裏千家の許状と資格とは
裏千家では、お稽古を重ねて茶道の学びを深めるに従って、許状や資格を得られる制度があります。
ここでは、裏千家の許状や資格とは具体的にどのようなもので、取得することでどういったメリットがあるのかについてお伝えをしていきます。
さらに、許状や資格の取得で必要となるお礼や、許状申請料についてもご紹介していきますね。
そ もそも、裏千家の「許状」ってなに?
裏千家で茶道を学ぶと、自分が習得できたお点前を示すのと同時に、上位の難しいお点前のお稽古が受けられるようになる許可証でもある、「許状」がいただけます。
裏千家の「許状」は、自分の好きな・得意なお点前から自由に取れるわけではなく、定められた段階に従ってステップアップしていくものなんですよ。
許状をいただくにあたり、実技試験が行われるわけではないので、一定のお点前ができないと取得できないというわけではありません。
許状は、後程記載する【裏千家の許状や資格の種類】の「取得までの期間」を満たし、先生から認められた場合にいただけます。
先生によりその判断は異なり、年数で認められるところもあれば、習熟度を厳しく見られる、社中の方々と足並みを揃えさせられるなど一概には言い切ることは難しいのが現状です。
特に初級~中級の間は、経験のないお点前の名前を冠した許状を取得することも珍しくありません。
あくまでも、茶道を極めるにあたっての到達目標の一つと捉えておいた方がいいでしょう。
で は、裏千家の「資格」ってなに?
上でお話した許状とは別に、裏千家では「資格」制度というものがあります。
上位のお稽古が受けられるようになる許可証である許状に対し、資格は裏千家茶道の習熟の度合いを表すもの。
もともとは「初伝」や「中伝」という呼び方をしていましたが、平成12年(2000年)に名称や制度を改定したことで、入学願書や履歴書に記載したときに茶道に馴染みがない方でもわかりやすいようになりました。
また、茶道を教える先生たちは、持っている資格によってお弟子さんの許状申請のできる範囲が変わってきます。
茶道のお稽古を始めていくうちに、だんだんと気になってくるのが、茶道の「資格」についてです。他のお稽古や資格と違い、茶道の資格は流派によって、種類も必要な経費も全く異なります。今回は代表的な流派である、裏千家と表千家、そして武者小路千家の資格(許状・免状)について詳しく解説していきます。
裏千家の許状や資格の種類
では、裏千家の許状や資格にはどのような種類が存在しているのでしょうか。
裏千家で取得できる許状や資格の種類についてまとめてみましたので、参考にしてください。
裏千家の許状や資格の取り方
ここからは、具体的な裏千家の許状や資格の取り方についてお伝えをしていきます。
裏 千家での「許状」の取り方
裏千家の許状を取得するには、先生を経由して本部に申請をし、少々時間がかかってから先生経由で許状をいただくこととなります。
ポイントは、一番はじめに取得することとなる入門・小習・茶箱点の三つは、三種目一括での申請が必須であることです。
これ以降は、もちろん一括申請もできますが、茶通箱・唐物・台天目…と、一種目ずつ申請することができます。
また、上位にいくにつれ、取得までの期間や年齢の制限もでてきますので、注意してください。
裏 千家での「資格」の取り方
上の表でもわかる通り、資格に必要な許状の種目をすべて取得することで、資格をいただくことができます。
例えば、入門・小習・茶箱点の許状を一括で申請し、取得できれば初級の資格がいただけます。
中級以降は、資格取得に必要な許状をすべて取り終えてから、各資格を得ることができます。
裏千家の許状や資格でできること
最初は基礎の基礎しか教わることができない裏千家の茶道ですが、許状や資格を取得することでより上位のお点前を習うことが可能となります。
上級以上の資格をもつと、弟子の許状申請を本部に対して行う「取次」ができるようになります。
これで、事実上は教室を構えて弟子を取ることが可能となりますが、講師・専任講師・助教授…と、位が上がらなければ、教えられるお点前は限られてしまいます。
専任講師となれば本部から「茶名」が得られ、家元の「宗」の字をいただいた、あなたの茶人としての名を名乗れるようになります。
さらに、「紋許」といって、自分のお着物などに裏千家のシンボルの一つである「つぼつぼ紋 ※」を入れることが許されます。
また、行之行台子以上の許状を取得すれば、裏千家直轄の団体である「淡交会」の正会員となることが可能となります。
淡交会のメンバーになれば、各支部の研究会や講習会に参加したり、総会や茶会といったさまざまな行事に参加できる権利が得られます。
これによってさらに茶道への理解を深め、交流を広げていくことができるのです。
もちろん、いただいた資格証の名前を履歴書に記載することも可能となります。
※つぼつぼ紋:3つのつぼ型のおもちゃが転がったようなお紋
裏千家の許状申請にかかるお金事情
ここからは、裏千家の許状申請料として、いくらかかるのか?という問題に切り込んでいきます。
ちなみに、許状申請には申請料がかかりますが、資格は許状種目を取り終えたときにいただけるものなので、料金はかかりません。
裏 千家の許状申請料は「挨拶料」?
裏千家の許状申請料は、「挨拶料」と呼ばれています。
許状申請料というと、あけすけで品のない印象があるからでしょうね。
マナーの一つとして、教室では挨拶料と呼ぶように心がけてください。
許 状申請料の具体的な金額
裏千家の許状申請料については、本部が直々に公開しています。
※2020年1月現在の金額となります。
こちらは先生が本部に納める金額となります。
弟子が先生に渡す金額は別に定められており、先生から弟子に伝えることになっています。
初級のうちは安く感じられますが、中級以降も一種目ずつではなく同資格証の許状種目間で一括申請するのが一般的なので、申請する時はかなりの金額になります。
ですので、日頃から計画的に積み立てておくことをオススメします。
許 状申請料の変化と安く抑える方法
裏千家の許状申請料は、時代の流れに合わせて随時改訂されています。
長く習っていた人からすれば、最近は低価格化しているようです。
経済的にどうしても厳しいという場合は、少しだけ待ってみるのも良いでしょうね。
もし、今から習いはじめたいとお考えなら、初級のうちはカルチャースクールなどで取得するのがオススメです。
お稽古代などとセットで安く設定されていますし、通常よりも早く許状が取得できるようになっています。
師事する先生を決めるのは、初級の資格をいただいてからでも全然遅くはありません。
裏千家の許状のお礼とは
お礼とは、お世話になっている先生へ、許状をいただく機会にお渡しするもの。
お金と気遣いの非常にデリケートな話ですが、避けて通れないお礼についてご説明をしていきますね。
許 状にお礼は必要?
まず、許状を申請する際にお礼は必要なのかという話ですが、先生のご意向によりけりなので、一概に結論を出すことはできません。
とはいえ、基本的には必要なものと考えた方がいいでしょう。
茶道を習っていくうえでわかることなのですが、お稽古場の維持やレンタル、お道具、お抹茶や和菓子の用意など、お稽古を行うにはかなりの金額が必要となります。
特にお道具は、お稽古を通して少しでもいいものに触れるため、先生が善意でとんでもなく価値のあるものを提供してくださります。
そのお心遣いへのお礼や、教室維持への協力の意味も込めて、お渡しする方がいいでしょうね。
可能であれば、お礼をどうするべきか、先輩のお弟子さんにこっそり尋ねるのがベストです。
許 状のお礼の渡し方
許状のお礼は、基本的には許状申請料と一緒に、熨斗に包んで先生にお渡しします。
社中の慣例によっては、他のお弟子さんと一緒にまとめてお渡しするという場合も。
許状の申請は門弟でまとめてお願いすることも多いため、先輩のお弟子さんに尋ねたうえで、その社中での流儀にしたがってお渡しするのが無難です。
そ の他費用許状にかかるその他費用
許状申請料やお礼についてお話しましたが、この他にかかる費用はあるのでしょうか?
裏千家では、許状を申請することによって、特別なお道具や教材を購入しなければならないということはありません。
裏千家の茶道は「見取り稽古」を重視しているため、テキストなどを買わされることはありませんし、お稽古だけならお道具も教室にあるものを使わせていただくことができます。
見取り稽古とは、メモを取らず記録せず、先生や先輩方のお点前や指導を目で見て学ぶというものです。
ただし、上位の許状を取得することで、特別な茶会や茶事に出席する機会が生まれ、そうすると、その場にふさわしいお着物を用意する必要があります。
淡交会に所属することで、年会費や入会金も必要とされます。
そうでなくても、茶道を極めていくうちに、お道具が次々にほしくなってしまうものですし、上位となるにしたがって自然と出費が増えるものと考えた方がいいですね。
おわりに
裏千家は非常に広く普及されていますし、許状を取得すれば、その肩書は世界で通用します。
受けられるお稽古、許されるお点前が広がり、あなたにとってのお茶の世界がどんどん広がっていくことでしょう。
活動家としての茶人や、人に教えることを目的としなくても、許状の取得は、お茶との関わりを通してあなたの生活をさらに味わい深いものにしてくれるのです。
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しかし、少しミスをしたからといって、咎められるようなことはありません。
今回は、お茶会が初めてという方にも安心して出席できるように、お茶会の流れを通し、茶道の作法やマナー、ルールについて大切なポイントをわかりやすくご紹介します。
ゴコロ編集部による、東京都中央区銀座「茶禅」さんでの茶道体験レポートです。