国民の祝日が立て続けに訪れるゴールデンウイーク。
5月の最初の祝日は「憲法記念日」です。
大型連休が始まるワクワクで忘れ去られがちな「憲法記念日」ですが、いったいどのような意味が込められた祝日なのでしょうか?
この記事では、「憲法記念日」とはどのような日か、日本の憲法の歴史にも触れながら、詳しく解説していきます!
憲法記念日とは
憲 法記念日はいつ?
憲法記念日は、毎年5月3日です。
ゴールデンウイークにまつわる豆知識
もともと、憲法記念日(5月3日)・みどりの日(5月4日)・こどもの日(5月5日)の3連休が、ゴールデンウイークと呼ばれていました。
しかし、現在では昭和の日(4月29日)からこどもの日(5月5日)までをゴールデンウイークとするのが一般的になっています。
憲 法記念日はどんな日?
憲法記念日とは、『昭和22年(1947年)5月3日の日本国憲法の施行を記念して、国の成長を期する』ために制定された、国民の祝日です。
また、毎年5月3日の憲法記念日を含む5月1日から7日までの1週間を「憲法週間」とし、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重を定めた日本国憲法の精神や、司法のはたらきの理解を広める取り組みを法務省の機関が行っています。
憲法記念日の歴史
現在の日本国憲法は、昭和21年(1946年)11月3日に国民に公表され、その翌年の昭和22年(1947年)5月3日から実施されました。
憲 法記念日はどうして5月3日になったの?
当時、明治天皇の誕生日である11月3日(現在の文化の日)に日本国憲法を公布し、同日を記念日にしようという動きもありました。
しかし、連合軍の総司令部であるGHQは、“天皇主権”であったそれまでの『大日本帝国憲法』とは違い、『日本国憲法』では“天皇は国の象徴”であることから、天皇の誕生日とは切り離すべきだとしたため、施行日である5月3日が憲法記念日に制定されたと伝えられています。
文 化の日との関連性を見てみよう
天皇誕生日であった11月3日は、日本国憲法の制定以降、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」事が趣旨の国民の祝日となりました。
このように、文化の日と憲法記念日は歴史的にも深いつながりがあるのです。
日本国憲法の三原則とは?憲法について学ぼう!
日本国憲法には、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の3つの柱があります。
① 国民主権~みんなで日本をつくっていこう~
「国民」とは、その国の国籍を有する者を指し、「主権」とは、政治のことを決める力のことを言います。
つまり「国民主権」とは、“政治のことを決めるのは、その国の国籍を持つ者である”という意味なのです。
日本国憲法の前文にて
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
と明記されています。
② 基本的人権~尊重されるべき自由権・平等権・社会権~
「基本的人権」とは、誰もが人間らしく生きることができるという権利です。
日本国憲法第十一条において、
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
と明記されています。
私たちは誰もがその基本的人権をもっており、憲法で保障されています。
職業を選択すること、好きな場所に住むこと、自由な時間に好きなことをすること。
みなさんが「当たり前!」と思うことかもしれませんが、憲法で人権が保障されるようになったのは、何千年の日本の歴史の中で考えると最近のことなのです。
基本的人権の尊重において保障されるものとして、自由権・平等権・社会権があります。
ここからは、その3つについてご説明します。
自由権
自由に物事を考え、行動できる「自由権」。
自由権は以下の通り、さらに細分化されます。
勉強は「やりたくないもの」「しなくてはならないもの」と思っている学生さんもいるかもしれません。
しかし、興味があることについて学ぶことができることは、保証された自由であり、幸せなことなんですね!
平等権
憲法第14条に、
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
とあるように、国民1人1人が等しく扱われることを保障しているのが「平等権」です。
社会権
すべての国民が人間らしい生活を送るための権利が「社会権」です。
大きくわけると以下4つの権利があります。
①生存権(第25条)
②教育を受ける権利(第26条)
③勤労の権利(第27条)
④労働基本権(第28条)
年金や生活保護を受けること、学校に行くこと、労働条件を交渉することなど、多くの権利が我々の生活を守っています。
③ 平和主義~世界に誇る日本の平和主義~
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と、日本は明治時代に入り多くの国と戦争をしてきました。
あまりにも多くの尊い命を奪った戦争。
そんな戦争を二度と行わないために、憲法第9条に
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
と、戦争をしてはならないことが明記されています。
世界の憲法記念日
ノ ルウェー
本日5/17は #ノルウェー の #憲法記念日 #ナショナルデー です。この日は各地で子どもや若者を中心に賑やかなパレードが行われます。https://t.co/aoDi1ftqb7 pic.twitter.com/5qNiJIJz5D
— ノルウェー大使館 (@NorwayinJapan) May 17, 2016
ノルウェーの憲法記念日は5月17日です。
ノルウェーではこの憲法記念日が一大イベントで、国旗で街が埋め尽くされ、民族衣装を身にまとう方もいます。
そして各地でパレードが行われます。
地域によっては子供が主役の日とされており、パレードの後に、アイスクリームが出されてゲームをするなど、子供たちにとっても楽しい祝日になっています♪
イ ンド
インドの共和国記念日は、1月26日です。
昭和25年(1950年)1月26日にインド憲法が施行されたことを記念し、首都ニューデリーでは盛大にパレードが行われます!
ポ ーランド
実は5月3日…ポーランドでも
— みう ◡̈♥︎⭐︎令和🇯🇵 (@Miu2015Uyo) May 2, 2016
日本と同じで「憲法記念日」
憲法記念の祝賀 甲冑パレード。。。
甲冑/おさげ/スカート/ブーツ/有翼…
可愛い❤︎キレイ♡カッコイ〜☆うらやましい。。。。。 pic.twitter.com/Qes7ZjmvBy
ポーランドの憲法記念日は、偶然にも日本と同じ5月3日。
飾りがついた中世の甲冑を身にまとい、パレードが行われます。
国旗も掲げ、国全体で祝福モードの一日となります♪
「憲法記念日」に日本の歴史を学ぶことができる場所に行ってみよう!
【 広島県】広島平和記念資料館・原爆ドーム
原爆ドームとは、第二次世界大戦で被爆した建物で、戦争と核兵器の恐ろしさを後世に
残すべく悲惨な姿のまま保存されています。
戦争を体験した祖母とこの場所を訪れたことがあります。
戦争時代に女学生として青春時代を過ごした祖母は当時、どんな気持ちで戦争をしている日本をみていたのでしょうか。
戦争を体験した方が身近にいらしたら話を聞いてみたり、広島に足を運んだりして、改めて歴史を知り、平和について考えてみませんか?
【 新潟県】山本五十六記念館
海軍航空隊に属し、航空戦力に注力した山本五十六。
戦争には反対だったものの、連合艦隊司令長官として戦争の指揮をとることを余儀なくされました。
昭和18年(1943年)4月18日、視察のために飛び立った山本五十六の戦闘機はパプアニューギニアで待ち伏せしていたアメリカ軍に撃墜されました。
山本が最後を遂げた座席と搭乗機の左翼の一部は、地元・長岡の山本五十六記念館に展示され、今も戦争の悲惨さを伝えています。
【 鹿児島】知覧特攻平和記念館
知覧特攻平和会館では、第二次世界大戦末期の沖縄戦にて特攻という作戦で飛行機に乗り、敵艦に体当たり攻撃をした隊員の遺書や資料を展示しています。
特攻とは、片道の燃料のみで敵艦に体当たりしていく攻撃のことです。
亡くなった多くの若者それぞれに大切な家族、愛する恋人、一緒に楽しい時間を過ごした友達がいたはずです。
そんな若者たちの思いが伝わってくるでしょう。
【 東京都】靖国神社・遊就館
靖国神社は明治維新後の明治2年(1869年)、明治天皇の思し召しによって、国のために亡くなった方をお祀りする招魂社として建立された神社です。
“靖国”には、国を靖んずるという意味で「祖国を平安にする」「平和な国家を建設する」という意味が込められています。
そんな靖国神社には、戊辰戦争や佐賀の乱、西南戦争など国内の戦争、また日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・満州事変・支那事変・第二次世界大戦などにおいて国家のために命を捧げた方々の神霊が祀られています。
さらに、坂本龍馬や吉田松陰、高杉晋作、橋本左内のように、歴史的に著名な幕末の志士達も。
上記のような軍人ばかりでなく、戦場で活躍した従軍看護婦や女学生、学徒なども数多く含まれていることから、歴史的に非常に意味のある神社です。
靖国神社を参拝し、ご先祖様に感謝しながら日本が大きな発展を遂げてきたことを感じ、日本の歴史を振り返ってみてはいかがでしょうか?
【 東京都】平和祈念展示資料館
東京都新宿区にある、平和祈念展示資料館。
“赤紙”とよばれる戦争で男性を集めるための命令書や防寒作業衣、手製麻雀牌などを展示しています。
東京でも戦争の歴史に触れることができる、貴重な資料館です。
おわりに
5月3日の憲法記念日は、私たち日本人が過去の悲しい歴史を克服して今に到達したことを実感する日でもあります。
日本国憲法について分かりやすく書かれた書籍も、本屋さんに行くと販売されています。
5月3日には、一緒に過ごす家族やお友達と日本の歴史を共に振り返りながら、憲法について話してみてはいかがでしょうか?
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