日本の伝統的工芸品として知られる、石川県の陶磁器「九谷焼」。
鮮やかな色絵が特徴の九谷焼は、その華やかさで多くの人々を魅了してきました。
今回は、そんな九谷焼の歴史と技術を受け継ぎ活躍する窯元をご紹介していきます。
窯元によって特徴が異なる、九谷焼の魅力にぜひ触れてみてください♪
九谷美陶園
九谷美陶園は、商人であった寺前為吉によって大正3年(1914年)に創業された老舗の窯元です。
昭和9年(1934年)には九谷焼作品をシカゴ万国博覧会に出品するなど、国内だけでなく海外にも進出してきた九谷美陶園。
その勢いは続いていき、後に窯を引き継いだ英一氏は昭和48年(1973年)に国から勲六等を、昭和54年(1979年)には加賀市文化功労賞を受賞しています。
それ以外にも、当時の皇太子殿下(現在の天皇陛下)が平成1年(1989年)に山代温泉の旅館でこの九谷美陶園で焼かれた「金襴手夫婦湯呑」をご購入なさっており、その品質の高さを伺えます。
そんな九谷美陶園で作られる九谷焼の魅力は、なんといっても食卓に温もりをもたらすデザインです。
伝統的な九谷焼を基本としながらもモダンなデザインの九谷焼は、幅広い食器や料理に良く合います。
20年以上も愛される“手起こしシリーズ”をはじめとして、“魯山人うつし”や“古九谷うつし”など、さまざまな種類が焼かれています。
九谷美陶園の九谷焼は、現代の空間にもそっと馴染み、日常的に楽しむことができますよ。
住所:〒922-0242
石川県加賀市山代温泉16-71
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」よりタクシー(約30分)
電車をご利用の場合 JR「加賀温泉駅」よりタクシー(約10分)
車をご利用の場合 加賀IC・片山津ICより(約20分)
九谷焼窯元 きぬや
九谷焼窯元 きぬやは、オリジナリティ溢れる九谷焼作品を数多く製作している窯元です。
定番の商品は、洋食器を彷彿させる洗練されたデザインの「九谷オーバル」や山中温泉のご当地キャラクター「おわんさん」とコラボを果たしたキュートなマグカップ。
また、恋愛成就・商売繁盛・芸事上達などの願いを込められる、九谷焼の「ゆかたべさん人形」も人気です!
この人形は、 江戸時代に湯座屋市の町を彩った浴衣を着た少女(浴衣娘)がモチーフになっています。
また、当時の少女が16歳前後だったことから「4×4=16」とかけて、少女の顔の反対の面が獅子の顔になっているのが特徴です。
2階のシルクロ体験工房では、このゆかたべさん人形の絵付け体験のほか、九谷焼のさまざまな工芸体験ができますよ♪
時期によってプレゼントキャンペーンなども行っているので、合わせてチェックしてみてください!
住所:〒922-0114
石川県加賀市山中温泉東町1丁目マ22山中バスターミナル前
アクセス:
交通機関をご利用の場合 JR「加賀温泉駅」よりバス(約30分)
車をご利用の場合 加賀ICより約12.6km、片山津ICより約16.3km
上出長右衛門窯
明治12年(1879年)創業の上出長右衛門窯は、美しい美術工芸や割烹食器を中心とした九谷焼作品を生み出し続けています。
窯を構えた当時の寺井村(現在の石川県能美市寺井町)は、もともと九谷焼の中興の祖と称される九谷庄三が生まれた土地。
そんな九谷焼文化が根付いた地からはじまった上出長右衛門窯は、昭和44年(1969年)に明治神宮へ花瓶を献納したり、平成12年(2000年)に行われた沖縄サミットの際には晩餐用の器として使用されたりなど、華々しい歴史があります。
令和元年には創業140周年を迎えた老舗中の老舗ですが、今もなおその勢いは衰えません。
現在は、吉光町に移転しており、また四代目当主は平成8年(1996年)に藍綬褒章を、平成15年(2003年)には五等雙光旭日章を国から授与されています。
上出長右衛門窯の九谷焼の特徴は、五彩や染付などの伝統技法を活かしつつ表現される「瑞々しさ」です。
現在も上出長右衛門窯の九谷焼は、普遍的かつ枠に囚われないデザインの魅力的な作品を数多く製作しています。
中でも、九谷焼の転写技術を駆使した「KUTANI SEAL」は、器に貼って焼き付けるだけで、簡単に美しい絵付けがされた九谷焼を作ることができます。
まさに九谷焼の新たな形といっても過言ではありません。
各地で個展を開催しているので、目で見て九谷焼を楽しみたいという方は足を運んでみるのも良いでしょう。
住所:〒923-1123
石川県能美市吉光町ホ65
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」より車(約20分)
電車をご利用の場合 JR「小松駅」より車(約20分)
JR「能美根上駅」より車(約10分)
JR「金沢駅」よりバス・徒歩(約85分)
車をご利用の場合 能美根上スマートICより(約10分)
小松ICより(約15分)
青郊窯
青郊窯は、転写シートという印刷技法を導入した、革新的な技術を誇る九谷焼の窯元です。
この技法は、製版された転写シールを熟練職人が丁寧に貼り付け、独自の印刷を施すというもので、機械関係に強い二代目の手によって生み出されました。
これによって、九谷焼ならではの鮮やかな色彩美や手描きのような表現力はそのままに、安定して高品質の九谷焼製品が生産されるようになりました。
また、転写シートだけでなく、九谷焼に使う絵の具の研究開発をしたというところも大きな注目ポイントです。
青郊窯が独自に開発した鉛を使用しない和絵の具は、それまでの九谷焼の画風を損なわないまま、滑らかな質感を表現できます。
また、鉛が入っていないため、食器の内側にもデザインが施されるようになり、テーブルウェアのデザインの幅を大きく広げました。
このように、時代の先駆けとなるような技術を次々と生み出す青郊窯は、今後も注目の窯元です。
住所:〒923-1112
石川県能美市佐野町ロの25番地
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」より車(約20分)
電車をご利用の場合 JR「小松駅」より(約15分)
車をご利用の場合 小松ICより(約15分)
文吉窯
クラシックからカジュアルなデザインまで、幅広い九谷焼を製作している文吉窯は、初代・東文吉が明治時代に創業しました。
東文吉は、石川県能美市に九谷焼の道を築いたといわれる名工・斎田道開の弟子です。
創業した東文吉は、もとは上絵の職人でしたが、現在の文吉窯では上絵付けだけではなく、九谷花坂の粘土を使った素地作りから、本窯での焼成、絵付けまでを一貫して行っています。
伝統的な九谷焼作りの技術はもちろん、古九谷や藍九谷の染付技法までも受け継ぐ数少ない窯元です。
そんな古来継承される技術を駆使し、古典意匠を使った九谷焼作品も魅力ですが、他にも南画家・田中正人氏が南画を題材に描く、芸術的な九谷焼食器もまた人気のシリーズです。
数量限定のアウトレット商品もあるので、お見逃しなく!
住所:〒923-1121
石川県能美市寺井町レ63
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」より車(約20分)
電車をご利用の場合 JR「小松駅」より車(約20分)
虚空蔵窯
虚空蔵窯の九谷焼は、現代の生活空間にも映えるユニークな形状やデザインが特徴です。
「私たちの暮らしと共にあるやきもの」をコンセプトに、斬新なアイデアを一つひとつ職人の手作りで体現しています。
窯名の由来は、九谷の地にそびえたつ虚空蔵山。
その麓に窯を開いたということで、広大な智徳を持つ虚空蔵菩薩の名前にちなんで付けられました。
ゆったりと奥行きのある世界観の九谷焼は、そんなルーツから始まっているのです。
ぐい呑みやお茶碗といった和食器はもちろん、カップ&ソーサーやゴブレットなどといった洋食器、さらに置物などといったバラエティ豊かな九谷焼を展開。
トルコ釉を使った鮮やかなターコイズブルーカップや、甘いスイーツをモチーフにした可愛らしいデザインなど、個性的な作品は日常を華やかに演出してくれるでしょう。
住所:〒923-1224
石川県能美市和気町井55-3
アクセス:バスをご利用の場合 バス停「下和気」より徒歩(約5分)
バス停「中和気」より徒歩(約8分)
バス停「辰口和光台」より徒歩(約9分)
九谷光仙窯
九谷光仙窯は、明治3年(1870年)創業の九谷焼の窯元です。
大正15年(1926年)のアメリカ独立150年記念万国博覧会にて大賞、さらにベルギー・リエージュ万国博覧会ではグランプリを受賞した、歴史にも名を馳せる窯元です。
昭和23年(1948年)には、三代目・利岡光仙氏が「陶磁器技術保存指定作家」の認定を受けるなど、その実力も折り紙付き。
三代目は天皇皇后両陛下行幸啓や、当時の皇太子殿下(現在の天皇陛下)と皇室の方々に抹茶碗を献上するなど、伝統工芸士としてさまざまな活躍を見せ、最終的に伝統的工芸品産業功労者表彰を受けました。
現在、光仙の名は四代目が継いでおり、名と同じように伝統技法も受け継いでいます。
繊細な筆致と金彩を施した豪華な色柄の九谷焼は、昔も今も多くの人々を魅了し続けています。
住所:〒921-8031
石川県金沢市野町5-3-3
アクセス:
電車をご利用の場合 JR「金沢駅」より野町経由北鉄バスに乗車
「野町バス停」下車 徒歩(約5分)
宮本泰山堂
宮本泰山堂の歴史は、明治42年(1909年)に九谷焼の商店としてはじまりました。
その後、三代にわたり受け継がれる中で、人を喜ばせる九谷焼を追求し続けた結果、制作の技術を得た宮本泰山堂は、作陶も行う工房として活動していきます。
そんな時代や使い手の心意識した宮本泰山堂の思いは、現代に渡り継承され、「伝統とモダンの融合」を目指した九谷焼作りが行われているのです。
オリジナリティ溢れる九谷焼の中でも、ギフト商品のランナップが充実していることも宮本泰山堂の特徴です。
贈る相手やシーンを考えたデザインの九谷焼はもちろん、ラッピングまでこだわっており、まさに“人を喜ばせる”窯元ですね。
他にも、オーダーメイド商品の発注が行えたり、ホームページでは食器に合うレシピを掲載していたり、現代のライフスタイルで九谷焼を楽しんでもらうための取り組みを積極的に行っています。
モダンながらも伝統をベースにした器は、スタイリッシュながら味わいも感じられます。
ぜひ、生活に取り入れてその魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
住所:〒923-0923
石川県小松市東町76
アクセス:
電車をご利用の場合 JR「小松駅」より徒歩(約5分)
鏑木商舗
文政5年(1822年)に初の九谷焼商家として創業した、鏑木商舗。
九谷焼の再興にも一役買った鏑木商舗は、明治から大正時代にかけては国内外問わずさまざまな展覧会に作品を出品し、多くの賞を受賞したため、一級品の九谷焼と称されるほど名を馳せました。
「九谷焼の価値を世界に広める」という創業当初からの思いは現在も職人たちに根付いており、今もその勢いは止まることがありません。
また、金沢市のイベントへの参加や親子絵付け体験の開催などを行うほか、ギャラリーやショップもオープンするなど、より多くの人に九谷焼に触れてもらおうという取り組みも行っています。
さらに、鏑木商舗は店内がとても充実しています!
長町武家屋敷のような風情のある和風建築で、九谷焼のコレクションの展示、さらにはカフェなども併設されており、じっくりゆっくりと九谷焼の魅力が味わえます。
その中の一つ、「おいしいいっぷく鏑木」では、石川で採れる地元の食材で作られるお料理を九谷焼でいただけます。
九谷焼が食卓をどんな風に彩ってくれるのかをはじめ、九谷焼食器の味わい深さや魅力を、料理を通して実際に体感することができますよ!。
住所:〒920-0865
石川県金沢市長町1-3-16
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」よりリム ジンバス(約50分)
電車をご利用の場合 「金沢駅」よりバス乗車後「香林坊」で下車(約5分)
車をご利用の場合 金沢西IC・金沢東ICより(約20分)
金沢森本ICより(約25分)
清山窯
清山窯は、明治時代後期に創業してから現在まで、幅広い九谷焼の製造と販売を行ってきました。
清山窯で作られる九谷焼は、食器からインテリアまで種類もさまざまですが、絵柄やデザインのバリエーションが多いことも特徴の一つです。
九谷焼らしい重厚な雰囲気のある吉田屋風の九谷焼から、伝統技法を使った古典的な意匠の石畳や盛椿のデザインや、淡い彩色が美しい花の舞シリーズなど、多種多様な色柄の九谷焼が楽しめます。
また、公式サイトの方では「結婚式」や「長寿・還暦祝い」といった目的から九谷焼を探せるので、プレゼントとしてもオススメです。
オリジナルの九谷焼のオーダーもできるほか、盛金青粒画風で知られる伝統工芸士・仲田錦玉氏や、動植物の絵柄を得意とする若手作家・山近泰氏など、現代に活躍する九谷焼作家の作品の販売も行っています。
好きな色絵や作家さんを見つけたい方は、ぜひチェックしてみてください!
住所:〒923-1111
石川県能美市泉台町南19九谷陶芸村内
アクセス:
飛行機をご利用の場合 「小松空港」よりタクシー(約20分)
電車をご利用の場合 JR「小松駅」より車(約15分)
車をご利用の場合 小松ICより(約15分)
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おわりに
いかがでしたでしょうか?
「九谷焼」と一言で言っても、それぞれの窯元にそれぞれの作風や個性があります。
九谷焼を購入する際に、絵柄や形だけではなく、窯元で選んでみるというのも素敵ではないでしょうか?
ぜひ、いろいろな窯元の九谷焼を見比べて、お気に入りの一つを見つけてみてください♪
九谷焼とは、石川県南部で江戸時代から作り続けられている、色鮮やかな絵付けが施された陶磁器です。九谷焼の特徴である豊かな色彩と繊細な絵柄は、その美しさで国内のみならず世界中の人々から賞賛を浴びてきました。また、昭和50年(1975年)には、経済産業大臣から国の伝統的工芸品として認定されました。
九谷焼は、明暦元年(1655年)加賀藩の命により、有田で陶技を学んだ後藤才治郎が、江沼郡九谷村で開窯したのが始まりです。現在では宮内庁へも納入されるなど、国内外からも広く愛されています。素晴らしい焼き物である九谷焼の中から、今回は今すぐ欲しくなってしまうような素敵なマグカップをご紹介します。
「ジャパンクタニ」。世界からそう呼ばれるようになった九谷焼。九谷焼のふるさとは石川県の金沢、小松、加賀、能美です。もともと九谷焼は器として使って楽しめる伝統工芸品であり、決して敷居が高いものではありません。今回は、特別な日だけでなく、普段も使える素敵な九谷焼のお皿をご紹介します!
宮内庁を通して海外の著名人への贈答品としてもその名を轟かせる「九谷焼」。九谷焼の絵柄は、九谷五彩といわれる赤・黄・緑・紫・紺青色を基調として描かれます。こうした九谷焼から生み出された、素敵な茶碗をいくつかご紹介いたしましょう!
九谷焼は石川県南部で生産される伝統工芸品で、緻密で色彩豊かな色絵が特徴的な磁器です。伝統工芸品の陶磁器というと、少々高価で手が出しにくい…と、思われるかもしれませんが、小さな品でしたら手軽に買えるものもあります。そこで、今回はお手頃なものから、少し高価な物まで、九谷焼の湯呑をご紹介していきたいと思います!
日本の伝統美が生んだジャパン・ブランドの和食器で、暮らしに素敵な演出をしてみませんか?和食器は和食だけでなく、洋食にもコーディネイトしやすく、盛り付けが映える、モダンでおしゃれなデザインのものも多いんですよ♪今回は、日常使いから大切な方へ贈りたいギフトまで、オススメの和食器をご紹介していきます!
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
石川県は日本の中部に位置し、カニやノドグロなど日本海の美味しい海鮮が有名で、何百年も前から受け継がれてきた技術で作り上げた20品目以上の伝統工芸品が存在します。経済産業大臣によって石川県の「伝統的工芸品」として指定されている加賀友禅、九谷焼、輪島塗、山中漆器、金沢漆器、牛首紬、加賀繍、金沢箔など10品目をご紹介します。
日本には何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術を用いた、伝統工芸品が数多く存在します。技術の革新により機械化が進み、安価で使いやすい商品がどんどん市場に出回っている昨今、手作業で作られる伝統工芸品は需要が少なくなり、追い詰められているのが現状です。
伝統工芸士とは、経済産業大臣指定の伝統的工芸品の製造に従事する技術者かつ高度な技術・技法を保持する職人のことであり、国家資格です。この記事では、なるにはどうしたらよいのか、伝統的工芸品の種類や伝統工芸士の資格・認定について、女性工芸士の活躍のほか、もっと伝統的工芸品に触れるために活用したい施設などをご紹介します。