数年前に、吉田松陰の妹を主人公とした大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台としても取り上げられた山口県萩市。
人口約5万人、日本海に面し、三角州で囲まれた小さな街ですが、初代総理大臣の伊藤博文を始め、明治維新で活躍した多くの志士を輩出した所でもあります。
そんな風土に根付き、栄えてきた伝統の一つである「萩焼」。
今もなお、多くの窯元があり、食器や花瓶、アクセサリーや壁掛け時計まで、実に沢山の種類の焼き物が作られています。
今回は、萩焼とはどのようなものか、萩焼の種類や特徴についてご紹介します。
萩焼とは
萩焼とは、山口県萩市で作られる焼き物です。
今から約400年以上前の江戸時代、萩藩主毛利輝元が、文禄・慶長の役により、朝鮮から渡来した李勺光と李敬に命じ、毛利家の御用窯として開かせたのが萩焼の発祥とされています。
昔から、茶道の世界では抹茶茶碗の好みの順位や格付けとして、「一楽(焼)、二萩(焼)、三唐津」と謳われる様に、萩焼は、非常に評価の高い茶の湯の具足として扱われてきました。
萩焼の種類は?陶器?それとも磁器?
焼き物の総称を「陶磁器」と呼びますが、「陶器」と「磁器」に分けられます。
萩焼は、陶器と磁器、どちらに当てはまるのでしょうか?
答えは「陶器」。
「陶器」は、器の生地が厚く、触るとザラザラしていて「土もの」とも呼ばれます。
陶器と磁器の違いについての詳細を、こちらの記事で紹介しているので、ぜひご覧ください♪
粘土を成形し、高温の窯などで焼成し器や造形物を作ることを陶芸と言います。
火山の噴火によってできる岩石が長い年月をかけ砕かれ、有機物と混ざりあったものが粘土。
世界中に存在しています。
陶芸によって作られる陶磁器と呼ばれるものにはおおまかに2種類あり、土が主な原料で叩いた時ににぶい音がするのが「陶器」。
萩焼の特徴
器 ごとに現れる素朴な表情
萩焼の一番の特徴は、装飾が少なく、生地の風合いを存分に楽しめることです。
絵付けなどはほとんど行われず、釉薬のかけ方や焼いた時の色の変化などにより、独特な模様を生み出しています。
そのため、一つとして同じ模様はありません。
自然の美しさに任せた素朴な美しさが魅力なのです。
萩 焼の土はオリジナルブレンド
萩焼には、主に2種類の土が使われます。
主原料となるのは、大道土と呼ばれるもので、山口県防府市の大道という地名で採掘されています。
白色で耐火性のある土で、作陶のベースとなります。
その大道土と混ぜ合わせるのに、見島土を使います。
こちらは、萩市の離島、見島で採掘されます。
鉄分を多く含み、赤茶色をしています。
この2つの特徴ある土を、オリジナルブレンドして萩焼は作られるのです。
陶芸家によって配合の比率が異なるので、色合いや相様も異なってきます。
使 うほどに味が出る「萩の七化け」
萩焼は、使っていけばいくほど、味わいの出る陶器です。
先ほどの土にも関係するのですが、大道土には砂が多く含まれ粒子が荒く、砂と土とでは焼きあがる時の収縮率が異なるため、微妙な隙間が生れるのです。
お湯呑にお茶やコーヒーを入れると、その茶渋の成分が、萩焼の細やかな隙間に入り込んで、徐々に模様が出来てきます。
画像のように、使っているうちに細かな模様が出始めます。
こうして徐々に色が変わっていくことを「萩の七化け」と呼びます。
切 り高台~器の底の切込み理由とは?~
湯呑茶碗や器の底を見ると、切込みの入っているものがよくあります。
この切り込みが入った高台※は、切り高台といいます。
こちらの画像でも、陶芸家のスタンプの隣には切込みが見られますね。
諸説ありますが、一般的には、昔、萩焼は、毛利藩の御用窯であったので、庶民にとっては使う事が出来ない、敷居の高いものだったのです。
そこで、わざと切込みを入れ、傷物として庶民も使っていたと言われています。
その名残が、現在も萩焼の特徴として表れているのでしょう。
※高台:茶碗や皿の下についている、輪の形をした支え。
山口県萩市の伝統的工芸品である萩焼。一つひとつ違った色合いや形がもたらす温かみに多くの人が魅了されています。
萩焼の特徴を知るには、製造工程を理解することが大切です。では、萩焼はどのようにして作られるのか、ご存知ですか?
萩焼の値段はどれくらい?
普段使いの萩焼の食器なら、大きさも小皿や取り皿から、家族分のお料理が盛れる大皿まで、形も丸や四角、楕円、勾玉型等色んなものから選べます。
萩焼の値段に関しては、一つ1,000円台から買うことができるものもあります。
猫の形をしたかわいい萩焼もあります。
それに、最近では食器洗い機・乾燥機に入れても大丈夫なのもあります。
購入する際に、食器洗い機がOKかどうか、お店の人に聞いてみてくださいね。
萩焼はどこで買える?
今やネット時代は、クリック一つで欲しいものが買えて便利ですが、萩焼は先ほどもお話したように、一つひとつが微妙に違い、やはり実際に手に取ってみることをオススメします。
萩では、多くの陶芸家がお店を構え作品を販売していますし、観光客向けに、萩焼の手作り体験をさせてくれるところもあります。
手作りの萩焼は、愛着も一入なのではないでしょうか。
陶芸家によっても随分作風が違うので、色んなお店を訪ねて、自分好みの陶芸家を見つけてみてはいかがでしょうか。
萩 焼祭とは?全国の萩焼イベント
また萩では、萩焼祭りという催しものもあって、一つの会場に色んな窯元の皆さんが集まって出展するので、一気に見て回れてオススメです。
これは毎年GWと秋に開かれます。
上記写真は、毎年GW中に萩市民体育館で開催される萩焼祭りです。
しかし遠方に住んでいて、どうしても萩まで行けない、という方でも心配いりません!
一年を通して、全国に色んな陶磁器の催しものが開催されており、萩の陶芸家の皆さんもそれらに参加しています。
そんな催しものの一部を紹介します。
基本的に、毎年開かれていますが、行かれる場合には詳細をチェックしてみてください。
もし、お近くに催しものが開催されるのであれば、ぜひ足を運んでみてはいかかでしょうか?
普段気軽に使える、お気に入りの一品が見つかるといいですね。
萩焼の食器に和食を盛り付けると、温かみを感じますし、洋食やケーキも、雰囲気が出てオススメです。
【東京】テーブルウェア・フェスティバル
開催時期:1月下旬~2月
開催場所:東京ドーム
“国内最大級の器の祭典”、「テーブルウェア・フェスティバル 2019」というイベントにワゴコロ編集部が行ってきました!
【仙台】全国焼き物フェアinみやぎ
開催時期:7月
開催場所:夢メッセMIYAGI
【姫路】姫路全国陶器市
開催時期:10月下旬~11月
開催場所:大手前公園
【福岡】全国陶磁器フェア
開催時期:3月
開催場所:福岡マリンメッセ
【小倉】西日本陶磁器フェスタ
開催時期:9月
開催場所:西日本総合展示場新館
【熊本】くらしの中の陶磁器フェア in 熊本
開催時期:8月下旬~9月
開催場所:グランメッセ熊本
おわりに
いかがでしたか?
これを読んで、いいなと思われたら、一度、萩焼を手に取られてみてはいかがでしょうか?
きっとみなさんの日々の暮らしを少しほっこりさせてくれる、大切なアイテムになってくれることと思います。
萩焼は山口県の萩市を中心に生産されている伝統的工芸品です。慶長9年(1604年)に藩主である毛利輝元の命により、朝鮮人陶工である李勺光と李敬の兄弟が、城下で御用窯を築いたのが始まりとされています。
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