日本酒は、繊細で奥深い香りや味とともに、味の幅の広さも大きな特徴です。

環境や飲み方の違いひとつで、違うお酒かと思うほど味や香りが変化します。

どうせなら自分のお気に入りのお酒を見つけて、一番おいしい状態で飲みたいもの。

今回はそんな日本酒の飲み方、楽しみ方とも言うべき利き酒や最適の温度、おいしく飲むための保管方法をご紹介します。

日本酒 利き酒の方法

日本酒と言っても様々な種類があります。

まずは色々な日本酒を飲んで、自分の好みの味や香りのお酒を探しましょう。

そのため複数の日本酒を飲み比べる「利き酒」をしてみるのがオススメです。

利き酒は、飲むだけではありません。

目で見て、鼻で香りをかぎ、舌で味を確かめるもの。見て、香りと味で楽しみます。

目で色を見てみる

まずは目で見て色や透明度を確認します。

黄金色こがねいろ琥珀色こはくいろであれば複雑な味わい、無色透明であれば雑味が取り除かれたすっきりした味わいになる傾向があります。

また、濁りがあるものは劣化している可能性があります。

香りを確認してみよう

続いて鼻を近づけ香りを確認します。

この時、お酒から立ち上る香りを上立うわだといいます。

フルーティな香り、熟成の香り、麹の香りなど様々なものがありますが、自分の好きな香りの日本酒は、飲んでもおいしく思えることが多いようです。

香りは味を知るうえで要チェックです。

味わってみよう

色と香りを確認したらわずかな量を含んで口に含み、舌の上で転がしながら甘味、辛味、酸味、苦味、渋味の五昧ごみを感じましょう。

この五昧のバランスが取れているものが良いお酒とされています。

最後にお酒を飲みこんで、喉越しや鼻から抜ける香り(含み香)を味わってください。

初心者は自分の好きな香りや味だったかどうかを感じてみましょう。

その上でそれぞれ甘さ、辛さ、酸味、苦さ、渋みなどがどうだったのかを考えてみるのがオススメです。

もちろん難しく考えることはありません。

最初のうちは甘味の強いお酒、苦さの効いたお酒など特徴的な味を意識してみるのも良いでしょう。

【日本酒の豆知識①】日本酒の味の表現

日本酒の味は甘口、辛口などとよく書かれていますが、その他の味については濃醇のうじゅん淡麗たんれいなどとよく表現されています。

濃醇は、一般的に糖度と酸味が強い、口あたりがしっかりしてコクのある味わいです。

淡麗は、口あたりがさっぱりとしてクセのないすっきりした味です。

香りも、香り立つようなものを「華やか」、落ち着いた控えめな香りを「穏やか」と表現することが多いので、「華やかで淡麗」とあるお酒は、香りがきいて、さっぱりした飲み口ということになります。

日本酒を選ぶときの味の参考にしてみてください。

日本酒 お燗について

日本酒は、おいしく飲める温度帯が幅広く、しかも温度により様々な味わいに変化するという何とも不思議なお酒です。

基本的には温めて飲む「燗酒かんざけ」、常温の状態で飲む「や」、冷蔵庫などで冷やしてから飲む「冷酒れいしゅ」の3種類に分けられます。

さらに驚くのはその燗酒、冷や、冷酒の3つを基準に、5度刻みで名前がつけられていること。

おおよそ5度ごとに、まるで別のお酒かと思うほど味わいや香りが変わるのです。

一般的には冷やした日本酒はすっきりした飲み口で、苦さや渋味が出てシャープな味わいになります。

温めると、香りが開いて広がり、味わいもまろやかになって、甘味や旨味が引き立ちます(熱すぎると甘味が弱まります)。

これは温めることでアミノ酸などが旨味成分に変化することもありますが、温度により人の味覚の感じ方が変わるのも理由です。

人の味覚は、苦味は温度が低い時に強く、高くなるとマイルドに感じます。

甘味は人の体温に近い温度の時に最も甘く感じます。

そのため冷やでは多少苦く感じたお酒も、お燗にすると甘みが強調され、味のバランスが良くなりおいしく感じることも多いようです。

実際に、冷やでは少し苦く感じたお酒も、お燗にするとまろやかになったり、コクの強かった味と香りがふくよかになったりといった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

温度の変化は下記のようになります。

冷酒 

【雪冷え】
5℃
瓶に結露がつく。味も香りも固めで香りはあまり立ちません。

【花冷え】
10℃
1時間程度冷蔵。瓶を触ると冷たい。香りは控えめ。

【涼冷え】
15℃
冷蔵庫から出して少し時間がたった状態。香りは華やかで味わいにとろみがでる。

冷や

20℃前後
常温 最も酒本来の味を感じることができる。

燗酒

日向燗ひなたかん 
30℃
体温より低い。ほんのり香りが立ち上り、なめらかな味わい。

人肌燗ひとはだかん
35℃
飲んだ時にぬるい温度。米や麹の香りが際立ち、さらりと優しい味。

【ぬる燗】
40℃
徳利を持つと温かく感じる程度。味と香りがふくらむ。

上燗じょうかん
45℃
注ぐ時に湯気が出る。味わいのバランスが良く味と香りが引き締まる。

熱燗あつかん
50℃
徳利から湯気が出る。シャープな香りでキレのよい味。

【飛びきり燗】
55℃
徳利を持つと指がとても熱い。香りが強まり辛口に。

一般的にはしっかりした味わいや熟成感があるものが燗酒向きです。

シャープで淡麗なものはぬる燗程度、濃醇なものは上燗程度が望ましいとされています。

酒の種類別としては

*吟醸酒や純米酒・・・日向燗からぬる燗程度
*本醸造や普通酒・・・上燗から飛びきり燗程度
*大吟醸・・・フルーティな香りを楽しめる冷や
*生酒やにごり酒・・・野性味が立つ冷酒

これはあくまで一般的な傾向で、これ以外がおいしくないというわけではありません。

最近では大吟醸をお燗で飲む人も少なくないようです。

日本酒は、温度の違いにより、同じ銘柄のお酒でも様々な味わいや香りを楽しむことができます。

そんな変化を楽しめるのもまた日本酒の魅力なので、ぜひお気に入りの温度を探してみましょう。

【日本酒の豆知識②】初心者にオススメはどの飲み方?

初心者はアルコールの香りが強い熱燗などは少し苦手に感じるかもしれません。

酒本来の味が一番よく分かるという冷やからはじめて、慣れたら燗酒に挑戦してみましょう。

日本酒の保管方法

日本酒は、基本的に賞味期限はなく長期保存できるお酒です。

一般的に加熱処理された通常の普通酒であれば、製造年月日から1年間はおいしく飲めるとされています。

といってもその間、きちんと保管しないとせっかくの味や香りが台無しになります。

おいしく家飲みするためにも適正に保管しましょう。

日本酒を保管する際、気を付けたいのは温度、光、空気です。

1.温度管理

温度が高い、あるいは温度の高低差は日本酒が劣化する原因になります。

最低でも15℃以下の場所に保管しましょう。

ただし、生酒きざけや吟醸酒はデリケートなお酒なので、冷蔵庫に入れて保存するのがオススメです。

2.光

日本酒は光に弱く、直射日光や蛍光灯などの光に当たると、成分が変化して味に変化が起こったり異臭を放ったりします。

そのため日の当たらない場所に置きましょう。光が心配な場合、新聞紙で包んだり、箱に入れたりするのもオススメです。

3.空気

日本酒は空気に触れると酸化してしまいます。

そのためできるだけ空気に触れないようにしましょう。

横に寝かせるワインと異なり、空気に触れる部分が少なくて済むように立てて保管するのが鉄則です。

つまり光が当たらず、温度の変化の少ない涼しい冷暗所などに立てて保管するのが最適です。

もちろん開封後は早く飲み切りましょう。

おわりに

今回は、利き酒やお燗、保管方法をご紹介しました。

日本酒はどれを選べばよいか迷う人もいるでしょう。

まずは何種類か飲み比べて自分の好きな味を探し、自分が一番おいしいと思う温度で飲んでみましょう。

一度日本酒の魅力にはまると、「今日はいつもより少し渋味のものが飲みたい気分」「この料理にはもっと華やかな甘口の熱燗で」など、お好みの日本酒とは別に、その時の気分やおつまみに合わせて自分で味のリクエストしたくなるはず。

その都度、新たな味に出会えるのも、繊細で味の幅が豊かな日本酒ならではの醍醐味です。

知れば知るほど楽しくなる、奥深い日本酒ライフを存分に楽しんでみてください。