書道を始める際に気になるのが、書道の資格や段位について。
将来は自分で教室を開きたい、履歴書に記載してアピールしたいなど、皆さん様々な目標があるのではないでしょうか。
「でも、書道の段位を取る方法も、どんな資格があるのかも全然わからない」
と、思っているそこのあなた!そこで立ち止まっていてはもったいない!!
この記事では、書道の資格・検定について解説し、履歴書に書ける資格とその取得方法を紹介していきます。
ぜひとも本記事を読んで資格や段位について知り、自らが書道を楽しみながら上達していくきっかけを見つけていただけたら幸いです。
書道の師範(先生)になるために必要な段位や資格とは
「書道の師範」と聞くと、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「実力的にも群を抜いていて、少し近寄り難く、ほんの一部の人しか名乗ることができない雲の上の存在」のように思っている人もいるかもしれません。
しかし、現在師範として活躍している人も、他の人と同様もともとは筆の持ち方さえ知らなかったのです。
書 道の師範(先生)ってどんなもの?
師範の資格は実はとてもオープンなもので、各教室や各団体が設けている昇段試験に合格すれば、誰でも師範を名乗ることができます。
しかし、ひとえに「書道の師範」といっても、その称号の取り方は人によって様々です。
ある先生の字が好きなので、側で教わりながら師範を目指したいというのであれば、その先生が開いている教室で習うのもいいでしょう。
そうすれば先生の教え方や精神などについて直に学びながら、定期的に行われる昇段試験をクリアし、師範を目指すことができます。
本当に師範の称号が欲しいだけというのであれば、通信講座を1年ほど受講して得るという方法もあります。
な ぜ同じ師範という称号なのに、これだけ異なった取り方が存在するのか
実は師範という称号は、全国的に共通の基準が設けられた資格ではありません。
書道界にはいくつもの団体、会派が存在し、それぞれが独自の基準を設けて試験を作成し、師範の認定を行っているのです。
つまり、国に認定されている公式な資格ではないのです。
昇段試験の細かい合格ラインに関しても、各書道教室の先生の裁量次第ということで、教室によって異なります。
よって、師範という肩書を得るために必要な期間も大きく異なるというわけです。
また、師範は書道団体ごとに設けられた民間資格という扱いになるため、自分が所属する団体から出てしまうと意味をなさなくなってしまいます。
このように聞かされると、師範という肩書はあまり役に立たないように感じられますが、現実は異なります。
「書道の師範という肩書を持っています」と言えば、大抵の人からは一目置かれます。
書く文字は当然綺麗であると思われますし、冷静さや集中力を備えているという印象を与えることもできます。
そして何より、書道教室を一から開く際に、師範の肩書があるとないとでは信頼度が全く違ってきます。
実際ホームページや広告などで書道教室の情報を得ようとする時に、先生のプロフィール欄を見ないという人はほとんどいません。
そこに「師範」の肩書が書かれていれば一気に魅力が高まり、教室にも受講生徒が集まりやすくなります。
書道の段位や資格は履歴書に書けるの?
各教室が設けている書道の段位は、履歴書の資格欄に書くことはできません。
公に認められている資格ではなく、各教室によって認定基準も異なるためです。
もし履歴書に書きたいのであれば、特技欄に記載しておきましょう。
企業の採用担当者が、特技欄の「書道○段取得」という文字に反応したことをきっかけに、持参した書道の作品を取り出し見せて話が弾み、面接がうまく進んだという例もあります。
書道の段位に関する詳細は、別記事『書道の段位』を併せて参考にして頂ければと思います。
書道の世界には、「級位」「段位」というものが存在します。しかし、各教室や団体、流派によって級位や段位を認定する際の基準が異なり、全国的に統一された共通の試験というものがあるわけではありません。
履 歴書の資格欄に書ける、書写技能検定試験とは?
書道界において、国の後援のもとで実施されている試験は、日本書写技能検定協会が行う「文部科学書後援書写技能検定試験」のみです。
この書写技能検定試験は、入試や就職活動の際、履歴書の資格欄に記載することができます。
履歴書自体が綺麗な字で書かれているうえに、資格もしっかり取得しているとなると、相手からの印象は非常によくなりますよね。
書写技能検定試験は、「毛筆」と「硬筆」の2部門があり、それぞれ6級、5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級に分けられています。
取得すると様々な特典や優遇を得ることができます。
大学や短大、高校、各種の専修学校の入学試験においては、資格を取得していることで、合否判定の優遇や得点加算の措置を取る学校もあるようです。
また、入学後には資格自体が単位認定されるケースも増加しています。
さらに毛筆、硬筆ともに、1級を取得すると「指導者証」「認定証」が交付され、優れた指導者として社会的に位置づけされたうえで書道教室などを開くことができます。
結論どの資格がベストなの?
ここまで主に「師範」と「書写技能検定」について述べてきました。
「結局どちらを目標に頑張ればいいの?」と思う人もいると思います。
まずは、そもそも自分がなぜ書道を志しているのかを思い出してみて下さい。
とにかく字が綺麗になりたいという理由からでしょうか。
履歴書に書きたいからでしょうか。
それとも、綺麗に書けるようになった後に、今度は人に教える側になりたいからでしょうか。
もしくは、自分の個性をぶつけた作品を人に評価してもらうという目的のためでしょうか。
師範を目指すにしても、書写技能検定1級の資格を目指すにしても、自分自身の技術を磨かなければならないことに変わりはありません。
自分の尊敬する先生のもとで学び、師範を目指す道を選ぶのであれば、充実した気持ちで書道と向き合い続けられる可能性があります。
書写技能検定の資格取得を目指すのであれば、極端に言えば独学でも可能なわけで、自分の都合の良い時に好きなやり方で腕を磨くことができるかもしれません。
もちろん、書道教室に通いながら師範の肩書と書写技能検定1級の資格の両方を取得している人も多くいます。
いずれにしろ、「どんな方法で取得を目指したいのか」「どのような過程を経たいのか」「肩書や資格を何に活かすのか」という自らの想いひとつひとつが決め手になってきます。
書道の資格を取るなら教室?通信講座?資格を取るためにはどうすればいいの
すでにご紹介したように、書道において公式に資格と認定されているものといえば「書写技能検定」が挙げられます。
そして、各書道団体が定めた段位の最高位には「師範」という肩書があります。
これらの資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。よくある疑問についてお答えします。
書 道教室
・メリット
先生の筆使いをすぐ側で見て勉強できる
客観的な意見を直に得ることができる
仲間と切磋琢磨できる
・デメリット
通信よりは費用がかかる
環境の良し悪しがある
決められた時間に足を運ぶ必要がある
通 信講座
・メリット
通学より費用が安く済む場合が多い
時間を選ばない
添削によって改善点を指摘してもらえる
・デメリット
課題の提出が疎かになる可能性がある
自分の書き方を見てもらうことが難しい
筆の運び方などを体感から得ることができない
書道の資格、段位を取得する期間は?
師 範
書道団体や教室にもよりますが、本当に一から学び始めるとなると、各級位各段位にひとつひとつ合格していく必要があるため、10年以上の年月が必要という計算になります。
具体的な期間については、書道団体によって級位や段位の認定基準が様々であるため、一概に断定することはできません。
通信教育のコースによっては、なんと1~2年ほどで師範の肩書が取得できてしまう講座もあります。
書 写技能検定
毛筆、硬筆とも、6級、5級、4級までは小学生レベルの内容であり、楷書の問題しか出題されない傾向があるため、今から次に開催される試験に向けて練習や勉強を始めても遅くありません。
ただし、書写技能検定は「実技」と「理論」にわかれているため、バランスよく準備を進める必要があります。
3級からは楷書だけではなく行書や草書に関する出題があるため、一夜漬けに近い勉強だけでは本番に対応するのは難しいです。
仮に書道を始めたばかりの人が1級の試験を受けたとしても、合格する確率は限りなく0%に近いでしょう。
検定試験自体は、毎年6月、11月、1月に行われます。
書道における流派、会派を紹介
書道の世界には多くの流派や会派がありますが、大きく「教育系書道団体」と「芸術系書道団体」に分けることができます。
団体の数が多く紹介し切れませんが、代表的な団体の特徴をごく簡潔にまとめると以下のようになります。
教 育系書道団体
<特徴>
・きれいな字を書くことを習うのが目的
・賞状書士など筆耕を仕事とした職を目指す
・「師範」という肩書を主に用いる
・習字に比較的近い
<団体例>
・(財)日本書道教育学会
会員数10万人以上。「誰でも読める」文体「漢字かな交じり文」や「少字数の書」等の研究。
・(財)日本習字教育財団
「正しい美しい愛の習字」が基本理念。文部科学省認定社会通信教育の実施。
・(財)日本書写技能検定協会
文部科学省後援書写技能検定の実施。履歴書に書ける資格として広く知られる。
・清風会
習字科と書道科に分かれる。他団体で得た段位資格を参考にした編入試験制度の設置。
芸 術系書道団体
<特徴>
・書展に出品することが目的
・特に資格などはない
・新聞社などが主催する書展の会員になること自体が肩書となる
・主に「書道」と呼ぶに相応しい活動をしている
<団体例>
・(社)日展
日本最大の美術展覧会を開催する総合美術団体。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門がある。
・(財)毎日書道会
賛助会員約1万人。国内最大規模の書道団体。「漢字」「かな」「篆刻(てんこく)」「近代詩文書」「大字書」「前衛書」「刻字」など、多分野の作品を扱う「毎日書道展」を開催。
・読売書法会
「本格の輝き」が基本理念。2万3000点を超える国内最大規模の公募展「読売書法展」を開催。
・産経国際書会
基本理念は「clean(清素・透明)」「clear(明朗)」「creative(創造)」の“3C”に「character(品格)」を加えたもの。伸び伸びと書を楽しみながら伝統文化を受け継いでいく。
「字が上手くなりたい」「習字教室の先生になりたい」などの想いが強ければ、教育系の団体に所属している教室を探して学んでみると良いかもしれません。
「自分の表現を極めたい」というのであれば、自分の感性に合った芸術系の団体に所属する教室で技術を磨くことをオススメします。
おわりに
「オススメの書道の団体や教室はどこか」という質問をよく耳にしますが、一概にどこが良いと言い切ることは困難です。
ある人が勧める教室に通ったとしても、自分に適した環境であるかどうかは体験してみなければわかりません。
気になる団体や教室を見つけたら、各公式サイトで情報を集めましょう。
そして余力があれば、ぜひ直接教室まで足を運んでみてください。
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書道の世界には多くの道具が存在します。
中でも、文房四宝と表現される道具は、実際に文字を書く場面で欠かすことができません。
書道を始める際には筆が必要となります。
筆に関して何も知らないまま購入しようと店を訪れると、数え切れない種類の筆が並べられており途方に暮れてしまうでしょう。
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