな布であり、布ではなく紙製の小茶巾こぢゃきんのことを紙小茶巾かみこぢゃきんといいます。

そういうときは、緊急の処置として、懐紙かいしを使って茶わんくことがあります。

ただし、これは用意ができていないときの方法なので、濃茶を頂くことが予想される茶会に行くときには、あらかじめ紙小茶巾かみこぢゃきんを用意しておいた方が無難です。

ちょっとしたメモに

茶席には最低限の持ち物しか持ち込めないので、ちょっと何かをメモしたいというときに困ることがよくあります。

そういったときは懐紙かいしを使うと良いでしょう。

実際、お稽古ではお茶の銘を書くために使われることも多いです。


また、もし心得があるなら和歌や俳句をしたためるのも風流でいいかもしれません。

ただし、懐紙かいしに文字を書くことを快く思わない方もいるので、茶会や稽古場の雰囲気に合わせるようにしましょう。

場面に合わせて種類を選ぶ

懐紙かいしは白い無地が原則ですが、茶道具屋などに行くと意外と種類が多いのに驚かされます。

特に女性用は柄が豊富です。

また、地方や美術館などでは限定の懐紙かいしを売っていることがあるので、旅行の際などに探してみるのもいいでしょう。

無地の懐紙

もっともオーソドックスな懐紙かいしが、白無地の懐紙かいしです。

どんな場面でもこの懐紙かいしを使っていれば間違いはありません。

お稽古を始めて最初に購入する懐紙かいしも、この白無地の懐紙かいしで良いでしょう。

柄入りの懐紙

茶道具屋などに行くと、白無地の懐紙かいし以外にも、柄の入った懐紙かいしが売られています。

季節感を表現したものが多く、中にはご当地限定など、特色のある懐紙かいしもあります。

可愛い柄の懐紙かいしも多いですが、それは女性用のものが多く、残念ながら男性用で柄入りの懐紙かいしはあまり見られません。

柄入りの懐紙かいしを使用するときには注意点があります。

まず、季節感が強いものは、ふさわしい季節以外に使用しないでください。
茶道は季節感や侘び寂び、おもてなしの心を大切にしていますので、印象がよくありません。

また、使いきれなかった懐紙かいしをいつまでも使っていると、茶会や稽古をいい加減に考えているとも思われかねないので注意しましょう。

柄入り懐紙かいしは、あくまで遊びとして使うものです。

例え季節に合っているものでも、茶事や茶会の趣旨によってはふさわしくない場合があるので、柄入りの懐紙かいしを使ってもいい雰囲気かどうかを確認するようにしましょう。

硫酸紙

茶会の菓子の中には、水まんじゅうなど、水気の多いものもあります。

特に、夏場は水気のある菓子が使われることが多いのですが、そのまま懐紙かいしにのせると水分が染み込み、懐紙かいし数枚をまとめてダメにしてしまいます。

そういったことを防ぐためには硫酸紙が便利です。

硫酸紙とは、紙の表面がつるつるになる加工がされた紙のことで、水を通しにくくなっています。

そのため、硫酸紙を懐紙かいしのカバーのように使えば、必要以上に懐紙かいしを無駄にしなくて済みます。

おわりに

茶道では欠かせない道具である懐紙かいしのことをより深く知っていただけましたでしょうか?

懐紙かいしは茶席だけでなく、改まった食事の席や物を包むなど、生活のちょっとしたことに活躍します。

また懐紙かいしをうまく使えば、周囲から心づかいのできる人という評価も得られるので、普段から携帯しておくと便利です。

茶道には厳しいルールがあり、ほとんどの物事にはきちんと決められた作法があります。

しかし、自由な遊び心を取り入れられる場面も多くあるので、そういった場面に、今回ご紹介したことを取り入れていただければ幸いです。