人形浄瑠璃の面白さを味わうためには、実際の舞台を見るのが一番です。
しかし初心者にとっては、いつ、どこへ行けば人形浄瑠璃を見ることができるかさえ分からないでしょう。
ここではおもな年間スケジュールと、開催されている場所、また知っておけば舞台が10倍楽しめるお役立ち情報をご紹介します。
文楽の年間スケジュール
【地方公演】
・3月
・10月
【内子座文楽(愛媛県内子町)】
・8月の2日間
そのほかにも、京都南座などで2日程度の公演が開かれます。
本 公演
現在、文楽の定期公演が行われているのは、大阪日本橋近くにある国立文楽劇場と、東京・三宅坂の国立劇場小劇場の2ヶ所です。
ともに2~3週間の間、毎日上演されています。
鑑 賞教室
毎年6月(大阪)と12月(東京)に開かれる鑑賞教室では親しみやすい演目が選ばれ、太夫や三味線、人形それぞれの役割と魅力について、分かりやすく解説してくれます。
初心者が人形浄瑠璃の世界を身近に感じることができる、願ってもないチャンスです。
学生向けのほかに、一般向けの日もあります。
地 方公演
毎年10月と3月は、全国各地を巡演する地方公演が開催されます。
東京や大阪に住んでいない人でも、人形浄瑠璃を身近で見ることができるかもしれません。
ぜひチェックしてみてください。
内 子座文楽
愛媛県内子町にある内子座では、毎年8月に2日間、人形浄瑠璃の公演が行われます。
内子座は大正5年(1916年)に建てられた木造の劇場です。
老朽化により取り壊されるところを、街づくりの一環として復元されました。
国立文楽劇場や国立劇場に比べ、規模が小さいので舞台の太夫や三味線、人形とも距離が近く、臨場感あふれる舞台を体験することができます。
文楽観劇ガイド
タ イムスケジュール
大阪の7~8月と東京の2月は3部制ですが、それ以外の舞台は2部制で、多くの場合11時からの公演と4時からの公演の昼夜入れ替え制になっています。
昼と夜の演目は異なり、スケジュールの中日で昼と夜の演目を入れ替えます。
ただし、長編作品の場合は「通し」といって、ひとつの作品を昼夜ぶっ通しで最初から最後までやります。
3部制の場合は、通常よりも短い時間となっており、コンパクトに様々な舞台を見たい人にオススメです。
幕 開き三番叟
1部の舞台を観に行く人は、早めに劇場に到着することをオススメします。
というのも、1部は通常10時半開場、11時開演なのですが、10時45分ごろから毎回「幕開き三番叟」が行われるからです。
三番叟とは、天下泰平や五穀豊穣を祝う、3分間ほどの短い祝祭劇です。
人形浄瑠璃では毎回舞台を清め、公演の無事を祈るために、三番叟が出てきて三味線の音に合わせて舞います。
手 に入れたい床本
国立文楽劇場や国立劇場では公演のプログラムを売っていますが、そのプログラムには「鑑賞ガイド」や物語のあらすじのほかに別冊で「床本集」がついています。
「床本」とは太夫が語る言葉が記してある本のことです。
太夫が師匠から譲り受けたり、自分で写本したりして、くねくねとした独特の浄瑠璃文字 で書かれています。
「床本集」はそれを活字に直し、公演で上演する作品が全部収録された、いわば台本のようなものです。
国立文楽劇場には字幕も出るのですが、やはり上演中は人形の動きに集中したいもの。
家に帰って床本を見れば、「あそこはそういうことだったのか」と理解も深まります。
文楽以外の人形浄瑠璃
今日では「文楽」=「人形浄瑠璃」として使われていることも多いですが、そもそも「文楽」というのは人形浄瑠璃の一座のことでした。
「文楽座」の人形浄瑠璃が非常に人気を博した結果、人形浄瑠璃といえば文楽、と見なすようになったのです。
しかし、文楽とは別に、日本各地で今日も人形浄瑠璃の伝統を伝える人々もいます。
そんな中から、常設の公演を行っているところをご紹介します。
淡 路人形座
淡路島は古くから人形浄瑠璃の盛んなところで、淡路人形浄瑠璃は500年の歴史を持つといいます。
その伝統を引き継ぐのが淡路人形座です。
上演45分と短い時間ですが、「傾城阿波の鳴門巡礼歌の段」を中心に、毎週水曜日を除く、ほぼ毎日1日に数回公演を行っています。
身近に人形浄瑠璃を楽しめる経験です。
阿 波人形浄瑠璃
阿波人形浄瑠璃は、徳島県に伝わる人形浄瑠璃です。
もともとは野外で公演していたため、人形も大ぶりで、それを活かした独自の動きもあります。
「傾城阿波の鳴門」のゆかりの地である徳島県立阿波十郎兵衛屋敷では、ほぼ毎日、1日2回阿波浄瑠璃の公演が行われています。
おわりに
人形浄瑠璃と聞くと、敷居が高いと感じる方も多いと思いますが、もともとは庶民の娯楽。
気楽に楽しめるものです。
最初のうちは義太夫の言葉が聞き取れなかったり、ストーリーも分かりづらく感じたりするかもしれませんが、劇場に足を運ぶうち、そのおもしろさと奥深さにどんどん引きつけられていくでしょう。
また、文楽だけでなく、日本各地に伝わる人形浄瑠璃を訪ねて歩くのも楽しいものです。
とくに淡路人形座と阿波人形浄瑠璃は、常設で公演も行われており、時間も短く、気軽に楽しむことができます。
緩急自在の太夫の語り、奥深い三味線の音、息を吹き込まれた人形たちの動きをぜひその目と耳で味わってみてください。
江戸時代から続く伝統芸能、人形浄瑠璃(文楽)の人気が再び盛り返しつつあります。大阪の国立文楽劇場の年間観客動員数は平成24年(2012年)度以降、6年連続で10万人を突破する盛況ぶりです。今回はそんな人形浄瑠璃(文楽)についてもっと知りたい!という方のために、人形浄瑠璃と文楽について詳しくご紹介します!
人形浄瑠璃と聞くと、「お上品でお堅いもの」と敷居が高いように思う方も多いのではないでしょうか。しかし、もともと庶民の娯楽だった人形浄瑠璃が、面白くないはずがありません。現代を生きる私たちにも十分共感できる思いが人形に託されて、より熱く激しく、華麗に演じられます。
人形浄瑠璃は「三業」から成る、と言われます。義太夫節を語る「太夫」、音楽を奏でる「三味線」、人形を操る「人形遣い」の三者が一体となって、ひとつの舞台がつくられるのです。ここでは人形浄瑠璃の魅力と現代の代表的な演者をご紹介します。