俳句とは、季語を伴う5・7・5の17音で構成される日本固有の定型詩です。

川柳や短歌は季語の有無が自由であるのに対し、俳句では季語を組み込むことが必須事項となっています。

今回は、俳句に必ず組み込まれる季語について、季語の種類や使用できる季節、具体的な季語を一覧表でご紹介します♪

※「無季俳句」や「自由律俳句」とよばれる、季語がなくても良いとされる俳句もあります。

季語とは?

季語とは、俳句や詩歌に用いられる特定の季節を表す言葉です。

特定の日付を表すものや季節全体で使えるものなど、季語によって表す季節はさまざまです。

語のはじまり

奈良時代に成立した日本最古の歌集『万葉集』の頃から、収録する際に春夏秋冬の区分を付けたり、特定の題について次々と歌を詠んだりしていました。

鎌倉時代に5・7・5と7・7の句を次々に詠んでいく「連歌」が成立すると、季節や地域を限定するための決まりが必要となり、季語の原型ができあがります。

江戸時代になって滑稽に自由な形式で歌う「俳諧はいかい」が成立すると、590の季語を収録した『はなひ草』、2600の季語を収録した『俳諧歳時記』など、身近なものを含んださまざまな季語の本が出版されました。

明治時代以降にも季語の種類は増え続け、西洋の行事や動植物など多くの季語が追加され、現代ではおよそ5000もの季語があるとされています。

季語にはどんな種類があるの?

季語は春夏秋冬の時候・天文・地理・生活・行事・食べ物・動物・植物という区分に加え、有名な人の命日である忌日に分類されます。

然や天文、地理

四季や月ごとの異称、天体や天気に関係する単語、山や川など地形や土地に関する単語など自然を表す季語です。

「春の月」「滝」「梅」といった具体的な季語から、「秋近し」などの季節の変わり目を指す季語まで、多くの季語があります。

事やお祭り

「七夕」や「七五三」などの年中行事や、「盆踊り」「神田祭」といったお祭りも季語になります。

特定の神社で行われる「江戸山王祭」のように、日時が決まっているものが多いのがこの項目の季語の特徴です。

植物や食べ物

「イノシシ」や「せみ」、「パイナップル」や「ミカン」など多くの動植物も季語になります。

食べることができる動植物は旧暦で旬とされる季節の季語になるため、新暦では6~9月の夏に旬を迎える「枝豆」が秋の季語になるなど、現代の感覚とは少しずれがあることに注意が必要です!

松尾芭蕉や芥川龍之介など、著名人の命日も季語です。

松尾芭蕉の命日である10月12日は「芭蕉忌ばしょうき」のほかに、「時雨忌しぐれき」「桃青忌とうせいき」とも呼ばれます。

「時雨忌」は10月の異称が時雨月であること、「桃青忌」は芭蕉の号の一つから取られるなど、忌日の季語は必ずしも人名のみとは限りません。

名前のほかにも作品名が忌日の季語とされている著名人もいて、芥川龍之介の命日7月24日は、彼の作品の一つである『河童』から「河童忌かっぱき」と呼ばれています。

代に即した季語

バレンタインやクリスマスなどの西洋の行事、また、アイスクリームやソーダといった明治以降に普及した食べ物など、現代に即した季語も増えてきています。

現代俳句の歳時記にはこれらについても記載があるため、季語かどうか悩んでいるときは参考にしてみるといいでしょう♪

季語の分類

季語の季節は旧暦で決められているため、新暦で生活している現代とは季節感が合わず、間違いやすい季語があります。

ここでは、旧暦・新暦とはなにか、旧暦の四季、季節を間違いやすい季語について解説していきます!

暦と新暦とは?

現在、私たちが使用している新暦(グレゴリオ暦)は、太陽の動きを基準に作られた太陽暦というもので、明治時代の初めに採用されました。

この新暦の前に使用されていた暦を旧暦といいます。

旧暦は月の満ち欠けを基準とし、そこに季節ごとの太陽の動きを組み込んで決められた太陰太陽暦で、季語の季節は旧暦が基準となっています。

暦の四季

天気予報などで「暦の上では春」といった表現を聞いたことがある人も多いと思います。

旧暦では立春・立夏・立秋・立冬を基準に四季を分けていて、それぞれ旧暦の1月から3月が春、4月から6月が夏、7月から9月が秋、10月から12月が冬です。

現代の季節感覚とは1ヶ月ほどずれているため、季語の季節を間違えてしまう原因になっています。

節を間違いやすい季語

例えば、「七夕」は現在では7月7日に行われるため夏の季語に感じますが、旧暦の7月7日は新暦では8月8日頃のため、ちょうど立秋をすぎて秋の季語に切り替わる時期になります。

このように、旧暦と新暦では1ヶ月の差が出るため、旧暦の季節の変わり目にあたる季語は注意が必要です!

実は春の季語

雪崩なだれ
淡雪あわゆき
・雪虫

実は夏の季語

・夜の秋
・涼し
卯月うづき

実は秋の季語

・七夕
・盆休み
・夜食

実は冬の季語

・小春日和
・青写真
・木の葉

春夏秋冬の季語

季語には春夏秋冬の区分以外に、その季節全体で使えるものと三区分されて各時期にあてはまるものがあります。

全体で使えるものは「三春」など「三」がつき、三区分されている時期は「初」「仲」「晩」が付くのが特徴です。

以下に各季節の代表的な季語を3つずつ紹介していきます。

の季語

《三春》春全体にわたって使用できる
朧月(おぼろづき)朧月とは、ぼんやりと霞んではっきりと見えない月のこと。
春の薄曇りの夜空にかかる月のことを言い、「月朧(つきおぼろ)」「朧月夜(おぼろづきよ)」「朧夜(おぼろよ)」も同じ意味の季語。
風船風船といえば現在ではゴムの風船だが、季語としては春のお祭りで売られていた紙の風船が由来となっている。
ワカメワカメは塩蔵(えんぞう)※1が可能なため1年中食卓にのぼる海藻だが、生ワカメの旬は2月~4月。
そのため季語としては春の季語となる。
《初春》立春(2月4日ごろ)から啓蟄(けいちつ)※2の前日(3月5日ごろ)まで
薄氷(うすらい)冬の厚い氷ではなく、春になって寒の戻りが来た際に張る薄い氷のことを薄氷と呼ぶ。
すぐに気温が上がって溶けてしまう氷のため、淡く儚い印象を持つ季語。
梅は2月の初め頃から他の花に先駆けて咲くため、「春告草」「花の兄」と呼ばれる。
奈良時代に成立した万葉集の頃から歌に詠まれ続けている花で、桜よりも香りが強いのが特徴。
バレンタイン現代ならではの季語。
2月14日のため、季語の季節の分類としては初春にあたる。
バレンタインに付き物のチョコレートは季語にならないため要注意!
《仲春》啓蟄(3月6日ごろ)から清明の前日(4月4日ごろ)まで
彼岸春分の日を中日と考え、その前後3日の計7日間を「彼岸」と言う。
秋の彼岸との違いを表すために「春彼岸」とも詠まれる。
秋の彼岸は秋分の日を中日と考えてその前後3日の7日間のこと。
秋の彼岸を詠みたい場合の季語は「彼岸」ではなく「秋彼岸」にする必要があるので要注意!
流氷「流氷」と聞くと冬の印象が強いが、1月下旬頃~3月下旬にオホーツク海沿岸にみられ、4月初旬に沖に退いていく。
流氷が退いて船を出せるようになる日を「海明け(海明)」といい、こちらも仲春の季語。
土筆(つくし)土筆は、スギナというシダ植物。
春先になると茎を伸ばし、筆のような姿になる。
「筆の花」「土筆摘」など、筆に因んだ別名の季語で俳句に詠まれることも多い。
《晩春》清明(4月5日ごろ)から立夏の前日(5月5日ごろ)まで
俳句で「花」と詠まれる場合は桜であることが多い。
平安時代から多くの歌に詠まれる花で、現在でも花見やお祭りで人気のある春の風物詩。
潮干狩り潮干狩りというとゴールデンウィークから夏に感じるが、季語としての潮干狩りは春。
4月頃は潮の干満の差が大きくなるため、潮干狩りにはうってつけのシーズン。
ゴールデンウィーク4月末~5月上旬にかけての長期休暇は、大半が晩春の時期にかかっているため、初夏ではなく晩春の季語となる。

※1塩蔵:食品を塩や塩水に漬けて保存すること。

※2啓蟄:土の中で冬ごもりしている虫たちが起きて動き始めること。

の季語

《三夏》夏全体にわたって使用できる
アイスクリーム「氷菓」「ソフトクリーム」などと共に夏の季語。
アイスクリームが普及したのは明治時代以降のため比較的新しい季語だが、夏には欠かせない風物詩となっている。
浴衣浴衣が季語となったのは江戸時代後期からで、それ以前は湯屋(ゆや)での下着という意味合いが強い服だった。
今とは違い、湯船には浸からない蒸し風呂で、汗をとったり、体を隠したりするために身に付けられていたと言われている。
江戸時代後期から現在にかけては夏の着物やおしゃれ着になったため、季語として使用できるようになった。
雨の後に現れる気象現象。
夕立の後に現れやすいため、夏の季語とされている。
「夕立」も夏全体を通して使用される三夏の季語。
《初夏》立夏(5月6日ごろ)から芒種の前日(6月5日ごろ)まで
麦の秋秋とついているので秋の季語と思われがちだが、麦の収穫期は5月~6月のため、夏の季語。
秋という表現をするのは「収穫する」という行為を表すため。
更衣(ころもがえ)かつては旧暦の4月1日に衣替えを行い、その日を「わたぬき」と呼んでいた。
現在では6月1日に制服の切り替えをするなどの習慣が残っている。
初鰹「目には青葉山ホトトギス初鰹」の句で有名な季語。
初鰹の季節は4月頃とされ、旧暦では夏にあたるため、夏の季語となっている。
《仲夏》芒種(6月6日ごろ)から小暑の前日(7月6日ごろ)まで
梅雨梅の実が熟す頃に降るため、梅の字が当てられる時期。
梅雨の季節に降る雨は「五月雨」と呼ばれ、こちらも夏の季語。
夏の夜に水辺で光りながら飛ぶ昆虫。
4月に幼虫が陸に上がってからの気温の積算が500℃を超えると飛び始めるという説があり、実際に5月の中旬頃から飛び始める。
紫陽花梅雨の時期に咲く花として代表的な花。
土壌の酸性度によって咲く花の色が変わるため、色とりどりの花を鑑賞できる。
《晩夏》小暑(7月7日ごろ)から立秋の前日(8月7日ごろ)まで
秋近し秋とついているが、夏の季語。
お盆頃の熱さが厳しい時期に、不意に涼しい風が吹くなどして秋の気配を感じたときに使う。
プール現代ならではの季語。
「水着」「海水浴」も夏の終わりである晩夏の季語になっており、現代の夏真っ盛りのイメージとは少しズレが生じる。
7月~8月に鳴き出すため、晩夏の季語。
多くの蝉が晩夏の季語になりますが、「ツクツクボウシ」「法師蝉(ほうしぜみ)」は初秋の季語になるため要注意!

※湯屋:銭湯・風呂屋の別名。

の季語

《三秋》秋全体にわたって使用できる
枝豆暑い時期に”枝豆にビール”と考えると夏の季語に感じるが、枝豆の旬は6月~9月で、秋の季語になる。
十五夜にお供えする習慣がある地域もあり、「月見豆」とも呼ばれている。
ただ「月」とだけ俳句に出てきた場合は秋の季語。
春や夏の月を詠みたいときは、それぞれ「春の月」「夏の月」など季節を付ける必要がある。
ススキ十五夜のお供えものとして有名な秋の七草の一つ。
銀色の穂が出てくるのが8月~10月頃のため、秋の季語。
「薄の糸」「乱れ草」など多くの別名を持つ季語。
《初秋》立秋(8月8日ごろ)から白露の前日(9月7日ごろ)まで
七夕季節を間違いやすい季語の一つ。
現在では7月7日に行われるため夏の季語と思いがちだが、旧暦の7月7日は新暦では8月8日頃のため、秋の季語になる。
朝顔小学生の夏休みの宿題などで観察日記があるため、夏の季語と間違いやすい。
朝顔は旧暦でいう8月下旬頃から咲き出すため、秋の季語になる。
鈴虫秋になると鳴き始める昆虫。
8月の下旬頃から鳴き始めるため、鳴き声を聞くとそろそろ秋だと実感する人も多い。
《仲秋》白露(9月8日ごろ)から寒露の前日(10月7日ごろ)まで
名月月とだけある場合は秋を通じて使用される季語だが、「名月」とある場合は旧暦8月15日の中秋の名月のことを指す。
葡萄8月~10月にかけて旬を迎える果物。
秋の果物の代名詞で、江戸時代には今の山梨県が名産地となり、松尾芭蕉も一句詠んでいるほど人気の果物。
小鳥来るツバメの巣立ちなどから春の季語と間違いやすいが、秋になって日本に渡ってくる鳥や、山から里に降りてくる鳥のことを指す。
「小鳥渡る」も同じ意味の季語。
《晩秋》寒露(10月8日ごろ)から立冬の前日(11月6日ごろ)まで
秋探し10月になり、夏の気配が完全に消え、秋が深まってきた頃を指す季語。
これから冬に向かうというもの寂しさや、もの悲しさといった心情を表す場合にも使われる。
紅葉落葉樹の葉が黄色や赤に色づく、秋の象徴。
紅葉を楽しむ習慣は平安時代頃から始まったとされている。
「紅葉散る」という季語は冬の季語になるため、葉が散っているかそうでないかで季節が変わってくる。
林檎江戸時代までに見られる林檎は和リンゴという5cmほどの果実のことで、現在イメージされるリンゴは明治時代になって普及した西洋リンゴ。
江戸時代では花が題材にされたり、果実を仏前に供えたりと、現在の感覚とは少し違っている。

の季語

《三冬》冬全体にわたって使用できる
オリオンオリオン座という名称が日本で使われるようになったのは昭和19年(1944年)以降で、比較的新しい季語。
また、「参宿(さんしゅく)」「三つ星」など、オリオン座の一部や中国から伝わった別名が使われてきた。
マスク季語としてマスクを使うときは、冬の防寒や防疫に限られる。
花粉症や防塵対策にマスクを使う場合は季語にならないので、どんな状況なのか使用する際は要注意!
蜜柑(みかん)蜜柑は江戸時代にはすでに一般的に広まっていた。
冬の果物の代名詞になっている。
《初冬》立冬(11月7日ごろ)から大雪の前日(12月6日ごろ)まで
七五三七五三は毎年11月15日に行われる。
現代の感覚ではまだ11月は秋に感じるが、旧暦の11月は冬に当たるため冬の季語となる。
七五三に欠かせない「千歳飴」も同じく冬の季語。
山茶花(さざんか)椿と混同されやすい花だが、椿は12月~4月頃に、山茶花は10月~12月頃にかけて開花する。
神の旅旧暦10月に、日本中の神々が出雲大社へと向かう旅のことを指す。
田の神が山に帰ることふが起源とされていて、「神立」「神の旅立」も同じ意味の季語。
《仲冬》大雪(12月7日ごろ)から小寒の前日(1月4日ごろ)まで
冬至12月22日頃の。1年で最も日照時間が短く、夜が長い日のこと。
「冬至南瓜」ら「柚子湯」などもこの時間の季語。
雪囲(ゆきがこい)「雪囲」とは、雪が多い地方で、雪の重みや季節風から木や家を守るために作る木製の囲い。
降雪が本格的になる前の11月頃に行われるため、仲冬の季語。
クリスマスクリスマスが日本で一般的になったのは、明治時代以降なので、季語としては新しい。
「降誕祭」「聖夜」なども、12月25日のクリスマスを指す季語になる。
《晩冬》小寒(1月5日ごろ)から立春の前日(2月3日ごろ)まで
春近し寒さが和らぎはじめ、春が近づいてくる気候を表す。
春とついているので間違いやすいが、晩冬の季語。
多くの派生する季語を持つ冬の代名詞。
「六花」や「雪の花」、「暮雪」「雪あかり」など、冬の風景を表すのに使われる。
水仙水仙は冬に開花する二ホンスイセンと、春に開花するラッパスイセンがあるが、季語としては二ホンスイセンを指す。
1月~2月にかけて咲き、清々しい香りを漂わせる冬の花。

おわりに

季語の成り立ちや種類、旧暦と新暦の季節感の違いや具体的な季語の例を紹介してきました。

季語は5000もの種類があるといいましたが、正式に季語を認定する機関や本があるわけではありません。

現代に即した季語なども次々と追加されていくので、俳句を詠む際は歳時記などを確認してみてくださいね♪