熊本の観光には欠かせない熊本城。
観光客だけでなく、地元の方からも愛されているお城です。
鉄壁の城と言われる熊本城は、日本三名城の一つで、重要文化財や他の城では見られない構造など、見どころが満載のスポットということはご存知でしょうか?
今回は熊本城の歴史や見どころ、周辺のオススメ観光スポットもあわせてご紹介します!
熊本城とは?

熊本城の前身は、鹿子木氏が茶臼山に築城した隈本城で、現在の姿の熊本城は慶長12年(1607年)に加藤清正によって築かれました。
清正が城内に植えたとされる大イチョウの木にちなんで、別名は銀杏城といいます。
築城当時、大天守と小天守の他、49棟もの櫓も並んでいました。
しかし、明治10年(1877年)におきた西南戦争によって本丸の大部分が焼失。
天守と共に大イチョウも焼けてしまいました。
その後、昭和35年(1960年)に現在見られる大天守と小天守が再建され、大イチョウも新芽が育ち再生しました。
櫓や門、本丸御殿も復元し築城当時の姿を取り戻しつつありましたが、平成28年(2016年)4月の熊本地震で石垣が崩れるなど大きな被害を受けました。
熊本地震から5年が経った令和3年(2021年)5月現在も復旧工事は続いていますが、令和元年(2019年)10月には特別公開が始まり、令和3年(2021年)春には特別公開第3弾が計画され、熊本地震復興のシンボルとなっています。
熊本城の歴史
築 城主は築城名人の加藤清正

加藤清正は尾張で生まれ、母親の遠縁にあたる羽柴秀吉(豊臣秀吉)のもとで小姓として務めながら育ちました。
清正が熊本城築城に着手したのは天正16年(1588年)、肥後藩国(現在の熊本県と大分県の一部)を秀吉から与えられてからです。
その後、天正18年(1590年)熊本城の前身である隈本城の改修工事が始まりました。
清正は城造りの中でも土台の土木工事を得意としていました。
慶長12年(1607年)に完成した熊本城は、見事な反りを持つ石垣が特徴的で、この石垣は当時最高の石垣技術と称され、「清正流石垣」とも呼ばれています。
1 1代続いた細川家時代
熊本城完成からわずか4年後に清正は没し、息子の忠広が継ぎましたが寛永9年(1632年)に改易となり、替わって豊前国小倉藩(現在の福岡県北九州市周辺)から細川忠利が入城しました。
その後、細川家は明治時代まで11代・約240年にわたり城主を勤め上げ、またその間、日本最強と呼ばれた二刀流の剣豪・宮本武蔵が軍事顧問として招かれました。
西 郷隆盛が攻めてきた西南戦争
西南戦争とは、明治10年(1877年)に新政府軍に不満を募らせた薩摩藩の西郷軍と新政府軍が起こした戦いです。
その時、熊本城では新政府軍が籠城していました。
そこへ西郷隆盛率いる西郷軍が攻撃をしてきましたが、西郷軍は鉄壁の熊本城に近づくことさえできませんでした。
西郷隆盛が「清正公と戦をしているようだ」と言ったほど、熊本城への攻撃は難しいものだったのです。
西南戦争で落城はしなかったものの、城内で謎の出火があり大天守・小天守・本丸御殿などが焼失してしまいました。
国 内観測史上最大の震度、熊本地震の発生
西南戦争以降、長い時間をかけて大天守や小天守、本丸御殿などが復元されてきましたが、平成28年(2016年)4月14日に最大震度7を記録した熊本地震の発生により、石垣の崩壊や東十八櫓と、北十八櫓の全壊など、熊本城も大きな被害を受けました。
しかし、大天守台など初期に築城した石垣には大きな崩壊がなかったことから、加藤清正の築城技術が伺えます。
現 在の熊本城
甚大な被害をもたらした熊本地震発生から約1ヶ月後、熊本城の復旧工事が始まりました。
崩壊した石垣には一つひとつ番号が振られ、忠実に復元が進んでいます。
令和元年(2019年)10月に特別公開第1弾が始まり、令和2年(2020年)6月には第2弾、令和3年(2021年)3月に天守閣の復旧工事が完了したため、4月に特別公開第3弾が計画されました。(※コロナウイルスの影響により公開延期)
熊本城すべての復旧工事が完了するには約20年かかる計画のため、元の姿を目にできるのはまだ先になりますが、完成が楽しみですね!
「おばけの金太」と加藤清正
熊本県の郷土玩具「おばけの金太」はご存知ですか?
おばけの金太は赤い顔に黒い帽子をかぶっており、紐を引くと目がひっくり返って舌を出すという、ちょっと怖い……けど癖になるおもちゃです。
加藤清正が熊本城を築城した頃、“金太”という顔立ちが面白い足軽がいました。
金太は人を笑わせることが上手な人気者で、「おどけの金太」と呼ばれていました。
この話をもとに、人形師の西陣屋彦七がカラクリ人形を作ったことが始まりとされており、現在では熊本県の伝統的な郷土玩具として有名です。
熊本城の見どころ
大 天守・小天守

大天守は『三層六階、地下一階』、小天守は『二層四階、地下一階』の、黒い壁が印象的な建物です。
天守閣内部の展示は令和3年(2021年)4月にリニューアルされ、天守の歴史にクローズアップした内容になりました。
最上階は展望所になっており、熊本の街を一望できる絶景スポットとして知られています。
清 正流石垣

清正流石垣は下部の勾配が緩やかなため、登れるような感覚になります。
しかし、途中まで登って上を見上げたときに石垣が覆いかぶさるような錯覚を覚えて登れなくなってしまうため、「武者返し」と呼ばれています。
石垣を登ることはできませんが、近くで見るだけでも清正流石垣の迫力を体感できますよ。
宇 土櫓(重要文化財)

現存する櫓の一つで、国指定重要文化財に登録されている宇土櫓。
三層五階、地下一階の造りは「第三の天守」ともいわれ、櫓とは思えない大きさです。
宇土櫓の内部は撮影が許可されていますので、歴史的建築物が好きな方にはたまらないはず!
また、城内に建てられた加藤清正を祀る“加藤神社”からは、30mの石垣と宇土櫓を眺めることができますよ♪
熊 本城の地図石
地図石は数寄屋丸にあります。
打込接という技法で99個の石が箱型に組まれた場所があり、組み合わせた境界が地図のように見えるため「地図石」と呼ばれています。
地図石は熊本城の縄張りを表すとも、城下町の地図を表すともいわれてきましたが、地図石がある場所は来客者を数寄屋丸へ案内するための待合所「御待合」という場所だったことから、人の目を楽しませるために敷石を組んだとみられています。
闇 御門
闇御門は本丸に入るための地下通路で、本丸御殿の下に造られています。
本丸御殿は2つの石垣を跨ぐように造られたため、通路を地下に造る必要がありました。
闇御門からの地下通路が本丸御殿への正式な入口となります。
地下通路が正式な入口というのはとても珍しいので、ぜひ注目してみてください。
熊 本城の長塀(重要文化財)

坪井川沿いにある長塀の長さはなんと約242m!
国指定重要文化財に登録されています。
瓦と黒の下見坂に挟まれた白壁が美しく、桜の名所でもあります。
熊本地震で長塀も被害を受けましたが、令和3年(2021年)1月に復旧工事が完了しました。
本 丸御殿
本丸御殿は西南戦争で焼失しましたが、平成20年(2008年)に復元されました。
「昭君之間」は、御殿の中でも最も格式が高い部屋で絢爛豪華な造りとなっています。
清正が秀吉の息子である豊臣秀頼を招く部屋として造られたといわれています。
熊本城へのアクセス・営業時間
熊 本城へのアクセス
【所在地】
〒860-0002
熊本県熊本市中央区本丸1-1
【公共交通機関】
・熊本駅から熊本城周遊バス「しろめぐりん」で約30分(運賃大人160円/こども80円)
・熊本市電「熊本城・市役所前駅」から徒歩10分
【車】
・熊本ICから約30分
・阿蘇熊本空港から約45分
熊 本城の営業時間・料金
営業時間
9:00~17:00
※復旧工事のため内部公開期間が限定されています
料金
大人:800円
小中学生:300円
情報は変更となる場合がございます。詳細は、公式サイトをご確認ください。
「 復興城主」になってみませんか?
熊本地震で被害を受けた熊本城の復興の力になりたい!と思う方に、ぜひオススメしたいのが「復興城主」。
一口1万円以上の寄付をすると、熊本城の城主になれるというものです。
寄付金は熊本城の復興資金にあてられます。
復興城主として寄付をすると、名前入りの「城主証」や「城主手形」をもらうことができ、熊本市内の観光施設が無料または割引料金で利用可能になる特典付きです!
令和3年(2021年)2月の時点で24億円以上が集まりました。
しかし、熊本城の完全な復興には600億円以上かかるとされています。
ぜひ復興城主になり、熊本城の歴史に名前を刻んでみてはいかがでしょうか?
情報は変更となる場合がございます。詳細は、公式サイトをご確認ください。
熊本城周辺のオススメ観光スポット
桜 の馬場城彩苑

熊本城のふもとにある「桜の馬場」というエリアにある城彩苑は、城下町の雰囲気を再現した観光施設です。
熊本のグルメや名産品を楽しめますよ♪
熊本城を見学した後は、ぜひ桜の馬場城彩苑で城下町の雰囲気を味わいながら余韻に浸ってみてはいかがでしょうか?
水 前寺成趣園

熊本城から車で約15分、市電で約20分の場所にある水前寺成趣園は、寛永9年(1632年)に細川忠利が御茶屋を建てた際に作られた庭園です。
園内には阿蘇の伏流水が湧いています。
東海道五十三次の景色を模したといわれており、ゆっくりと散策し景色を楽しむのがオススメです。
く まモンスクエア
熊本の大人気ゆるキャラ「くまモン」の活動拠点です!
くまモン営業部長デスクや、交流スペースのステージでは、くまモンがダンスを披露してくれますよ♪
(※スケジュールは公式HPで随時更新)
熊 本県伝統工芸館
肥後象嵌や陶磁器など、熊本県の伝統工芸品を展示・販売している施設です。
週替わりの展示会やさまざまなワークショップがあるので、いつ訪れても楽しむことができますよ♪
その場で工芸品の購入も可能ですので、お土産にしてみてはいかかでしょうか?

肥後象がん(ひごぞうがん)とは、およそ400年の歴史を持つ金工品、熊本が誇る伝統的工芸品です。“布目象眼”等の象嵌技法で武家文化を反映した上品で奥ゆかしい美や重厚感を感じさせる装飾品です。今回は、肥後象がんとは何か、特徴や歴史、アクセサリー等を作れる体験工房をご紹介します。

肥後象がんには、鉄の地に布目のような刻み目を入れて金属を密着させる「布目象嵌」や、象嵌する部分を地の部分より深く彫る「彫り込み象嵌」などいくつかの技法がありますが、現在作られている作品はほとんどが布目象嵌の技法によるものです。
おわりに
熊本城の歴史と見どころ、オススメの周辺観光スポットをご紹介しました。
熊本城は築城から400年以上経っても加藤清正の技術を現代に伝えています。
焼失や震災で甚大な被害を受けてきましたが、これからも長い時間をかけて後世に熊本城の素晴らしさは伝わっていくことでしょう。
歴史を知り、ぜひ熊本城の細部まで楽しんでみてはいかがでしょうか。

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