「剣道」とは、体を守るための防具を付け、竹で作った竹刀しないで撃ち合う競技です。

中学・高校の部活動として剣道を始める方も多いですよね♪

そんな剣道に欠かせない道具として挙げられるのが、相手の竹刀から身を守る“防具”。

剣道の防具は、めんどう小手こて垂れたれの4点がセットと言われており、頭・腰回り・前腕などを守ります。

本記事では、剣道の防具が一体どんなものなのか、それぞれの防具の歴史や用途、選び方のポイントなどを詳しくご紹介します♪

剣道の防具について

剣道の防具は、主に相手の攻撃から自分の体を守るために身に付ける道具で、全日本剣道連盟では正式名称を「剣道具」、文部科学省では「防具」としています。

めんどう垂れたれ小手こての4種類からなり、面は頭部とのど、胴は胸から腹、垂れは腰と局部、小手は手から前腕を保護するものです。

それぞれ、相手からできるだけ身を守りつつ動きやすいよう、細部にわたり工夫が施されています。

剣道には必要不可欠な「防具」ですが、部活動で始める場合は入部のタイミングで買い揃えることがほとんどです。

しかし、道場などで習う場合は、最初は構えや素振りなどを練習するところも多く、基本を習得した後に揃える方もいるようです。

所属する団体により異なりますので、剣道防具の購入については、部活の先輩や道場の方に相談をしながら決めることをオススメします!

剣道防具の選び方のポイント!

剣道の防具を選ぶ際は、衝撃吸収性や自分の体に合ったサイズを選ぶことがとても大切になります。

でも、防具は素材や作り方など種類も多く、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね?

そこで、ここでは防具の選び方のポイントを紹介していきます♪

刺しとミシン刺し

防具は、職人の方が手作業で縫った”手刺し”と、機械のミシンで縫った”ミシン刺し”に分かれます。

手刺しは多くの芯材を詰めることができるため、衝撃吸収力・耐久性に優れており、刺し目が細かいので見栄えが美しいといわれています。

ただ、手作業のため高価となります。

対してミシン刺は、手刺しに比べ柔らかく軽い仕上がりで動きやすく、お値段も安価になります。

しかし、手刺しに比べ刺し目が大きいので防具が緩みやすく、消耗が早いといわれています。

初心者の方には、安価で動きやすいミシン刺しがオススメです!


※芯材:布団の強度を高めるために中に入れる素材(布など)。

の刺し幅

刺し幅”とは、剣道防具の布団(生地)を縫ったときの縫い目の間隔のことで、「〇〇mm」や「〇分刺し」とよく表記されます。

ちなみに、1分はおよそ3mmになります。

実はこの刺し幅の違いで、衝撃を受けた時の吸収性が大きく変わり、竹刀で打たれた時の痛みも異なります。

刺し幅が広いほど布団(生地)に厚みが出て衝撃を吸収しやすくなるため、打たれた時の痛みが少なくなります。

逆に、刺し幅の間隔が狭いほど、布団の中の芯材しんざいが圧縮されて生地が薄くなり、衝撃の吸収力が低下するため、動きやすい反面、打たれたときに痛みを感じやすくなります。

そのため、初心者の方には、比較的差し幅が広い5~6mmのものがオススメ!

ただし、刺し幅が狭いほうが滑らかで見た目が良いので、着装の美しさも重要視される昇段審査のときには、3mm程度のものを使うのが望ましいようです。

防具の素材には、天然の革と人工皮革ひかく織刺おりざしの3種類があります。

主に鹿の革を使う天然革は、汗には少し弱いのですが高級感があり、使い込むことで味が出てくることが特徴です。

一方、人工皮革は天然の革に比べて見栄えは劣るかもしれませんが、汗に強く耐久性があるなど、機能性に優れています。

織刺とは一重剣道衣という裏地のない剣道衣と同じ刺し子を施した藍染生地のことで、摩擦には弱いのですが、通気性が良いため汗に強く、手頃な価格であることから初心者の方や稽古中心の使用に適しています。

お手入れのしやすさと用途

剣道防具は一度買ったら長く使うもの。

そのため、抗菌・防臭加工がされているもの、水洗いができるものであると便利です。

また、剣道は見栄えも重視する競技のため、稽古と大会・昇段審査とで防具を使い分ける方もいるのだとか!

ただ、初心者の方は衝撃の吸収力や稽古に耐える耐久性、着用時の快適性を重視するのが良いでしょう。

「後々は大きな大会に出場したい」「昇段審査を受けたい」と考えている方は、多少見栄えも考慮して選んでみてください♪

剣道防具の種類

剣道の防具には、面、胴、小手、垂れの4つがあります。

ここからは、それぞれの防具について詳しくご紹介します!

面は頭、顔、喉など主に頭部を保護する防具で、顔の正面は金属が格子状にになった面金めんがねおおわれています。

江戸時代の頃には竹製、のちに鉄製となりましたが、現在では軽いジュラルミンやチタンなどの合金が使われています。

正面の面金の隙間は、どれも同じ間隔だと思っている方が多いのではないでしょうか?

実は、6本目と7本目の間は、「物見ものみ」と呼ばれる目線を合わせる部分で、ほかの隙間より少し広い間隔となっています。

物見と目線が合っていないと外が見えづらく、顎を無理に引いて見てしまうことに繋がるため、構えの姿勢が崩れる原因となります。

喉の部分は突垂つきたれと呼ばれ、相手の突きから喉を防護します。

面の選び方は、物見の位置も含めた頭部のサイズが合うもの、布団に厚みがあり衝撃を吸収するもの、肩を保護する左右の部分に長さがあるものを選ぶと良いでしょう。

装着方法は、まず手拭いで頭を巻いてから面を被り、面紐を縛って固定します。

豆知識

江戸時代末期には、竹刀を放り出してこの面をがしあうこともあったようです。

これは、戦国時代の首をとることになぞらえた試合であったといわれています。

小手

小手は手を保護する防具で、面と同様に鹿革や合成皮革、織刺などでできたこぶし部分の小手頭こてがしらと、筒状に腕を保護する小手布団こてぶとんなどの部位でできています。

小手布団の部分が、打突部位だとつぶいとされています。

そのため、小手を選ぶ時は、打たれても痛くない防御力と竹刀の握りやすさを重視します。

・布団に痛さを軽減するだけの十分な厚みがある
・手首を柔らかく動かすことができるくらい内側にゆとりがある
・竹刀を握るときに親指と人差し指で大きな楕円ができる

上記のポイントを押さえた小手が良いでしょう。

なお、小手は防具の中でも酷使して消耗が激しいため、スペアを用意しておく方も多い防具です。


※打突部位:剣道における、相手選手を打って良い箇所のこと。

胴は、胸から腹、脇の下など体の前部分を保護する防具です。

胸を守るための胴胸どうむねと、腹や脇の下を保護する胴台どうだいなどの部位からなっています。

胴は、各々の刺繍や色付きのものがあり、一番個性を発揮できるもの。

胴胸は、硬い芯材を牛革で覆ったものが一般的で、雲型などの伝統的な飾りを入れたものもあります。

この装飾は見た目だけでなく、当たった竹刀が首へずれるのを防ぐ滑り止めの役割も担っています。

胴台には、竹洞、ナイロン樹脂で作られたヤマト胴、パルプ繊維原紙を張り合わせたファイバー胴があります。

竹洞は牛の革に竹を張り合わせ、漆を施した高級品で、上位段の剣士が用いており、初心者は比較的安価なプラスチック製か、軽くて動きやすいファイバー製を使うのが一般的です。

なお、胴のサイズも体格などに合わせて決めますが、装着したときに腕を振り下ろすことができ、両脇にこぶしが入るくらいがちょうど良いサイズです。

垂れ

垂れは、腰回りなど下半身を保護するための防具です。

前帯まえおび」に3枚の「大垂おおだれ」と2枚の「小垂こたれ」が付き、3枚のうち真ん中の大垂には選手の道場名と苗字を記した名札を付けます。

垂れは、もともと甲冑かっちゅうの胴の下に身に着けた武具の草摺くさずりから発展したものです。

草摺は大腿部ふとももを守るため、地面の草に引きずるくらい長いことからこの名が付きました。

剣道では腰回りは直接打つ個所ではないため、草摺と比べて短く、動きやすい形状となっています。

大垂には雲形などの装飾が施されているものもありますが、これは見栄えだけでなく、垂れの強度を上げる目的もあるようです。

帯は骨盤より少し上に装着しますが、帯に厚みがある方が付けた時に安定感が高まります。

外編 防具セット

防具は単体で購入しても良いのですが、「最初はどれが良いのかよくわからない!」という方も多いと思います。

そんな方にオススメしたいのが、セット販売の防具です。

セットの防具は統一感があり、価格もお手頃ですよ♪

おわりに

今回は、剣道の防具について種類や選び方を詳しくご紹介しました。

防具はかつての鎧や兜をヒントに作られたものですが、時代を重ねるにつれ、動きやすく痛みを軽減できるようにさまざまな工夫が施されている伝統的な道具です。

材質や作りも少しずつ異なるので、自分に合うものを選んで、ぜひ快適な剣道生活を送ってくださいね!