「九州といえば、焼酎」と思っている人が多いのではないでしょうか。
確かに九州は焼酎の生産が盛んで、“森伊蔵”や“霧島”など有名な焼酎がたくさんあります。
ですが昨今、九州は酒処として注目されているのです。
ここでは今注目の九州の日本酒の魅力や特徴を解説。
さらに、ワゴコロ編集部オススメの、美味しくて有名な九州の日本酒8選とともにご紹介します!
日本酒も美味しい九州
九州といえば焼酎のイメージが強いのですが、実は知る人ぞ知る酒処でもあります。
とくに福岡県は、江戸時代の5代将軍・徳川綱吉の時代から酒が旨いと評判が立つほどで、今でも60近い酒蔵があります。
佐賀県は25蔵、大分県は28蔵あり、それぞれこだわりの日本酒を製造しています。
南九州では焼酎の酒蔵が多く、清酒を手掛ける蔵の数はかなり少ないのですが、昨今の技術や設備の発展もあり、南国の地酒造りに取り組むところも出てきています。
(酒蔵の数は国税庁の清酒製造業の概況平成28年度調査より)
日本を代表するお酒は?と聞かれれば、真っ先に「日本酒」や「焼酎」が思い浮かぶのではないでしょうか。
それほど日本人から愛されている日本酒と焼酎ですが、実はどちらも「麹菌」と「酵母」という微生物の働きでアルコール発酵させて作るお酒です。
では、日本酒と焼酎は何が違うのでしょうか?
九 州の日本酒は実力派!
九州の日本酒が高品質なのは、世界から表彰された実力が示しています。
平成23年(2011年)に、佐賀県の富久千代酒造の「鍋島」が、世界の最高権威ともされる“インターナショナルワインチャレンジ”の日本酒部門で最優秀賞を受賞して世間に注目されたのをはじめ、のちに福岡県の喜多屋「大吟醸極醸」も同賞を受賞するなど、近年九州の地酒が次々と表彰され、世界にも通じる日本酒として脚光を浴びています。
九 州の水と米は最高の原料
ではなぜ、九州のお酒が美味しいのか。
その理由の一つが、日本酒の原料である水と米にあります。
自然豊かな九州は水源に恵まれ、稲作の歴史で知られるように、米の産地としても名を馳せてきました。
福岡県は酒米の王者・山田錦の有数な産地の一つであり、他県でも風土を活かしたこだわりの酒米を栽培しています。
熊 本酵母が生まれた地
原料の水と米だけではありません。
九州では、日本酒醸造の開発にも貢献してきました。
実は、熊本県は吟醸酒造りには欠かせない「きょうかい9号酵母」発祥の地です。
糖分をアルコールへと発酵させる働きを持つ酵母にはたくさん種類がありますが、熊本県の熊本酒造研究所が作り出した「熊本酵母」は、華やかな香りを引き出す特徴を持っています。
「きょうかい9号酵母」として頒布され、吟醸酒のお手本として各地の酒造りに使われています。
焼酎造りが盛んな九州では、焼酎と日本酒を手掛けている蔵も少なくありません。
そのため焼酎に使う黒麹を使った日本酒や、焼酎を進化させるため日本酒醸造に取り組む蔵など、焼酎王国の九州らしい個性的な日本酒も生まれています。
九州の日本酒の特徴
九州の日本酒は、甘めの九州醤油に合わせているためか、他の地域より甘口です。
ただし、県別により多少の違いがあり、福岡県では淡麗辛口の地域と濃醇甘口の地域があります。
また、佐賀県も甘口と辛口があり、熊本県は濃淳甘口、大分県と長崎県、鹿児島県はすっきりした甘口という傾向があります。
九州のオススメの日本酒はコレ!
九州の日本酒が美味しい理由や特徴がわかったところで、次は九州の県別でオススメの日本酒をご紹介したいと思います。
喜 多屋の【大吟醸 極醸 喜多屋】(福岡県)
しずく搾りで透明感のあるお酒
IWC※2013年の日本酒部門最優秀賞を受賞し、福岡県の地酒の名を一躍高めた日本酒です。
福岡県糸島産の山田錦を35%に磨き上げ、「しずく搾り」によって仕上げたもの。
しずく搾りとは、醪を酒袋に入れて吊り、圧力をかけずにしずくだけを集める手間のかかる手法で、透明感のある、贅沢なお酒ができます。
その香りはとてもフルーティ。
芳醇かつ繊細できれいな味わいが、凛と澄み切った美しさを醸し出しています。
冷酒で飲むのがオススメです。
※IWC:インターナショナル・ワイン・チャレンジ
池 亀酒造の【黒兜 純米吟醸】(福岡県)
黒麹で仕込んだ日本酒
焼酎を造る時に使う黒麹で醸した、全国的にも珍しい純米吟醸酒です。
果実を思わせる甘酸っぱい吟醸香のほか、こっくりした濃醇な旨味に爽やかな酸味がバランスよく効いた個性が際立つ日本酒です。
軽く冷やして飲むのがオススメですが、お酒に弱い方は炭酸割りにすると飲みやすいですよ。
幅広い料理と合いますが、とくに天ぷらなどの油ものとの相性の良さが人気です。
浜 嶋酒造の【鷹来屋 辛口本醸造】(大分県)
手造り、槽しぼりのお酒造り
鷹来屋が醸造する日本酒は、完全手造りの槽しぼり。
槽しぼりとは、醪から酒を搾り出す工程の際、醪を酒袋に入れて搾り出す、昔ながらの方法です。
手間と時間は掛かりますが、その分、雑味のない酒本来の味が楽しめる日本酒に仕上がります。
聞くだけで期待が高まりますよね。
辛口本醸造も優しい香りとシャープな味わいがきれいで、初心者にも飲みやすい日本酒です。
食事を引き立てる食中酒として飲むと良いでしょう。
富 久千代酒造の【鍋島 大吟醸 三十六萬石】(佐賀県)
IWC2011年で最高賞のチャンピオン・サケに選ばれるなど、今や国内外からの人気を誇る富久千代酒造の「鍋島」。
なかでも大吟醸の鼻から抜けるような甘くみずみずしい香りに、一瞬で心をつかまれます。
シュワと感じる微発泡感の爽快さと上品なジューシー感をまとった余韻が、香りとともに優しく語り掛けてくれますよ。
さっぱりした香り高い料理によく合います。
熊 本県酒造研究所の【香露 純米吟醸】(熊本県)
きょうかい9号酵母生みの親の蔵元
吟醸酒に欠かせない「きょうかい9号酵母(熊本酵母)」発祥の醸造元、熊本県酒造研究所が醸した日本酒です。
純米吟醸は、熊本酵母らしい上品な芳香とまろやかで深い味わいを楽しめます。
後ろ髪を引かれるかのような、余韻たっぷりの後味も醍醐味ですよ。
幅広い味の料理に合うため、食中酒として最適です。
千 徳酒造の【千徳 純米 高千穂】(宮崎県)
料理とともに楽しみたい純米酒
焼酎が盛んな宮崎県で唯一、日本酒だけを醸している酒蔵です。
純米酒はお米の旨味がジワジワ膨らんで、飲みごたえがありつつ、スッキリした飲み口のためスルスルいただけます。
シンプルにお米の旨味を感じたい時にうってつけの銘柄ですよ。
食中酒として飲むのが良いでしょう。
常温、ロックから熱燗まで味わえます。
濱 田酒造の【薩州正宗 純米吟醸酒】(鹿児島県)
鹿児島で唯一の清酒造り
平成24年(2012年)、焼酎王国の鹿児島で、約40年ぶりに清酒造りを再開した濱田酒造が手掛けた日本酒です。
純米吟醸は、品の良い吟醸香と米のふくよかな味わいが特徴。
濃い目の味付けが多い郷土料理との相性も良く、冷酒として飲むのがオススメです。
辛口焼酎と交互に飲んで、味の違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
福 田酒造の【長崎美人 大吟醸】(長崎県)
気品に満ちた大吟醸
長崎県「福田酒造」のお酒の最高峰で、国内外で数々の受賞歴を誇ります。
長崎産の山田錦を精米歩合38%まで磨き上げて低温でじっくり醸した日本酒は、ラベルの見返り美人を思わせる、甘く気品のある香り。
スッキリした飲み口の中に酸味とコクがあり、どの料理にも合いますが、魚介類をお供に飲みたい銘柄です。
おわりに
酒処としても知られる、九州の日本酒についてご紹介しました。
九州にも、こんなに個性的で美味しい日本酒がたくさんあったとは驚きですよね。
最近では甘口だけでなく、辛口系統の日本酒を手掛けるところも増えているようです。
九州といえば馬刺しやさつま汁など美味しい郷土料理も豊富。
これらの郷土料理とともに地酒を一献傾ければ、九州の味をたっぷり堪能できそうです。
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その繊細で複雑な味わいは外国人からも評価されており、今や世界からも注目されています。
そんな興味深い日本酒ですが、いざ選ぼうとすると種類が多くて迷う人も多いのではないでしょうか。
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