漆器というと、「手入れが大変そう…」や「敷居が高そう…」といったイメージを持ってはいませんか!?

しかし、実は漆器のお手入れはそれほど難しくなく、いくつかのポイントを押さえておけば、他の食器同様に使えるんですよ♪

それだけでなく、漆器は基本的な手入れさえしておけば、使い込むほどにつやが生まれ、長く使うほど美しく色が変化し、二つとして同じものがない自分だけの唯一の漆器に成長します。

今回は漆器の簡単なお手入れの方法や洗い方、漆器を長く使うためのコツを紹介していきます。

漆器とは?

器の特徴・性質

漆器とはその名の通り、木や紙の表面に漆を塗ってできた食器のことをいいます。

漆器のことを英語で「JAPAN」と訳すなど、日本を代表する伝統工芸品として世界的にも広く知られています。

漆器の特徴として、保温性・防腐性・抗菌性がある一方で、極度の温度変化・乾燥・湿気に弱いという性質もあります。

しかし、これさえ気を付けておけば、意外と簡単に使うことができ、長く使うことでより美しい艶が生まれていくんですよ。

こちらの記事で漆器について紹介しているので、詳しく知りたい方は参考にご覧ください♪

漆器のお手入れ方法

それでは、簡単な漆器のお手入れ方法をご紹介しましょう。

器を使用する前のポイント

漆器を使用する前に気を付けるポイントをいくつか挙げていきます。

漆器を使う前の注意点!
「殺菌のために…」と、購入した漆器を使う前にいきなり高温のお湯につけたり、洗ったりしないようにしましょう!

まわりの温度に合わせて漆器の温度も変化するため、急な温度変化によりヒビが入る場合があります。

最初はぬるま湯で洗うようにしましょう。

徐々に温度に慣れさせて、漆器へのストレスを軽減させることで、ヒビや変色を予防し、より長く使えるようになります。

漆器のにおいが気になる場合
買ったばかりの漆器は、漆の独特なにおいがあります。

風通しのいい日陰に置いておくと、においは徐々に消えていきます。

それでも気になる場合は普通の台所用洗剤で洗い、ぬるま湯で洗い流してください。

また、少量の酢を加えた米の研ぎ汁をやわらかい布につけて拭く方法や、米びつの中に入れてにおいを消す、といった昔ながらの方法もあります。

使 用後の漆器の上手な洗い方

食後に漆器を洗う際は、一般的な食器同様に家庭用のスポンジ(柔らかい面)と台所用洗剤を使って大丈夫です。

ただし、フォークやナイフなど、他の食器との接触はダメージの原因となるので、他の食器とは別にして洗うことをオススメします!

また、汚れがこびり付いてしまった場合は、短時間であれば水に浸けて置いても問題ありません。

長時間の浸け置きは漆器が変形したり、漆塗りが剥がれたりする原因になるのでご注意ください。

器の乾燥方法は?洗った後は自然乾燥より乾拭き

漆器は湿気が苦手なため、洗った後は自然乾燥を待つより、柔らかい布やふきんで水分を拭き取りましょう。

特に重箱の角やお椀の底などは水が溜まりやすいので、気を付けながら優しく撫でるように拭き取ってあげると、カビ予防だけでなく、漆器の持ちもよくなります。

漆器を長く使うための保管方法

次に、お気に入りの漆器をより長く使うための保管方法を紹介します。

管に適した場所・条件

食器棚にしまう際は、直射日光を避けて収納するようにしましょう。

日光による紫外線は漆塗りの塗膜を傷付けてしまいます。

また、他の食器と重ねて収納する場合は傷や衝撃に注意しましょう。

気になる場合は器の間にガーゼなどの布を挟んで重ねることをオススメします。

漆器に使用できないもの

漆器に食洗機はNG!?
漆器は急激な気温の変化・乾燥に弱いため、食器用洗濯機や乾燥機は使えません。

もし使ってしまうと、漆器の劣化が早くなり、傷やダメージの原因になります。

一つひとつ優しく、経年変化を楽しみながら手洗いしてあげましょう。

電子レンジ・オーブン・直火は?
漆器に電子レンジ・直火・オーブンはNGです!

漆器に盛り付けた状態で料理を温めることは基本的にできません。

蔵庫に入れる際に気をつけること

漆器を冷蔵庫に入れて食べ物を保管する場合は、漆器の素材により扱い方が異なります。

樹脂製の漆器は冷蔵庫に入れて、すぐにダメになるということはありませんが、木製の漆器の場合は注意が必要です。

急激な温度変化と乾燥により、変形・ヒビ割れが発生する可能性があるので気を付けましょう。

げ物や汁物を盛り付ける際の注意点

漆器はいろいろな食べ物を盛り付けて楽しむことができるため、揚げ物や汁物を盛り付けても問題ありません。

しかし、あまりにも高温のものを漆器に盛り付けてしまうと、変色する危険性があります。

人が食べられないほどの温度でなければ、基本的に大丈夫です。

より長持ちさせたい場合は、料理を盛り付ける前にぬるま湯を入れて、漆器を温めておいてから盛り付けると、急激な温度変化による漆器への負担が軽減されますよ♪

万一のときの対処法

万一大切な漆器に傷が付いたり、カビが生えてしまった場合の対処法をご紹介します。

器にカビが生えてしまったら

漆器にカビが生えてしまった場合は、まず消毒液を含ましたガーゼなどで拭いてから、中性洗剤で洗ってみましょう。

しかし青カビや黒カビなどは漆器の繊維に入りこんでしまっているため、落とすのは非常に困難です。

購入した店舗やメーカーに塗り直しが可能か相談してみましょう。

カビ予防のためには、洗った後は拭き残しがないようにしっかりと水分を拭き取ることが、なによりも重要です。

また長期間保存する場合やカビの発生しやすい季節は、時折陰干しするなどしましょう。

器がくすんできた場合の艶出し方法

漆器がくすんでしまったときは、ご家庭にあるもので簡単に艶出しができます。

漆器は基本的に使えば使うほどに艶が出るものですが、洗い残しにより汚れが蓄積されていくと、くすんだ感じになる場合があります。

その場合は少量の食用油をいらなくなった布に染み込ませ、漆器を磨くと汚れが取れて、艶が復活します。

磨いた後はお湯で洗い流し、きちんと水分を拭き取って保管しましょう。

器にヒビ割れ・傷がついてしまったら

漆器にヒビ割れや傷が生じてしまった場合は、まずは購入した店舗やメーカーに相談してみましょう。

表面の漆塗りだけがヒビ割れてしまったり、軽い傷が付いてしまったりした場合は、塗り直しや修理が可能です。

しかし、そのままにすると傷が広がったり、木地まで傷が深く入ったりして、修理に時間がかかったり、ひどい場合は修理できなかったりするので、なるべく早く相談するようにしましょう。

おわりに

漆器で注意しなければいけないのは、極度の温度変化・乾燥・湿気だけです。

このことを注意してきちんとお手入れさえすれば、後は基本的に大丈夫です。

繊細で敷居の高そうなイメージの漆器ですが、かなり丈夫で、長く使っていけます。

少しだけ優しく丁寧に扱うことで、使うたびに艶が美しく変化し、自分だけの漆器へと成長していくでしょう。

毎日の食卓を豊かにし、お手入れすることで心を豊かにしてくれる。

そんな漆器のある生活を、あなたもぜひ味わってみませんか?